[125] 東洋の日時表示に 「王春三月」 という表現がいくつかあります。

• [127] 晋国の王叔和の東洋医学書 脈経 巻3 (3世紀頃成立) に「王春三月」 とありました。 >>126
  • [3] しかし「王は春三月」と訓まれており、 しかも冬3月、春3月、夏3月と並んでいるので第3月ではなく3ヶ月の意味でしょう。 「王春」とは無関係です。
• [1] 日本の勅撰和歌集 新古今和歌集 真名序に「于時聖曆乙丑王春三月」 とありました。 日本元久2(1205)年乙丑3月と解されています。 聖暦
• [124] 日本の歌人の石川啄木の 澁民村小吟 に 「丙午王春三月四日」 とありました。 明治39(1906)年丙午3月4日とされています。 >>122, >>123
  • [2] グレゴリオ暦3月と解されています。要検証。

[121] 辞書で「王春」は 春秋 に由来する正月の別名と説明されます >>120。 周の王の春正月、つまり周正の正月ということなら、 本来ならば夏正の11月を指すはずです。 しかし1月、11月のどちらも、3月には合いません。

[130] 日本の中世の百科事典 壒嚢鈔 >>128 (室町時代成立)、 塵添壒嚢鈔 >>129 (室町時代成立) は、 四季の「春」の異名の1つに「王春」を挙げていました。 「王春三月」もただの「春三月」の文飾に過ぎないのかもしれません。

[29] 春秋の日時表示では「春王正月」「春王二月」「春王三月」のように書いています。 これに由来するものなら、1月に限らず2月や3月に使われるのも不思議ではありません。

[20] 新古今和歌集 の「王春」は、「壬春」と翻刻されることもあります >>18。 その元となった本を見ると、 「于時聖 暦乚丑󠄃乇春三月」 とありました >>19。

[41] 日本の昭和時代に仏教考古学を確立した研究者石田茂作の論文によると、 正倉院御物経帙織成の銘に 「天平󠄃十四年歲在壬春二月十四日」 とありました。 >>43 p.38

[5] 正倉院宝物中倉 57 最勝王経帙 >>4 を指すとみられますが、 銘文は 「天平十四年歳在壬午春二月十四日」 とされています。 >>7, >>6

[8] 「壬春」は「壬午春」の誤植とみられます。

[9] なおこの日付は勅の発出日ですが、 続日本紀 に天平14年3月14日とあって1ヶ月ずれていることが議論になっていました。 >>7

[15] 中華人民共和国人の記事によると、 「明嘉靖二十一年歲在壬春三月甲辰十五日」 と書かれた碑があったようです。 >>14 (《古代西王母祖祠全圖圖解》國學書院2015年3月版)

[16] 明嘉靖21(1542)年壬寅。

[17] 「歳在壬春」が正確な表記なのか、誤植なのか不明。

[22] 漢土の巻物で 「辛亥壬春二月」 と書かれたものがありました。 >>24, >>21

[23] 写真にあるもの >>21 はかなり崩れた字形なので 「壬春」が正しい釈読なのか不安なところもありますが。

[10] 中華人民共和国で公開された論文によると、 中華民国人徐乃昌 (1869-1946) の 玉臺新詠礼記 (簡体字: 玉台新咏札记) の序文に 「壬春三月南陵徐乃昌撰。」とありました。 >>11

[12] 中華民国11(1922)年壬戌の農暦3月を指しているようです。

[13] 「壬春三月」が正確な表記なのか、誤植なのか不明。

[26] 中華人民共和国のオークションサイトの出品物説明に 「壬春三月」 とありました。 >>25

[27] 掲載写真によると 「壬午丰横2本春龶八日三月」 と書かれていました。 >>25

[28] 従って出品説明は誤記です。 作者は馬晉 (1900-1960) (没年は公元1970年とも) とされます >>25 から、 壬午年は中華民国31(1942)年です。

[30] 周正月と書いた例 朝鮮半島の紀年法

[31] 関連: 閏