マーク付け入門//そしてそこに要素あり

マーク付け入門//そしてそこに要素あり

要素に属性がある

梓はふと足をとめた。客間から話し声が聞こえる。 ただならぬ雰囲気が伝わってくる。梓は足をとめざるを得なかった、 というほうが適切だろうか。

楓ちゃん、俺は本気なんだ。

待って下さい。私、まだ心の準備が。

わかってる。でも許してくれ。俺は, 俺は・・・

こ、耕一さん?

この5つの段落から成る文章をマーク付けしますが、 これらの段落は、話者の違いにより3組に分けられます。 それぞれを区別してマーク付けしたいのですが、 どうしたら良いでしょうか。それぞれ別の要素を作らないと いけないでしょうか。

こうした時に、属性を使うことが出来ます。 3種類の段落がありますが、どれも段落であって、 属性の違いがあるだけである、と考えるのです。 この視点からこの例文の構造を木で表すと、次のようになります。

属性は、開始タグの中で、要素名の後に、間隔を一つ置いてから、 「属性名=属性値」の形で書き入れることにします。 実際には、「属性値」の部分に、 <"> (引用符) で囲んだ値を書きます。

語り手の段落は class="katarite" のようにあらわすことにすると、 次のようになります。

 <div>
   <p class="katarite">梓は</p>
   <p class="kouichi">楓ちゃん、俺は本気なんだ。</p>
   <p class="kaede">待って下さい。私、まだ心の準備が。</p>
   <p class="kouichi">わかってる。でも許してくれ。</p>
   <p class="kaede">こ、耕一さん?</p>
 </div>

(参考) 要素に指定できる属性の名前と値の組合せは 決まっています。名前が違う複数の属性は、 <p class="katarite" id="k1"> のように組み合わせることが出来ますが、 同じ名前の属性は2つ以上使えません。

画像を入れる

文書中に画像を入れたくなることがあります。 主人公の挿絵とか、報告に関する図とか、紀行文の現地写真とか です。

そんな時の「画像」という要素には、 「img」 を使います。 img 要素には、画像の名前を表す src 属性と、 代替文の alt 属性を必ず与えなければなりません。

画像の名前は、 URI という形式で指定します。 とりあえず今は、「ファイル名」のことだと思って下さい。

代替文は、いわば副音声です。文書というとどうしても 紙に印刷されたものを思い浮かべてしまいますが、 紙に書かれているものもラジオで読み上げられるものも、 あるいは物理的な形になっていない、誰かの頭の中にあるだけのものも、 等しく我々が今まで見てきた文書と言えるでしょう。

ですから、画像という視覚的表現は、文書が音声的表現 など他の手段で表される時のための「副音声」を用意しておく 必要があるのです。

(代替文は視覚障害者にとっても無くてはならないものです。 また、視覚的表現であっても、文書がネットワークでやり取りされる時に 画像が遅れてくるのは良くあることです。)

ところで、画像には、(副音声は別として) 要素を構成する 文字列的なものは存在しません。仕方が無いので、要素の内容は にします。内容が空の要素を、そのものずばり 空要素と呼びます。 (これは数学用語にも対応します。)

(更に、画像の場合は要素の内容はあり得ません。 ですから、空にして良いというより、空にしなければなりません。 このような要素を、強制空要素と呼びます。)

空要素は、開始タグと終了タグをまとめて、 "<" 要素名 (属性) " />" と書くことにします。

ですから、画像は次のようにマーク付けされることになります。

 <img src="takayama" alt="雨月山から眺めた隆山温泉街" />

・・・

(続く)