[3] Marc Andreessen が Emacs を使っていたということはWebやメールやニュースを1つのソフトウェア内で完結する環境を体験していたということなのだろうか。
[4] Netscape が Netscape Navigator の単体でなくメールやニュースや HTML 編集やその他インターネット関連機能を詰め込んだ総合ソフトウェアとなったのは、 Emacs の経験が下敷きにあったのだろうか。
[5] HTML と SGML と MIME と NNTP を統合するような DanC らの構想が www-talk などで展開されていたその現場も見ていたのだしなあ。
[6] mailbox:
など、 それまでの Web になかった機能も URL
でつなぐというコンセプトを通貫させているのも優れた設計だし、
HTML に script
を組み込んだのも、形は違えど Emacs
で elisp を使えることの Web バージョンだよな。
それらがすべて
Marc Andreessen
の発想ということでもないだろうが、
Emacs や MIME や URL の中での HTML
というものをよく理解した開発者達が集まる場所を作ったということなのだから、
そういう意味では
Marc Andreessen
の功績でもあるのだろう。
[7] Netscape 社の HTML の無茶苦茶な拡張と、その起点になった Marc Andreessen はどちらかというとネガティブな印象を持たれがちで、技術体系的な評価とか、 技術社会史みたいな観点で見られることは少ないように思うのだけど、 Netscape 社は間違いなく世界に大きな影響を与えたのだし、 その Netscape 社の技術の世界観がどのように形成されたのかはしっかり評価されるべきだろうね。
[8] そして私見では Netscape 社はそれまで人々が気づいていなかった Web という技術の体系の特性をよく理解してそれを引き出そうとした(ところも多かった)ように感じる。 渦中にいる当時の人々はよくわかっていなかったし、今の人々にとっては逆に当たり前過ぎてわからなくなっているのだろうけど。
[9] 今の人にとって当時の人の感覚を再現するのは非常に難しいことだとは思うのだけど、 Microsoft のやったことは対照的でいい材料になるだろうね。
[11] Microsoft もやはり Web 技術の正確をよく把握してうまく活かそうと早い段階していたので、 例えば Windows に MIME型と URL scheme の関連付けの仕組みを (もとからあった拡張子の仕組みと同じように) 組み込んだり、 IE を単体のブラウザーではなく COM コンポーネントとして利用できるようにしたり、 としていた。
[12] ただ MS は Emacs や MIME やネットニュースのようなインターネットや Unix 的な文脈とは縁遠くて、むしろ自分たちの独自のエコシステムを作りまくっていた側だったので、 自分たちのエコシステムを彩る材料として WWW を受容した感が強い。
[13] HTML の object
要素が ActiveX control こと COM
との結合点になっていたり、 ActiveX Document とか称して navigate
を OLE の世界と合体させようとしたり、 IE4 でデスクトップが
ActiveDesktop になりフォルダーが
HTMLもどきになったり。
[14] どれも Windows の世界を広げるものとしてはなるほどよく考えたなあという感じではあるのだけど、 それ以前の Unix 的インターネットの世界とは断絶を感じる。