熊本を中心とした地震の大きな被害は、遠方であっても心を痛める出来事です。
そして、こういう災害に乗じて起こるのがデマや流言と言った類です。すでに、「井戸に毒を流した」レベルのくだらないデマがTwitterなんかを席巻しているようですが、その中でも私が気になったのは、以下のものです。
grapee.jp
熊本城の天守閣の瓦が落ちている映像が随所で流れていましたが、それは「日本建築」が、「 地震時には瓦は振るい落とされ、建屋の倒壊を防ぐ 」ためにわざとそうしている、といった意味があるんだとか。
なるほど、調べてみるとそんな記述がネット上には転がっています。
瓦がズレ落ちるように、わざと瓦を固定していなかったのだと伝えられています。そして、瓦がずり落ちて軽くなった建物は、それ以上傾くことがありません。つまり、傾きはするが倒壊しない。
古人の知恵:地震でわざと落ちる日本瓦
地震が来ると屋根の瓦を落とすことによって建物を軽くし、家自体が倒れないようにと考えられていたというのです。
地震で瓦が落ちる理由 - 住まいづくりサポーター屋根係の瓦ブログ
業界の古老に言わせると、昔の土葺き屋根と土壁は、大地震にあったとき、家本体の構造部材や中に居る人たちを守るように自ら脱落するように作ってあるとのことです....。
涼しい家と「瓦屋根」:山本大成 「かわら屋の雑記帳」:So-netブログ
しかし私が気になるのが、いずれも「伝えられています」「考えられていたという」と、伝聞書きなところです。 いったいどこの「古人」が言い出したことなのか?
我ながらこんなところまでソースを求めるのはどうかと思うのですが、調べてみるとなかなか興味深い話だったので、「瓦が落ちるのは地震のためである」かどうかについて、検証してみたいと思います。今回は久しぶりにネット情報だけでなく、ペーパー類を使用したので、なかなか長く、読むのが面倒という人は結論だけどうぞ。
1.熊本城は「土葺き工法」なのか。
上記のソースによれば、本来瓦は「葺き土」の接着力だけで屋根についているんだとか。
「土葺き工法」というやつですね。これならば確かに、地震などの大きい揺れのときは落下しそうです *1 。ということは、まず熊本城の屋根瓦がこの「葺き土」の工法で作られていたのかを調べる必要があります。
現在の熊本城の天守閣は、1877年の西南