賃借権

賃借権

[6] 賃貸借契約は、賃料を支払い物を借りる契約です。

[7] 借りる人を賃借人、貸す人を賃貸人といいます。

[8] 賃貸人は、賃貸借契約により、目的物賃借人に使用させる義務が生じます。

[9] 賃貸人は、目的物修繕義務があります。

[10] 賃貸人は、費用の償還に応じる義務があります。 必要費 (維持保存に必要な費用) は、 賃借人全額直ちに制空できます。 有益費 (価値を高める費用) は、契約の終了時に、 支出額または増価額賃貸人が選択して賃借人に支払わなければなりません。

[11] 賃借人は、賃料を支払わなければなりません。

[12] 賃借人は、目的物を返還しなければなりません。 原則として原状回復義務があります。

[36] 借地借家法が適用される借地権の終了時には、 建物買取請求権がある場合があります。

[13] 賃借人は、善管注意義務を持ちます。

契約

[4] 宅建業の契約を参照。

賃借権

[35] 土地賃借権は、借地権の一種です。

[74] 農地採草放牧地については、農地の項も参照。

対抗力

[16] 土地賃借権は、次の場合、第三者対抗できます。

[1] 建物賃借権は、次の場合、第三者対抗できます。

[15] なお、賃貸人には賃借権登記に協力する義務はありません。

[2] 抵当権の設定より前の対抗力のある賃貸借契約なら、 抵当権対抗できます。

[3] 抵当権の設定後の賃貸借契約なら、 抵当権者の同意の登記がある場合を除き、抵当権には対抗できません。

[5] 対抗できない場合、競売により建物が買い受けられた時は、それから6ヶ月の猶予期間中に退去しなければなりません。 猶予期間中でも、1ヶ月分以上の使用料不払いがあった場合、退去しなければなりません。 土地の場合は、猶予期間なく退去しなければなりません。

譲渡

[14] 賃借人は、賃借権譲渡できます。

[22] 譲渡には、賃貸人承諾が必要です。

[23] 譲渡しても敷金は移転せず旧賃借人に返還されます。

[37] 土地貸主賃借権譲渡承諾しない場合で、 譲渡により不利益を受ける虞がなく、土地建物がある場合、借主 (や建物競落した買受人) は裁判所申立てを行い、 貸主承諾に代わる許可を得ることができます。

[39] 裁判所許可も得られない場合、借地上の建物を取得した第三者は、 時価による建物買取請求権を持ちます。

借家権

[41] 次の場合には、借地借家法は適用されません。

[44] 土地借地権とは異なり、賃借権の譲渡や契約の条件の変更に関する賃貸人に代わる裁判所許可を求めることはできません。

定期建物賃貸借契約

[66] 定期建物賃貸借契約の場合、更新なく期間満了により契約が終了します。 (契約終了の項を参照。)

[67] 定期建物賃貸借契約には、書面が必要です。 1年以上の場合、賃貸人は、契約書とは別の書面交付による定期契約であることの説明が必要です。

[68] 取り壊し予定の建物の場合、取り壊し事由を記載した書面により契約すれば、 更新なしに契約を終了できます。

[70] 公正証書でない書面でも構いません。

家賃

[61] 借地借家法が適用される場合、家賃が不相応となった時は、増減の請求ができます。 一定期間家賃増額しない旨の特約を設けることもできます (が、減額しない旨の特約は認められません)。

[69] ただし定期建物賃貸借契約では、一定期間減額しない旨の特約も認められています。

[62] 増減の請求があった場合で、当事者間の協議が調わない場合、 賃借人は相当と認める家賃を支払えば構いません。 裁判により家賃が確定した際に、年1割の利息精算されます。

転貸

[24] 賃貸人は、更に別の者に貸す (転貸する) ことができます。

[25] 転貸には、賃貸人承諾が必要です。

[38] 土地貸主賃借権転貸承諾しない場合で、 転貸により不利益を受ける虞がなく、土地建物がある場合、 借主裁判所申立てを行い、 貸主承諾に代わる許可を得ることができます。

[26] 賃貸人は、転借人にも直接賃料請求できます。

[27] 賃借人債務不履行により契約の解除を行う場合に、 賃貸人転借人にも契約の解除対抗できます。

[28] 借地借家法の適用される賃貸借契約の期間が満了する場合、 賃貸人転借人へも通知して6ヶ月の経過により転貸借契約を終了できます。

[29] 賃貸人賃借人合意による契約の解除の場合、 賃貸人転借人へは当然には対抗できません。

賃貸人の交替

[33] 賃貸人の交替には、賃借人承諾は不要です。

[34] 賃貸人が交替した場合、敷金は新賃貸人へ引き継がれます。

[59] 賃借人死亡した場合、借地権相続されます。

[58] 借地借家法が適用される居住用建物の場合、 相続人がいなければ事実上婚姻関係養親子関係にあった者が借地権承継できます。

[60] ただし当該同居者が死亡を知ってから1ヶ月以内に反対の意思表示をした場合、 承継されません。

契約の終了

[45] 契約の期間の定めがある場合、その期間の経過により契約は期間満了となり終了します。

[49] 原則として、20年以下でなければなりません。

[73] 農地採草放牧地では、50年以下でなければなりません。

[50] 借地借家法が適用される場合、 普通借地権建物譲渡特約付借地権は30年以上、 一般定期借地権は50年以上、事業用定期借地権は10年以上50年未満としなければなりません。

[51] 借地借家法が適用される借家権は1年以上でなければなりません (20年以上も可)。

[52] 1年未満と定めた場合、期間の定めがないものとみなされます。

[53] その場合、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に更新しない旨の通知をしなければ、 契約更新され、期間の定めのない契約となります。

[55] また、更新の拒絶の通知をしない場合、期間の定めのない契約となります。

[54] さらに、賃借人が6ヶ月経過後も使用を継続し、賃貸人遅滞なく異議を述べない場合、 契約更新されたとみなされます。

[75] 普通借家契約期間の定めのある場合、 特約がなければ、賃借人は中途解約できません。

[46] 契約の期間の定めがない場合、賃貸人または賃借人の申し入れから3ヶ月で契約は終了します。

[47] ただし借地借家法が適用される借家権の場合は、 賃貸人の申し入れから6ヶ月または賃借人の申し入れから3ヶ月で終了します。

[48] しかし賃借人が6ヶ月経過後も使用を継続し、賃貸人遅滞なく異議を述べない場合、 契約更新されたとみなされます。

[63] 定期建物賃貸借契約の場合、1年未満でも構いません。

[64] 定期建物賃貸借契約で1年以上の場合、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に賃貸人は終了の通知をしなければなりません。 通知がない場合、通知の日から6ヶ月を経過した後、契約終了となります。

[65] 床面積200m2 未満居住用建物定期建物賃貸借契約の場合、 やむを得ない事由で使用困難となった場合、特約がなくても賃借人から解約を申し入れることができます。 申し入れから1ヶ月が経過すると、契約は終了します。

[30] 契約の解除も参照。

[31] 譲渡転貸は、賃貸人承諾が必要です。 無断で行われた場合、契約解除できます。

[32] しかし背信的行為と認めるに足りない特段の事情があれば、 解除はできません。

[56] 借地借家法が適用される場合、転借人造作買取請求権を有します。 賃貸人同意を得て付加した造作 (建具など) を契約終了時に時価で買い取ることを請求できます。

[57] 特約により造作買取請求権を排除することもできます。

[72] 農地採草放牧地の場合、都道府県知事許可が原則として必要です。

メモ

[76] 住宅:『賃貸住宅標準契約書』について - 国土交通省, , https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html