代理契約

代理契約

[8] 代理は、代理人による法律行為の効果を本人に帰属させるものです。

代理権

[9] 代理人は、代理権を持たなければなりません。更に、代理権の範囲内でのみ代理行為を行わなければなりません。

[10] 顕名 (代理人であると示す) か、代理であることを相手方が知っていることが必要です。

[11] 代理権の内容を具体的に定めない場合、 保存行為利用行為改良行為を行えます。

[12] 代理には、法律に基づく法定代理と、 契約に基づく任意代理 (委任による代理) があります。

[13] 制限行為能力者代理人とすることもできます。 しかし代理人制限行為能力者であることを理由に行為取消することはできません。

[14] 自己契約 (代理人が相手方である契約) や双方代理は、 承諾追認がある場合を除き、禁止されています。

[15] 代理人詐欺強迫錯誤心裡留保虚偽表示により、 本人が取消できます。その場合、善意か否かは代理人を基準に判断します。

復代理

[20] 代理人は、復代理人選任できます。

[25] 法定代理人は、復代理人をいつでも専任できます。

[26] 任意代理人は、本人の承諾のあるとき、またはやむを得ない事由のあるとき、 復代理人専任できます。

[23] 復代理人代理権の範囲は、代理人代理権の範囲を超えることはできません。

[21] 復代理人は、本人の代理人であり、代理人代理人ではありません。

[22] 復代理人専任しても、代理人代理権は存続します。

[27] 法定代理人は、復代理人の行為について、原則として責任を負います。 ただしやむを得ない事由復代理人専任した時は、 専任・監督責任のみを負います。

[28] 任意代理人は、復代理人の行為について、専任・監督責任を負います。 ただし本人復代理人を指名した時は、 復代理人不適任不誠実であると知りながら解任も本人への通知もしない場合にのみ、 責任を負います。

消滅

[16] 本人の死亡時は、代理権が消滅します。

[19] 本人の破産時は、任意代理代理権が消滅します。

[17] 代理人死亡したり、成年被後見人となったり、 破産したりした場合、代理権は消滅します。

[18] 代理契約解除により、代理権は消滅します。

[24] 代理人代理権の消滅により、復代理人代理権も消滅します。

[40] 登記の申請の委任による代理は、 本人の死亡によっては消滅しません。手続きの結了によって消滅します。

無権代理

[29] 無権代理は、本人追認しない限り、本人に対して効力を生じません。 本人追認すれば、契約時点に遡って有効となります。

[30] 無権代理の場合、相手方は、本人に対して、追認または拒絶するか確答するよう催告できます。 相手方は善意でも悪意でも構いません。

[31] 催告確答がない場合、契約無効となります。

[32] 無権代理の場合、相手方は善意で本人の追認前なら、 取消できます。

[33] 無権代理の場合、相手方は善意無過失なら、 無権代理人に契約の履行または損害賠償を請求できます。 あるいは、表見代理を主張できます。

[34] 表見代理には、次の場合があります。

[38] 表見代理の場合、相手方が善意無過失なら、契約有効となります。

代理契約 (宅建業)

[1] 宅建業における代理は、契約までを売主貸主に代わって行うものです。

[2] 宅地建物売買交換賃借代理として行うには、 宅建業免許が必要です。

[3] 代理契約には、媒介契約同様に一般契約と専任契約があります。

報酬

[4] 売買交換の報酬額の上限は、媒介契約の場合の報酬額の上限の2倍です。

[6] 複数の宅建業者が関与する場合も、その合計額の限度額は変わりません。

[7] 賃貸の場合は、媒介契約と同じです。

[5] 基本的には代理する者から受け取りますが、他方の取引者が承諾すれば、そちらからも受け取れます。 その場合両者の報酬額の合計が限度額を超えてはなりません。

[39] 媒介手数料も参照。