Edit

Page

Page title:

Page body:

[15] 
[DFN[Bṛhaspatî-Saṁvatasara-Chakra]]
([DFN[木星紀年法]])
は、
[[印度の紀年法]]の系統の1つです。

* 概要

[2] 
[[印度]]には[[支那の木星紀年法]]と類似の[[木星紀年法]]が太古から存在したと信じられています。
[SRC[>>1]]

[8] 
[[木星]]の[[公転軌道]]を12分割し、その位置を[[年名]]とします。

* 紀年法

[11] 
純粋な12年周期のものと、
約85年に1次を超える ([[超辰]]する) ものがあります。
[SRC[>>1]]

[12] 
前者が古く、後者は後から生じたものです。
[SRC[>>1]]

[13] 
12年周期の他に60年周期があります。60周年の第1年は12年周期の第1年です。
[SRC[>>1]]

;; [14] 
[[支那木星紀年法]]と違って[[歳星]]に対する[[太歳]]のようなものはありません。

[10] 
12年周期は、
12区画の名前に Mahâ を冠して、
Mahâ Śrâvaṇa
などと呼びます。
[SRC[>>1]]

[16] 
60年周期は、
Prabhava
などと12年周期とは別の名前で呼びます。
[SRC[>>1]]

;; [17] [[支那の木星紀年法]]は[[十干]]と[[十二支]]の組み合わせで[[十干十二支]]を作りますが、
[[印度]]ではまったく違い、[[太陰太陽暦]]の5年周期と組み合わせています。
[SRC[>>1]]

;; [21] [[バビロン]]にも60年周期はありますが、[[印度]]とも[[支那]]とも異なるものです。

[18] 
Mahâ Śrâvaṇa かつ Prabhava に当たる年の例として、
西暦紀元前354年、
西暦紀元前294年、
西暦紀元前234年、
西暦紀元前174年、
[TIME[西暦1927年丁卯][1927]]などがあります。
[SRC[>>1]]

;; [30] 
[[チベット暦]]の[[干支年]]が[TIME[西暦1027年丁卯][1027]]を第1年とするのと関係していそうです。

[19] 
こうした[[紀年法]]の発祥の年代には議論があります。 [SRC[>>1]]

* 12区画

[3] 
[[天]]を12区画に分割します。[[二分二至]]を1区画の中央に置くようにします。
[SRC[>>1]]

[4] 
[[木星]]は1年に1区画を通過することとします。
[SRC[>>1]]

;; [5] これは[[十二次]]による[[木星]]の位置の記述とまったく同一です。 [SRC[>>1]]

[6] 
[[満月]]が同一の区画に現れるのを同一の[[月]]とし、区画の名を[[月名]]とします。
[SRC[>>1]]

[7] [[印度]]の区画名と[[支那]]の[[十二次]]の対応は次の通りです。 [SRC[>>1]]

[FIG(table)[

:in12:[[印度]]
:in:[[印度]]
:cn:[[支那]]
:12:[[支那]]

:in:Śrâvaṇa
:cn:玄枵 
:12:[N[1]]
:in12:[N[0]]

:in:Bhâdrapaḍâ
:cn:娵訾 
:12:[N[2]]
:in12:[N[1]]

:in:Âśvayuja
:cn:降娄 
:12:[N[3]]
:in12:[N[2]]

:in:Kârttika
:cn:大鿄 
:12:[N[4]]
:in12:[N[3]]

:in:Mârgaśîrsha
:cn:実沈 
:12:[N[5]]
:in12:[N[4]]

:in:Pausha
:cn:鶉首 
:12:[N[6]]
:in12:[N[5]]

:in:Mâgha
:cn:鶉火 
:12:[N[7]]
:in12:[N[6]]

:in:Phâlguna
:cn:鶉尾 
:12:[N[8]]
:in12:[N[7]]

:in:Chaitra
:cn:寿星 
:12:[N[9]]
:in12:[N[8]]

:in:Vaiśâkha
:cn:大火 
:12:[N[10]]
:in12:[N[9]]

:in:Jyaishṭha
:cn:析木
:12:[N[11]]
:in12:[N[10]]

:in:Âṣhâḍha
:cn:
星紀 
:12:[N[0]]
:in12:[N[11]]

]FIG]

[9] 
[[印度]]の名称は、区画に含まれる[[二十八宿]]または[[二十七宿]]の主なる[[星座]]の名によります。
[SRC[>>1]]

* 5年周期

[20] 
[[印度]]では[[太陰太陽暦]]の5年周期が使われます。
第1年を[[冬至]]と[[朔]]が合する日からはじめ、
1年を366日とし、
5年に2個の[[閏月]]を置きます。
[SRC[>>1 ([[Jyotisha]])]]

* 60年周期

[26] 
[CITE@en[Samvatsara - Wikipedia]], [TIME[2024-12-19T13:59:42.000Z]], [TIME[2024-12-29T04:10:50.795Z]] <https://en.wikipedia.org/wiki/Samvatsara>

[25] 
[CITE@en[Telugu years - Wikipedia]], [TIME[2024-12-19T14:31:31.000Z]], [TIME[2024-12-29T04:10:03.105Z]] <https://en.wikipedia.org/wiki/Telugu_years>

* 超辰

[28] 
[[超辰]] ([[閏]]) は、
[[支那]]では規則的に実施されたことはない (結果的に[[超辰]]されたことはある)
と考えられています ([SEE[ [[超辰法]] ]]) が、
[[印度]]では実運用されていたと考えられています。

;; [29] [[支那の木星紀年法]]と[[印度の木星紀年法]]とでは[[超辰]]の実施周期が違います。

[27] 
[[南印度]]では、[[サカ紀元]]828年 (西暦905年-西暦906年)
ないし[[サカ紀元]]831年 (西暦908年-西暦909年)
まで60年周期に[[超辰]]がありましたが、
その後実施されなくなりました。
[SRC[>>26]]

* 関連

[SEE[ [[支那の木星紀年法]], [[異種干支紀年法]] ]]

[22] 
[[木星]]を重視し[[紀年法]]にも用いるのは[[印度]]と[[支那]]で共通しています。
[[木星紀年法]]とその周辺で[[印度]]と[[支那]]は共通点が多いですが、相違点も多いです。
[SRC[>>1]]

[23] 
[[近代日本]]の[[天文学]]・[[日時制度研究]]では[[新城博士]]と[[飯島博士]]の論争が有名で、
[[飯島博士]]は[[古代支那]]の[[天文学]]の西方起源説を唱えました。
[[支那]]の[[十二次]]も[[印度]]の12年周期と関係するもので、
[[ペルシャ]]で発祥したものではないかと推測しました
[SRC[>>1]]。

[24] 
論争は必ずしも明確な決着が得られないまま終結したものの、
[[飯島博士]]の西方起源論はその後の研究者らによって否定的に理解されています。
ただし個々の問題に完全な結論が得られているともいえず、
[[十二次]]や[[木星紀年法]]がまったく独立に発達したものか、
それとも偶然の類似に過ぎないのか、
それらの起源を断定的に説明するのは未だ困難です。

* メモ

[REFS[

- [1] [CITE[[[支那古代史と天文学]]]],
pp.[L[92]]-[L[100]]

]REFS]

Historical Legal Sensitive Parent: [Help / License]

Edit

Page

Page name(s)