太寧 (東晋)

太寧, 泰寧 (高句麗)

[15] 太寧 (태녕) は高句麗の元号説がありました。

[18] 大韓民国のウィキは、朝鮮民主主義人民共和国の学界が高句麗の小獣林王 (在位371-384) の元号と主張しているものの、その根拠は皆無としています。 >>16, >>17

[5] 令和2(2020)年の日本の論文は、太寧・泰寧は高句麗の元号説があったものの、その可能性は低い >>1555 (姜賢淑2015など) としています。

[1673] 集安地域出土軒丸瓦「太寧四年太歳□□閏月六日己巳造吉保子宜孫」 >>1672 #page=4
- [1680] 東晋太寧4(326)年丙戌 (y~1669)
[1675] 集安地域出土軒丸瓦「太寧□年四月造作」 >>1672 #page=4

[1681] 太寧3年までしかない >>1689, >>1672 #page=4 とされてその解釈が問題になっていました。

[7] 4年とあるのは3年の誤記とする説がありました。が、安易に誤記で片付けることには非難もあります。 >>1689

[8] 3年までとする根拠がよくわかりません。4年2月27日に改元されたことになっています。

[9] 改元日後だとしても、1年程度なら情報伝達遅延の延長年号という可能性 >>1689 は普通にあります。

[1687] ウェブ上の解説で

なかでも銭湯から出てきた「太寧4年」の銘の入った瓦当は議論を呼んでいる。東晋の年号ではあるが、太寧は3年(324年)までしか存在しないからである。おそらく325年のことだろうと考えられている。

とも >>1686。1年ずれの太寧の異説でもあるのでしょうか?

[19] 東晋の暦では太寧4年に閏月がなく、太寧3年には閏8月があって、ちょうど6日己巳があります。おそらくそのために太寧3年説が出てきたのでしょう。

[20] この1年ずれは高句麗の暦の受容過程で生じたとか、即位紀年の数え方の違い ( 朝鮮半島の紀年法 ) に関係するとかの説があるようです。 >>16

美川王 20 年(319)に「晋平州刺史崔毖来奔」(『三国史記』高句麗本紀第5)とあり、東晋との外交関係がはじまる。集安禹山 3319 号墓で東晋の太寧4年(357)年銘の巻雲紋や陶磁器が同時に伝わっている。

[10] >>1688 東晋昇平1(357)年丁巳 (y~934, 永和13年 (y~709))。どこから357年が出てきたのかわからない。

[11] 西暦1997年に大韓民国の研究者が提出した、様式と月日から、高句麗小獣林王7(377)年丁丑とする説 (y~4139) があります。元年は小兽林王4(374)年甲戌になります。東晋の元号とは同名で別の独自の高句麗の元号と考えています。 >>1689

[12] その後の研究者はあまり支持していないようです。東晋の元号では合わないという前提で月日が合う年を探したものなので、東晋の元号ではないとする理由が強くありません。

[13] 太寧は他に後趙のものがありますが (y~537)、 1年に満たずに終わっています。延長年号で後趙太寧4(352)年壬子は時代が近いですが、高句麗でこれを3年後まで使い続ける理由がありません。

[14] 太寧はその他にもいくつかありますが、時代が遠いです。

[1844] 昭和時代初期には西晋の太寧か >>1782 とされていました。

[1768] 平成時代にも泰寧5(327)年とされていました。 >>1746 #page=27。

[21] 元号名で太と泰の入れ替わりは他にも例があります。太和

[22] 太寧だとすると約1年の延長年号です。

肅宗皇帝紹
大寧元年

大寧(癸未)三

[1] 関連: 太