仕様書

意味

[18] 環境設定群オブジェクトと大域オブジェクト (と Realm) には常に1対1の関係があります。

状態

[181] 環境 (environment) は、次の状態を持ちます >>3。

[5] 環境設定群オブジェクトは、環境に加えて、次の状態を持ちます。

Window の場合

[21] JavaScript実行文脈実行文脈と予約環境の環境設定群オブジェクトは、 次のようなものです。 ここで、 realm は、実行文脈の Realm とします。 窓は、realm の大域オブジェクトとします。

[71] この初期設定の実行を HTML Standard は実行文脈に関する閲覧文脈環境設定群オブジェクトの設定 (set up a browsing context environment settings object) >>3 と呼んでいます。 閲覧文脈の作成や document.open から呼び出されます。 その際、 realm の HostDefined は、この初期設定された環境設定群オブジェクトに設定されます >>3。 また、予約環境が null でなければ、 予約環境の識別子は空文字列に設定されます >>3。

専用ワーカーと共有ワーカーの場合

[35] ワーカーについては、 JavaScript実行文脈実行文脈と環境設定群オブジェクト外側設定群についてワーカー環境設定群オブジェクトを設定 (set up a worker environment settings object) する手順により、 次のような環境設定群オブジェクトがワーカー作成時に作られます。 ここで、 realm は、実行文脈の Realm とします。 大域オブジェクトは、realm の大域オブジェクトとします。

[76] なお、 realm の HostDefined は、 この初期設定された環境設定群オブジェクトに設定されます >>34。

サービスワーカーの場合

[215] サービスワーカーを走らせる処理では、 Realm実行文脈、大域文脈、 ワーカー、クライアントについて次のように設定されます >>214。

演算

[38] postMessage では、設定群オブジェクトに関して transfer a Transferable object が実行されます。この手順では、 特定環境で作られたオブジェクトを他の環境へと移し替える操作が行われます。

[231] 環境には、 環境廃棄手順群 (environment discarding steps) があります HTML Standard。

[232] navigate やワーカーを走らせる手順群から呼び出される場合があります。

設定群オブジェクト (JavaScript 実行文脈)

[41] JavaScript実行文脈の設定群オブジェクト (JavaScript execution context's settings object) は、 そのJavaScript実行文脈の ScriptOrModule の HostDefined のスクリプトの設定群オブジェクトです >>24。

設定群オブジェクト (Realm)

[61] Realm の設定群オブジェクト (the Realm's settings object) >>45 は、 Realm に対応する環境設定群オブジェクトです。 両者には常に1:1の対応関係が存在します。

[74] JavaScript の仕様書上の概念では、 Realm の HostDefined が設定群オブジェクトを表しています。

設定群オブジェクトの選択

[97] 色々な場面で設定群オブジェクトや大域オブジェクトや Realm を参照するに当たり、 どれを使うかについて、次の4種類の選択肢があります >>96。

[75] JavaScript 自体の機能は、現在を使っています。 Web の機能は、原則として関連を使うべきです。 >>96

[174] コンストラクターでは、関連となるものが無いので、 現在を使うべきです >>96。

[99] 後方互換性のため、この原則に従わないものも少なくありません。 この原則は2016年の HTML Standard の改訂で整備され、 既存のメソッド等も (Web互換性を失わない範囲で) 整理されています。

[200] この他に、環境設定群オブジェクトがアルゴリズムへの入力として与えられて、 それを使って処理することがあります。 (もちろんその入力は、先述の4種類のいずれかの形で得られたものです。)

[202] アルゴリズムへの入力の形になった環境設定群オブジェクトや環境は、 「クライアント」と呼ばれることがあります。

入口設定群オブジェクト

[115] 入口実行文脈 (entry execution context) は、 JavaScript実行文脈スタックにある最も直近に push された Realm実行文脈です。 >>96

[116] 入口Realm (entry Realm) は、入口実行文脈のRealmです。 >>96

[117] 入口設定群オブジェクト (entry settings object) は、入口Realmの環境設定群オブジェクトです >>96。

[118] 入口大域オブジェクト (entry global object) は、入口Realmの大域オブジェクトです >>96。

現職設定群オブジェクト

[153] JavaScript実行文脈は、コード評価状態において、 現職決定時に飛ばす計数器 (skip-when-determining-incumbent counter) を持ちます。 初期値は 0 です。 >>96

[154] イベントループは、バックアップ現職設定群オブジェクトスタック (backup incumbent settings object stack) を持ちます。 初期状態は、空です。 >>96

[155] 最上スクリプト持ち実行文脈 (topmost script-having execution context) は、 JavaScript実行文脈スタック中 ScriptOrModule が null でない最上のものです。そのようなものがなければ、 null です。 >>96

[156] 現職設定群オブジェクト (incumbent settings object) は、 次の手順群が返すものです >>96。

[163] 現職Realm (incumbent Realm) は、 現職設定群オブジェクトのRealmです >>96。

[165] 現職大域オブジェクト (incumbent global object) は、現職設定群オブジェクトの大域オブジェクトです >>96。

[133] 現職設定群オブジェクトは、API の起源の検査などに使われます。

[134] 本来、同一起源ポリシーにより、スクリプトが呼び出せるのは同じ起源のスクリプトだけのはずですから、どの環境設定群オブジェクトでも (大域オブジェクトの環境設定群オブジェクトや入口設定オブジェクトでも) 良さそうなものです。しかし document.domain に値が設定されると実効スクリプト起源が変化しますから、 それ以前に異なる大域オブジェクト由来の関数への参照を取得していれば、 異なる実効スクリプト起源を持つスクリプトを実行できることになります。 また document.domain 設定以後は異なる起源で同じ実効スクリプト起源のスクリプトにアクセスできるようになります。 従って再帰的な関数呼び出しによって API の呼び出し元とみなすべき起源や実効スクリプト起源は変化することがあるのです。

現在設定群オブジェクト

[119] 現在Realm記録 (current Realm Record) (現在Realm (current Realm) ) >>96 は現在実行中の関数オブジェクトの Realm です。 JavaScript の著者の関数オブジェクトだけでなく、 プラットフォームオブジェクトでも定義されます。

[120] 現在設定群オブジェクト (current settings object) は、現在Realmの環境設定群オブジェクトです >>96。

[121] 現在大域オブジェクト (current global object) は、現在Realmの大域オブジェクトです >>96。

関連設定群オブジェクト

[122] 大域オブジェクトの関連設定群オブジェクト (relevant settings object) は、 その大域オブジェクトと同時に作られた対応する環境設定群オブジェクトです。 >>96

[57] 大域オブジェクト以外のプラットフォームオブジェクトの関連設定群オブジェクト (relevant settings object) は、 当該オブジェクトに関連付けられた大域環境の大域オブジェクトの環境設定群オブジェクトです >>96。

[124] プラットフォームオブジェクトの関連大域オブジェクト (relevant global object) は、 その関連設定群オブジェクトの大域オブジェクトです >>96。

[123] プラットフォームオブジェクトの関連Realm (relevant Realm) は、 その関連設定群オブジェクトのRealmです >>96。

[236] プラットフォームオブジェクトの関連 (かんれん) エージェント (relevant agent) は、 その関連realmのエージェントです。 >>235

要求のクライアント

[195] 要求は、クライアント (client) を持ちます。 値は null または環境設定群オブジェクトです。 >>192

[193] 要求は、予約クライアント (reserved client) を持ちます。 値は null、環境、環境設定群オブジェクトのいずれかです。 既定値は null です。 >>192

[196] 要求は対象クライアントID (target client id) を持ちます。 値は文字列です。既定値は空文字列です。 >>192

[198] 要求は、窓 (window) を持ちます。 値は no-window、 client、 環境設定群オブジェクト (大域オブジェクトが Window のもの) のいずれかです。既定値は client です。 >>192

[199] client は仕様書の規定の便宜のため設けられたもので、 fetch 中に no-window か要求のクライアントに変更されます。 >>192

[189] 要求の参照元には、値として client を指定できます。参照元の既定値は client です。 >>188

[190] client は、要求のクライアントから適当な参照元の値を決定するべきことを表しています。

[191] client は、 fetch の処理中に no-referrer または URL に置き換わります。 fetch 呼び出し元の仕様書で参照元を明示せずとも fetch 側で適当な値で設定するために使われています。 >>188

サービスワーカークライアント

[205] サービスワーカークライアント (service worker client) は、 環境または環境設定群オブジェクトです >>203。

[207] 窓クライアント (window client) は、 サービスワーカークライアントであって大域オブジェクトが Window のものです。 >>203

[208] 専用ワーカークライアント (dedicated worker client) は、 サービスワーカークライアントであって大域オブジェクトが DedicatedWorkerGlobalScope のものです。 >>203

[210] 共有ワーカークライアント (shared worker client) は、 サービスワーカークライアントであって大域オブジェクトが SharedWorkerGlobalScope のものです。 >>203

[211] ワーカークライアント (worker client) は、 専用ワーカークライアントまたは共有ワーカークライアントです。 >>203

[217] ServiceWorkerContainer は、 サービスワーカークライアント (service worker client) を持ちます >>216。 navigator オブジェクトと ServiceWorkerContainer オブジェクトの作成時に値が決まります。

[219] ジョブは、 クライアント (client) を持ちます >>218。初期値は null です >>218。

関連

[20] スクリプトはその構成要素として環境設定群オブジェクトを1つ持っています。 これをスクリプトの関連する設定群オブジェクトといいます。

[52] 環境設定群オブジェクトと類する概念として他にクライアント、 Realm、 大域オブジェクトなどがありますが、各仕様からはそれらよりも環境設定群オブジェクトを参照する方が良いとされています >>51。

歴史