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[9] 
[[日時]]は生活に密着していますが、[[高度に政治的]]でもあります。

* 暦と宗教や政治

[38] どの[[暦]]を用いるかは、極めて[[政治的]]で[[宗教的]]な判断でもあります。
かつては多くの[[国]]で[[君主の在位年数を紀年法としていた][即位紀年]]ことからもわかるように、
[[暦]]に関わる事項の決定は[[政府]]または[[宗教]]組織の統治行為で、
どの[[暦]]を用いるかはどの[[政府]]・[[教団]]に従うか、
という意思表示でもありました。

[EG[
[25] 
[[グレゴリオ改暦]]では、新教徒と旧教徒の対立が[[改暦]]追随可否と結びつきました。
[SEE[ [[グレゴリオ改暦]] ]]
]EG]

[EG[
[27] 
[[東アジア]]では政治目的の[[改暦]]が繰り返されてきました。
[SEE[ [[農暦]]、[[旧暦]]、[[ベトナムの旧暦]] ]]
]EG]

[EG[
[26] 
[[改元]]の実施や[[元号名]]の[[選定][元号の選定]]は[[高度に政治的]]な行為です。
[SEE[ [[元号の選定]], [[改元手続き]] ]]
]EG]

[EG[
[39] [[南北朝時代]]、ある勢力が南北どちらに従っていたかは、どちらの[[元号]]を使っていたかでわかります。
[SEE[ [[日本南北朝時代の元号]], [[元号の選択]] ]]
]EG]

[EG[
[40] 現代の[[日本]]でも、極左活動家は[[元号]]を排除するために[[訴訟]]を繰り返していますし、
極右活動家は[[西暦]]の使用を攻撃したり、[[皇紀]]の使用を推奨したりしています。
[SEE[ [[元号排斥]] ]]
]EG]

[EG[
[30] 
[[台湾]]では、
[[日本統治時代][日本領台湾]]を[[西暦]]や[[民国紀元]]で記述するか、
[[日本の元号]]で記述するかの問題があります。
[SEE[ [[台湾の元号]] ]]
[[大陸王朝][支那王朝]]の末裔たる[[外省人]] ([[国民党政権]]) 史観か、
[[蘭国]]、[[清国]]、[[日本]]を経て[[中華民国]]の統治下に収まった[[台湾]]の[[本省人]]史観かの対立とも捉えられます。
]EG]

[SEE[ その他関連事例 [[皇紀]] ]]

[41] 現代においては、世界中のかなりの地域で[[西暦]]が通用しており、
''あまり''政治的な問題とならない[[紀年法]]ではあるようです。
[[計算機システム]]など、[[西暦]]のみに対応して世界展開している製品も少なからずあります。
しかし、地域によっては一般市民が[[西暦]]に馴染みが薄かったり、
宗教的にあまり好ましく思わなかったりすることもあるようです。
[[日本]]のように、[[西暦]]が一般市民に浸透していても、
[[公的]]には[[元号]]が好ましいと考えられているような地域もあります。
[SEE[ [[西暦排斥]] ]]

[5] 対立する勢力が異なる[[標準時]]を用いている事例は枚挙に暇がありません。
[SEE[ [[時間帯]] ]]

[6] [[スローガン的元号]]は[[日時制度]]としての実用性を切り捨て、
政治性だけを取り出したものといえます。

[28] 
こうした事情ゆえ、[[暦法]]、[[時間帯]]の選択は[[プライバシー]]に関わる繊細な情報たり得ます。
[SEE[ [[日時のプライバシー]] ]]

[12] 
ときには[[紀年法]]や[[暦法]]の選択が、政治的意思表示や嗜好の範疇を逸脱し、
利用の強制や不利用の強制、あるいは使用者への[[差別]]・[[迫害]]に発展する事案も起こります。

[FIG(short list)[ [7] [DFN[紀年法排斥]]や[[暦]]の排斥の事例
- [[西暦排斥]]
- [[元号排斥]]
- [[皇紀排除]]
- [[檀君紀元禁止]]
- [[六曜排斥]]
]FIG]

[SEE[ [[差別]], [[検閲]], [[言語差別]] ]]

[32] 
ところでそのように[[高度に政治的]]で[[イデオロギー]]性も高い[[日時制度]]というものですが、
反制度、反権力、反政府、新提案反対的な立場の人ほどその政治性に着目し、
反発の材料に使いがちです。
[[標準時]]や[[夏時刻]]の変更に反対する人達、
他の国や指導者を非難する材料に[[標準時]]や[[夏時刻]]を使う人達、
[[元号]]に反対する人達などに見られます。
歴史研究者や愛好者にも、
[[日時制度]]を無闇矢鱈と政治に結びつけがちな人達がいます。
曰く、[[日時制度]]の改変は為政者の時の支配の意欲の表れなのだとか [SRC[>>36]]。

[3] 
確かにそのような側面はあるのでしょうし、[[東洋思想]]における[[元号]]の役割や、
[[近代化]]における[[標準時]]の役割など[[日時制度]]と政治・思想の関わりは無視できないものではあります。
[[日時]]は生活リズムを規定しますから、住民は知らず知らずのうちにそれに縛られることになります。

[34] 
ですが、より基本的な事実、つまり[[日時制度]]が社会生活の維持に必須の要素だということを忘れてはいけません。
[[日時制度]]が当たり前に整備されている現代の人達からすると見過ごしてしまいがちですが、
人と会う約束1つとっても[[日時制度]]の共通理解が存在し、
公共や私物の[[時計]]がみなそれに従っていなければ困難となるでしょう。
歴代の為政者達が[[日時制度]]を制定・改正した理由の多くは、
純粋にそれに改善の必要を認めたからに他ならず、
いたって普通で普遍的な統治行為に過ぎないのです。

[35] 
[[暦法]]を改正した権力者が圧政を敷いたとは限りません。
[[標準時]]を改正した為政者が暴君とは限りません。
地方の[[日時制度]]を国家の標準制度に統一した為政者が地方を無視したとは限りません。
[[時刻制度]]改正を提案した大手[[IT企業]]が支配者気取りとは限りません。
そのような側面もあるかもしれませんが、
それは[[日時制度]]の改変とは別の材料と組み合わせて個々に証明されるべきことです。
その手続きをすっ飛ばした根拠のない妄想はもはや[[陰謀論]]と区別がつきません。

[EG[

[10] 
[[平成30年夏時刻騒動]]では、
[[経団連]]は反対していたにも関わらず、
労働強化を目的に推進しているのだろうという[[陰謀論]]が[[日本共産党]]らによって主張されました。

]EG]

[REFS[
- [36] 
[CITE@ja[権力者は (#4321198) | Microsoft、チリでの夏時間開始日変更に注意喚起 | [[スラド]]]], [TIME[2022-09-08T01:25:50.000Z]] <https://srad.jp/comment/4321198>
]REFS]

[4] [CITE[城西語学12号表01のみ.ec6 - JOS-18801919-1202.pdf]], [TIME[2020-04-02T07:43:16.000Z]], [TIME[2021-08-03T13:12:46.105Z]] <https://libir.josai.ac.jp/il/user_contents/02/G0000284repository/pdf/JOS-18801919-1202.pdf>

[2] 
[[死亡年月日]]

* 時間帯と政治・民族主義

[151] [[標準時]]は、時に[[民族]]や[[国家]]の[[歴史]]と[[政治]]や[[宗教]]に絡んだ繊細な問題でもあります。
そもそも[[暦]]とは古来[[政治]]や[[宗教]]と密接に関わっているものです。
[[日時制度]]は人々の生活に深く関わるものであり、
統治の基本でもあります。

[13] そうした[[暦]]一般の事情を抜きにしても、
旧来の牧歌的な日時観念にかわって[[標準時制度][近代的標準時制度]]が世界的に整備されていった19世紀末から20世紀半ばにかけての時期は、
[[植民地]]や[[帝国主義]]の時代でもあり、
[[標準時]]の普及は[[植民地]]支配や[[戦争]]の遂行とも密接に関係するものでした 
[WEAK[(具体的な事例は各地の[[標準時]]の項を参照)]] から、
旧[[植民地]]諸国には、旧[[宗主国]]によって[[民族]]の時間が奪われたと考える人達もいます。

[EG[
[159] [[仏蘭西]]は、[[欧州]]の幾つかの国が[[グリニッジ平均時]]またはその整数時差の[[標準時]]を導入した後も、
自国の[[標準時]]の基準を[[英国]]の[[グリニッジ]]に置くことを好ましくないと抵抗していました。

;; [160] [[欧州の標準時]]を参照。
]EG]

[EG[
[8] 19世紀から20世紀にかけての[[英印]]では、[[英国]]人の[[政府]]による[[標準時]]の制定に[[印度人]]の民衆が反対し、
[[独立運動]]の文脈で大きな事件となることもありました。
([[英国人]] vs [[印度人]]の対立だけでなく、他の地域の時刻を採用したくないとの地域間対立の要素もあったようですが。)

[123] [[標準時]]を完全に統一できたのは、[[英国]]から[[印度]]が独立した後でした。

;; [44] [[印度の標準時]]を参照。
]EG]

[EG[
[204] 
[[昭和のサンマータイム]]について、
[[日本共産党]]は、
[[日本]]民族に対する[[米国]]の押し付けと非難し、
反米主義と関連付けて扱いました。
[SEE[ [[昭和のサンマータイム]] ]]
]EG]

[EG[
[152] [[朝鮮半島]]は、1時間毎に区切った[[時間帯]]で、ちょうど [TZ[+08:00]]
と [TZ[+09:00]] の境界付近にあります。[[清国]]から[[大韓帝国]]として独立した頃、
[[朝鮮半島]]では[[地方時]]と [TZ[+09:00]] が混用されていました。
[[大韓帝国]]は[[ソウル]]の[[地方時]]に近い [TZ[+08:30]] を[[標準時]]としましたが、
[[日韓併合]]の後に、[[日本の標準時]]に合わせて [TZ[+09:00]] に改正しました。

[153] [[大韓民国]]は、独立後、一時 [TZ[+08:30]] を採用しましたが、
不都合だったとして [TZ[+09:00]] に戻しました。その後も[[日本による支配の名残り][日帝残滓]]を精算しようなどと主張して
[TZ[+08:30]] への変更を求める動きが何度も起こっています。

[154] [[朝鮮民主主義人民共和国]]は、一貫して [TZ[+09:00]] のままでしたが、
[TIME[2015年][year:2015]]に突然[[日本支配の名残り][日帝残滓]]を除去する名目で
[TZ[+08:30]] へと変更しました。
この時[[大韓民国]]は、一方的な変更であると反発しました。

[29] そのわずか3年後、[TIME[2018年][year:2018]]に[[朝鮮民主主義人民共和国]]は、
南北統一の象徴として[[標準時]]を [TZ[+09:00]] に再変更しました。
[[標準時]]の設定が[[高度に政治的]]な問題であることの典型例といえます。

;; [155] [[朝鮮半島の標準時]]も参照。
]EG]

;; [11] 
[[欧州]]以外の世界各地では[[植民地]]化以前は現行の[[欧州時刻]]とは違う各地の[[時刻制度]]が普通に使われていました。
[[朝鮮半島]]でも[[支那]]由来の[[十二支時刻]]系統の制度が使われていました。
そうした地域では「標準時を奪う」どころか伝統的[[時刻制度]]そのものが壊滅的打撃を受けているのですが、
そのような主張をする人々自身が西洋化が進んで[[欧州時刻]]が当然の生活を送っているのでそのことに気づいていないのです。

[EG[
[156] [[東ティモール]]は、1時間毎に区切った[[時間帯]]で、ちょうど [TZ[+08:00]]
と [TZ[+09:00]] の境界付近にあります。長年 [TZ[+08:00]] を使ってきましたが、
[TIME[2000年][year:2000]]に [TZ[+09:00]] に移行しました。

[157] いつから [TZ[+08:00]] になったのかは現地でも明確ではありませんが、
[[インドネシア]]支配時代に[[インドネシア]]側の都合で変更されたのではないかと考える人もいます。
[[東ティモール]]の独立により、晴れて「正しい」とされる [TZ[+09:00]]
へと変更できたのです。

;; [158] [[東ティモールの標準時]]も参照。
]EG]

[NOTE[
[232] 1時間単位の[[時差]]はわかりやすいのですが、
[[時差]]境界付近では不都合を感じることも多いのでしょう。
境界付近にちょうど[[辺境]]や[[属国]]が位置していると、
[[中央政府]]に[[時間]]を強制される意識が強くなりがちなようです。
次のような事例が見られます。

[FIG(short list)[
- [[朝鮮半島の標準時]]
- [[滿洲の標準時]]
- [[インドネシアの標準時]]
- [[東ティモールの標準時]]
- [[パプアニューギニアの標準時]]
- [[印度の標準時]]
]FIG]

[161] [[北海道]]は、[[日本]]の一部としての[[住民]]の意識は安定しており、
[[独立運動]]のようなものはありませんが、[[内地]]となってからの蓄積は他の地域に比べて浅く、
地理的にも辺境といえる地域です。[[経度としては][地理的時間帯]][[日本の標準時]] [TZ[+09:00]]
と [TZ[+10:00]] との中間に当たります。[[北海道]]でも、
地域の独自性を明確にするため[[中央標準時]]と異なる[[北海道標準時]]や[[夏時刻]]が有効だと主張する人達がいます。

]NOTE]

[EG[
[135] [[サモア王国]]は、[[地理的]]に近い[[豪州]]や[[ニュージーランド]]と[[経済的]]な結び付きが強かったため、
両国と同じ[[日付]] ([[アジア日付]]) を使っていました。

[136] ところがその後[[米国]]の[[経済的]]、[[軍事的]]な影響力が増大した結果、
[[科学的]]に「正しい」[[日付]]という名目で、1日遅れの[[日付]] ([[アメリカ日付]])
に切り替えました。同じ頃に[[グリニッジ子午線]]が[[本初子午線]]に確定した結果、
[LON[経度180度][180E]]よりやや[[東]]側に位置する[[サモア]]が[[アメリカ日付]]を採用するのは、
確かに「正しい」と言えなくはありません。

[138] その[[サモア王国]]は間もなく滅亡し、東西に分割されました。
月日は流れて現在は[[サモア独立国]]と[[米領サモア]]となっています。
[[サモア独立国]]は[[豪州]]や[[ニュージーランド]]との関係がより緊密になっていることから、
かつての[[アジア日付]]に戻しました。
[[米国]]の支配下にある[[米領サモア]]は引き続き[[アメリカ日付]]を継続しており、
[[サモア諸島]]は[[日付変更線]]により分断されることとなりました。

;; [139] [[サモアの標準時]]も参照。

]EG]

[EG[
[223] [[中華人民共和国]]は東西に広大な国土を持ちますが、
全土で [TZ[+08:00]] が用いられています。
その狙いは[[チベット]]や[[ウイグル]]も含んだ国家の統合の維持にあると (真偽はともかく)
言われています。

[230] ただ実際には[[ウイグル]]では [TZ[+06:00]] も公然と併用されています。
[[北京時間]]の強制が[[中共政府]]の少数民族弾圧政策の一貫であるなら、
厳しく取り締まられているはずです。 (しかし同[[経度]]の[[チベット]]で
[TZ[+08:00]] 以外が使われているという情報が流れてこないのは不思議です。)

;; [[中国大陸の標準時]]参照。
]EG]

;; [219] [[暦]]も参照。

[147] 元は1つだった[[国]]が複数に分裂した後、一方が時刻を改正した結果、
両者間に[[時差]]が生じるという事例は枚挙に暇がありません。
例えば次のような事例があります。

[FIG(list middle)[ [167] [DFN[[[分断国家]]の[[標準時]]]]分断事例
- [[東西サモア][サモアの標準時]]
- [[露領東清鉄道附属地と日本領南満州鉄道附属地][滿洲の標準時]]
- [[ロシア革命下のシベリア鉄道][アジア大陸の鉄道標準時]]
- [[中華民国の各政府や各租界][中国大陸の標準時]]
- [[中華民国と満州国][滿洲の標準時]]
- [[日本と台湾][台湾の標準時]]
- [[日本、北樺太、南樺太、千島列島、北方領土][日本の標準時]]
- [[日本国、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国][朝鮮半島の標準時]]
- [[日本、南洋群島][南洋群島の標準時]]
- [[中華民国、中華人民共和国、香港、澳門][台湾の標準時]]
- [[インドネシアと蘭印・蘭領ニューギニア][インドネシアの標準時]]
- [[新南群島][東南アジアの標準時]]
- [[南北ベトナム][ベトナムの標準時]]
- [[印度と東西パキスタン][南アジアの標準時]]
- [[スリランカ共和国とLTTE][スリランカの標準時]]
- [[東西ティモール][インドネシアの標準時]]
- [[ヨルダン川西岸地区とガザ地区][パレスチナの標準時]]
- [[ウクライナ、クリミア、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国][ウクライナの標準時]]
- [[イラク、シリア、イスラム国][イスラム国の標準時]]
- [[南北キプロス][キプロスの標準時]]
- [[南北スーダン][スーダンの標準時]]
]FIG]

[31] [[標準時]]の改正の話題になるとよく取り上げられる事例がいくつかあります。
こうした事例は、どちらかといえばネガティブなニュアンスで、
悪政により[[時刻]]が捻じ曲げられたような批判的な扱いを受けるようです。
もっとも時の[[政府]]が[[日時制度]]を変更するのは[[古今東西]]ありふれた事例であり
(むしろ[[日時制度]]の改善は当然の責務でしょう)、
こうした事例が「悪政」かどうかを個別に慎重に検討することなく取り上げるのは無責任とも感じられます。

[FIG(middle list)[ [33] よく取り上げられる事例
- [[平壌時間]] [SRC[>>45, >>75, >>76, >>42, >>202]]
- [[中華人民共和国の標準時]]と[[新疆時間]] [SRC[>>76, >>42, >>202]]
- [[スペインの標準時]] [SRC[>>42, >>202]]
- [[ネパールの標準時]] [SRC[>>76, >>42]]
- [[ベネズエラの標準時]] [SRC[>>45, >>75, >>76, >>42, >>202]]
- [[サモアの標準時]] [SRC[>>45, >>76, >>42]]
- [[シンガポールの標準時]]と[[マレーシアの標準時]]
]FIG]

[REFS[
- [45] [CITE@en[North Korea's new time zone to break from 'imperialism' - BBC News]] (7 August 2015 [TIME[2018-05-10 17:46:21 +09:00]]) <http://www.bbc.com/news/world-asia-33815049>
- [75] [CITE@en[North Korea’s new time zone is perfectly bizarre - The Washington Post]] ([TIME[2018-05-10 17:50:49 +09:00]]) <https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2015/08/07/north-koreas-new-time-zone-is-perfectly-bizarre/?utm_term=.91e16233e282>
- [76] [CITE[Bizarre time zones: Countries and regions making travel difficult]] (AFPMAY 7, 201811:48AM [TIME[2018-05-10 18:01:23 +09:00]]) <http://www.news.com.au/travel/world-travel/good-luck-trying-to-keep-the-time-in-these-destinations/news-story/15fd90fa8fe5f8e0b1b6a8aaf8ac469d>
- [42] [CITE@en[North Korea synchronizes time zone with South | News | DW | 05.05.2018]] ([[Deutsche Welle (www.dw.com)]]著, [TIME[2018-05-10 17:32:39 +09:00]]) <http://www.dw.com/en/north-korea-synchronizes-time-zone-with-south/a-43664063>
- [202] [CITE@en[Time Lords | Lapham’s Quarterly]] ([TIME[2018-12-24 15:31:07 +09:00]]) <https://www.laphamsquarterly.org/roundtable/time-lords>
]REFS]

[229] [CITE['''['''tz''']''' [PROPOSED] Merge timezones that are alike since 1970]], [TIME[2021-05-29T09:01:28.000Z]], [TIME[2021-05-30T00:38:25.941Z]] <https://mm.icann.org/pipermail/tz/2021-May/030150.html>

* 祝祭日

[SEE[ [[祝祭日]] ]]

** 負の記念日

[14] 悪い出来事の日を「祝日」と呼ぶことに抵抗があるのはわからないでもありませんが、
「記念日」と呼ぶことも最近は忌避されるようになってきているようです。
[[記念]]は中立的なニュアンスのはずですが、良いことに使われがちでイメージが良すぎるのでしょう。

[15] [[祝祭日]]には天皇の崩御の日など悪い日も含まれるので必ずしも良い記念日を意味しませんが、
近年は[[国民の祝日]]として現行の公的な用語になっている[[祝日]]が正しく[[祝祭日]]は古いと考える人も出てきているようです。

[16] 
中には負の記念日に祝い事をすることを忌避する人もいます。それだけなら個人の勝手な趣味ですが、
他人までそれを強制しようとする人もいます。例えば[TIME[3月11日][--03-11]] 
[WEAK[([TIME[2011-03-11]]が[[東日本大震災]]の日)]]
に[[誕生日]]を祝うことを [[SNS]] で抗議するようなおかしな人までいます。

[17] 
また、
「忌まわしい出来事があった○月○日は全国民が記憶しなければならない日だ」
などと勝手な主義主張を他人に強要する人もたまに見かけます。

* セキュリティー、プライバシー

[1] [[日時のセキュリティー]]、[[日時のプライバシー]]を参照。

* 関連

[SEE[ [[法的日時]] ]]

[SEE[ [[キリスト教の日時]], [[天年号]], [[共産主義の日時]] ]]

[SEE[ [[政治的に正しいデータ構造]] ]]

[SEE[ [[陰謀論における日時]] ]]

[SEE[ [[言語差別]] ]]

* メモ

[18] 
「改元=時間支配の誇示」という説明はキャッチーではありますが、歴史的に見れば必ずしも的確ではありません。改元を使って時間の支配の誇示をすることも可能だけれども、すべての改元が時間の支配の誇示とはいえないとみるのが穏当です。
改元は一種の「時刻制度の標準化行為」として捉える方が素直だと思います。中国の暦制の輸入以来、日本においても元号は年のカウントを統一する仕組みであり、確かにその背後に「皇帝(天皇)の権威が暦を司る」という思想はあるにせよ、常に「誇示」が目的だったわけではなく、むしろ行政上の必然としての制度化の面が大きい。計量法や電波法で単位・周波数を標準化するのと似た「国家的インフラ整備」ともいえるでしょう。

[19] 
その一方で、官房長官や総理大臣が「新元号」を発表する儀式は、制度化された元号を「国家的に告知する政治儀礼」に昇華させています。
ここで興味深いのが「閏秒の挿入」との対比です。閏秒も[[改元]]と同じように「時間制度を調整する行為」なのですが、 [[NICT]] が[[閏秒]]記念イベントを実施しても[[総理大臣]]や[[官房長官]]は出てきません。
政府本体ではなく実務部門の広報イベント止まりです。
時間の支配を誇示したいなら、数十年に一度の[[改元]]よりも頻繁に実施されていた[[閏秒]]の挿入という絶好の機会なのに、挨拶の1つもありません。

[20] 
どこでこの差が生じたかを考えるに、有力なのは[[閏秒]]が導入された時代の違いでしょう。
[[昭和時代]]には既に科学技術行政が細分化・専門化し、[[閏秒]]は政府レベルの課題ではなく専門官庁的な実務として処理されたため、
政府首脳がセレモニーを仕切るという発想自体が生まれにくかったと思われます。

[21] 
これがもし明治期に閏秒が導入されていたなら、

- 外務大臣や逓信大臣が「万国の協定に基づき、本日、日本標準時に一秒を加える」と宣言する
- 政府主催の祝典的なセレモニーを行い、新聞で大々的に報じられる
- 「日本も文明国の仲間入り」というナショナル・ナラティブに利用される

... というシナリオは十分想像できます。

;; [22] [[日本標準時]]の導入時は全国でイベントが行われましたし、
その後の標準時の励行や[[新正月]]推進運動とも比べることができますね。
[[閏秒]]はわずか1秒という地味さもあるかもしれません。

;; [23] でもその「わずか1秒の地味さ」を逆手にとって、もし政府が閏秒を大げさに儀式化したら、かえって「時間という社会基盤を管理する国家の権能」を強調できた可能性もあるんですよね。
科学技術立国のアピールの機会でもありますし。
[SEE[ [[第30回閏秒記念式典]] ]]

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