大正十年十一月一日海軍省令第十八號

大正十年十一月一日海軍省令第十八號海軍艦船使用時規則

[2] 大正十年十一月一日海軍省令第十八號 海軍艦船使用時規則 は、海軍の艦船上で用いる時刻帯について定めたものです。

[3] 1919年ロンドン万国会議の決議に基づく国内法のようです。

海軍省令第十八號

海軍艦船使用時規則左ノ通リ定ム

臨時海軍大臣事務管理

大正十年十一月一日 内閣總理大臣 原敬

海軍艦船使用時規則

第一條 海軍艦船ノ使用時ニ關シテハ本則ノ定ムル所ニ依ル

第二條 地球上ノ海面ヲ附図ノ如ク二十五箇ノ地域ニ區分シ各地域ニ箇有ノ使用時ヲ附ス

前項ノ地域ヲ時刻帶ト稱シ零、正一乃至正十二及負一乃至負十二ノ番號ヲ冠ス

時刻帯地域及使用時ノ關係左表ノ如シ

n
時刻帶 番號
s
時刻帶 記號
a
地域
t
使用時
n
s
0
a
東經七度三〇分至西經七度三〇分
t
綠威平時
n
正一
s
+1
a
西經七度三〇分至同二二度三〇分
t
綠威平時ヨリ一時ヲ減ス
n
正二
s
+2
a
西經二二度三〇分至同三七度三〇分
t
右 同 二時ヲ減ス
n
正三
s
+3
a
西經三七度三〇分至同五二度三〇分
t
右 同 三時ヲ減ス
n
正四
s
+4
a
西經五二度三〇分至同六七度三〇分
t
右 同 四時ヲ減ス
n
正五
s
+5
a
西經六七度三〇分至同八二度三〇分
t
右 同 五時ヲ減ス
n
正六
s
+6
a
西經八二度三〇分至同九七度三〇分
t
右 同 六時ヲ減ス
n
正七
s
+7
a
西經九七度三〇分至同一一二度三〇分
t
右 同 七時ヲ減ス
n
正八
s
+8
a
西經一一二度三〇分至同一二七度三〇分
t
右 同 八時ヲ減ス
n
正九
s
+9
a
西經一二七度三〇分至同一四二度三〇分
t
右 同 九時ヲ減ス
n
正一〇
s
+10
a
西經一四二度三〇分至同一五七度三〇分
t
右 同 一〇時ヲ減ス
n
正一一
s
+11
a
西經一五七度三〇分至同一七二度三〇分
t
右 同 一一時ヲ減ス
n
正一二
s
+12
a
西經一七二度三〇分至同一八〇度〇分
t
右 同 一二時ヲ減ス
n
負一
s
-1
a
東經七度三〇分至同二二度三〇分
t
綠威平時ヨリ一時ヲ加フ
n
負二
s
-2
a
東經二二度三〇分至同三七度三〇分
t
右 同 二時ヲ加フ
n
負三
s
-3
a
東經三七度三〇分至同五二度三〇分
t
右 同 三時ヲ加フ
n
負四
s
-4
a
東經五二度三〇分至同六七度三〇分
t
右 同 四時ヲ加フ
n
負五
s
-5
a
東經六七度三〇分至同八二度三〇分
t
右 同 五時ヲ加フ
n
負六
s
-6
a
東經八二度三〇分至同九七度三〇分
t
右 同 六時ヲ加フ
n
負七
s
-7
a
東經九七度三〇分至同一一二度三〇分
t
右 同 七時ヲ加フ
n
負八
s
-8
a
東經一一二度三〇分至同一二七度三〇分
t
右 同 八時ヲ加フ
n
負九
s
-9
a
東經一二七度三〇分至同一四二度三〇分
t
右 同 九時ヲ加フ
n
負一〇
s
-10
a
東經一四二度三〇分至同一五七度三〇分
t
右 同 一〇時ヲ加フ
n
負一一
s
-11
a
東經一五七度三〇分至同一七二度三〇分
t
右 同 一一時ヲ加フ
n
負一二
s
-12
a
東經一七二度三〇分至同一八〇度〇分
t
右 同 一二時ヲ加フ

第三條 艦船公海ニ在ルトキハ其ノ所在時刻帶ノ使用時ヲ使用スヘシ但シ艦船カ一ノ時刻帶ヨリ他ノ時刻帶ニ入リ二十四時間ヲ超エサル時限内ニ再ヒ前時刻帶ニ復歸スル場合ニ在リテハ前時刻帶ノ使用時ヲ通シテ使用スルコトヲ得

第四條 艦船公海ニ在ラサルトキハ其ノ所在地ノ陸上ニ於ケル標準時ヲ使用スヘシ但シ短時間其ノ國ノ領海ニ在リ又ハ之ヲ航過スル場合ニ在リテハ時刻帯ノ使用時ヲ使用スルコトヲ得

標準時ニ關シ何等ノ規定ナキ港灣又ハ領海ニ在ル場合ニ在リテハ時刻帶ノ使用時ヲ使用スヘシ

艦船カ短時間公海ヲ航過スル場合ニ在リテハ前條但書ノ規定ヲ準用ス

第五條 艦船ニ於ケル時刻帶使用時ノ變更ハ必ス一時間宛トシ一時刻帶ヨリ他時刻帶ニ移ル時刻ニ近キ整数時ニ於テスヘシ

第六條 時刻帶使用時ヨリ標準時ニ、標準時ヨリ時刻帶使用時ニ又ハ一標準時ヨリ他ノ標準時ニ變更スル場合ニ在リテハ其ノ變更ヲ要スル時刻ニ近キ整数時ニ於テスヘシ

第七條 艦船内ノ時計ニハ貼札又ハ掛札容易ニ變更シ得ル方法ニ依リ時刻帶名 時刻帶ニ屬セサル標準時ヲ使用スル場合ニハ綠威平時ヲ求ムルニ要スル改正数 (以下做之)ノ明瞭ニ掲記セサルコトヲ得

第八條 艦船内ノ記録、公式ノ文書、無線電信通信等ニ於テ日時ノ記入ヲ要スル場合ニ於テハ使用時ノ時刻帶名を附記スヘシ但シ中央標準時ヲ使用スル場合ニ限リ之ヲ附記セサルコトヲ得

第九條 氣象ノ觀測ニハ艦船内ノ使用時ヲ用ウヘシ但シ氣象用自記諸機械ニハ自記用紙調定ノ際ニ於ケル艦船内使用時ヲ用井爾後之ヲ變更シタルトキハ新時刻帶名ヲ附記スヘシ

第十條 時ヲ表スニ時刻帶名稱ノ代リニ之ト同一ナル標準時名稱ヲ以テスルコトヲ得例エハ零時帶ノ時ヲ綠威平時、負九時帶ノ時ヲ日本中央標準時(或ハ略シテ中央標準時)等ト稱スルカ如シ

第十一條 時ハ次ニ掲クル例ニ做ヒ之ヲ記註スヘシ但シ屢同一時刻帶ノ時ヲ記入スルヲ要スル場合ニ於ては一〻時刻帶名ヲ附記スルコトナク單ニ見易キ位置ニ時刻帶ヲ記註シ置クヘシ

l
所在ノ地帶及港灣
t
時刻
n
記註例
l
正二
t
午前七時三〇分
n
午前七時三十分(正二) 7.h30mA.M.(+2)
l
負一
t
午後零時四五分
n
午後零時四十五分(負一) 0.h45mP.M.(-2)
l
ホノルル
t
午後一時三〇分
n
午後一時三十分(正十時三十分) 1.h30mP.M.(+10.h30m)
l
バタビヤ
t
午後一時一〇分
n
午後一時十分(負七時十九分十四秒五) 1.h10mP.M.(-7.h19m14.s5)

附則

本令ハ大正十一年四月一日ヨリ之ヲ施行ス

時刻帶圖 <https://raw.githubusercontent.com/geocol/sandbox/117ec6fb9e9d7d48e2c9b2956cb2f7ed0f2b4344/a.png>

License

[4] Public Domain (法令)

メモ

[5] 海軍省廃止によって失効したと思われます。