「臥蛇島(がじゃじま)」をご存知ですか?
鹿児島郡十島村に属し、中之島の西に位置する無人島です。
今から41年前、1970年に全島民が離島し、無人島となりました。
今年10月22日には元島民ら32名が集団で一時帰島を試みましたが、
高波のため残念ながら上陸を断念することとなりました。
これに先立ち、10月8日には臥蛇会が島に先祖の供養碑を建立しています。
実はこの10月8日、当館スタッフがアリ類の調査のため
臥蛇島に上陸していました。
そのときの様子を以下に紹介いたします。
鹿児島大学大学院理工学研究科附属 南西島弧地震火山観測所の
一行のメンテナンスに同行する機会があり、トカラ列島の臥蛇島と
口之島に渡島しました。
無人島の臥蛇島は現在立ち入り禁止になっており、
島に渡る際には「入島届け」、アリ類の調査に関しては
「昆虫採取及び捕獲に関する協議書」届けが必要となります。
23時50分、「フェリーとしま」にて鹿児島港を出航し、翌朝6時5分に口之島着。
民宿で朝食後、漁船にて臥蛇島へ向け出航。
航行中印象的だったのは、カツオドリがトビウオを捕っては漁船に戻り
横並びでついて行くのを繰り返していたことです。
しゅっとしたフォルムに小さな点のような目で見られていたせいか、
1時間半の揺れも飽きることがありませんでした。
臥蛇島上陸直後、無人の島に一艘の漁船がやってきました。
元島民でつくる臥蛇会による「先祖の供養碑」建立のためです。
前之浜港の様子。水深が浅く、満潮時にやっと一艘接岸できる。
前之浜港より集落へと続く道。この急崖を50m以上登る。
10月22日、無人島になって41年の臥蛇島に元島民が
”里帰り”を予定しているとのこと。
無人の島に供養碑設置の音が鳴り響きました。
調査を終える頃には供養碑の建立も終了しており、
我々一同もお参りさせていただきました。
中学のときに島を離れた方より当時の様子を伺うことができ、
岩に砕ける波の音を聞きながら、
この島には島民の魂が宿っているのだと様々な望郷の思いを感じました。
集落のある高台より「立神」を望む。島は断崖に囲まれている。
なお、10月22日の一時帰島に関する記事は
10月23日と同28日付の南日本新聞に掲載されています。