[5] 建国紀元は、 建国を初年とする紀年法です。 多くの国に存在し、 いくつかの国では現在も法令などに用いられます。
[22] 厳密な定義はあまり見かけませんが、一般に建国紀元といわれている紀年法に共通する性質は、
... といったところです。
[25] 建国を厳密に定義するのは困難で、それは国を厳密に定義するのが困難なことにもよります。 現在の国際秩序で国際的に国家承認された国だけでなく、 短命政権でも同種の紀年法が使われたことがあります。 政府の体裁の整わないテロ組織や、 実のところ国の実効支配を排除する意志のないミニ独立国にも同種の紀年法の例があります。
[26] 同一の国の政権交代と新たな国の設立の区別にも困難があります。
[27] 例えば中華民国 (民国紀元) は代表的な建国紀元ですが、 中華民国は清国の皇帝の退位によって成立し、 新たな紀年法を採用しました。 ところで清国と中華民国は袁世凱以下政府・統治機構には連続性があります。 どの部分に着目するかによって、新たな国とも同じ国とも、 新たな政府とも同じ政府とも言い得ます。
[18] 王朝創設に限らず王位継承も政府設立の一種と捉えれば、 即位紀年や元号も建国紀元と同じグループに属する紀年法といえます。 (政府設立は「建国」より広いので、 「政府設立紀年 = 王朝創設紀年 ∪ 即位紀年」のような整理をするべきでしょうか。)
[28] 細かくみれば政権交代、君主の代替わりもある種の「建国」と言い得ますから、 代始改元 (による元号や即位紀年) はことごとく建国紀元と言い得ることになります。 実際にはそのように言うことはあまりありません。 そのような分類方法にこれといったメリットがないからでしょう。 つまり一般的に建国紀元は
[15] 建国紀元に分類される紀年法は古今東西多岐にわたっており、 その性質にも違いがあります。
[16] 多くは政府の成立等、建国に関係する記念の年を第1年 (元年) として、以後単調増加で第2年、第3年と数えていきます。
[32]
建国紀元を使う場合、元号名スロットには国名を置くことが多いですが、
それ以外の場合もあります。
[34] 安定した元号名を持たず、国名がそのまま使われるものは、 建国紀元であって元号ではないとするのが分類として妥当でしょう。
[35] 民国紀元は「中華民国」「民国」を元号名として使うので元号のように見え、
ときに元号とみなされます。
[36] 東洋では19世紀頃から国名をそのまま使った紀年が出現します。 元号研究の延長で収集されたため元号扱いされることがありますが (例えば太平天国で太平天国なる元号が使われたとされることがあります)、 国名と変わらないものは元号ではない建国紀元と分類するのが妥当でしょう。
[37] それ以前の東洋の紀年では国名だけが元号名スロットにあるからといって、 (狭義の) 建国紀元とみなせないので注意が必要です。
[42] このカテゴリーのものは東アジアの20世紀に集中しています。 文字通りの建国を元年とするものの他に、建国に関係する他の事象を元年とするものもあります。 建国当初から使われるものと、後から遡って設定されたものがあります。
[43] このカテゴリーのものは英国旧領土を中心に分布しています。 年始を建国等とするので暦年と一致しないのが大きな特徴です。
[41] このカテゴリーのものは宗教始祖紀元と似た性質を持ちます。 古代国家の祭政の距離が近いためでしょう。 建国当初からのものではなく、後から遡って設定されたものです。
[4] 架空のものはフィクションの紀年法参照。