名前の翻訳

名前の翻訳

[2] 固有名詞や文化的、伝統的な用語で固有性が高い名詞などは、 一般的な翻訳テキストとは少しばかり違った性質を持つことがあります。

[3] 人名地名住所は頻出し、しかも取り扱いが難しいのでよく議論されますが、 それ以外のものは特別に言及されることがあまりありません。

[4] 日時表示関係では、 元号名月名曜日名など暦注の名前や要素名のようなものが該当します。

[6] 一般語と違って、素直に翻訳して全言語に展開できるとは限りません。 例えば元号はせいぜい極東の諸語にしかネイティブの表記がありません。 それ以外の言語では時に音訳し、 時に意訳し、 時に原語表記のまま残したりする判断が必要となります。

[7] 文化的な背景から訳語の意味が直接の対応関係にないこともあります。 例えば西暦を表す英語A.D. (= キリスト紀元ラテン語からの借用)、 日本語西暦中華人民共和国中文公元と対応関係にありますが、 直接的な語義は3つとも異なります。 普通は3つの微妙な意味の違いを無視して各言語の一般的な表記で翻訳します。 ところが英語には C.E. という表記もあり、 宗教的な理由から A.D. と書き分けられることがありますが、 これは公元と同じ意味です。 一般的な表記で対応関係を決めると原文の書き分けが表現できなくなるケースが出ますし、 意味的に近い訳語を採用すると一般的な表記ではなくなる場合が生じます。

[1] 翻訳対応関係の記述に使える多言語文字列対データ構造はいろいろあります。

[5] 国名言語名日時表示関係などの翻訳データは CLDR に収録されています。 他にもロケール関係のデータベースで提供されていたりします。