Infra Standard

[15] Infra Standard は、 Web技術の仕様書で共通して参照される概念を規定する仕様書です。

[16] 文字列、リストなど Web の特定の技術の領域に属するというよりは様々な技術の基礎となる事項が規定されています。アルゴリズムの記述や適合性の解釈など仕様書の記述方法に関する事項も含まれています。 HTML Standard、DOM Standard、 CSP などから参照されています。

仕様書

[14] Infra Standard (2016-11-22 03:28:16 +09:00) https://infra.spec.whatwg.org/

内容

[78] 次の目標が掲げられています >>14。

[79] 各仕様書に重出する決まり文句部分をまとめること
[80] 各仕様書の表記法、用語、データ構造を揃えること
[81] 複数の仕様書で使われるが良い場所が他にない概念の置き場となること
[82] 明確化せねば曖昧になってしまう概念を明確にし、明解かつ可読性の高いアルゴリズムの記述の助けとなること
[83] (その他必要に応じて追加)

[84] 具体的には次のような内容が含まれます。

[18] Infra Standard の規定

利用

[85] Infra Standard を使う仕様書は、「仕様書名 depends on the Infra Standard.」と書くことになっています >>14。

[86] Infra Standard を使う仕様書は、 Infra Standard の GitHub Wiki のページ >>22 に名前を掲載するべき (encourage) とされています >>14 が、実際には掲載されていない仕様書の方が多いです。

[87] また、曖昧性をなくすため、用語は相互参照するべき (encourage) です >>14。

[88] Infra Standard に限らずですが、ハイパーリンクによる相互参照を使って意味を明確化しているため、文面上は語尾が違ったり (活用していたり、名詞形や動詞形だったり)、用語の一部が省略されて用いられたりしています。 Hixie 時代からそうした利用法はそれなりに見られましたが、 annevk らが多用するようになったように感じられ、 Infra Standard の用語は基本的なものが多いだけに一層その傾向が進んでいるように見受けられます。

歴史

[19] Anne は複数の仕様書で同じ基本概念を定義していて他の仕様書からどう参照するべきかわからない、といったような問題に対して、基盤となる仕様書を設けることを何度か提唱していました。

[17] HTML Standard、Encoding Standard などの色々な WHATWG の仕様書でそれぞれ別個に定義されていた事項をまとめる形で 2016年11月に Infra Standard が新設されました。

[73] W3C 時代にはこうした基本的な事項は暗黙の了承とされたり、そもそもこうした事項が議論できるほどの正確性を仕様書が有していなかったりしました。 HTML5 が仕様書の厳密性を高める中で、そうした事項の明文化を進めました。 ( Web Applications 1.0 )

[74] その後 WHATWG の扱う仕様書や HTML5 以後世代の厳密性を増した W3C の仕様書が増加するにつれ、 HTML5 の基本事項の規定を適宜コピペしたり、時には引用したりするようにもなりました。しかし、厳密に言えば HTML に含まれず、 Web platform の共通の事項や仕様書上の表記法に関する事項を HTML にどんどん追加していくことには無理があり、 HTML のそれ以外の機能を使っていない仕様書が HTML を参照することには抵抗感も持たれていました。また HTML も英語と計算機技術者の常識に依拠した暗黙の部分が (現在となってみれば) 少なくありませんでした。こうした状況から、基本事項や暗黙の了承となっていた部分は仕様書ごとに扱いがまちまちで、その違いに意味があるのかどうかも定かでなく、不明瞭となってしまっていました。

[75] そこで複数の Web platform から参照される基本記述や仕様書の表記法に関する事項をまとめた単独の仕様書として Infra が創設されました。 WHATWG の各仕様書が採用したのはもちろん、 WHATWG の仕様書と同様に厳密性を有する W3C などの Web platform 技術の仕様書にも採用されるようになりました。