役人誤記説

役人誤記説

日本人名, 戸籍, 異体字

誤記異体字説

[60] 戸籍異体字は役所の担当者や名字を作った明治時代の人が間違えたからたくさんできた的なこと言ってる人あちこちにいるけど本当なのだろうか。

[61] そんなようなことを言ってる人はよく見かけるのに、そういうのが何個あるとか、 どれがそうだとか、具体的に根拠を提示する人がぜんぜん出てこないじゃん。 渡辺とか斎藤とかそれっぽいのを雰囲気で出してる人ばかりで。

[62] 間違って作られた異体字があるか、ないか、だと、これだけの量ならきっとあるのだろうけど。 こんなに引き合いに出されるくらい頻繁に誤字を名乗ってる人が存在してるの? 本当に? 明治時代人ってそんなに馬鹿ばかりだったの?

[63] 明治時代にはまだ普通に流通していた字形の揺れが馬鹿な現代人には誤字に見えるって説の方が信憑性がある気がするのだけど。

[64] 明治時代の人やそれを使い続けている現代の人に誤字名字の汚名を着せるなら、 それなりの根拠を提示するべきではなくて? そうでないならただの中傷では。

[65] 関連: 5200号通達, 戸籍統一文字

[114] 戸籍の電算化や戸籍から誤字俗字を排除して正字に置き換えようというのを平成初期に大々的にやっていたので、 戸籍の異体字 = 誤字というイメージが広がったのかもしれないと思ったり。

[116] 平成初期にはあの有名な𠮷でさえ、親族の戸籍謄本を見て、これは戸籍担当官が書き間違えてこうなったのではないかと話す人がいたといいますから、 新字体が普及して旧来の手書き字形が忘れられつつあったことがうかがえるのです。

[115] 昭和中期やそれ以前に戸籍異体字 = 誤字というイメージがあったのかどうか気になります。

[142] 著者の戸籍で実践!「祖先」はどこまで遡っていけるのか? | ゴールドオンライン, https://gentosha-go.com/articles/-/20762

「『渡辺』なのか?『渡邉』なのか?」についてですが、古い戸籍になればなるほど、このようなケースはよく見られます。例えば、「高橋さん」「高田さん」の「高」という字。「髙」といういわゆる「はしごだか」に表記されることもあります。「斉藤さん」の「斉」もいろいろな表記があります。なぜこのようなことが起きるのか、大きく2パターンの理由が考えられます。

(1)漢字の表記に対する何らかのこだわり

(2)役所の人の書き癖

(1)の場合は、例えば「高田さん」の「高」と「髙」。もともとは「高」の歴史が古く後に「髙」が生まれました。例えば、ある地域の「高田さん」本家に当たる家が、分家した家を本家と区別するために「高」を使わせず、「髙」を使わせた(あるいはその逆)などといったケースが考えられます。

(2)の役所の人の書き癖ですが、古い時代の戸籍ではこういうことがよくあります。これは、役所の人がいい加減だったというわけではありません。そもそも中国から入ってきた漢字は、当時さほど重視されておらず、読みが合っていればそれでよかったのです。

この戸籍を見るに、戸主「渡邉荘吉」もその父「渡邉荘兵衛」も「渡邉」ですが、この「渡邉荘兵衛」は「アサ」の右では「亡渡辺荘兵衛妻」とあります。同じ戸籍内で同一人物の苗字が違う表記にされています。特段明確な理由なく、「渡邉」と「渡辺」が混在しているようです。

ということは、(2)のケースで、この戸籍を書いた役所の人の書き癖と推測されます。同じく「荘」の字も「莊」と書かれている箇所もあります。これも役所の人の書き癖と推測されます。

[143] >>142 この分析は割と妥当と思われるが、

というケースもあろう。あと重箱かもしれないが、

そもそも中国から入ってきた漢字

だから重視されていないという理屈は意味不明。

[144] あとあえて言うなら「書き癖」はなんだかその担当者の瑕疵のような印象を与えるのでこういう文脈では注意して使いたい。 よほど癖が強い特殊な事例を除けば、近代まで漢字にはいろいろな書き方があったので (たぶんこの著者はそれを理解しているとは思うが)、 現行通用字形と違う = おかしな「書き癖」ということではないのだが、読者にいらぬ誤解を与えかねない。

[152] Xユーザーのふroshikiぴroshiki🍥さん: 「@masanork あざます! 氏名より住所の方が闇深そう。 戸籍制度や登記制度ができた時、教育が行き届いていないがために、 自分の名前はかけるけど、住所は書けないからテキトーに書いちゃえ 的なノリの人がそれなりにいたはず もしかして、改製不適合で紙で残ってたりして」 / X, , https://x.com/phujita_64/status/1798721395771527325

[153] >>152 こういうの見ると「昔の人は馬鹿だったから文字もまともに書けなかったに違いない」 という蔑視がこの説の大元にあるような気がしてくるなあ

[154] Xユーザーの会長🐦_ロプロス🦭さん: 「私の場合、昔の戸籍係の人の癖字で台帳に登録されていたものをデジタル化の時に無理やり新しい漢字を作って登録したために珍しい漢字になってます。 Unicodeに統一するのが一番コストがかからないと思います。戸籍でしか使われない標準を作っても無駄だと思います。」 / X, , https://x.com/MAa23_death/status/1780376495669813536

[155] >>154 そう断言するからには先祖代々の伝承や行政のデジタル化担当者の証言がちゃんとあるんだろうな?と思うんだけどその肝心のところを何も書いていてくれない

本当に「癖字」「新しい漢字」なら例の通達で通用字体に書き換えられてしまってるはずなのでは? 少なくても本人がそう認識してるんだから申し出れば職権訂正してもらえるのでは? なんでしてないの?

[160] 媒体が SNS 投稿漫画というのが違うだけで、書かれている中身は怪しい出典元の記述を裏取りもせずに劣化コピーして出典を明示せずに拡散する雑学本の構図そのまんまなんだなw

[161] 言われてみれば確かにその通りだが、役人に書き癖があるなら一般庶民にだって書き癖はあるわな。 たまたま戸籍に記録された「書き癖」の方がずっと後世に残りやすいという性質があるというだけで。

[162] 家系図作成で戸籍謄本に見たことない漢字がよく出てき| OKWAVE, https://okwave.jp/qa/q9758848.html

[163] >>162 のベストアンサーは

古い戸籍謄本(除籍謄本)は、書いた人の文字の個人的な「くせ」が非常に出ることが有りますが、質問の文字もくせの強い様子の文字ですね。

と書いている。しかし質問の写真を見ると、この時代の手書きではわりと普通の文字。 それも読みやすい方。これを「個人的な「くせ」」というのはなかなか難しい。

[165] 古い戸籍や登記関係で当時の人も読めたんかこれみたいなのがわりかしよくあるのは事実だけど、 いくらなんでもこれは。

[164] このように「当時の文字を見慣れていない現代人が読みにくいもの」 を素人が見て戸籍担当官の悪筆がうんぬんかんぬんみたいな話になっているケースも結構あったりするんじゃ・・・

誤記新姓説

[4] どういう状況??

  1. [5] 姓「A」を当該において定める
  2. [6] 役所に「A」と届け出る
  3. [7] 役人が「B」と記録する
  4. [8] 当該人は「A」だと自認し続ける
  5. [9] あるとき当該人が「B」と記録されたことに気づき、「A」を捨てて「B」を称する

ということ? 間違いだと訂正を申し出なかった? それとも訂正を認められなかった?

[10] あるいは当時の識字率とかという新概念への不慣れを想定すると

  1. [11] 姓「A」を当該において定める (とはいうものの実態は村の知識人なり役人なりに一任)
  2. [12] 役所に「A」と届け出る
  3. [13] 役人が「B」と記録する
  4. [14] 当該人はを使う機会がなく「A」とも「B」とも認識していなかった
  5. [15] その後当該人がを称する必要が生じたとき、役所の記録から「B」とした

というケースも考えられるが、このケースの場合なぜ「本当は「A」で役人が「B」と誤った」 と判明したのかが謎。

[16] >>3 の事例だと読みも誤った方に引き継がれたことになるが。字を書けないとしても読みは覚えてそうなものなのに。

[17] こういうのは後の時代の人 (当事者なり、人名の研究者なり) が由来の説明が付かないものに遭遇したときに根拠もなく役人が間違えたことにして片付けたのではないか、 という疑いが拭い去れないが、役人が誤ったと根拠付きで主張されている事例はどこかにないのだろうか。

メモ