文脈

[13] 日本語の分かち書きは一般的な表記方法ではありませんが、 意外と使われることがあります。

• [14] 前近代から現代に至るまで、 手書きで文字を自由に配置できる媒体では、 おおむね文節ごとに、しかし不規則に、 微妙に合間をあけて書いていることがかなり多いです。
  • [15] あまり意識せずに意味的なまとまりでグループ化していると考えられます。
    • [16] 当事者に分かち書きしているか尋ねてみても、 していないと答えることが多いのではないでしょうか。
  • [17] 毛筆では墨継ぎのポイントになり得ます。
  • [18] 続け字では区切り位置になり得ます。
• [19] 幼少者向けの文章では分かち書きされていることが多いです。
• [20] 外国人等日本語能力の高くない人向けの文章 (やさしい日本語のものを含みます。) では分かち書きされていることがたまにあります。
• [52] 外国人、特に分かち書き表記の言語を母語とする人達が書く日本語は、 分かち書きされることがあります。
  • [53] 外国の案内看板等の日本語版文章が分かち書きされていることがたまにあります。
• [21] 仮名専用主義者による仮名文はたいてい分かち書きされています。
• [23] 分かち書きを使うべきと主張する人が今もごく少数いるようで、 分かち書きを実用しています。
• [24] 老人などで情報機器上でなぜか分かち書きする人 (思想的背景などが推測できない人) がたまに観測されています。
• [22] 漢字を扱えない機器向けの仮名文は分かち書きされていることがあります。
• [25] ゲームの文章はたまに分かち書きされています。
  • [26] 幼少者向けに分かち書き (や仮名書き) しているのが主な理由と推測されます。
  • [27] かつては漢字を扱えないために仮名文で分かち書きしていました。 その歴史的経緯から今も分かち書きを続けているケースもありそうです。
• [54] 片言を表す表記としての仮名文では分かち書きすることが多いです。
  • [55] 片仮名書きが多く、助詞など細かく分割されていることが多いように思われます。
• [62] ポスターの題字やロゴなどで分かち書きのような単語単位の配置がなされることがしばしばあります。
  • [63] 言語構造により体系的に行われるというよりは、見栄え上の理由で語境界を活用しつつ行われるというべきものです。

[28] 文節などに基づき多数の空白を挿入するのではなく、 語句の種別によって一時的に空白を挿入するものは、 いわゆる分かち書きではありませんが、 しばしば見られます。

• [29] 仮名や漢字と英数字との間にはアキを入れるのが日本語組版では一般的な慣習です。
  • [31] DTP やワープロで日本語に対応したソフトウェアは自動的に調整できます。
  • [32] Unix 系の慣習では によって明示的に記述します。
• [30] 姓名の間にアキを入れることがあります。
  • [33] 独立した人名の表示では一般的な表記法です。
    • [34] 姓名それぞれの文字数によって入れたり、 入れなかったりします。
    • [47] 人名入力において1字分開けるように指示されることがよくあります。
    • [48] や IDSP で表されます。
    • [35] 一律で入れないこともあります。
  • [36] 文中では入れないのが普通ですが、入れることもあります。
• [37] 人名や組織名と敬称や役職名の間にアキを入れることがあります。
  • [38] 独立した人名等の表示ではしばしばあります。
  • [39] メールの宛名などでは、ビジネス系で を入れる書き方をよく見かけます。
    • [40] 雛形への差し込みのような不自然な表記ですが、結構よく見かけます。
  • [57] 「故」と人名の間にアキを入れることがあります。 文中でも稀に見かけます。
• [58] 組織名や住所のような長く複雑な構造を区切り位置にアキを入れて表すことがあります。
  • [59] 独立した表示ではしばしばあります。
  • [60] 文中ではあまりありませんが、特に長大な組織名のようなケースではあり得ます。
  • [61] 「字」と字名の残りの部分の間にアキを入れて表すことがあります。
• [41] 前近代日本語では空格がしばしば使われました。
• [42] 片仮名語 (固有名詞の音訳を含みます。) の複合語の語境界を空白とすることがたまにあります。
  • [44] 標準的な表記法では・や=を使うか連続させるところです。
  • [43] 外資系企業の情報系の製品でよくあります。
  • [45] 製品名の単独の表示やボタン名等UI要素の表示などによくあります。
  • [46] 文中では固有名詞等を除いてあまり見かけません。
  • [56] 対訳や引用などの他言語の片仮名表記で分かち書きされていることがあります。
• [49] 段落の先頭を1字下げすることがよくあります。
  • [50] IDSP で表すことがあります。
  • [51] CSS の text-indent など、組版的機能で実現可能なときは文字ではなく組版的指定によるのが好ましいと考えられています。