解説字体辞典

解説字体辞典

[1] 解説字体辞典 は、 江守賢治による漢字字体字形の解説書です。

入手

[7] 残念ながら新品では入手できません。古書だと少々お高くなっています。 (それなりのお金を出す価値がある名著ですが。)

普及版

[2] 普及版まえがき (初版と同じとみられます。) には (縦書き) とあります。

[3] 普及版奥付には、 初版発行、 普及版発行とあり、 第一刷発行 (縦書き) とあります。

[8] 本文中たびたび登場する写真のなかに、白黒印刷で肝心の漢字が見づらいものが何点もあります。 普及版ではない初版では綺麗に印刷されていたのでしょうか。 周囲の解説文から論旨は把握できるのですが、残念な点です。

内容

[9] 「辞典」といっていますが、 解説書、読み物といったほうが適切かもしれません。 分厚さはまさに辞書そのものです。

[11] 漢字字形の変遷を、 甲骨文篆文隷書楷書などで実際に書かれてきた Aの系統、伝統的な楷書の形の流れと、 説文解字康煕字典漢和辞典明朝体活字で使われてきたBの系統の字形の流れの 2種類 普及版 p.6 に分けて整理し、 支那日本の膨大な数の文字資料や辞書を示しながら、 漢字がどのように書かれてきたかを明らかにしています。

[12] 巻末近く、索引前には、次のようにあります。 普及版 p.769

千何百年もの間実際に書かれてきた字であるのに、 漢和辞典には載っていない。 そして、これらの字は活字や写植文字にはない。

古写本や活字出現以前の本を現在印刷しようと思う場合正確を期すことができなかったり、 この本の本文中の字や索引の字も書き文字に頼らねばならないという事実は私にとっては不思議でならない。

[13] 本文は細かな字形の違いまで扱っているので、 本文の字をすべて活字化するのは無理な話でしょうが、 索引は文字としての骨組みが違うものが選んで掲載されているようです。 本書では索引の文字はすべて手書き字形で示されています。

[14] 著者が嘆いたこの状況は、残念ながら現在もほとんど変わっていません。 Unicode漢字字形はすべて明朝体で例示されており、 康煕字典の文字がすべて符号化されても、 伝統的な楷書字形は記述できないものがまだまだたくさんあります。

メモ

[4] 解説字体辞典(江守賢治著) 本の紹介 日本漢文の世界 kambun.jp () https://kambun.jp/books/emori-jitaijiten.htm