alternative root

代替ルート (ドメイン名)

[17] 代替ルート (alternative root, alternate root) は、 インターネットに於ける正式な TLD 以外の独自の TLD を含むドメイン名の体系です。

[18] 原義はそのようなルートサーバーを提供するサービスを指すものと考えられますが、 本記事および関連記事では DNSサーバー提供の有無などプロトコル的外形に関わらず、 ICANN の管理するインターネットの正式なドメイン名の体系から外れたドメイン名の体系を提供するもの全般を指すものとします。 ただし内部名等もっぱら特定組織内等に限って使われるものはこれに含めません。

概要

[19] インターネットで標準的に使われるドメイン名が使えないと不便で実用に供せないので、 代替ルートサービスは普通は ICANN 管理下の TLD もそのまま丸ごと受け入れています。

[20] それに加えて代替ルートサービスが独自の基準で定めた独自の TLD が1つ以上提供されます。 そのような TLD の名前は ICANNgTLDccTLD の基準に合致する (= 将来的に正式な TLD として使われるリスクがある) ものも多いですが、 そうでない (≒ ICANN が使うべきでないと判断した、実用には何らかのリスクがある) ものもあります。

[21] 他の代替ルートTLD を取り込んで利用可能としている代替ルートもあります。

実例

[7]

[11] 単体の非標準の TLDTLD 参照。

セキュリティー

[8] 代替ルートPSL でカバーされていないので、 Web ではセキュリティーの問題が起こる可能性があります。

PSL 参照。

ドメイン名利用権

[12] ICANN 管理下のドメイン名知的財産権等に関わる係争等で各国の法体系下で一定の地位を確認されているのに対し、 代替ルート管理下のドメイン名の利用権限の法的地位は明確でないことには、 注意が必要です。

[13] 代替ルートやそれに類する独自のドメイン名の管理団体等を称する組織がドメイン名の管理権を他者に付与したり、 販売したりすることがあります。しかし、その有効性は当該組織以外において保証されないものと考えておくべきです。

[14] 例えば代替ルートが勝手に創設した TLD と同名の TLD の登録を後から ICANN が承認したとしても、その代替ルートの利用者のドメイン名の利用権を ICANN 管理下 TLD の管理組織が承認するとは限らない (むしろ承認しない可能性の方が高い) ので、代替ルート側組織への代金支払いは無駄になります。 それどころか ICANN 管理下の正規ドメイン名購入者から、 不正な利用として追求を受けるリスクすら生じます。

[16] こうした危険性を説明しないまま代替ルートやそれに類する機構に属するドメイン名を販売する行為は、 詐欺等の犯罪を構成する可能性も排除できないため、注意が必要です。

[15] 月の土地も参照。

大規模な特定組織内ドメイン名

[2] インターネットDNS ドメイン名体系の代替として世界規模で展開するいわゆる代替ルートの他に、 企業内ネットワーク等比較的小規模な範囲で通常のドメイン名と競合しないドメイン名もあります。

[22] その中間として NTT地域IP網でのみ提供される .flets のような TLD もあります。

[23] ICANNドメイン名の体系に挑戦するいわゆる代替ルートとは違って、 特定の目的のため、特定の内に限って供用され、 ICANNドメイン名の体系とは平和的に共存可能なものではあるのでしょうが、 フレッツ網のように大規模に展開されるものだと、 まったく私的なものとも無視できない可能性があります。

[24] セキュリティー等代替ルートの問題点の一部または全部はこうしたものにも当てはまることがあります。

[25] 正式なドメイン名との名前の衝突の危険性も、例えば .flets ほどはっきりと有名製品名になっているものならそれほど可能性は高くないのでしょうが、 皆無ではありませんし、一般名詞を使ったものなどは危険性が高まります。

[26] 現在なら新規 gTLD の創設は大企業ならそう難しくないので、 こうした使い方がしたいならはじめから正式に gTLD を取得してしまうのがいいのでしょうね。

[27] それが難しいのなら長くなっても何階層かの正式なドメイン名を使うか、 一般の利用者の目に触れないような組織内部だけの利用に留めておくかが無難でしょう。

[3] 関連: 内部名, 特殊ドメイン名

関連

TLD

[10] 創作世界, マイクロネーションなどの活動で実在しない TLD が世界観設定として設けられることがあります。 (その中には alternate root によって具現化されたものもあります。)

メモ

[1] オルタネートルート - Wikipedia ( 版) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88

[4] RFC 2826 - IAB Technical Comment on the Unique DNS Root ( 版) http://tools.ietf.org/html/rfc2826

[9] RFC Errata Report » RFC Editor, https://www.rfc-editor.org/errata_search.php?rfc=2826

[5] 独自のトップレベル・ドメイン販売に協力者現わる « WIRED.jp ( 版) http://wired.jp/2001/03/07/%E7%8B%AC%E8%87%AA%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E3%81%AB%E5%8D%94%E5%8A%9B%E8%80%85%E7%8F%BE%E3%82%8F/

米ニュー・ネット社は独自にトップレベル・ドメインを提供することで、新しい需要に対処しきれていないICANNに闘いを挑もうとしているが、この計画に米MP3コム社、米エキサイト・アットホーム社、米アースリンク社が協力することになった。ニュー・ネット社は今後、アルファベット以外のドメインも扱う意向だ。

[6] ( 版) https://www.icann.org/en/system/files/files/alt-tlds-roots-report-31mar06-en.pdf