2015/3/15 15:15 【現在地】
空中に断絶している高架橋の入口は、予想以上に賑々しかった。
いまだかつて、これほど沢山の情報に満ちた“通行止め”があったかと思う。
両手でも数え切れないほどの看板や標識が、お洒落な都会の風景からは明らかに浮いているが、この橋自体が現役当時から、いわゆる「注文の多い道」であったことがよく分かる。
ここで私が得るべき最も重要な情報は、上部の一際大きな看板に書かれた、「中央卸売市場専用道路」ということであろう。
そして他の数ヵ所に見られる、「市場大橋」という橋の名。
これらは橋の行き先を私に教えてくれる情報で、地図を見ても橋が市場に通じていることは明らかだったが、「専用道路」というのは、ここに来て初めて知ったことである。
公道私道の別でいえば、ここは私道なのだろう。そうであれば、この「注文の多さ」も頷ける。
この道が現役当時に宣言していた注文を、確認しておこう。
制限速度時速20kmは、高架橋の外見的なイメージに似つかわしくない厳しさであった。
重量制限8.0tは、市場に出入りするクルマの種類を考えれば、少々心許ないような気がする。
高さ制限3.5mは、この時点ではなぜあるのか分からない規制である。意味は後に明らかとなる。
まだある。重要な規制が。
左の照明灯に取り付けられた「歩行者通行止」の標識や、各所にある「市場大橋は歩行禁止です」「関係者以外通行禁止」などの看板が物語るのは、橋が市場関係者の車輌専用であったということだ。
(ただし、標識類の表示を見る限り、「歩行者」なNGでも「自転車」や「荷車」といった軽車両は通行できたようだ。つまり、「自動車専用道路」ではなかったようだ)
まるでこの道路の本線であるかのように、上下線の中央部分を専有している高架橋。
だから、いま不敵に門扉を見つめる私が立っている場所は、車道の中央である。
幸い、この道の通行量はさほど多くない。広い道幅を持て余している感じさえある。
当然、市場大橋が封鎖されたことによる利用者の減少があるのだろう。
そうはいっても、普段の廃道探索の現場とは比較にならないほどの気圧を、意識した。
いつも通りの事に及ぶ。
こちらに視線を向けるクルマと歩行者が途切れるまで待つのはもどかしかったが、
4分か5分をじっと過ごしている中で、遂にそんな瞬間が