イベントループ

イベントループ (Web)

[3] Webブラウザーにおけるイベントfetch構文解析スクリプト実行、 レンダリングその他の動作の相互作用は、 イベントループ (event loop) によって説明されています。

[15] 非同期システム、 GUI システムの同様の概念に倣ってイベントループと呼ばれていますが、 実際に Webブラウザーで実行される処理の単位はイベントではなく、タスクと呼ばれています。 JavaScript で利用される DOMイベントタスクであることもあれば、タスクの処理の一部分であることもあります。

[81] 入出力装置やネットワークの入出力のような Webブラウザー外の“イベント” は、それを処理するタスクとして Webブラウザーイベントループにおけるタスクキューに追加されることになります。

[207] 1つのWebブラウザー上では、複数の Webサイトなどが同時にレンダリング・動作しています。単一のWebページも、閲覧文脈本体の他、複数のワーカー並行して動作することがあります。そのためイベントループも同時に複数存在することがあります。

仕様書

イベントループ

[6] 利用者エージェントは、イベント利用者との対話、スクリプトレンダリングネットワーク処理、その他の協調のためにイベントループを使わなければなりませんイベントループ利用者エージェント毎に少なくても1つなければなりません関係する類似起源閲覧文脈の単位毎に高々1つのイベントループを有することができます。 >>5

[8] つまり、利用者エージェント全体で1つのイベントループを共有することもできますし、 タブ毎などの単位で複数のイベントループに分けることもできるのですが、 その分け方として、 (document.domain を考慮した) 起源ごとのグループを分離してはいけない、ということです。
[9] 仕様上明記されていませんが、おそらくここでいう「利用者エージェント」 の単位は恣意的に決めることができ、 例えば通常モードと秘密モードがあり、両者で開いている Web頁同士が同じ起源であっても JavaScript でアクセスできないなら、これは2つの利用者エージェントであり、 この規定に違反せずに別々のイベントループを有することができるはずです。
[7] 1つの関連する類似起源閲覧文脈の単位に対して複数のイベントループがあると、 そこに属するいずれかの閲覧文脈が他の関連する類似起源閲覧文脈の単位に属するような navigate が発生した時に複雑なことになります。 HTML 仕様はそれをどう処理するか現在定義していません。 >>5 (複雑なこと、というのは具体的には示されていません。)

[11] イベントループのすべての閲覧文脈が捨てられる時、イベントループ自体も捨てられます。 逆に閲覧文脈は1つイベントループを持ちます。

[91] ワーカーイベントループ閲覧文脈ではなく、ワーカーに関連付けられています。 ワーカーが閉じられた時にイベントループも捨てられます。

[93] サービスワーカーを走らせる処理でもイベントループが作られます。

[71]要素イベントループ」は明確に定義されていませんが要素節点文書が属する閲覧文脈が属するイベントループを指すようです。

状態

[55] イベントループは次の状態を持ちます。

種別
メインのイベントループか、ワーカーイベントループのいずれかです。
タスクキュー群
イベントループは、1つ以上のタスクキューを持ちます >>5。 個数と使い分けは実装に依存します。
マイクロタスクキュー
1つのマイクロタスクキューを持ちます >>5
閲覧文脈またはワーカー
[10] ワーカー以外のイベントループは、最低1つ閲覧文脈を持ちます >>5[42] ワーカー (WorkerGlobalScope) は、 それぞれ別個のイベントループを有します >>40, >>204
文書
レンダリングの更新アイドル期間の開始、 アイドルコールバック群呼び出しアルゴリズムで参照されます。
現在走っているタスク
動作中のタスクまたはマイクロタスクが高々1つ存在します。
一時停止
termination nesting level >>90
モーダルダイアログの表示を制御するものです。
マイクロタスクチェックポイントを行っているフラグ
マイクロタスク参照。
環境設定群オブジェクト
有責イベントループが本環境設定群オブジェクトであるようなイベントループ >>92弱集合マイクロタスクチェックポイントの実行で参照されます。
JavaScript実行文脈スタック
(どの仕様書も明言していないようですが、イベントループごとに1つあると思われます。)
バックアップ現職設定群オブジェクトスタック
BroadcastChannel
最終アイドル期間締切
活性スクリプト

[225] かつては次のものもありましたが、現在は削除されています。

[12] ストレージミューテックス
ストレージへのアクセスを制御するためのミューテックスを保持した状態になることがあります。

[39] ストレージミューテックス利用者エージェント全体で1つなので、 ストレージミューテックスの解放待ちのためにイベントループ全体がブロックされることがあります。

[161] イベントループが実行する処理の単位はタスクと呼ばれます。 特定のイベントループが同時に実行するタスクは高々1つであり、 現在走っているタスク (currently running task) と呼ばれます。 現在走っているタスクの初期値は null です。 >>5

[163] 現在走っているタスクイベントループ全体によってタスクに設定される場合 (>>13) の他、マイクロタスクチェックポイントによってマイクロタスクに設定される場合もあります。
[195] 現在走っているタスクは、 (仕様書上必ずしも明示はされていませんが) タスク内の各アルゴリズムから、そのタスクの種類を調べるため参照されます。 例えば allowed to show a popup は、クリック系のイベントに由来するタスクの処理中かどうかで分岐します。

実行

[13] メインやワーカーのイベントループイベントループは、 次のようにしなければなりません >>5

  1. [233] 繰り返し、
    1. [235] イベントループの実行中断中 (>>30, >>218) でなければ、
      1. [74] イベントループにおけるタスクの処理 (>>75) をします。
      2. [184] イベントループについてマイクロタスクチェックポイントを行います
      3. [186] イベントループについてレンダリングの更新を実行します。
      4. [133] イベントループについてアイドル時の処理 (>>135) を実行します。
      5. [134] イベントループについてレンダリングの更新の実行時間を計測します。
      6. [187] イベントループの終了条件 (>>108) を満たす場合、
        1. [188] イベントループ破棄 (destroy) してここで停止します。

[16] イベントループとは別に、算法の一部分が非同期的に実行されると規定されているものがあります。 そのような算法についても、結果を何らかの形で DOM に反映させる必要があり、 イベントループ安定状態を提供することによってそのような算法同期区間が実行される、 あるいはタスクキュータスクを追加する、といった形でイベントループと統合されています。 マルチスレッドな実装なら同期区間の前後の非同期な部分はイベントループとは別のスレッドで実装してもよいでしょうし、単一スレッドなら仕様上のイベントループを含むより大きなイベントループの中で交互に処理を行うことになるのでしょう。 (単一スレッドWebブラウザーがあるのか知りませんが...)

[53] イベントループの手順中でタスクマイクロタスクの実行では著者によるスクリプトが実行される可能性があります。 またレンダリングの更新でもアニメーションフレームコールバックなどとして著者によるスクリプトが実行されることがあります。

[130] アイドル状態になったと判定すると、 requestIdleCallbackコールバック関数の実行のためのタスクをキューに追加することになっています。

アイドル状態を参照。

タスクの実行

[75] イベントループにおけるタスクの処理は、次のように行います。

  1. [162] 「手順1」 (>>48) の処理を行います。
  2. [238] タスクを、イベントループについてタスクキューからタスクを選択した結果に設定します。
  3. [239] タスクが null なら、ここで停止します >>5
  4. [179] イベントループ現在走っているタスクを、 タスクに設定します >>5
  5. [180] タスク処理を実行します >>5
  6. [181] イベントループ現在走っているタスクを、 null に設定します >>5
  7. [183] タスクタスクキューから削除します >>5

[76] イベントループの一巡の間にタスクは高々1つだけ実行されます。 それに対してマイクロタスクアニメーションフレームコールバックは、 実行できる状態のものがすべて実行されます。これがタスクに対してマイクロタスクが 「マイクロ」である所以です。

[182] かつてはタスクの実行後にストレージミューテックスの解放も行うこととされていました。

手順1到達時点の状態

[48] 次に示すものは、「最後にイベントループの手順1に到達した時 (last time the event loop reached step 1) 」 の状態を定義に含めています。

[56] かつては 「最後にイベントループタスクを実行しはじめた時 (last time the event loop started executing a task) 」 とも呼ばれていましたが、 >>48 の表現に統一されました。

[158] 次に示すものは、「次にイベントループの手順1に到達する前 (before the next time the event loop reaches step 1) 」を定義に含めています。

[68] また、次に示すものは、同じタスク内であれば同じ結果になることが求められています。

[211] 同じ「タスク」ということは、スピンによってタスクが中断された場合、 再開後に同じ値であるとは限りません。

[66] これらは、次の event loop level 1 に到達する前に実装が保持する値を更新したり、 新たな状態を反映させるための処理を行ったりする必要があります。

[124] embed 要素では、状態を更新するためのタスクタスクキューに追加する必要があるかもしれません。

アイドル時の処理

[135] イベントループレンダリングの更新の各処理とレンダリングの更新の計測の間に、 次のようにします >>5

  1. [136] 次のすべてを満たす場合、
    1. [148] イベントループの各閲覧文脈閲覧文脈について、
      1. [153] 閲覧文脈Window について、 アイドル期間開始アルゴリズムを実行します。

[70] requestIdleCallbackアイドル期間の決定では、 レンダリングその他の内部処理のスケジューリングが影響を及ぼします。

スピン

[212] イベントループをスピン (spin the event loop) は、 一種の継続で、一旦現在の処理を中断してイベントループに制御を戻し、 指定した条件条件が達成された後に再開するものです。

[17] イベントループイベントループスピンは、 次のようにしなければなりません >>5

  1. [164] タスクを、イベントループ現在走っているタスクに設定します。
  2. [165] タスク源を、タスクタスク源に設定します。
  3. [166] 旧スタックを、イベントループJavaScript実行文脈スタックの複製に設定します。
  4. [167] イベントループJavaScript実行文脈スタックを空にします。
  5. [169] イベントループについてマイクロタスクチェックポイントを実行します。
  6. [18] タスクを停止させ、 タスクを呼び出したアルゴリズムの続きへと進ませます。
[173] スピンイベントループから直接呼び出されたタスクから呼び出されることもあれば、 マイクロタスク複合マイクロタスク部分タスクから呼ばれることもあります。
[213] JavaScript実行文脈にはスクリプトの実行環境やスクリプト設定群オブジェクトその他が含まれていますので、 それら処理に必要な状態すべてが保存された状態で、実行が中断され、 イベントループマイクロタスクチェックポイントなどの次のステップへと進むことになります。

[168] かつては global script clean-up jobs の実行もここで行われていました。

[19] その後、条件が成立したら、 次のようなタスクタスクキューに追加しなければなりません >>5

タスク
タスク源
タスク源
処理
  1. [170] イベントループJavaScript実行文脈スタックを、旧スタックに設定します。
  2. [171] スピンの呼び出し元に戻ります。
[140] スピンによって実行中のタスクは中断されますが、イベントループが中断しているわけではないので、 スピン後に新たに追加されたタスクはそのまま実行されます。

[25] document.closeスピンするまで字句化を行います。

詳しくは document.close 参照。

[51] かつては >>160媒体要素文書から削除された後、次にイベントループスピンするより前に再度挿入されない場合、 ハードウェア資源に制約があればその機会にこれをすべて解放するのがよいとされていました >>159

スピンする状況

[21] スピンする算法には次のものがあります。

[80] このうち update the session history with the new page利用者エージェントイベントループ上の任意のタイミングで実行できますし、 スピン前の処理が後の処理に直接的に影響を及ぼしてもいないため、 実質的に次の処理のためのタスクをキューに入れるのと変わらないと思われます。

[125] stops parsing におけるスピンは、スピンを使わない形に読み替えられます。

stops parsing 参照。

[231] script 要素終了タグの処理の場合、 スピンの直前に同じ構文解析器に処理させるタスクの実行をブロックし、 直後にブロック解除することになっています。 従って、既に fetch が続きの部分の構文解析を求めるタスクを追加していたとしても、 スピンの時点で保留タスクとなって、 スピン条件達成により追加される継続タスクが先に実行されることになります。

[232] タスクを実行しない、という処理の詳細が HTML Standard では規定されていないので、同じタスク源タスクなのだから継続タスクは前のタスクの完了まで実行されず、 デッドロックに陥る、と解釈できなくもないのですが、明らかに誤っています。

[172] HTML Standard では >>17 の通りタスクの実行を中断して条件が成立してから再開する形を採っていますが、 実際の Webブラウザーでは JavaScriptエンジンの仕様上そのように中断させることは難しく、 イベントループ自体を再帰的に実行しているようです。

歴史

字句化器のブロック

[59] script 要素の処理でスピンする場合、その直前に HTML 字句化器XML構文解析器がブロックされ、直後にブロックが解除されます。 これにより、スピン中に当該字句化器構文解析器を使うようなタスクは実行されない、 とされています。

[60] ブロックすると実行されない、という仕組みは十分に説明されていないように思えますが、 構文解析を行うタスクがキューに追加されなくなるのでイベント・ループが実行しなくなる、 ということでしょうか。既にタスクタスク・キューに追加されてしまっていれば、 それも実行してはいけないのですが、その場合同じタスク・キューを共有する他のタスク源タスクは同様にブロックされてしまうのでしょうか。

[152] HTML字句化器XML構文解析器を使うタスクというのは、どうやら実際には、 HTMLXMLファイルfetch した結果としてバイト列を受信する度に追加されるタスクのことを指しているようです。 つまりブロックされている間はそれ以上先に字句化が進まないという規定であるわけです。 文書に関連付けられたHTML構文解析器XML構文解析器が利用されるのは、文書自体の構文解析を除けば、 HTML文書における document.write/document.writeln の呼び出しだけのようです。 そちらは定義上、字句化器がブロックされるのと同じ条件下で HTML構文解析器を呼び出さないことになっています。 (なのでいずれにせよ字句化器は止まって先に進みません。)

一時停止

[26] ある条件が満たされるまで利用者エージェント一時停止 (pause) する場合、 次のようにしなければなりません>>5

  1. [27] 非同期に実行されている算法があって安定状態を待つ状態なら、同期区間を実行してから、 (適切であれば) 非同期算法の実行を再開します。
  2. [28] 必要があれば、 Document閲覧文脈レンダリング利用者インターフェイスを更新して現在の状態を反映させます (レンダリングの更新)。
  3. [29] 条件が満たされるまで待ちます。

[127] 一時停止中のレンダリングについては、モーダルダイアログも参照。

[223] 一時停止中でも動画再生アニメーションは続行するべきかもしれません。

[32] 一時停止する算法には次のものがあります。

[220] pause 中は他のタスクを実行できないというのが仕様上の規定ですが、 Firefox ではモーダルダイアログの表示中に Bookmarklet を実行できる (つまり navigate からスクリプト実行のタスクが実行される) ようです。

[243] 同じイベントループを共有しているなら、他のタブであっても、 タスクは実行できなくなります。

[221] 1つの利用者エージェントが複数のイベントループを使う場合、 あるイベントループ一時停止中でも、他のイベントループは動作するかもしれません。

[222] ある起源スクリプトモーダルダイアログを表示していても、 他の起源Webページは通常通り表示・操作できるのが好ましいと考えられます。

[237] HTML Standard は、2016年5月以来、Web互換性に悪影響を及ぼさない限りにできるだけこの“異常”な挙動を除去できないか試みることを Webブラウザーの実装者に呼びかけています >>5

一時中断

[218] ワーカーは、一時中断 (suspend) されることがあります。 イベントループの実行も中断されるようです。

ワーカー参照。

[102] 利用者の指示により、またはバッテリーの都合により睡眠状態に入ったなどの理由で、 プラットフォームが強制的に Webブラウザーの動作を中断させたり、 そこから復帰させたりすることがあります。これを Webブラウザーが検知できるかは、 プラットフォーム次第です。しかし検知できるか否かに関わらず、 時刻タイマーの処理などで不整合が生じないように配慮が必要です。

破棄

[108] イベントループは、存在する間動作する HTML Standard (つまり存在しなくなったら停止する) とされています。

[129] 文書環境イベントループについては、 関係する閲覧文脈がすべて破棄された時、 ということになると思われます。

[131] ワーカー環境についてはより明確に規定されています。 イベントループタスクキュータスクがなくなり、 イベントループWorkerGlobalScope閉じ中フラグがの場合 HTML Standard、破棄されます。 (その後ワーカーを走らせる手順の最終段階へと進みます。)

構文解析器との関係

[61] HTML構文解析器 (や、ちゃんと規定した仕様書が存在していませんが、 XML構文解析器) は、それ自体はタスクの一部や全部ではなく、イベントループとは概念として独立しています。

[62] innerHTML のように完全にタスクに含まれる処理の一部分として構文解析が実行されることもあれば、 fetch によってネットワークからデータを取得する度に順次生成されていく一連のタスクによって断続的に構文解析が進められることもあります。

[149] >>24>>59 の通り、構文解析によってイベントループスピンしたり、字句化器がブロックされたりすることがあります。

スクリプトとの関係

[201] スクリプトは他のスクリプトが実行されていることを直接観測できません >>200。 実装上は複数のスクリプトが並列実行されている可能性はありますが (起源が異なる場合やワーカーなど)、 そのようなスクリプト同士が通信する方法は postMessage など限られています。

[202] スクリプトの実行時間を計測したり、 サーバー側で何らかの情報交換を行ったりして間接的に他のスクリプトの動作を推測することはできるかもしれませんが。

[203] これによって著者スレッド間のアクセス制御など複雑な処理を書かなくても済みます。 Webブラウザースクリプトが同時実行されないことを前提とした最適化を行えます (がそれが制約となるケースもあるかもしれません)。

並列実行との関係

[43] いくつかのアルゴリズム並列実行されます。すなわち、 イベントループの動作中に同時に他のアルゴリズムが実行されていることがあります。

[47] 並列実行されているアルゴリズムイベントループは、 同期区間により “join” されることがあります。

[72] 詳しくは並列実行安定状態を参照してください。

イベント・ループとの相互作用が不明なもの

[46] HTML 以前に規定されたものや、 HTML 以後であっても明確な仕様が存在しないものは、 イベント・ループとどう相互作用するのか文書化されていません。

[45] XSLT の処理とイベント・ループの関係は定義されていません。 >>44

[145] Geolocation APIイベントループが定義される前の仕様書なので関係が説明されていません。おそらく

[67] videoaudio の再生の具体的なタイミングは規定されていません。 なお trackレンダリング媒体要素レンダリングに合わせて更新しなければならないと規定されています。

[197] CODE(XMLe)@en[video]]/audio

[196] auralspeechレンダリングとの関係は定義されていません。

[20] レンダリングに関わるものは、レンダリングの更新を参照。

原子的に実行されるべきもの

[95] いくつかの算法の一部分は原子的 (atomic) に実行するよう規定されています。

XXX 一覧

実装手法

[79] 仕様書規定するイベントループを実際にどのような形で実装するべきかは、 仕様書の範囲外となっています。他のアルゴリズム同様、 著者スクリプトから観察してブラックボックスとして等しい結果が得られる限り、 どのような方法で実装しても問題ありません。

[84]イベントループは、それぞれがプラットフォームの別のプロセスとして動作するかもしれませんし、 同じプロセスの異なるスレッドで動作するかもしれません。

[82] Webブラウザー仕様書で規定される処理の他にも、 利用者インターフェイスの処理やプラットフォームとのやり取りなど、 Webページ相互運用性には関わらない様々な処理が必要になります。 Webブラウザーの実装手法としての“イベントループ”と、 仕様上の (= 著者スクリプトから見た) イベントループは必ずしも一致しません。

関連

[54] window.length は同じイベントループで動作しているかどうかによって挙動が変わり得ます。

[128] 最上位閲覧文脈はそれぞれセッション履歴イベントループ (session history event loop) を持ちます。 セッション履歴イベントループはメインやワーカーのイベントループとは異なり履歴管理専用で、とても単純になっています。

用語定義上はセッション履歴イベントループイベントループではありません。

[14] 待つも参照。

歴史

[4] イベント・ループの概念は Web Applications 1.0 (HTML Living Standard) によってはじめて体系的に説明、仕様化されました。

[87] イベント・ループは最初に Web Workers においてワーカーの挙動を説明するために導入されました。

[89] 更にその後、メイン・スレッドについてもイベント・ループが定義されるようになりました。 タスクの概念もこの時導入されました。

...

[86] ワーカーイベント・ループはメインのイベント・ループと同じように処理されますが、 >>87>>89 という経緯からか当初は run a worker 算法に組み込まれており、 閉じ中 (closing) フラグの存在など微妙に定義が違っていました。 しかし >>85 によって両者の定義が統合されました。

セッション履歴イベントループ

[137] セッション履歴イベントループイベントループが複数ある環境での履歴操作を記述するために2013年9月に導入されました。

安定状態

[106] Web Applications 1.0 r7980 Lay the groundwork for DOM Core to handle reentrant mutation observers. ( ( 版)) http://html5.org/tools/web-apps-tracker?from=7979&to=7980

[109] IRC logs: freenode / #whatwg / 20130701 ( ( 版)) http://krijnhoetmer.nl/irc-logs/whatwg/20130701#l-216

[110] Bug 22522 – WebIDL, error handling, and promises ( ( 版)) https://www.w3.org/Bugs/Public/show_bug.cgi?id=22522

[111] IRC logs: freenode / #whatwg / 20130701 ( ( 版)) http://krijnhoetmer.nl/irc-logs/whatwg/20130701#l-619

[126] IRC logs: freenode / #whatwg / 20130924 ( ( 版)) http://krijnhoetmer.nl/irc-logs/whatwg/20130924

[143] IRC logs: freenode / #whatwg / 20131026 ( ( 版)) http://krijnhoetmer.nl/irc-logs/whatwg/20131026

[144] IRC logs: freenode / #whatwg / 20131030 ( ( 版)) http://krijnhoetmer.nl/irc-logs/whatwg/20131030#l-662

[156] IRC logs: freenode / #whatwg / 20140204 ( ( 版)) http://krijnhoetmer.nl/irc-logs/whatwg/20140204

[157] Add a warning sign for synchronous usage of the XMLHttpRequest API · 575999a · whatwg/xhr ( ( 版)) https://github.com/whatwg/xhr/commit/575999ae46afadc8f2ac6376c68fa7a887a88aa6

[160] Web Applications 1.0 r8510 Lay the groundwork for interruptible microtasks, mutation-observer style. ( 版) http://html5.org/tools/web-apps-tracker?from=8509&to=8510

[175] Web Applications 1.0 r8553 Make microtasks work in workers too, since eventually we'll want the JavaScript stuff to hook into this ( 版) http://html5.org/tools/web-apps-tracker?from=8552&to=8553

[176] >>175ワーカーにもマイクロタスクが導入されました。

[215] Web Applications 1.0 r8832 Hyperlink to 'step 1' of the event loop ( ( 版)) https://html5.org/r/8832

[216] IRC logs: freenode / #whatwg / 20141119 ( ( 版)) http://krijnhoetmer.nl/irc-logs/whatwg/20141119#l-819

[52] 2014年11月には、レンダリングの更新処理とイベントループとの関係が明確化されました。

[1] Timing and Synchronization in JavaScript - Opera Developer Community ( 版) http://dev.opera.com/articles/view/timing-and-synchronization-in-javascript/

[77] Web Applications 1.0 r2074 Define event loops, task queues, etc; Make 'fetching' use this mechanism (everything will in due course); Fix some cross-references around 'interactive content'. ( 版) https://html5.org/r/2074

[112] IRC logs: freenode / #whatwg / 20150612 ( 版) http://krijnhoetmer.nl/irc-logs/whatwg/20150612

# [17:24] <annevk> ek_: it doesn't necessarily have to be a distinct thread, but you have to be pretty clever to pull that of (Opera used to do that)

[113] BlinkOn Scheduler Talk - Google スライド ( 版) https://docs.google.com/presentation/d/1vqqBwDbnwrCz0P5JX_fxVQd0Q5KmVZdB_hk6RLNgO2Q/edit

[219] Surfin' Safari - Blog Archive » Introducing the Rendering Frames Timeline ( 版) https://www.webkit.org/blog/3996/introducing-the-rendering-frames-timeline/

[224] IRC logs: freenode / #whatwg / 20151118 ( 版) http://krijnhoetmer.nl/irc-logs/whatwg/20151118

[226] Remove the storage mutex due to lack of implementation · whatwg/html@1b918cf ( 版) https://github.com/whatwg/html/commit/1b918cf72fcbba011f83b92ab5d1f483fb1cafa3

showModalDialog の廃止

[227] Remove showModalDialog() · whatwg/html@eec9646 ( 版) https://github.com/whatwg/html/commit/eec96462b5bd1c7f904a4880bc04dade6efcd597

利用者インターフェイスの無効化

[114] イベントループとは直接関係ありませんが、利用者インターフェイス無効化 (disabled) されることがあります。

[115] showModalDialog によるモーダルダイアログの表示中は、その呼び出し元と同じ起源閲覧文脈 (正確には「背景閲覧文脈のリストに含まれる閲覧文脈」) の利用者インターフェイスを無効化しなければなりません http://www.whatwg.org/specs/web-apps/current-work/#dom-showmodaldialog

[116] これはすなわち http://www.whatwg.org/specs/web-apps/current-work/#dom-showmodaldialog

[123] ということで、一時停止と似ていますが、同期区間などを実行しないこと、 利用者からのイベントを無視することが違っています。

[146] inert も類似した状況を作り出します。 inertinert 属性 dialog 要素によって発生します。

[228] Integrate with the ES job queue · whatwg/html@12db63c ( 版) https://github.com/whatwg/html/commit/12db63c7c038b9d8f1d3501d6661d89d495abeac

[229] Rewrite script execution on top of ES · whatwg/html@4891d18 ( 版) https://github.com/whatwg/html/commit/4891d18aaf2df1d40aa61f467a5a10cfc19dd85d

[241] Editorial: make wait a concept for bodies instead of responses · whatwg/fetch@1873eda ( 版) https://github.com/whatwg/fetch/commit/1873edac285df87c495b1966d8fdb2fd7ba733b2

[242] Allow for a request to finish after a response starts to arrive · whatwg/fetch@3a41b6f ( 版) https://github.com/whatwg/fetch/commit/3a41b6f04996d4aac13ecad5b38635827dcd0df3

[236] Add a warning about the "pause" operation ( (domenic著, )) https://github.com/whatwg/html/commit/8d564d1b5589906f77589b499e1ebf44671d2ee6

[78] Remove global script clean-up jobs (mkruisselbrink著, ) https://github.com/whatwg/html/commit/305aa6705e2ae65ae8a407c53316359dfe286eba

[94] [worklets] Clarify that the event loop is not run continuously. (bfgeek著, ) https://github.com/w3c/css-houdini-drafts/commit/4b7d4dfaac7acd3ca6c5c5131a2a65874265327d

[96] Do we need to mandate agents and event loops being 1:1? · Issue #2526 · whatwg/html () https://github.com/whatwg/html/issues/2526

[97] Editorial: minor event loop processing model cleanup (annevk著, ) https://github.com/whatwg/html/commit/7ddfd096ba815d4bd4e8b3ff7900bef1e95b985c

[98] atotic/event-loop: event loop docs () https://github.com/atotic/event-loop

[99] Meta: export some event loop-related definitions (domenic著, ) https://github.com/whatwg/html/commit/b0da8d31269485c5ff794912dff354c5d966900b

[100] Meta: export some event loop-related definitions by domenic · Pull Request #2836 · whatwg/html () https://github.com/whatwg/html/pull/2836

[101] Cross-link to update the rendering · Issue #10 · WICG/paint-timing () https://github.com/WICG/paint-timing/issues/10

[103] Clarify that specification text usually starts on the event loop (domenic著, ) https://github.com/whatwg/html/commit/bae35b1a90f723efb1c913438d9e1441fa67461a

[104] "Do any synchronous setup work, while still on the event loop..." · Issue #2800 · whatwg/html () https://github.com/whatwg/html/issues/2800

[105] Clarify that specification text usually starts on the event loop by domenic · Pull Request #2803 · whatwg/html () https://github.com/whatwg/html/pull/2803

[107] Allow UAs to conditionally block on stylesheet loading (domfarolino著, ) https://github.com/whatwg/html/commit/42dd707cbfc0f5d8f88b04ef270f4fcb121a10ff

[132] Integrate with requestIdleCallback (rmcilroy著, ) https://github.com/whatwg/html/commit/01787ee712a7803e64e0da6ac9644a5e6b8d2cca

[154] Missing definition for "idle time" · Issue #70 · w3c/requestidlecallback () https://github.com/w3c/requestidlecallback/issues/70

[155] Hook into HTML spec. by rmcilroy · Pull Request #75 · w3c/requestidlecallback () https://github.com/w3c/requestidlecallback/pull/75

[174] Integrate with requestIdleCallback by domenic · Pull Request #3570 · whatwg/html () https://github.com/whatwg/html/pull/3570

[177] Integrate with requestIdleCallback by rmcilroy · Pull Request #4104 · whatwg/html () https://github.com/whatwg/html/pull/4104