[1] 白丸鉱山
産状 高温沸石相の層状マンガン鉱床
付加コンプレックスである秩父帯南帯の前期ジュラ紀(1億8000万年前, 180 Ma)の大平山ユニットに含まれるチャートブロック中の層状マンガン鉱床。
白亜紀中頃(1億年前, 100 Ma)に三波川変成作用による弱いぶどう石パンペリー石相から沸石相の広域変成を受けている。
チャートは、ペルム紀(2億7000万年前, 270 Ma)から三畳紀(2億年前, 200 Ma)のもの。
ブラウン鉱を主要鉱とするが、BaやSrが濃集している特殊な鉱床。
また、鉱床と接する付加コンプレックスのマトリックスである前期ジュラ紀(1億8000万年前, 180 Ma)の砂岩中に重土十字沸石の脈が見られる。
堆積年代は放散虫化石、変成年代は白雲母のK-ArまたはAr-Ar放射年代による。
多摩石と東京石の模式産地。
細かい赤鉄鉱とキュムリ石が含まれる大平山ユニットのチャートの露頭。
茶色の母岩は細かい赤鉄鉱とキュムリ石を含むチャート。
白色脈の中に含まれるオレンジ色から黄色の部分がマースター石。
脈の白色部は曹長石、重土長石と石英の集合。
大平山ユニットの、ブラウン鉱を主とするマンガン鉱床の露頭。
下半分の黒い部分はブラウン鉱。コインの周囲の赤茶の部分は、細かい赤鉄鉱とキュムリ石を含むチャート。
方解石などの白色脈がいくつか見られるが、コインの下を左右に切る赤い脈は、ストロンチウム紅簾石を含む。
産出鉱物
銅
ブラウン鉱 辰砂
ストロンチアン石
マースター石
ガノフィル石
エグレトン石
多摩石
キュムリ石
重土長石 ハイアロフェン バナルシ石
紅簾石-Sr
セラン石 ?
東京石 エディトン沸石
重土十字沸石
鉱物組み合わせ
石英 - 赤鉄鉱 - キュムリ石 - 重土長石
ブラウン鉱 - 重土長石 - ハイアロフェン - バナルシ石 - マースター石 - ガノフィル石 - 多摩石
ブラウン鉱 - 紅簾石-Sr
重土長石 - セラン石 - 銅
石英 - 赤鉄鉱 - 重土長石 - 東京石
砂岩(母岩) - 重土十字沸石
沿革
1942年(昭和17年): 採掘開始。
1945年(昭和20年): 休止。
1955年(昭和30年): 閉山。
1967年(昭和42年): 白丸ダム完成、湖底に沈む。
1974年9月(昭和49年): 大雨により放水。
1998年(平成10
1、産地概要
東京都奥多摩町にあるこの鉱山は、東京で数少ないマンガン鉱山である。
数少ないといっても、東京(離島を除く)の鉱物産地のほとんどがマンガン鉱山なので、貴重な鉱物産地でもある。
地味な鉱物が多い東京を代表する鉱山でもあり、地味なマンガン鉱の中でも地味なものを産する。
奥多摩駅からアプローチは約15分と軽いものの、車で来ると駐車スペースでかなり悩むうえ、とにかく地味な鉱物が多いので初心者にはお勧めできない産地である。
2、産出鉱物各論
1)、緑マンガン鉱 Manganosite 化学組成 MnO 酸化鉱物
この鉱物は名前の通り緑色をしていて美しいのだが、割って空気に触れた直後から酸化が始まり、2・3日すると、完全に緑色がなくなり、黒っぽくなってしまう。 永久保存は難しいので、これを発見したらすぐに写真を撮ることをオススメする。
2)、ハウスマン鉱 Hausmannite 化学組成 Mn 2 O 4 酸化鉱物
3)、軟マンガン鉱 Pyrolusite 化学組成 MnO 2 酸化鉱物
黒色をしている鉱物で、他のマンガン鉱が酸化してできる。 軟マンガン鉱と同じ組成を持つ鉱物が、ラムスデル鉱である。
4)、石英 Quartz 化学組成 SiO 2 酸化鉱物
この鉱山では普通に産する。
5)、カリオピライト Caryopilite 化学組成 Mn 6 [(OH) 8 Si 4 O 10 ] 珪酸塩鉱物
6)、菱マンガン鉱 Rhodochrosite 化学組成 MnCO 3 炭酸塩鉱物
この鉱山の鉱石は基本的に、バラ輝石より菱マンガン鉱のほうが多い。
7)、バラ輝石 Rhodonite 化学組成 (Mn,Ca) 5 Si 5 O 15 珪酸塩鉱物
この鉱山の鉱石は基本的に、バラ輝石より菱マンガン鉱のほうが多い。
8)、方解石 Calcite 化学組成 CaCO 3 炭酸塩鉱物
9)、クリプトメレン鉱 Cryptomelane 化学組成 KMn 8 O 16 酸化鉱物
この鉱物は、他のマンガン鉱物が酸化することによってできる。やや青みがかった黒色。
10)、テフロ石(マンガンかんらん石) Tephroite 化学組成 Mn 2 SiO 4 珪酸塩鉱物
橄欖石グループの一つで、菱マンガン鉱やアレガニー石などと共
東京都奥多摩町の白丸鉱山より、新たにベニト石Benitoiteを見出した。ベニト石は、曹長石、マースチュー石、ガノフィル石-多摩石系鉱物、方解石などと密な集合をなす。紫外線短波で明るい青白色の蛍光を発する。
今回は「 鉱物マニア 」の9回目です。
場所は、奥多摩の 白丸鉱山跡 です。松原先生に付き添うのは、以前ご紹介した 伊藤剛 さんです。
ダムには水が張られていない状態ですので、露頭がよく確認できます。
丁寧に露頭の観察をします。
伊藤さんが堅い露頭岩石を割りとります。
ブラウン鉱 (黒い部分)などが認められます。
採集した鉱物を、2重にした新聞紙などで梱包します。
露頭の岩脈を観察します。
白丸鉱山跡で確認できた鉱物は…。
そして、1999年、新鉱物として認可された 多摩石 です。
この時は、数年に一度のダムのメンテナンスのために水が抜かれていますが、普段は満水状態なので採集は不可能です。限られた期間内に採集・観察を行わざるを得ません。
多摩石 に続く新鉱物発見か?(2003年3月現在!)
言うまでもないことですが、この鉱物はこの年に新鉱物として承認された 東京石 なのです。
さて、次回は「 鉱物マニア 」の最終回となります。松原先生による、鉱物標本作成についてのアドバイス、そして今回も登場した伊藤さんの自慢のコレクションの紹介です。
1997年3月2日に東京都奥多摩町白丸鉱山へ鉱物採集に出かけました。
白丸鉱山はダムの底に水没した鉱山なので、数年に一度の全放流時のみ採集が可能な場所です。
白丸鉱山の風景(右側が赤壁)
採集した鉱石
層状に重なった鉱石の中にキラリと輝く自然銅も見えます。
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[8] この記事はSuikaWiki Worldでに作成されました。 に最終更新されました。 https://world.suikawiki.org/spots/24140404082298440