[3]
文字の標準化は高度に政治的で、
Unicode
もまたその例に漏れません。
[1] Unicode と政治と文化[2]
関連:
政治的に正しいデータ構造,
ASCII帝国主義,
言語差別
[4]
Unicode Consortium 参加企業等が欧米や東アジアの市場で展開していた製品が採用していた文字コードの文字は、
Unicode が設定した設計上の原理に合わないものも互換性文字や表現形のような位置付けで
BMP に詰め込まれていますが、
それらの企業が本格的に進出しなかった南アジア、東南アジア、中央アジアあたりで使われていた地元の文字コードはほとんど無視されました。
[5]
Unicode が印度系文字に相当に複雑な仕組みを採用したこともあり、
それらへの対応は遅れに遅れた上に、既存の文字コードからのデータ変換も相当に複雑で、
欧米の大手企業製品は実装していません。 Internet Archive に残る当時の Webサイトはほとんどが読めないなど、
文化資産の継承という面でも深刻な打撃を受けています。
[29]
最近はゲバ文字と通称される略字を Unicode に追加するのはおかしいと政治的理由から主張する人が
Twitter
に湧いてきていたり。
CJK統合漢字
[30]
この現象は長い厄介な歴史的背景があってデータ構造側に侵食してきているという事案。
- [32] 極右は旧字、旧仮名を使いがち
- [33] 極左はゲバ文字といわれる略字を使っていた
- [35] 古い難しい表記を使うのは右翼、省略された中華人民共和国みもある表記を使うのは左翼というイメージが広まった
- [36] この段階で政治的背景なしに旧表記を愛好し続ける一般人も、
利便性から略字を使っているだけの一般人も、風評被害を受け始めている
- [37] 左翼にはいわゆる親中派が含まれるので、
簡体字を使うのは売国的思想背景があると攻撃されるようになる
- [40] 次第に攻撃対象が拡大され、新字体の印刷字形から離れたもの
(古くからある楷書の伝統的字形を含む) が叩かれるようになる
- [44] 反政府的な人は自民党政治家の文字が誤字で教養がないと叩く
- [45] ネトウヨは極左活動家の文字が誤字や簡体字で外国人だ、スパイだと叩く
- [53] こうした攻撃が成立するのは、新字体への字形統一 (均質化)
が進んで旧表記も伝統的楷書字形も略字も社会から消えつつあるのが背景なので、
グラデーション的多様性の喪失が更なる分断を促しているともとれる
[51] 坊主憎けりゃで、いつの間にか文字が敵味方判定の材料にすり替わっているし、
その判定基準もガバガバで事実関係はどうでもよくなっている。
[67]
>>66 Unicode Consortium、 沿ドニエストル通貨記号を追加していいか SC2
にお伺いを立てるの巻。普段は余程のことがない限り UTC と SC2
がそれぞれ独立して決定するものの互いに矛盾する決定はしないという体制ができあがっているものの、
政治的に繊細かつ前例もない問題故、 UTC が勝手に決定すると参加国家の代表団で組織される
ISO/IEC 側が荒れて面倒なことになりそうでこうなったのだろう。
[68]
>>66 この件は技術的には問題がないが政治的には問題がある、というケースで前例がないと言っているが、
このケースには適用できない類例はいくつかあって
- [69] 将軍様専用文字をはじめとする朝鮮民主主義人民共和国からの提案は、
技術的に難癖を付ける + 朝鮮民主主義人民共和国側が拗ねて顔を出さなくなる、
のコンボでなかったような扱いになっている。
まあさすがに技術的に無理くり却下するという扱いを通貨記号にはできなかったようだ。
- [70] 国旗絵文字は国旗専用国符号文字を追加してその組み合わせという滅茶苦茶な方法でこの国のこの国旗は追加していい、悪いの問題を華麗に回避。
政治的問題を技術的に解決!といえば聞こえはいいが、
政治的問題によって技術が歪まされているのが実情。
例えばちょうど今般シリアの政府が変わって国旗が変わったので、
国旗絵文字の各社実装もグリフを差し替えることになるのだろうが、
本当にそれでいいのか。旧時代の文書の国旗がすべて新国旗に差し替わるぞ。
「アサドの[シリア国旗]」みたいな文章は意味不明になるぞ。
- [71]
事と次第によっては中華民国からの提案は全拒否という世界線もあり得たかもしれないが、
中華民国ではなく TCA が参加という中華台北スキームが20世紀のうちに確立されているので、
今のところ台湾に関係する文字も問題なく追加され実装されている。
この場合は台湾が業界に於いて古い時代から存在感を示していたことや、
中華人民共和国にとっても一つの中国プロパガンダのため台湾に存在する文字を無視できないこと、
今の中華民国が権威主義国ではないので共産主義の変な記号のようなものがないこと、
など好材料が揃っていた故というところはあるだろう。
(といっても ISO-IR への CNS 11643 登録問題など、20世紀のうちに揉め切ったからの今というところはある。)
- [72]
事と次第によっては日本の元号合字の追加に特定アジア諸国が拒否反応を示すという世界線もあり得たかもしれないが、
まったく問題にならない。
これはある種の先行者利益のようなところもあって、
国際政治的問題が皆無でも業界政治的には今から新規にこうしたものを追加させるのは無理だろう。
特定アジアは元号廃止しているので元号というものにもはや興味関心を持っていないし、
朝鮮民主主義人民共和国が「主体」を追加したいなどと言ってこなかった、
という偶然(?)が日本には都合よく作用したところはあるだろう。
- [73]
すると考えるに他の各国の通貨記号が符号化されているのもある種の先行者利益といってもいいだろう。
もし ASCII に
$
がなければ ISO/IEC 646 の £
や JIS X 0201 の ¥
もなかっただろうし、21世紀に入ってから便利そうだから入れようという話になったら国旗絵文字方式に落ち着いていたのではなかろうか。