[17] 幽霊文字は、幽霊である文字です。 幽霊漢字は、 幽霊文字たる漢字です。
[19] 平成時代の著名な漢字・辞書研究者で平成9年の JIS X 0208:1997 制定にも関与した池田証寿は、 幽霊文字のことについて、
笹原宏之さんの 「辞書や文字表の類に載せてあるが、典拠がみつからず、かつ実際に 使用された証拠もなく、現実に存在しないような漢字式の字形や字体」と いう定義を
JIS幽霊文字の研究に関しては笹原宏之さんに絶大な功績があり、 幽霊文字の定義も彼のものを素直に受け取るべきものであろう。
と述べています。 >>18
[20] 笹原宏之も JIS X 0208:1997 制定に関与した、いわば池田証寿の「同僚」である点を差し引いたとしても、 現在でも大方の賛同を得られる見解ではないかと思われます。
[21] ただし笹原宏之の定義は漢字に限定していますが、 世間でのこの用語の利用を見るに漢字以外の文字にも拡張して適用されているようです。
[41] なお、 笹原宏之は幽霊文字と言い得るが定義に含めなかった例もいくつか示しており >>39、参考になります。
ほかには、酒井憲二「写本と版本の一つの谷間」(『佐藤茂教授退官記念国語学論集』(一九八〇)) に挙げられた「〓」<「円」のように誤伝により生じた字、『今昔物語集漢字索引』(一九八四) における「畑」のように指定されたところにない字、用例が発見されない字、音訓が不明な字なども幽霊文字とよびうるであろうが、ここでは取らない。
また、誤りではなく、逆に理論的に仮設された字がある。たとえば、加藤常賢『漢字の起源』(一九七〇) に「〓」がある。「この形の字は説文にはないのであるが、ここにあげた「還」「遠」の字形から言えば、かつて存在した字でなければならぬ。この字は、字形から言えば「衣に従い○ (円・圏) の声」の形声字でなければならぬ」、「古書中にこの字は見えていない。したがって使用例がないから (字義は) わからぬ」などという。また、篆書をきわめて忠実に楷書体に改めた正字体の中にも、用例のなかった字体が生じる。例えば、唐代の『五経文字』、『九経字様』に「〓」(牙)、「〓」(爵) の類が見られる。これらも幽霊文字ともいえるが、ここでは取らない。
[42] つまり、単に誤りであるとか、情報が失われたとか、 理論的可能性から作られたに過ぎないとかでは「幽霊文字」に含めないということです。
[48] 「幽霊文字」という言葉は大正時代に既に使われていたようですが、 現在の意味とは明らかに違います。
[49] 現時点で検索で見つかる現在の意味に近い最古は平成時代初期の笹原宏之によるものですが >>46, >>47、 この時点での意味は後に >>41 で「取らない」とされたもののように思われます。 調査研究を経て定義分類が洗練されたということなのでしょう。
[22] しかし >>19 の笹原宏之の定義は時間変化や観測者の違いを考慮していません。 それに関係して、世間でのこの用語の利用の実態には若干の混乱がみられます。 例えば、
彁
は現在も幽霊文字なのかといった疑問があります。
[29]
>>28 は駅名に選ばれるほどの有力地名に使われた漢字が、
当時(いつ)の漢和辞典にないことを根拠に幽霊文字だとしています。
>>28 が書かれたあるいはそこから参照された当時(いつ)の時点で椥
は「現役」の幽霊文字なのでしょうか。
ここは平成の大合併前は大沢野町坂本船峅、昭和の大合併の前は独立の船峅村でした。公民館は大沢野町役場の支所跡です。地名としては消滅しましたが施設名に健在のこの「峅」というなぞの漢字です! これは富山県、どころかその中でも3箇所でしか使われていないローカル漢字=地域文字であり、90年代まで著名な漢和辞典に非掲載の幽霊文字でした。もちろん鉄ヲタなら「駅名で昔からあるじゃん!」なんですが、ここ船峅はバス停名にも無い!(^_−)−☆
JIS第二水準に収録されながら漢和辞典に非掲載だった地域文字「峅」をまた拝めました(笑)
と述べており、地元富山県中部では誰もが知る有名な地名に含まれる峅
を
(90年代までは、あるいはこれが書かれた平成30年頃も?)
幽霊文字だとしています。
石垣があるのでここは人の営みがあったところに間違いなく、地図的に福井県敦賀市疋田栩谷(とちだに、とったに)に到達したと宣言します! JIS第二水準の「挧」は角川日本地名大辞典にここの字名として掲載されているのがゆいいつの実用例でしたが、敦賀市役所には栩で登録されているというものです。まさに幽霊文字がその根拠を失ったわけで、「失われた幽霊文字を求め」られました\(^o^)/
と述べています。幽霊文字が根拠を失ったという記述があり、 幽霊文字には根拠があったり失われたりするものと理解されているようです。
辞書にも収録されてるのに
と逆に辞書に掲載されていると述べたうえで音義未詳であることを強調しています。
[62] JIS X 0208 の文字は昔からワープロ用の辞書には収録されていましたし、 現在となっては多くの辞書が標準的に掲載しているので、 いつのどの辞書かを指定しなければ 「辞書にある」とも「辞書にない」とも説明できてしまうわけです。
幽霊文字(ゆうれいもじ、英:ghost character)は、JIS基本漢字に含まれる、典拠不明の文字(漢字)の総称。幽霊漢字(ゆうれいかんじ)、幽霊字(ゆうれいじ)とも呼ぶ。
とJIS基本漢字に範囲を限定しています。 記事内に同様の事例として他の文字集合における事例をいくつか示していますが、 「幽霊文字」の定義外という扱いになっています。 百科事典の用語定義としては不適切のようにも思われますが、 なぜ限定したのか説明や出典は示されていません。
[37] その >>34 は幽霊文字とされた漢字の調査結果と題して、 JIS X 0208:1997 が示した典拠不明の12字と典拠が判明した文字がそれぞれ示されています。 「幽霊文字」の定義 (>>35) によるなら前者12字が「幽霊文字」で、 後者は該当しないということなのでしょうか。明言されていないのでよくわかりません。 このわかりにくさは百科事典の解説として非常に問題と思われます。
幽霊文字は元来典拠不明であり、過去の用例が発見されていないものであるが、規格制定以降はその普及に伴い幽霊文字の用例が現れている。
とも解説しています。規格の収録根拠である「典拠」とそれ以後の「用例」を区別しており、 JIS基本漢字の制定時点で「幽霊文字」の定義が確定するという考え方なのでしょう。 (不明12字をすべて幽霊文字としているのも、判定において暗合は認めないという考え方と思われます。)
[44] >>43 の記事では「幽霊漢字」という語を使い、 >>34 にリンクもしていますが、 >>43 の「幽霊漢字」は Unicode を対象としており、 >>34 の定義に反しています。 >>34 は「こちらも「幽霊文字」と呼ばれることがある」として >>43 の記事を紹介しており、当該記事自身の定義に矛盾するものを 「ことがある」としているのです。 百科事典の構成として破綻しています。
[63] 現在の定義が一般的になる前の平成時代初期頃には少し違った使われ方もあったようですが、 ウェブ上ではごく一部しか見ることが出来ません。
[51]
には学会誌の編集者が
JIS X 0208 の拡張新字体を「
[53]
平成8年の同じ学会では新聞記者がパソコンで入稿するから校閲部をすり抜けて
「
[64] これらは当時の一部の人々が騒いでいた 「JIS漢字は辞書にもない文字 (拡張新字体) がいっぱいあってけしからん、 ワープロでは正しい漢字が出てこない」 という批判の文脈で使われたものでしょう。
[65] 令和の現在でも SNS などをみていると、「この文字集合に含まれるのは幽霊文字」のような言い方で、 その根拠を追求・検証したわけでもなさそうなそれってあなたの感想ですよねレベルの「幽霊文字」 認定が表明されていることが稀にあります。 不適切である、排除するべきだ、という意見が明に暗に伴っていますが、 その根拠が明確に示されていることはまずありません。 「幽霊文字」という用語が好き嫌いのみの学術的でも論理的でもない表現として使われているということですが、 考えてみれば平成時代初期からの由緒正しい用法の1つでもあるわけです。
[66] 由緒が正しいとはいえ、こうした用語法は学術的な幽霊文字研究の価値を風評的に毀損し得るものですから、 避けるべきであり、こうした言葉を濫用する輩には同調するべきではないでしょう。
[9] >>8 JIS X 0208 の事案が異様に詳しく解説されていて草
[1] >>9 その記事は >>34 の不適切定義をそのまま英訳してるから、残りの解説も同じくそこから翻訳したんだろうね。
[8] Ghost characters - Wikipedia, , https://en.wikipedia.org/wiki/Ghost_characters
[11] Xユーザーの福笑さん: 「#ガチで存在しない二文字 で思い出す 辞書にも収録されてるのに 読み方も分からない 実用例のない漢字 それが “幽霊文字” 後に地名などで使われていたと分かり 電話帳データなどから解明 それでも今なお十二の文字が典拠不明 特に 「彁」は同形の文字すら見つからず 分析結果がない謎文字 https://t.co/A9EsCF7ojz」 / X, , https://x.com/smile106uvu/status/1488195696452722693
[12] >>11 「分析結果がない謎文字」という謎解説。もしや対応分析結果の転!?
[13] 四半世紀前には学術研究だった幽霊文字という概念が「雑学」に組み込まれて謎伝承に変わっていく過程をこうしてみているんだろうな、ってw
[14] 幽霊は幽霊に返るってw
[67] Xユーザーのマシュマロ公式さん: 「わかりました。 「彁」という文字を入力するとマシュマロ絵文字に変わるようにしておきました。 これは「幽霊文字」といって、実在しない漢字なのに登録されているという、世にも不思議な文字です。 #マシュマロを投げ合おう https://t.co/d4RXLzGS9C https://t.co/OT5BKdvrIY」 / X, , https://x.com/marshmallow_qa/status/1073829388725116928
[7] Angzarr - Wikipedia, , https://en.wikipedia.org/wiki/Angzarr
[5] 白玉庵さんはTwitterを使っています: 「最後に、右下のみ「巾」になった字体が出回ることがあるが、同氏によれば、これは『運歩色葉集』静嘉堂本にある字体「辶+日×9」の右下の「日」に、地名であることを示す符号が重なり「巾」と誤認されたことで生まれた、いわゆる幽霊文字である。 https://t.co/tRrramoBeW」 / Twitter, , https://twitter.com/Hakugyokuan/status/1671421374571896833