[7] 法律第43号 元号法は、 元号の制定について定めた日本の法律です。
[31] 本法の制定により、 改元に関する明文条項が消失し次期改元およびそれ以後の日本の元号制度の存続が危惧された昭和の元号危機は解消しました。
1 元号は、政令で定める。
2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。附則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。
[8] 本則第1項は、元号を政令で定めるとしています >>5。 政令は内閣が決定し天皇によって公布されます。
[9] つまり朝廷や幕府が検討し天皇が確定させる日本の伝統的改元手続きを日本国憲法下の制度に落とし込んだ形となっています。
[3] 元号法は元号の制定の基本的事項を定めるのみで、
具体的な選定基準や詳細な手続きは含まれていません。
そうした事項は政府文書や個々の改元時の政府会議などで定められています。
[10] 附則第2項は、元号法制定時点で現に実施されていた (大日本帝国憲法下の旧皇室典範に従い詔勅で改元された後存続していた) 昭和の元号を、元号法に基づく元号であるとみなす >>5 としました。
[70] この定めは、 元号法 を新たに制定することによって昭和の元号の地位に疑問が生じることを防ぐ機能があります。 もしこの定めがなかった場合、 この法律の施行の時点で 「元号法の定めに基づく元号」 が存在しないため、政令によって新たな元号を制定しなければならないと解釈する余地が生じてしまいます >>33。
[69] ところで、 厳密な法文解釈に於いて、この第2項の定めが昭和元年からにおける「昭和」 の元号の地位にいかなる影響を及ぼすのかは定かではありません。 法の不遡及の大原則に従うなら、あくまで昭和が元号法の元号とみなされるのは施行以後のことであり、 それ以前の昭和は元号法の制定以前の状態に基づき解釈されるべきとも考えられます。 一方で、昭和の元号なるものは唯一であり、そのような解釈には無理があるという考え方もあるでしょう。
[71] もっとも、この解釈の違いが存在するとしても、それがいかなる効果をもたらすのかは定かではありません。 また、元号法は大正までの元号の地位を何ら定めていませんが、 そのことがどのような影響を有するのかも定かではありません。
[72] 例えば法令や契約書に「大正2年」「昭和10年」「昭和60年」 のような日付が書かれているとして、このうち「昭和60年」は昭和54年を境に 「元号法による元号」を使った日付であることになりましたが、 「昭和10年」がそうであるかは不明で、 「大正2年」は明らかにそうではありません。
[74] また、「昭和60年」と書かれた法的文書の昭和50年時点の解釈が問題となるとしたら、 元号法の施行後であっても「元号法による元号」を使った日付ではないと解釈することになる可能性があります。
[73] しかし実務上はこうした解釈の違いが問題になるとは思われません。
[87] こうした解釈論が生じてしまう現行条文は最適ではなかったという議論もあるようです >>33。
[80] 附則第1項は、元号法が公布の日に即日施行されることを定めています。 このことは、 >>69 のような理論上の問題には影響するものの、 実際上は特にどうということはなく、いつでも良かったと思われます。
[17] 元号の読みは改元と同時に内閣告示とすることが慣例となっています。 内閣告示を要求する法令は無さそうです。
[28] 元号に関するその他の情報は、
適宜政府から (法令ではない文書としてまたは口頭で) 発表されています。
[13] 本則第2項は、皇位継承があったときのみ改元するとしています >>5。
それ以外の改元は認められておらず、
明治の改元の詔書で宣言され旧皇室典範で引かれた一世一元の制を継続するものと理解されています。
[14] 皇位継承があると改元するとは定められていますが、 その時期は明記されていません。 旧皇室典範下の登極令は直ちに改元すると明記していたので、 柔軟に運用できるように意図的に曖昧にされたと思われます。
[21] 平成改元は即位の翌日の日始に実施されました。 皇位継承が年末だった場合には新年年始に改元することも検討されていたといわれています。
[22] 平成31年新元号の改元時にも翌年始改元などが提案されていたようですが、 採用されませんでした。
[15] 譲位が「あった場合に限り改める」 とあることから、退位前に改元の政令を定めることはできないと解する人もいましたが、 平成31年新元号の改元時に日本政府は可能であるとする解釈を採ったようです。
[75] 日本語の解釈としては、 皇位継承があっても改元を行わないという判断も許されると理解する余地があります。 一般的には皇位継承があれば代始改元を行う条文と解されているようです。
[76] 万一皇位継承の後改元が行われないうちに再び皇位継承が行われるような事態になったとき、 2回目の皇位継承の後に1回だけ改元しても、2回改元しても、 条文には違反しないと解釈する余地があります。
[77] 元号法の制定当時は崩御による皇位継承のみが想定されていたと思われますが、 条文は皇位継承で改元することのみを定めていますから、 譲位による皇位継承にも適用されます。
[79] 令和改元の前にはこの点に懸念を表明する人もいましたが、 問題ないとする解釈が通常だったようで、 法改正はなされていませんし、そのことを問題視する動きもありません。
[82] 代始改元が法制化されたことについては、 天皇の地位と関連付けて説明されることが一般的なようです。 昭和21年日本国憲法には、
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
とあります。つまり、天皇は日本国と日本国民統合を象徴する位置にありますから、 その地位を有する者が変化することは、日本国と日本国民にとって極めて重大な事態であり、 それは年の数え方を改めるに匹敵するものであるとする理解です。
[83]
一世一元とすることに対しては色々な考え方がありますが (
[16] 当然ながら元号法を国会が改正すれば皇位継承以外の改元への道は開くことができます。 平成時代の天皇陛下が退位特例法で退位することとなったように、 国会が特例法により臨時に改元することも技術的には可能とみられます。
[84] しかしこれまでそのような取り組みが具体化したことはありません。 もし国会や内閣が任意のタイミングで改元できるとなると、 元号と改元が政治的闘争の材料となってしまい、 その実用性を損なう危険性があります。
[85] 東日本大震災など大規模災害があると改元待望が民間では高まりますが、 もし災異改元を復活させるとなると否応なしに政治性が持ち込まれてしまいますから、 なかなか難しいのではないでしょうか。
[18] 元号法は元号の利用法や利用の可否について一切定めていません。
[68] 元号を使うことや、元号年等の表記の方法は、 日本国内で慣習として広く行われ定着しています。 古くから当然に行われてきたために法令として明文化する発想がなかったのでしょう。
[19] 元号法によって元号の利用が強制されている、
公的機関で元号を使わなければならないとされている、
といった主張をする人もいますが、
明白な誤りです。
反天皇、反日主義者がそうしたデマを流布しているようです。
[20] 地方公共団体の条例や組織の規則などで、
元号を利用することを定めていたり、
元号を使って表記する場合の書式を定めていたりすることがあります。
[47] 94120801_01.pdf, , https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/hakusho_nenjihokokusho/archive/pdf/94120801_01.pdf
[6] 元号法 - Wikipedia () https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E5%8F%B7%E6%B3%95
[29] 「元号法」に忠実な新元号の公布を切望する – かんせい汗青PLAZA (所功の「かんせい汗青PLAZA」著, ) http://tokoroisao.jp/?p=4327
[33] 元号法における昭和の位置付け - 自治立法立案の技法私論~自治体法制執務雑感Ver.2, https://hoti-ak.hatenablog.com/entry/2022/10/28/215956
[34] 昔の日本人は勝手に元号を作っていた件|森往来の日本雑記, 2019年5月21日 00:56, https://note.com/ourai/n/na0f4bc6dcee0
2019年4月3日付の毎日新聞から。東京大学教授の加藤陽子氏(日本近代史)のインタビュー。適宜改行。
〈1926年に始まった昭和という元号が、1979年になって、さかのぼって正統化されたのだ。その意味の重さを思えば、元号法制化が大きな歴史の分水嶺だったと、今になって理解できる。
元号法が、旧憲法下で定められた昭和をたやすく再定義し得たのなら、同法自体も、天皇が譲位する時代にふさわしく、今後、改正できるはずだ。〉
▼ラストの一文の切れ味の鋭さに唸ってしまった。本物の学問とは、こういうことをいうのではないだろうか、と思った。権威の「正統化」というものは、「伝統」やら、「歴史の重み」やらとは関係なく、実に便利に出来上がるものなのだ。だから、権威はつくりかえることができる。
[35] >>34 大学教授もブログ著者も法律の条文を自分の思想に引きつけて好き勝手に解釈しすぎでは? 国会の議決があれば元号法はいくらでも改正できる。 中学生でもわかること。それが「本物の学問」なのか。
[36] 「さかのぼって正統化」「たやすく再定義」も意味不明。 元号法附則1条にある通り、 元号法が効力を有するのは元号法の公布以後に対してのみ。 元号法の公布以前は「昭和」は元号法に基づく元号ではなかった。 元号法の公布以後は「昭和」は元号法に基づく元号である。 そこには旧憲法は何も関係なく、何も遡ってなどいない。 「再定義」すらされていない。ただただ「定義」しただけ。
[37] こんなガバガバ理論でもあっさり飲み込まれてしまう人がいるのだから、 ある種の 「切れ味の鋭さ」 があるのは確かかもしれない。
[38] 元号法が今に至るまで改正されないのは、 国民によって選出された国会議員が改正の必要性を認めていないから。 ただそれだけのことではないのか。
[40] この大学教授は後に日本学術会議の任命拒否された人。
[41] 業績リストを見てもほとんどが近代日本の戦争と政治に関する研究のようで、 元号関係の研究は (少なくても論文の題名になるレベルのものは) 皆無。 なぜ毎日新聞はこんな畑違いの人に意見を聞きに行って、 まるでその道の専門家であるかのように記事にしているのかが謎。
[42]
毎日新聞は元号関係でやらかしまくっている前科があるから (