[5] ボヘミアンと貴族の階級闘争は、 XML エコシステムの開発方針を巡る宗教戦争です。
[6] この言葉はに使われました。 その論争はその前後、平成時代中期頃に XML 関連技術の開発者・利用者らの一部でなされていました。
[9] XML Schema を支持する勢力が貴族と呼ばれ批判され、 RELAX NG を支持する勢力がボヘミアンを自称しました。 両技術は共に XML 用のスキーマ言語ですが、 設計思想に大きな隔たりがありました。
[4] XML class warfare - ADTmag.com, Uche Ogbuji, Saturday, January 4, 2003, , https://web.archive.org/web/20030104134010/http://www.adtmag.com/article.asp?id=6965
[7] >>4 がこの概念の初出とされます >>1。 gentry (貴族) と bohemian (ボヘミアン) の class warfare (階級闘争) の様相を呈していると説明し、 自身は bohemian だと著者は表明しました。
[2] @IT:XML1.1を巡る「ボヘミアン」と「貴族」の階級闘争, 2003/2/22, https://atmarkit.itmedia.co.jp/news/200302/22/xml.html
[8] 日本では RELAX と RELAX NG の開発者である村田真が紹介したのが端緒とされます。 >>2, >>1
[3] Opinion -- 吉松 史彰:XMLがもたらす夢と現実 - @IT, 吉松史彰, 2003/03/20, https://atmarkit.itmedia.co.jp/fdotnet/opinion/yoshimatsu/onepoint07.html
[1] @IT:XMLにおける「ボヘミアンと貴族の階級闘争」を読み解く, 川俣晶, 2003/4/16, https://atmarkit.itmedia.co.jp/fxml/tanpatsu/24bohem/01.html
[11]
XML Schema は W3C で標準化されました。
W3C で開発された
XDM,
XSLT,
XQuery,
XForms,
WS-*
などが
XML Schema を基礎技術としていました。
その他
W3C の XHTML,
IETF の各種 XML 系技術,
OASIS
の各種 XML 系技術などがスキーマ言語として
XML Schema
を採用していました。
[12]
RELAX NG
は
OASIS, ISO (SC34)
で標準化されました。
W3C の
XHTML,
SVG,
IETF
の
Atom
などがスキーマ言語として
RELAX NG を採用していました。
[19] どこで標準化されたかだけを見ると標準化団体間の競争に思えますが、 採用者を見るとそうでもないことがわかります。 両陣営が自分達が動かしやすい標準化団体で作業した結果こうなったということです。 仕様書に最後に判子を押す大きな標準化団体よりも、 個別具体の作業に関わる人々の人的つながりの方が多く作用しています。
[13] なお、ややこしいですが、 RELAX NG は XML Schemaデータ型 (の仕組みの一部) を組み込んで利用していました。
[10]
RELAX NG 陣営は頃に勝利宣言したようです。
[14] 一般的にはスキーマ言語戦争は勝者不在のまま共倒れになったと理解されています。 XML Schema を土台にした技術スタックもいつの間にか霧散してしまいました。
[16] 今ではかつて XML が採用された仕様やその関連技術などで稀に XML Schema を見かけるくらいになってしまいました。 RELAX NG はもう何年も見ていない気がします。
[17] 誰がこの言葉を使っていたのかを見ればわかるように、 「階級闘争」史観そのものが RELAX NG 陣営のプロパガンダでしかありませんでした。 (あれれ、どっかで聞いたような話ですねw)
[18] はじめは純粋な技術論争だったのでしょうけれども、 いつしか標準化屋グループの抗争になってしまったのですね。 そして気づいた頃には本当の平民はみんな JSON に移ってしまっていたという。
[21] >>20 EXI に (リップサービスかもしれないけど) 「未来の繁栄も予感」 した人の感想である点には注意。あんなのに期待してたのは当事者だけなんじゃないかな...
[23] ところで日本では >>2 で「XML 1.1」の論争として紹介されていて、 その後も >>20 のようにそういうものとして引かれている。 >>2には
Developers Summit2003(翔泳社主催)の2日目にXMLセッションで登壇した日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所の村田真氏は「XML 1.0の将来とスキーマ言語」と題する講演を行った。「XMLの基礎的な事柄に関する問題だが」と前置きを行って展開したのは、XML1.1で追加される機能の変更点について。村田氏は「スキーマ言語」と「サブセット」の2点に絞って問題点を指摘した。
1つ目の議論の焦点は、XMLからDTD(Document Type Definition)を撤廃し、現在のXML仕様のサブセットを作る動きだ。
もう1つの議論は、XML文書をテキストではなく、バイナリ形式で表現することについての議論だ。
とあって、記者が要約時に誤認または捏造したのでなければ、 村田真がこれらが XML 1.1 だと主張したことになる。 この記事は業界でよく参照されていて、当然村田真本人も読んでいるだろうが、 今に至るまで修正されずにそのまま公開され続けているのだから、 村田真の主張の通りと考えるのが自然である。
[24] ところが、それは少なくても W3C で検討されていた「XML 1.1」ではない。 XML 1.1 の最初の WD が公表されたから最終的な W3C勧告に至るまで、細部はともかく変更の要旨には変化がない。 この発表は平成15年だから、いくらでも時間があったはずで、 村田真や記者が当時の XML 1.1 仕様案を読んでいればこのような記事にはならないはずで、 不可思議としか言いようがない。
[25] XML DTD にかわるスキーマ言語の議論 (つまりスキーマ戦争そのもの) やバイナリー化の議論があったことそれ自体は事実だし、 中には村田真以外にもそれを XML 1.1 にしたいと主張した人がいたのかもしれないが、 W3C はそのような主張を採らなかったし、 W3C 以外でも多数派にはなっていなかったのであり、 そのような主張と違う XML 1.1 が W3C で標準化手続きを進めている段階で、 なぜ XML 1.1 と呼ばれていないものを XML 1.1 と紹介しているのかまったく理解できない。
[26] なお >>2 を読むと >>20 の人の勘所は良かったというのはわかるね。
[27] XML Schema も RELAX NG も EXI も (あと真の XML 1.1 も) 現場で求められていないものを机上の空論で大激論と政治的標準化合戦を繰り広げてた似たもの同志ね。