[1] 地球環境と夏時間を考える国民会議は、 、頃、 地球温暖化対策を口実に夏時刻制度の導入を推進していた日本政府の会議でした。
本項は歴史的事項を説明しています。本項の内容の一部または全部は、現在の状況とは異なるかもしれません。
(なお本項の内容の一部または全部は、互換性または歴史的連続性のために現在も有効な場合もあります。しかし新たに利用することは避けるべきです。)
[21] 1999年で更新が止まったトップページ >>15 と、 2000年に新たに作られたディレクトリー >>19 があり、 当時からなぜか別物として公開されていたようです >>20。 後者は前者に案内記事を少し足したもののようです。
[9] 地球環境と夏時間を考える国民会議の中央国民会議は、次の委員で構成されていました >>8。
[12] 中央国民会議には他に地方国民会議幹事代表が参加することとされていました >>8。
[23] 茅陽一、
木元教子、
中上英俊は本会議の設立前や失敗後にも長期間にわたって夏時刻導入に向けて積極的に活動していたことが知られています。
また経団連も同様に夏時刻導入に向けた活動を続けていました。
[13] 地方国民会議は、 中央国民会議メンバー、 地方会議幹事、 地元住民、民間団体等の代表者で構成されていました >>8。 加えて「一般住民も議論に参加するものとする」とされていました >>8。
[3] 、 地球温暖化対策推進本部幹事会は、 地球環境と夏時間を考える国民会議の設置を決定しました >>885。
[877] 、 日本政府は地球温暖化対策推進大綱を決定しました。 地球環境と夏時間を考える国民会議を設置して夏時刻制度を検討することが盛り込まれていました。>>402
[893] 慶應義塾大学大学院教授の茅陽一を座長とし、 経済企画庁、環境庁、通商産業省を幹事とする地球環境と夏時間を考える国民会議は、 約1年かけて各界関係者からの意見を聴取しました。
[4] 、 地球環境と夏時間を考える国民会議は最終報告書を提出しました。 報告書は、約2年の準備期間の後、 4月の第1日曜日から10月の最終日曜日に夏時刻を実施することが望ましいとしました >>415。
[6] しかしこの報告は夏時刻の法制化には繋がりませんでした。
政府内でも反対意見がかなり強かったようです。
[788] の地球温暖化対策推進大綱では、 の報告書を踏まえて夏時刻導入について国民的議論を行うこととされました >>385。 前回の大綱に報告書への言及が加わったのみで前向きな変更はなく、 実質的に判断保留とするものでした。
夏時間(サマータイム)の導入についての国民的議論の展開 社会全体が夏季の朝夕の日照などを有効に活用するシステムに切り替え、人々が自ら地球環境にやさしいライフスタイルを工夫し、実現するきっかけとなる「夏時間」の導入についての多面的な議論を行う。具体的には、1998年夏から「地球環境と夏時間を考える国民会議」(仮称)を開催し、国民、事業者、国、地方公共団体など関係者の参加により、「夏時間」の導入と地球環境にやさしい生活のあり方について国民的議論を行い、1998年度中を目途に結論を得る。
夏時間(サマータイム)の導入について、「地球環境と夏時間を考える国民 会議報告書」(1999 年5月)も踏まえ、国民的議論の展開を図り、合意形成 を図る。
[5] 類似するものとしてサマータイムとゆとりを考える国民会議や生活構造改革フォーラムがありました。
[17] 1999年といえば2000年問題で騒がれていて社会の計算機システムへの依存性が深まっていることがかなり意識されてきていた時代のはずなのですが、 報告書では導入コストで軽く触れられている程度で、軽視されています。 かかるコストとして挙げられているのは社会システムの変更に関するものばかり。 民間の保有する機器の時計は手動で調整すれば良いとか、 導入コストはかかっても毎年の維持コストはほとんどかからないことがわかったとか、 夏時刻システム運用の当事者の意見が反映されてるとはとても思えない。 (委員の顔ぶれにそういう分野の専門家がいない・・・)
[18] ちょうど同じ時期、 Windows の夏時刻対応が不正確なことが欧米では問題になっていて、 日本の技術者の間でも若干話題にのぼっていたようなのですが、 そういう海外の運用の事情を把握していたようには見えません。 なのに欧米ではどこでも実施されていてうまくいっている、 というのは調査不足でしょう。。。
根拠がご都合主義なら、それを正当化する理屈もご都合主義である。 この会議の報告書を読んで、結論ありきの報告書というのはこうやって書くのか、という事を学んだのだった。
「地球環境と夏時間を考える国民会議」沖縄地区地方ヒアリングの実施
コンピュターの2000年問題、あれは1兆円単位のお金がかかるとの議論がありまして、あれとの比較でもっとかかるんではないかとのご指摘がありましたが、コンピュターの2000年問題というのはコンピュターが誤動作をしていろいろな事故が起こるというものですが、サマータイムは切り替えがなければ時刻の表示が遅れてくるということだけでして、あれと同列の問題ではない。金融機関などに聞いてみたんですけれども金融機関などのコンピュターは24時間動いているわけではないので切り替え日に1時間ずらせばいいということでコストもあんまりかかりませんということでした。想像されるほどソフトウエアの改修費は大きな金額にはならない。
[26] 1999年ならこの認識はぎりぎりセーフ? アウト? 1999年でもアウトだと思うけどなあ。
[27] 金融機関が夜間止めてるのは日次バッチ処理を停止中にやっているから。 営業時間が1時間早まれば処理完了が間に合わない (「突き抜け」) 可能性が出てくる。それはもっと前からずっと同じ。 聞いた相手が店舗営業のことしか考えていなかったんじゃないか。
[28] 地方参加者の意見、 全体的に、 これこれこういう問題はあるが、 地球環境保護が喫緊の課題だから仕方ない、 だから賛成だ、 というのばかり。 この時代は環境保護問題が極めて深刻な社会問題だったので、 何としてでも解決しなければという意識の高い人が多かった (特にこういう会議にわざわざ出てくるような人ほどそうだろう)。 だから賛成して当然という雰囲気だったのだろう。
[29] でも反対者だけでなく賛成者の多くが問題点を指摘してる (なんとかしろ or なんとかなる、といっている)。 問題点はずいぶん多いぞ。 これを国民の過半数が賛成している、 で押し切ろうとしたんだからすごい。
(問題点を全部列挙して、それでもやりますか、と聞けば賛否も変わっただろうか。 いや、この時代なら、それでも環境保護のためだから、 と賛成する人が多かったかもしれない。 このままだと地球に住めなくなる、と毎日騒いでいたからな。)
ある新聞にサマータイムを実施することによって成田からハミ出す飛行機が出ること。このままでは2~3年間で対応できない、と運輸政策局が苦慮しているとの記事がありました。発着枠については問題ないのですか。
(事務局:横田)
幹事省庁は3省庁でありまが、内閣を始め、運輸、文部など関係省庁で議論しています。
飛行機発着時間の国際間の調整については、成田空港は現在夜11時から朝6時まで飛行禁止となっていますが、現在10時台に着いている便はサマータイム実施7か月期間中はすべて11時台に到着する。10時台に到着するためには、外国を離陸する時間を早くする必要あります。切り替え日の問題でなく期間中全体の問題ですが、運輸省は2年間あれば調整できると言っています。
私どもなりに試算いたしましたところ、全国の大きな病院でこの種のコンピュータの切り替えコストに約10億円必要と思っています。東京の非常に大きな国立及び私立大学の付属病院に聞いたところ、それぞれ異なった答えが返ってまいりました。私立大学の病院からは、基本的にはかからないとの答えが返ってきましたが、この病院では24時間システムですが、年に2回の切り替えの時に少し止めるのであれば問題ないと言われておりました。他方国立大学の病院の回答は、コンピュータを止めた際に問題が起こるといけないので止められない。もし切り替えを行うとすると、止める前にあらかじめ自動的に切り替わるようにコンピュータのソフトウエアを調整する必要があるとの回答でした。どちらが正しいのかわかりませんが、どこまで慎重に慎重を期するかという問題だと思います。もし、後者の絶対にコンピュータを止めてはならないので、自動的に切り替わるようなソフトウエアへの改修が必要であれば、約3000万円程度かかると言われていて、この3000万円を前提に、全国の大きな病院、同じような病院の数を掛け算すると、10億円前後になると思います。
[32] 双方違うシステムだろうから、どちらが正しいもなにもどちらも正しいのだろう。 「どこまで慎重に慎重を期するかという問題だと思います」 と心構えの話に置き換えてしまうのはおかしい。 「もし、後者の 必要であれば」、と安全をとって負担が大きい方で試算するのは正しい。
[38] でも2箇所に聞いて0円と3000万円のぜんぜん違う答えが返ってきたのだったら、 3箇所目に聞いたら1億円って言われる可能性あるよね。
[39] 全国の大病院で10億円、1大病院3000万円ということは33箇所ある想定。 当時の統計は調べていないので少し新しい時代のデータだけど、 1000床以上の大学病院が31箇所。これが近いか。 もっと小規模のも含めると大学病院は163箇所ある。 病院全部で8600箇所。うち500床以上あるのが450箇所。 この時代病院にどの程度システムが入っていたかよくわからないけど、 中規模の病院なら何かしらがあったのではないか。 中規模の病院くらいになると、 大規模な病院と必要になるシステムはそんなに変わらないのではないか。 と考えるとこの時代でも試算の10倍くらいの費用が要るんじゃないかという気がしてくる。
「夏時間」、「サマータイム」制度に係る名称の募集について
(経済企画庁・環境庁同時発表)
平成11年3月24日
通商産業省
資源エネルギー庁
[34] 「地球環境と夏時間を考える国民会議」報告書(1999年)について - macroscope () https://macroscope.hatenablog.com/entry/20180808/1533703512
[35] 「地球環境と夏時間を考える国民会議」報告書(1999年)について (2) - macroscope () https://macroscope.hatenablog.com/entry/20180809/1533779556
[36] 報告書概要 () https://web.archive.org/web/20030307024732/http://www.eccj.or.jp/SummerTime/conf/
1999年の「地球環境を考える夏時間検討国民会議」のサーベイですが、報告書が出ています。それによりますと、システム改修に必要な費用は1000億円となっています。で、改修に必要な時間は2年程度だと。この数字がたぶん、今回も生きているんだと思います。
1000億円、2年。だから、ま、行けるでしょう、と。
ですが、調べると「2年」というのは情報システムの改修にかかる時間じゃないんですね。中身を見ると航空業界の国際機関でIATA(International Air Transport Association:国際航空運送協会)という組織があるんですが、そこが出した数字でして、「夏時間に対応して国際線のスケジュールを調整するのに2年かかる」と言っているんですね。それが「2年」の根拠なんです。
ソフト業界に聞いたところ、すべての項目についてノー・アンサーなんです。なぜかと言いますと、当時、ソフト業界は西暦2000年(Y2K)問題に大わらわでして、それどころじゃない。Y2Kが終わってから考えさせてくれ、と(笑)。そりゃそうだよね、このサーベイは1998年か99年の前半に聞いているんだから。