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[1] 記録には、現在に続く[[干支紀年法]]が通用したはずの時代に、
現在に続く[[干支紀年法]]と解釈すると何年かのずれが生じてしまうものが散見されます。
[SEE[ [[干支年]], [[1年ずれ]], [[木星紀年法用例等年表]] ]]

[2] その大部分は何らかの誤りに過ぎないと解釈されています。しかしながら、

- [3] 
誤りでは片付けられず、現在に続く[[干支紀年法]]と異なる[[紀年法]]が使われた可能性が指摘されるものが少数あります
- [4] 
誤りで説明が付くものも含め、例外的な事例をかき集めて独創的な解釈を加えることで、
他にない独創的な解釈を展開したり、[[陰謀論]]を繰り広げたりする類の説がまま行われています

[7] 
その由来は主に3系統あって、

- [8] 古い[[暦法]]がそのまま使われ続けた
- [9] [[印度]]の方法なりなんなり外来の[[紀年法]]が使われた
- [11] まったく独立に発生した

の組み合わせになります。

[14] 
中でも特に >>8 
は独創的な歴史観と共に主張されがちです。
[[天文学]]や[[暦学]]の知識をある者が既存の[[干支紀年法]]等の知識を得ることなく独立してこの種の[[紀年法]]を考案する筋道を考えにくいからでしょうか。

;; [12] 独創的な歴史解釈を披露する方々にとっては、古代なり異文化なりとの「つながり」
を「発見」することで独創的世界の広がりを作れるから、便利なのでしょうねw

* 古代の木星系紀年法

[6] 
[[古代支那]]に於いては実際に[[現行干支紀年法]]と異なる[[太歳紀年法]]や[[干支紀年法]]が使われていたことが知られています。
[SEE[ [[木星紀年法]] ]]

* 友田吉之助の異種干支紀年法説

[1040] 
[[昭和時代]]の[[友田吉之助]]は、
[[現行干支紀年法]]と異なる[[干支紀年法]]が行われたと主張しました。

[1041] 
それによると、

- [1042] [[現行干支紀年法]]
- [1043] [[一年引き下げられた干支紀年法]]
- [1044] [[二年引き上げられた干支紀年法]]
- [1045] [[二年引き下げられた干支紀年法]]

が使われたとされました。また、それらと共に、

- [1046] 通説の[[暦法]]
- [1047] [[四分暦]]系統の[[暦法]]

が用いられたとされました。

[1048] 
その利用範囲は研究の進展に従ってどんどん拡大していきました。
[[日本]]に限らず、[[中国]]や[[高句麗]]でも用いられたとされました。
[[日本]]については、[[周]]の時代の大陸の[[倭国]]から[[天孫降臨]]で[[日本列島]]に到来し[[平安時代]]になっても使われたとされました
(旧説では[[秦]]国系の[[渡来人]]によって[[日本列島]]に持ち込まれたとされていました)。
[[紀年法]]と[[暦法]]の組み合わせのうち複数のものは、
歴史書の編纂だけでなく現実の生活において並行して使われていたとされました。

[1049] 
古い時代の記録がそうした[[紀年法]]や[[暦法]]によらないのは、
現存する[CITE[日本書紀]]や[CITE[続日本紀]]が改訂版で、
現行の方式に改められたためだとされています。
しかしその改訂が不完全だったり、
旧版に基づいた資料が残っていたりするために、
旧方式が現在に伝わるのだとされています。

;; [1050] 
歴史書の改竄説というのは歴史学と[[陰謀論]]のギリギリのラインなんですよねえ...
[[友田吉之助]]の説の場合は
(成立するかはともかく)
一応しっかり改変の痕跡と想定される改変過程を論理的に説明しようと試みてはいますし、
「悪の政府による隠蔽工作」
のような[[陰謀論]]的主張が含まれていないので、ぎりセーフでしょうか...

;; [1051] 
ただその「論理的な説明」は神代の神は福井県在住でトンボの化身で[[黄帝暦]]を使っていたことが明らか、
という方向性に飛んでいくのがどう評価したらいいのか...

-*-*-

[33] 
[[友田吉之助]]が[[[CITE[日本書紀]]後世改刪説]]の根拠と挙げた史料のうち[[日時]]の表現に関係するもの:

- [36] [[若槻幾斎]]の[CITE[畏庵随筆]]に、古写本の
「応神天皇紀十四年春正月辛丑朔戊申」
が現存本で「四十」となっていることが指摘されている。
[SRC[>>35 p.[V[四七]]]]
-- [37] 
[TIME[応神天皇14年1月1日][kyuureki:283-01-01]],
[TIME[応神天皇40年1月1日][kyuureki:309-01-01]]のどちらも辛丑。
[SRC[>>35 p.[V[四七]]]]
- [38] [CITE[日本後紀]]弘仁九月詔
-- [39] 
[[天武天皇]]の[[白鳳]]が[[奈良時代]]の文献にまったく載せられず[[平安時代]]に[[天武天皇]]時代に結びつけられること
([[坂本太郎]]説)、あり得るか。[[説話]]であれば見られる現象、
重大な[[年号]]でもあり得るか。
[SRC[>>35 p.[V[六三]]]]
--- [40] 
[[天武天皇]]時代の[[白鳳]]、[[朱雀]]を示す文献は[[年代記]]その他20にも達するだろう、
何か拠るところがあると思われる。
[SRC[>>35 p.[V[六三]]]]
- [41] [CITE[万葉集]]左注所引[CITE[日本紀]]紀年
-- [42] 
[CITE[日本紀]]天智紀と持統紀が同一性質なら、
持統紀の[[干支]]も[[1年ずれ]]るべきが、
現存[CITE[日本書紀]]と一致している。
持統天皇元年丁亥を朱鳥元年とする[CITE[日本紀]]が存在した ([[木村正辞]]説)。
[SRC[>>35 p.[V[六七]]]]
--- [43] 
[CITE[日本皇帝系図]]
[[持統天皇]]治世「十年」、「朱鳥十」
[SRC[>>35 p.[V[六七]]]]
-- [303] 
[CITE[革命勘文]]「至于天豐財重日足姬天皇七年庚申年」
[SRC[>>35 p.[V[六五]]]]
--- [304] [CITE[万葉集]]左注と一致
--- [305] 旧[CITE[日本紀]]が存在したと考えて差し支えない
- [44] [CITE[日本書紀]]持統天皇10年
「冬十月己巳朔乙酉」
[SRC[>>35 pp.[V[六七]]-[V[六八]]]]
-- [45] [CITE[政事要略]]巻六十九
「国史云。持統天皇十年冬十月庚午朔乙酉」、同一記事
[SRC[>>35 pp.[V[六七]]-[V[六八]]]]
- [47] [[曲水宴]]
[SRC[>>35 pp.[V[一一四]]-[V[一一五]]]]
-- [48] 
[CITE[日本書紀]]顕宗天皇元年「三月上巳。幸後苑曲水宴。」
「二年春三月上巳。幸後苑曲水宴。是時[SNIP[]]」
-- [49] 
[CITE[明文抄]]帝道部下「雄略天皇元年三月上巳。幸後苑曲水宴。是時[SNIP[]] 日本紀」
-- [50] 
[CITE[年中行事秘抄]][CSECTION[曲水宴事]]
「日本紀云。雄略天皇元年三月上巳。幸後苑曲水宴云々。弘計天皇二年三月上巳。幸後苑曲水宴。是時[SNIP[]]」

[REFS[

- [34] 
[CITE[[[日本書紀成立の研究]]]]
-- [35] 
[CSECTION[第二章 日本書紀後世改删説の再検討]]
-- [46] 
[CSECTION[第四章 旧日本紀の逸文]]
-- [51] 
[CSECTION[第五章 弘仁私記と旧日本紀]]
-- [138] 
[CSECTION[第六章 続日本紀の年代学的研究]]
-- [264] 
[CSECTION[第七章 日本書紀の年代学的研究]]
-- [618] 
[CSECTION[第八章  奈良時代における四分暦の存在について]]
-- [698] 
[CSECTION[第九章  奈良時代の紀年法と中国の紀年法]]
-- [830] 
[CSECTION[第十二章  天武紀の改删と旧日本紀]]
-- [872] 
[CSECTION[第十三章  和銅日本紀の叙述範囲と撰進年代]]
-- [886] 
[CSECTION[増補篇]]
[CSECTION[第一章 二年引き上げられた干支紀年法の源流]]
-- [932] 
[CSECTION[増補篇]]
[CSECTION[第二章  好太王碑文と顓頊暦紀年法]]
- [976] 
[CITE[天孫降臨の原義]]
-- [977] 
[CSECTION[[V[第六章  天孫は西暦前十二世紀末に降臨した]]]],
pp.[L[174]]-[L[207]]

]REFS]

** 一年引き下げられた干支紀年法

[5] [DFN[一年引き下げられた干支紀年法]]説は、
[[現行干支紀年法]]と[[1年ずれ]]た[[干支紀年法]]が使われていたと主張するものです。

- [52] 
[CITE[日本書紀私記]]甲本[CSECTION[弘仁私記序]]
「[SNIP[]]冷泉聖主弘仁四年[SNIP[]]」
[SRC[>>35 pp.[V[一二三]]-[V[一二六]]]]
-- [53] 
[CITE[日本後紀]]弘仁3年6月戊子「是日始令[SNIP[]]読日本紀」
[SRC[>>35 pp.[V[一二三]]-[V[一二六]]]]
-- [54] 
[CITE[釈日本紀]]所引康保2年[CITE[外記勘申]] 弘仁3年説、弘仁4年説
[SRC[>>35 pp.[V[一二三]]-[V[一二六]]]]
-- [55] 
[CITE[日本紀竟宴和歌]] 「弘仁四年講」「外記日記注弘仁三年」
[SRC[>>35 pp.[V[一二三]]-[V[一二六]]]]
-- [56] 
[CITE[本朝書籍目録]]「弘仁四年私記三巻[SNIP[]]」
[SRC[>>35 pp.[V[一二三]]-[V[一二六]]]]
-- [57] 
[[中沢見明]], [[岩橋小弥太]] [[弘仁私記序]]を疑う
[SRC[>>35 pp.[V[一二三]]-[V[一二六]]]]
-- [136] 
弘仁4年は一年引き下げられた干支紀年法、
[SRC[>>51 p.[V[一三九]]]]
--- [137] [CITE[旧日本紀]]と同一の干支紀年法で、[CITE[弘仁私記]]序と[CITE[旧日本紀]]の密接な関係を示唆
-
[15] 
[CITE[菅家文草]]巻七[CSECTION[祭城山神文]]
「維仁和四年歳次戊申五月癸巳朔六日戊戌」
[SRC[>>51 p.[V[一二七]]]]
-- [16] 現行長暦 ([CITE[日本長暦]], [CITE[皇和通暦]], [CITE[三正綜覧]]) では仁和4年戊申5月丁酉朔。
-- [17] 1日癸巳なら6日戊戌なので誤写ではない。
-- [18] 現行長暦でこの付近では寛平元年五月朔が辛卯
--- [19] [CITE[日本紀略]]寛平元年5月壬辰朔
-- [20] 暦法により1,2日の差を生じることがあるから、
仁和4年の翌年寛平元年5月が「仁和四年歳次戊申五月癸巳朔六日戊戌」である。
--- [21] 干支1年引き下げられた己酉年に位置する
-- [23] この文は仁和4年冬至に書いたもので、5月朔の干支を謝ることはないはず
-- [24] 後日または後人が書いたとき誤って翌年の干支を書いたとすれば、
現行長暦「五月辛卯朔六日丙申」か
[CITE[日本紀略]]「五月壬辰朔六日丁酉」とするはず
-- [25] 従って当時使われた[[紀年法]]であること間違いない
- [26] 
[CITE[続日本後紀]]承和5年「冬十月丙午夜彗星見東南[SNIP[]]」
[SRC[>>51 p.[V[一二八]]]]
-- [27] 現行長暦 10月朔乙酉 22日丙午
-- [28] 
[CITE[続日本後紀]]承和5年「十一月辛未彗星見東方是星起十月廿日至今月十七日」
-- [29] 
[CITE[日本紀略]]承和5年「冬十月壬寅是夜彗星見東南[SNIP[]]」
--- [30] 22日壬寅なら1日辛巳
--- [59] 
[CITE[続日本後紀]]によったはずなのに異なるのは、
当時「十月二十二日壬寅」とあったのを現存[CITE[続日本後紀]]は長暦によって訂正している
-- [31] 現行長暦でこの付近では承和6年9月朔己卯, 承和6年閏正月
-- [32] 暦法により2日の差が生じることがあるから、
承和6年己酉9月が「[承和五年戊申]冬十月壬寅」
--- [58] 年干支が1年引き下げられている
- [60] 
寛文十三年版[CITE[日本三代実録]]貞観17年「三月十三日丙申[SNIP[]]」
[SRC[>>51 pp.[V[一二九]]-[V[一三〇]]]]
-- [61] 
宮内庁書陵部所蔵谷森健男旧蔵本「三月十三日癸巳」
-- [63] 
[CITE[新訂増補国史大系]]編者校合: 現存諸写本は「三月十三日癸巳」
-- [64] 現行長暦 貞観17年3月1日辛巳 3月13日丙申, 貞観18年3月1日己卯 
-- [62] 暦法により2日の差が生じることがあるから、
貞観18年丙申3月が「[貞観十七年乙未]三月十三日癸巳」
--- [65] 年干支が1年引き下げられている
-- [66] 
[CITE[日本三代実録]]編纂時の資料に「貞観十七年三月十三日癸巳」
のようなものがあったが、編者が現行紀年法に換算し忘れた、
諸写本はそのまま伝えているが寛文版本は現行長暦の暦日に訂正されている
- [67] 
寛文十三年版[CITE[日本三代実録]]元慶7年「三月三日己巳」
[SRC[>>51 p.[V[一三〇]]]]
-- [68] 
宮内庁書陵部所蔵谷森健男旧蔵本「三月三日丙寅」
-- [69] 
[CITE[新訂増補国史大系]]編者校合: 現存諸写本は「三月三日丙寅」
-- [70] 
現行長暦 元慶8年3月1日壬戌
-- [71] 暦法により2日の差が生じることがあるから、
元慶8年甲辰が「[元慶7年]三月三日己巳」
--- [72] 年干支が1年引き下げられている
- [73] 年干支が1年引き下げられ月朔2日のずれの4例
[SRC[>>51 p.[V[一三一]]]]
-- [74] 従来誤った暦日と片付けられていた
-- [75] 4例まったく同一性質、現行長暦と一定の時間的距離だから、
偶然的な誤りでないこと明らか
-- [76] 
1年引き下げられた[[干支紀年法]]、
現行長暦とは異質の暦法によっていることわかる
- [77] 
[CITE[類聚国史]]巻第二十八[CSECTION[天皇還御]]
「承和五年十二月辛酉朔乙丑」
[SRC[>>51 pp.[V[一三一]]-[V[一三三]]]]
-- [78] 
[CITE[続日本後紀]]にこの記事なし
-- [79] 
現行長暦 承和5年12月朔乙酉 12月に辛酉も乙丑もなし, 
承和4年11月朔辛酉
-- [80] 
[CITE[続日本後紀]] 承和4年「冬十一月辛丑朔」 類似記事
--- [81] 
現行長暦 11月朔辛酉
--- [82] 
[CITE[日本紀略]] 同様
--- [87] 
[CITE[続日本後紀]]の辛丑は辛酉の誤り
---- [88] 
現存[CITE[続日本後紀]]の原本に「辛酉朔乙丑」とあったものを誤ったのでは
-- [89] 
[CITE[類聚国史]]は現存[CITE[続日本後紀]]でなくその原本によった
--- [90] 
原本がそうだったのは編纂原資料に異質の暦日があり編者が換算しなかった
--- [91] 
後人が長暦に合致しないので承和5年から承和4年に移動した
-- [92] 
現行長暦の承和4年11月を承和5年12月と呼ぶ = 置閏法を異にする暦法、1年引き上げられた紀年法
- [93] 
[CITE[日本後紀]]桓武天皇紀
「延暦十八年春正月丙午朔乙丑」(20日) [[和気広虫]]没
[SRC[>>51 pp.[V[一三三]]-[V[一三五]]]]
-- [95] 
[CITE[日本後紀]]延暦18年2月乙未(21日) 「延暦十七年正月十九日薨」
--- [97] [CITE[新訂増補国史大系]] 頭註「彼此有一誤」
-- [96] 
和気清麻呂伝 「延暦十七年戊寅正月十九日薨」
-- [99] 年と日が違っている、誤写ではない
-- [98] 果たして誤りか
-- [100] 平安時代に一年引き下げられた干支紀年法が行われたことは明らか,
よって[[紀年法]]差と考えられる
--- [103] 現行紀年法「延暦18年1月20日乙丑」 = 「延暦17年1月19日」
--- [101] 19日乙丑なら1日丁未
--- [102] 現行長暦 1日乙巳
--- [104] 2日ずれがある
-- [105] 仁和4年5月の事例は現行長暦寛平元年5月と2日の差異があるにも関わらず、
[CITE[日本紀略]]寛平元年5月朔と1日差,
これと同質で[CITE[日本後紀]]「延暦18年1月20日」はこれを現行干支紀年法に換算したもの
-- 
[106] 
現行紀年法承和4年を[CITE[類聚国史]]が承和5年、
現行紀年法延暦18年を[CITE[日本後紀]]が延暦17年
--- [107] 
年干支と月朔干支には構造的関連があるが、年号紀年と月朔干支の間にはない
--- [108] 
[CITE[菅家文草]]仁和4年歳次戊申は仁和4年が西暦888年から1年引き下げられて西暦889年に位置するのではなく、
「歳次戊申」が1年引き下げられて西暦889年の月朔干支を用いている
---- [109] 現行干支紀年法にくらべて年干支が1年引き下げられている
---- [110] 
「仁和四年戊申」と称するが現行月朔干支表「仁和五年己酉」に位置する,
仁和5年が戊申年に当たる,
相対的に年号紀年が1年引き上げられている,
仁和4年戊申を仁和5年と称することになる
----- [111] 
過去の年を呼ぶ場合に使用された
----- [112] [CITE[類聚国史]]承和5年はこれに属する
---- [113] 
「仁和四年戊申」と称するが現行月朔干支表「仁和五年己酉」に位置する,
仁和4年が仁和5年に位置しているといえる
----- [114] 
換算する場合に仁和4年を仁和5年とすることがあった
------ [116] 
暦日の換算が簡便なので、
1年引き下げられた干支紀年法の原資料の暦日を現行紀年法に換算する場合に比較的多く用いられたと推測される
----- [115] [CITE[日本後紀]]延暦18年はこれに属する
- [117] 
[CITE[日本紀略]]淳和天皇天長4年「五月庚辰」(20日)  [CITE[経国集]]撰上
[SRC[>>51 p.[V[一三六]]]]
-- [118] 
現行長暦 5月1日辛酉 20日庚辰
-- [119] 
[CITE[経国集]]序 「天長四年五月十四日」
-- [120] 
撰上に6日差を生ずるはずないので同一時点、この解釈に誤りがなければ14日庚辰、1日丁卯
-- [121] 現行長暦 天長3年5月1日丁卯
--- [123] 序文「天長四年」は現行紀年法天長3年に位置する
-- [122] 
1年引き下げられた干支紀年法、月朔干支表天長3年丙午が天長4年丁未に位置するから、
天長4年が丙午年に当たり、
相対的には天長4年が1年引き上げられ、
丙午年に当たる天長3年に位置する
--- [125] [CITE[類聚国史]]承和5年と同一性質、
1年引き下げられた干支紀年法の変形されたもの
- [126] 
[CITE[文徳実録]]撰進
[SRC[>>51 pp.[V[一三七]]-[V[一三八]]]]
-- [127] 
「元慶三年十一月十三日」:
[CITE[新訂増補国史大系]]本, その底本宮内庁書陵部所蔵谷森健男旧蔵本,
[CITE[類聚国史]]巻第百四十七,
[CITE[釈日本紀]]巻第一開題
-- [128] 
「元慶二年十二月十三日」 寛政版本
-- [129] 
[CITE[拾芥抄]]第二十八「元慶二年十二月十三日奏」 
-- [130] 
[CITE[菅家御伝記]]
「元慶二年十二月十三日[SNIP[]]」
-- [131] 
[CITE[文徳実録]]序文に編纂者の1人[[都良香]]の中途死去の旨。
[CITE[日本三代実録]], [CITE[日本紀略]]では元慶3年2月25日死去。
--- [132] よって元慶3年11月13日は現行紀年法
-- [133] 
元慶2年12月13日は延暦17年同様。
1年引き下げられた干支紀年法に伴う暦法が現行長暦と閏月の位置を異にした
- [134] 
平安時代に一年引き下げられた干支紀年法が用いられたことは疑う余地のない事実と断定して誤りない
[SRC[>>51 pp.[V[一三八]]-[V[一三九]]]]
-- [135] 
国史編纂の原資料や祭文や国史・経国集などの序文に使用されている

- [265] 
[CITE[政事要略]]巻六十九「国史云持統天皇十年冬十月庚午朔乙酉」
[SRC[>>264 pp.[V[二八〇]]-[V[二八二]]]]
-- [266] 
[CITE[日本書紀]]持統天皇10年「冬十月己巳朔乙酉」 同文
-- [267] [[小川清彦]] 元嘉暦・儀鳳暦平朔とも己巳朔
-- [268] [CITE[唐代の暦]], [[平岡武夫]]編 万歳通天元年10月朔 庚午
--- [269] [CITE[三正綜覧]] 同様
--- [270] 唐は麟徳暦 = 儀鳳暦定朔
-- [271] [CITE[国史]]が現存[CITE[日本書紀]]とすれば、
暦日のみ改変、到底考えられない
-- [272] 現存[CITE[日本書紀]]以外に10月朔庚午の[CITE[日本紀]]の存在を認めざるを得ない
--- [273] その[CITE[日本紀]]は現存[CITE[日本書紀]]以後のものとは考えられない
--- [274] 現存[CITE[日本書紀]]成立以後に持統天皇10年10月朔の干支を1日移動させたなら、
暦日は一定の暦法で定まるから、他の月朔干支も移動を生じるはずで、
現存[CITE[日本書紀]]と月朔干支の異なる[CITE[日本紀]]が現存するべきだが、ない
-- [275] 
よって[CITE[国史]]は現存[CITE[日本書紀]]以前の旧[CITE[日本紀]]で、
現存[CITE[日本書紀]]と異なる暦法によっていた
- [276] [CITE[日本書紀]]持統天皇7年「二月庚申朔壬戌」
[SRC[>>264 p.[V[二八二]]]]
-- [278] 現行長暦 2月朔庚申
-- [277] 北野本および中臣本所引異本「二月辛酉朔壬戌」
--- [279] 字形から誤写とは考えにくい
--- [280] 後人が暦日を改めたとも考えられない
--- [281] 何か根拠をあってこの暦日
-- [282] [CITE[政事要略]]と同一性質の1日のずれ
- [283] [CITE[日本書紀]]持統天皇8年「五月癸未朔戊子」(6日)
[SRC[>>264 pp.[V[二八二]]-[V[二八四]]]]
-- [284] [CITE[類聚国史]]巻第七十三[CSECTION[歳時部四五月五日]]「持統天皇八年五月甲申朔戊子」(5日)
-- [285] [CITE[類聚国史]]が6日を誤りと考え5日に移動させたか? 朔を変更することはあり得ない
-- [286] [CITE[類聚国史]]は現存[CITE[日本書紀]]と異なる[CITE[日本紀]]から引用したこと間違いない
-- [287] [CITE[日本書紀]]改删で暦法が変更され1日差が生じた
--- [288] 5月5日の饗宴だから暦日も丁亥に改めるべきだったが、
旧[CITE[日本紀]]の暦日のままにしたため暦日と記事で矛盾が生じた
--- [289] 現存[CITE[日本書紀]]が書き改められた有力な証拠、
[CITE[類聚国史]]は旧[CITE[日本紀]]の暦日と断定できる
- [290] [CITE[日本書紀]]持統天皇9年「八月丙子朔乙巳」(30日)「九月乙巳朔戊申」
[SRC[>>264 p.[V[二八四]]]]
-- [291] 乙巳が30日なら8月は大、9月1日が乙巳なら8月は小
-- [292] 現存[CITE[日本書紀]]は8月を小とするが、旧[CITE[日本紀]]の暦法は8月乙巳が存在したため
- [293] 
一年引き下げられた干支紀年法
[SRC[>>264 pp.[V[二八五]]-[V[二八八]]]]
-- [294] 
[CITE[万葉集]]18左注「日本書紀曰六年丙寅春三月辛酉朔己卯」
--- [295] 
[CITE[日本書紀]]天智天皇6年「三月辛酉朔己卯」
---- [296] 天智天皇元年壬戌 6年丁卯
-- [297] 
[CITE[万葉集]]21左注「紀曰天皇七年丁卯夏五月五日」
--- [298] 
[CITE[日本書紀]]天智天皇「七年五月五日」
---- [299] 戊辰
-- [300] 本文と即位紀年は合致、干支紀年のみ1年ずれ
--- [301] 左注の誤引用ではない
---- [302] [CITE[革命勘文]]
--- [306] 
現存[CITE[日本書紀]]は年干支と月朔干支の関係が現行長暦と合致
--- [307] 左注丙寅年が現行紀年法丁卯年 = 西暦667年を指すこと明らか、
左注[CITE[日本紀]]の紀年法は現行紀年法より年の干支を1年引き下げているか、
即位紀年が1年引き上げられているとも
---- [308] 
左注の月朔干支より、即位紀年の1年引き上げでなく、干支紀年を1年引き下げている
- [309] 
[CITE[続日本紀]]文武天皇二年八月丁未条「天智天皇五年」
[SRC[>>264 pp.[V[二八八]]-[V[二八九]]]]
-- [310] 
[CITE[日本書紀]]天智天皇6年11月是月
-- [311] 
[CITE[新訂増補国史大系]] 頭注 後人加筆、 5年を6年の誤り
-- [312] 後人の加筆なら[CITE[日本書紀]]により6年にするはず
--- [313] 加筆ではないか、加筆だとしても現存[CITE[日本書紀]]によるものではない
--- [314] 旧[CITE[日本紀]]と現存[CITE[日本書紀]]の[[1年ずれ]]ではないか
- [315] 
[CITE[万葉集]]50左注「日本紀曰朱鳥七年癸巳秋八月[SNIP[]]八年甲午春正月[SNIP[]]冬十二月庚戌朔乙卯」
[SRC[>>264 pp.[V[二八九]]-[V[二九〇]]]]
-- [316] 
[CITE[日本書紀]]持統天皇7年「八月戊午朔」8年春正月乙酉朔「乙巳[SNIP[]]十二月庚戌朔乙卯」
-- [317] [CITE[日本書紀]]持統天皇元年が左注朱鳥元年
-- [318] 左注の作為とは考えられないから、旧[CITE[日本紀]]からの引用と見て誤りないであろう
-- [319] 年の干支と月朔干支の関係は一致
-- [320] 左注[CITE[日本紀]]と現存[CITE[日本書紀]]の年干支は一致
- [321] 
[CITE[万葉集]]195左注「日本紀曰朱鳥五年辛卯九月己巳朔丁丑」
[SRC[>>264 pp.[V[二九〇]]-[V[二九一]]]]
-- [322] 
現存[CITE[日本書紀]]持統天皇「五年九月己巳朔丁丑」(辛卯年)
-- [323] 
年の干支と月朔干支の関係は一致
-- [324] 
年干支は移動されていない
- [325] 
現存[CITE[日本書紀]]は朱鳥元年のみで廃止されているが、
左注[CITE[日本紀]]は朱鳥8年まで使用し、
元年の位置は異なる。
異なる[CITE[日本紀]]であること明らかだが干支紀年は同様
[SRC[>>264 pp.[V[二九一]]-[V[二九一]]]]
-- [326] 
天智紀, 天武紀では年の干支が1年引き下げ、
持統紀では現存[CITE[日本書紀]]と一致,
干支紀年法は連続性を有するものなのに不可解
- [330] 現存[CITE[日本書紀]] 持統天皇元年丁亥、11年丁酉8月1日譲位
[SRC[>>264 pp.[V[二九一]]-[V[二九三]]]]
-- [327] 
[CITE[一代要記]]持統天皇「丁亥歳為元年[SNIP[]]丙申八月一[ASIS[月]]」譲位
-- [328] 
[CITE[帝王編年記]]持統天皇 元年丁亥、10年まで、「十年丙申八月一日」譲位
-- [329] 
流布本[CITE[水鏡]]持統天皇 丁亥元年 10年譲位 (丙申)
-- [331] 
1年引き下げられた干支紀年法の丙申年なら、現行干支紀年法丁酉年 = 西暦697年で一致
-- [332] 
旧[CITE[日本紀]]では持統天皇在位10年、丙申年8月1日譲位と思われる
- [333] 現存[CITE[日本書紀]]持統天皇6年「夏四月丙申朔丁酉」(2日)
[SRC[>>264 pp.[V[二九三]]-[V[二九四]]]]
-- [334] 
北野本「四月丙申朔丁酉」(2日)
-- [335] 
字形から誤写とは考えられない
-- [336] 
同一日付なので換算操作であること明らか
-- [337] 
8日差、そのような曆は存在せず不可解
-- [338] 
現行長暦 持統天皇7年5月己丑朔、7月戊子朔
--- [339] 4月が7月に位置することあり得ない
--- [340] 朔1日差の5月に位置すると考えられる
-- [341] 天平勝宝9歳3月29日辛酉と同一性質の暦日
--- [342] 「四月戊子朔己丑」は持統天皇6年壬辰と称するが干支を1年引き下げた持統天皇7年癸巳に位置する暦日
-- [343] 北野本の1年引き下げられた干支紀年、
後人の作為とは考えられない、
旧[CITE[日本紀]]の暦日の残存
-- [344] 旧[CITE[日本紀]]の持統紀は年の干支が1年引き下げられていると見て誤りない
- [345] 
旧持統紀の干支紀年が1年引き下げられているから元年干支が異なるはずなのに、
どちらも元年丁亥
[SRC[>>264 pp.[V[二九四]]-[V[二九五]]]]
-- [346] 
現存持統紀は旧持統紀にくらべて持統天皇即位年を1年引き下げている
-- [347] 
よって干支紀年が即位紀年を帯同して1年引き下げられているから
-- [348] 
現存[CITE[日本書紀]]と旧[CITE[日本紀]]が天智天皇、天武天皇、弘文天皇の在位年数を異にしているため
-- [349] 
持統紀の干支が1年引き下げられているなら、左注の暦日が矛盾する
--- [350] 
左注の暦日は現存[CITE[日本書紀]]で訂正されているものが混在している
- [351] 
[CITE[万葉集]]44左注
「日本紀曰朱鳥六年壬辰五月乙丑朔庚午」
[SRC[>>264 p.[V[二九五]]]]
-- [352] 
[CITE[日本書紀]]持統天皇6年「五月乙丑朔庚午」
-- [353] 
北野本、中臣本所引異本「丙寅朔」
-- [354] 丙寅は旧[CITE[日本紀]]
-- [355] 左注は旧[CITE[日本紀]]に合わず、現存[CITE[日本書紀]]で訂正された
- [356] 
[CITE[旧事本紀]]
[SRC[>>264 pp.[[二九七]]-[V[三一五]]]]
-- [357] 仁賢天皇「十一年(戊寅)秋八月庚戌朔丁巳」武烈天皇「元年(戊寅)十一月戊寅朔戊子」
「二年己卯春三月丁丑戊寅」「八年冬十二月壬辰朔己亥」
--- [358] [CITE[日本書紀]] 仁賢天皇「十一年(戊寅)秋八月庚戌朔丁巳」
武烈天皇 (即位前) 「十一年十二月」「元年春三月丁丑朔戊寅」「八年冬十二月壬辰朔己亥」
--- [359] 
[CITE[旧事本紀]]は武烈天皇元年・2年の位置を[CITE[日本書紀]]より1年引き上げている
--- [360] 
称元法の違いなら崩御は8年でなく9年になるはず
--- [361] 
8年は現存[CITE[日本書紀]]、元年・2年は他の資料によったための矛盾と思われる
---- [362] 元年・2年のみ崩年称元法によるか、
現行紀年法より1年引き下げられた干支紀年法のため即位紀年が1年引き上げられているように見えるか
--- [363] [CITE[旧事本紀]] 度会延佳校訂[CITE[鼇頭旧事紀]] 「元年」の2字がなく「二年」が「元年」
--- [364] [CITE[新訂増補国史大系]]本 延佳本による
--- [365] 延佳本は[CITE[日本書紀]]で校訂したと思われ原形とは考え難い
-- [366] 
安康天皇「三年秋八月甲申朔壬辰」雄略天皇「元年十一月壬子朔甲子」「二年丁酉春三月庚戌朔壬子」
「廿三年己未秋八月庚午朔丙子」
--- [367] 
[CITE[日本書紀]]
安康天皇「三年秋八月甲申朔壬辰」雄略天皇 (即位前 安康天皇3年)「十一月壬子朔甲子」
「元年春三月庚戌朔壬子[SNIP[]]太歳丁酉」
「廿三年八月庚午朔丙子」
--- [368] [CITE[旧事本紀]]雄略天皇元年が[CITE[日本書紀]]より1年引き上げられている
--- [369] [CITE[旧事本紀]]雄略天皇23年は戊午年でなければならないのに1年ずれている
--- [370] 2種の資料によったもの、元年は現存[CITE[日本書紀]]以外、
元年のずれは称元法の違いか干支紀年法によるずれ
--- [371] 度会延佳校訂[CITE[鼇頭旧事紀]] (延本) 
雄略天皇元年「元年十一月壬子朔」の「元年」がなく「二年丁酉」が「元年丁酉」、
他の諸本と違う
--- [372] [CITE[新訂増補国史大系]]本 
元年頭注「元年、延本无。按書紀誤。当削。」
二年頭注「二、当拠延本及書紀作元。」
--- [373] 
[[鎌田純一]] [CITE[先代旧事本紀の研究 (校本の部)]]
二年頭注「二、拠延本当作元」
--- [374] 延本校訂は延佳が[CITE[日本書紀]]と比較して校訂したものと思われる
-- [375] 
(欽明天皇即位前) 「武小広国押盾天皇四年(己未)冬十月」
「元年歳次己未冬十二月庚辰朔甲申」
「二年(庚申)春正月庚戌朔甲子」
「三年(辛酉)春二月」
「十五年(甲戌)春正月戊子朔甲午」
「三十二年(辛卯)夏四月戊寅朔壬辰」
--- [376] 
[CITE[日本書紀]] (欽明天皇即位前) 「四年(己未)冬十月[SNIP[]]冬十二月庚辰朔甲申」
「元年(庚申)春正月庚戌朔甲子[SNIP[]]太歳庚申」
「二年(辛酉)春三月」
「十五年(甲戌)春正月戊子朔甲午」
「三十二年(辛卯)夏四月戊寅朔壬辰」
--- [377] 
[CITE[旧事本紀]]は元年、2年、3年を1年引き上げ。15年、32年は一致。
称元法か干支1年引き下げか。
-- [378] 
仲哀天皇「九年(庚辰)春二月癸卯朔丁未」神功皇后「元年冬十月丁巳朔甲子[SNIP[]]大歳辛巳改為摂政元年」
「二年冬十一月丁亥朔甲午」「三年春正月丙戌朔戊子」「六十九年夏四月辛酉朔丁丑[SNIP[]]冬十月戊午朔壬申」
--- [379] 
[CITE[日本書紀]]
仲哀天皇「九年(庚辰)春二月癸卯朔丁未」神功皇后元年「冬十月癸亥朔甲子[SNIP[]]大歳辛巳即為摂政元年」
「二年冬十一月丁亥朔甲午」「三年春正月丙戌朔戊子」「六十九年夏四月辛酉朔丁丑[SNIP[]]是年也太歳己丑」
--- [380] 元年10月朔干支相違, 現行長暦元年10月朔癸亥, 2年10月朔丁巳
--- [381] [CITE[旧事本紀]]元年は実は[CITE[日本書紀]]2年を指している
--- [382] 字形から誤写ではない
--- [383] [CITE[日本書紀]]甲子日は2日、[CITE[旧事本紀]]甲子日は8日でどちらも同じ月
--- [384] してみると[CITE[旧事本紀]]辛巳年は干支が1年引き下げられた紀年法
--- [385] 2年、3年、69年が[CITE[日本書紀]]と合致するから、
異種の紀年法が混在
--- [386] 称元法の差だとすると、[CITE[日本書紀]]と同じ踰年に形式的には見えるが、
[CITE[旧事本紀]]元年は実質的に壬午年に位置するから、踰年法より1年引き下げて空位を生じている
--- [387] 従って称元法の差異ではなく[CITE[旧事本紀]]が年の干支を1年引き下げている
-- [388] 
応神天皇即位前 「歳次庚辰冬十二月[SNIP[]]皇太后摂政三年立為皇太子時年三歳」
--- [389] 延本 「三歳」を「四歳」と訂正
---- [390] [CITE[日本書紀]]の推算で訂正したと思われる
--- [391] 
[CITE[旧事本紀]]摂政3年は[CITE[日本書紀]]同様癸未年なので4歳のはず,
3歳は紀年法に矛盾が内在
--- [392] 
庚辰年が1年引き下げられ辛巳年の位置だったなら3歳と一致するので、
即位前紀「歳次庚辰」も辛巳年に位置しているとわかる
-- [393] 
仲哀天皇「元年歳次壬申春正月庚寅朔庚子」
--- [394] 
[CITE[日本書紀]] 仲哀天皇「元年(壬申)春正月庚寅朔庚子[SNIP[]]大歳壬申」「二年春正月甲寅朔甲子」
--- [395] 話に違いがあり[CITE[日本書紀]]以外の資料を用いていること明らか
--- [396] 
仲哀天皇即位が壬申年正月庚寅朔庚子、元年、は共通。その後の[CITE[日本書紀]]元年9月、
11月、閏11月の記事が[CITE[旧事本紀]]では即位の日。
[CITE[日本書紀]]2年1月が[CITE[旧事本紀]]元年1月即位日。
[CITE[日本書紀]]2年2月、3月、7月、9月が[CITE[旧事本紀]]元年2月、3月、7月、9月。
--- [397] 
[CITE[旧事本紀]]は2種の資料による混同。
[CITE[日本書紀]]による仲哀天皇元年壬申と他の原拠からの現行紀年法2年の位置が壬申年
--- [398] 
仲哀天皇元年と成務天皇崩御、両者とも西暦190年崩御後辛未年空位。称元法に違いなし。
--- [399] 従って干支を1年引き下げている紀年法。
-- [400] 
[CITE[旧事本紀]]の一部は現行紀年法より干支が1年引き下げている紀年法を使っている
-- [401] 
[CITE[旧事本紀]]の大部分は現存[CITE[日本書紀]]の紀年法
-- [402] 
異種の紀年法の混在は[CITE[旧事本紀]]の杜撰さを示す、編者の作為とは思えない
--- [405] 
作為なら、[CITE[日本書紀]]の紀年法と暦法によるはず
--- [403] 
紀年法の性質の違いに留意しなかったか、知らなかった
--- [404] 
[CITE[旧事本紀]]の1年ずれた干支紀年法は、現存[CITE[日本書紀]]成立後の作為でなく、
成立以前に既に存在した紀年法
- [406] 
[CITE[扶桑略記]]
[SRC[>>264 pp.[V[三一五]]-[V[三二九]]]]
-- [407] 
応神天皇「四十一年庚午二月十五日天皇春秋百一歳崩[LINES(smaller)[一云百][廿二崩]][SNIP[]]元年庚寅相当晋第一主武皇帝泰始五年[LINES(smaller)[一云][当太]][BR[]][LINES(smaller)[始六][年]]」
--- [408] 太始は泰始の通用だろう
--- [409] 現行紀年法応神天皇元年庚寅 = 泰始6年
--- [410] 
[CITE[扶桑略記]]応神天皇即位前「[SNIP[]]庚寅歳正月丁亥日行年七十即位」2年「二年辛卯三月壬子日」
---- [411] >>407 の「元年庚寅」と一致、年齢は71のあず
--- [412] 
神功皇后摂政前「冬十二月誕生皇子[SNIP[]]明年辛巳」
---- [413] 
辛巳の前年なので冬12月は仲哀天皇9年庚辰(西暦200年)、応神天皇元年庚寅(西暦270年)には71歳のはず
--- [414] 
[CITE[日本書紀]]神功皇后摂政前 (仲哀天皇9年) 「十二月戊戌辰辛亥」
応神天皇「元年春正月丁亥朔皇太子即位是年也太歳庚寅」
「四十一年春二月甲午朔戊申天皇崩于明宮時年一百一十歳」
---- [415] 
111歳のはず
--- [416] 
[CITE[日本紀略]]
「仲哀天皇九年(庚辰)十二月戊戌朔辛亥」
「応神天皇元年(庚寅)正月丁亥朔即位年七十」
「四十一年(庚午)二月甲午朔戊申崩年百十」
--- [417] 
[CITE[帝王編年記]]
「仲哀天皇九年庚辰十二月」
「応神天皇元年(庚寅)正月丁亥朔即位七十一」
「四十一年庚午二月崩年百十一」
--- [418] 
[CITE[皇代記]]
「仲哀天皇九年庚辰誕生」
「応神天皇元年庚寅正月丁亥即位年七十」
「四十一年庚午二月崩年百十一」
--- [419] 
[CITE[皇年代略記]]
「仲哀天皇九年庚辰十二月」
「応神天皇元年庚寅正月丁亥朔即位七十一」
「四十一年庚午二月甲午朔戊申崩百十一」
--- [420] 
[CITE[皇年代私記]]
「仲哀天皇九年庚辰十二月」
「応神天皇元年庚寅正月丁亥朔即位七十一」
「四十一年庚午二月甲午朔戊申崩百十一」
--- [421] 
年は一致しているのに宝算は不一致
---- [422] 
宝算101の紀年法が存在したこと明らか
---- [423] 
[CITE[扶桑略記]]は紀年法に矛盾を内包している
-- [424] 
応神天皇「八年丁酉夏四月」
--- [425] 
[CITE[日本書紀]]応神天皇「九年(戊戌)夏四月」
-- [426] 
泰始5年 = 己丑(西暦269年)、中国の干支紀年は後漢以来移動されたことはない、
己丑 = 神功皇后69年。即位70歳が神功皇后69歳に当たることと符合
--- [427] 
[CITE[扶桑略記]]応神天皇元年は庚寅年と称するが実は神功皇后69年己丑を指している,
[CITE[扶桑略記]]が8年に係けるのと照応
--- [428] 
[CITE[日本書紀]]の9年と異なり[CITE[扶桑略記]]が8年なのは、
日中対比、即位宝算と同様に1年引き上げられているから、偶然的な誤りとは考えられない
-- [429] 
[CITE[扶桑略記]]応神記に2種の紀年法が混在している。
--- [430] 1年引き上げられた紀年法。
---- [431] [CITE[旧事本紀]]では神功皇后元年の干支が1年引き下げられている
---- [432] 干支が1年引き下げられている干支紀年法で神功皇后69年は戊子年、
応神天皇元年は己丑年
---- [433] [CITE[扶桑略記]]宝算70歳は1年引き下げられた干支紀年法 = 旧干支紀年法 = 旧紀年法
--- [434] つまり誕生年と崩御宝算は現行干支紀年法、即位宝算は旧干支紀年法
--- [435] 
旧干支紀年法では、泰始5年 = 己丑年 = 応神天皇元年。
現行干支紀年法では、年の干支が1年引き上げられ、泰始6年 = 庚寅年 = 応神天皇元年。
---- [436] 宝算1歳ずれと同一性質。
-- [437] 
日中のずれは他にも
--- [438] [[顕宗天皇]]「元年乙丑。相当後魏文帝十四年[LINES(smaller)[一云斉王][永明三年]]
--- [439] [[仁賢天皇]]「元年戊辰。相当後魏文帝十七年[LINES(smaller)[一云当斉][王永明六年]]
--- [440] [[武烈天皇]]「元年己卯。相当後魏文帝廿八年[LINES(smaller)[一云当斉][王永元元年]]
--- [441] 顕宗天皇を1年引き上げている、年干支については1年引き下げている
--- [442] 分注は現行干支紀年法
--- [443] [CITE[扶桑略記]]編者は本文で原拠に従い分注で現行干支紀年法による対比を示した
--- [444] よって[CITE[扶桑略記]]編纂当時現行干支紀年法にくらべ年干支を1年引き下げた紀年法による文献が存在したこと明らか
--- [445] [CITE[扶桑略記]]編者の誤りなら分注で現行干支紀年法と合致する一説として記すはずがない
--- [446] 1年ずれという一定数なので偶然的な誤りとは考えられない
-- [447] 他の年代記類も同様
-- [448] [CITE[帝王編年記]]神功皇后
「五十九年己卯[SNIP[]]当魏廃帝甘露三年也」
--- [449] 現行干支紀年法魏甘露3年戊寅 西暦258年 = 神功皇后58年
--- [450] [CITE[新訂増補国史大系]]本頭注「或当作五十八年戊寅」
-- [451] 写本伝写時、書写者が原本の誤りを発見すれば訂正することが多いだろう
--- [452] [CITE[旧事本紀]]は[CITE[日本書紀]]が重要な原拠なので対比される場合が多いこと想像に難くない
--- [453] [CITE[扶桑略記]]も[CITE[日本書紀]]によった箇所が多い
--- [454] 原本は現存諸本より多くの年代的矛盾、次第に年月日が[CITE[日本書紀]]化されたと思われる
-- [455] 
2種以上の史籍、同一事件の記述
--- [456] 事件の記述が相違することがあるのは当然だが、
生起した時点が2回以上とは考えられないから、信憑されるものを準拠として訂正され次第に画一化される傾向
-- [457] 異種の紀年法によるものと知られていた時代は日付の相違はそのまま伝えられるだろう、
記憶が喪失されると誤りとされ訂正が加えられると思われる
-- [458] 内容に後人が作為は可能性あるが、
事件の日付の恣意変改はほとんど考え得られない、標準となるものに合わせられるだろう
--- [459] 
[CITE[旧事本紀]]や[CITE[扶桑略記]]なども後人の作為でなく
現存[CITE[日本書紀]]以前から存在していたと断定して誤りないであろう
--- [460] 
[CITE[万葉集]]左注所引旧[CITE[日本紀]]紀年法と全く符節を合するから、
旧[CITE[日本紀]]の紀年法であるとしてほぼ誤りないだろう
- [461] 
[CITE[続日本紀]]
[SRC[>>264 pp.[V[三二九]]-[V[三三六]]]]
-- [462] 
1年引き下げた干支紀年法が現存[CITE[日本書紀]]成立以前に使用されていたこと明らかにできた
-- [463] 
[[奈良時代]]に1年引き下げられた干支紀年法が施行されていた事実を明らかにできれば、
旧[CITE[日本紀]]が1年引き下げられた干支紀年法によって編纂されたことの1つの根拠となろう
-- [464] 
廃帝 (淳仁天皇) 即位前紀
「天平勝宝[SNIP[]]九歳三月廿旧日辛丑[SNIP[]]四月四日乙巳」
--- [465] 現行長暦 天平勝宝9歳3月朔己酉 3月29日丁丑 3月辛丑なし 4月1日戊寅 4月4日辛巳
--- [478] 3月20日辛丑なら3月1日癸酉
--- [466] 
孝謙天皇天平宝字元年 (天平勝宝9歳)
「三月丁丑」
--- [467] 
[CITE[新訂増補国史大系]]本頭注 辛丑を丁丑の誤りと
--- [468] [CITE[日本紀略]] 廃帝即位前 「天平勝宝九歳三月廿九日辛丑」
---- [469] [CITE[日本紀略]]成立以前から存在した誤写
--- [470] 字形から[CH[丁]]を[CH[辛]]と誤らない
--- [471] 4月4日乙巳なら4月1日壬寅
--- [472] [CITE[続日本紀]]天平宝字元年「四月辛巳」
--- [473] 字形から[CH[辛]]を[CH[乙]]と誤らない
--- [474] [CITE[日本紀略]] 廃帝即位前 「四月乙巳」
--- [475] [CITE[新訂増補国史大系]]本 「乙巳」は「辛巳」の誤り
--- [476] [CITE[三正綜覧]] 天平宝字2年4月1日壬寅, [CITE[日本長暦]], [CITE[皇和通暦]]も
--- [477] 天平勝宝9歳は実は天平宝字2年に位置する
--- [479] [CITE[三正綜覧]], [CITE[日本長暦]], [CITE[皇和通暦]] 天平勝宝9歳付近に朔癸酉なし 天平宝字2年3月朔壬申 ([[儀鳳暦]])
--- [480] [CITE[三正綜覧]]唐乾元元年 (= 天平宝字2年) 3月朔癸酉、[[平岡武夫]]編[CITE[唐代の暦]]も ([[大衍暦]])
--- [481] [CITE[続日本紀]]天平宝字7年8月戊子(18日) 「廃儀鳳暦始用大衍暦」
---- [482] 実際は大衍暦が天平宝字7年以前から行われていたのか
---- [483] だとしても1年ずれ (年干支1年引き下げ)、普通の大衍暦でない
--- [484] [CITE[続日本紀]]誤記、
長暦の天平勝宝9歳を誤って天平宝字2年を引いたためとすると、
「三月廿九日庚子」となるべき
---- [485] 現存[CITE[続日本紀]]の暦法と異なるから誤記とは考えられない
-- [486] 
[[聖武天皇]]即位前 「勝宝七歳勅」 
--- [487] [CITE[続日本紀]]天平勝宝7年になく、天平勝宝8歳5月1日条に
--- [488] 天平勝宝7歳乙未が1年引き下げられ天平勝宝8歳丙申に位置していたため、
1年引き下げられた干支紀年法の例証
-- [489] 天平勝宝9年当時現実の生活の目盛として用いられたか、後人の換算か
--- [490] 「三月十九日」の日付は同一なのに干支が異なる
--- [491] [CITE[類聚三代格]]所収[[格]]、[[金石文]]、[[写経]]奥書などによれば[[奈良時代]]に数字日付が行われ、
間々干支が付記、
数字紀日が基準で干支は付帯的
--- [492] よっていずれも当時の紀日法で同じ「天平勝宝9年3月29日」時点を指すが、
現行紀年法を用いる人は丁丑日と呼び、1年引き下げられた干支紀年法を用いる人は辛丑日と呼んだ
--- [493] 両者はいずれも現実の生活に用いられたといえる
--- [494] しかし一方が現実の暦日、他方が異種の紀年法によって換算した場合もあり得る
---- [495] 1年引き下げられた干支紀年法は現存[CITE[続日本紀]]に僅かに痕跡を留めるに過ぎないから、
現存[CITE[続日本紀]]以前に行われたと思われる
---- [496] [CITE[日本書紀]]の紀年矛盾同様、改删で編年紀は換算されたのに即位前紀は見落とされたためだろう
---- [497] よって一方から他方への換算なら3月29日辛丑が原拠で3月29日丁丑は換算、
3月29日辛丑が現実に用いられた暦日
----- [498] 宮中記事なので、天平勝宝9年当時現実の生活の目盛、しかも政府が使用したもの
--- [499] [[奈良時代]]に1年引き下げられた干支紀年法が施行されていた明証
--- [500] つまり奈良時代には2年引き下げられた干支紀年法も含め、
2種類以上の暦法、
少なくても2種類の紀年法が用いられた
--- [501] 
旧[CITE[日本紀]]が1年引き下げられた干支紀年法で編年され現存[CITE[日本書紀]]と異なる暦法で編纂されていても不思議でない,
政府記録に用いられているのだから十分あり得る
- [502] 
[CITE[法隆寺薬師仏造像記]]「歳次丙午年」
[SRC[>>264 pp.[V[三二六]]-[V[三三八]]]]
-- [503] [CITE[日本書紀]]用明天皇「二年夏四月乙巳朔丙午[SNIP[]]癸丑」 (丁未年 2日 9日)
-- [504] 推古朝において1年引き下げられた干支紀年法が行われたことがわかる
- [505] 
下道圀勝圀依母骨蔵器銘「和銅元年歳次戊申十一月廿七日己酉」
[SRC[>>264 p.[V[三三八]]]]
-- [506] 
現行長暦 11月1日己未
-- [507] 現行長暦 和銅2年12月1日癸未
-- [508] 暦法が異なると1ヶ月ずれることがある
-- [509] 年の干支が1年引き下げられた干支紀年法
- [510] [CITE[日本書紀]]推古天皇「廿九年春二月己丑朔癸巳半夜」 (5日)
[SRC[>>264 pp.[V[三三八]]-[V[三五五]]]]
-- [511] 
[CITE[上宮聖徳法王帝説]]「歳在辛巳十二月廿一日癸酉[SNIP[]]明年二月廿二日甲戌夜半」
--- [512] 2月1日癸丑
--- [513] 現行長暦 壬午年2月22日甲戌
--- [514] 出典 法隆寺蔵繍帳
---- [515] すなわち中宮寺所蔵天寿国曼荼羅であること明らか
-- [516] 
[CITE[法隆寺釈迦三尊造像記]]「法興元丗一年歳次辛巳十二月[SNIP[]]明年正月廿二日[SNIP[]]二月廿一日癸酉」
--- [517] 22日甲戌
-- [518] [CITE[上宮聖徳法王帝説]] 「上宮聖徳法王又云法主王甲午年産壬午年二月廿二日薨逝也」
-- [519] [CITE[上宮太子伝]]「即位廿九年辛巳春二月廿二日半夜」「来年二月廿二日」
--- [520] [CITE[日本書紀]]とほぼ同文、文注にも[CITE[日本記]]等に依った旨、
しかし日付は[CITE[日本書紀]]と異なる
--- [521] 原拠[CITE[日本記]]には2月22日とあったのか、
他の資料によって22日に改めたのか。いずれにせよ2月22日説が存在した。
--- [522] [CITE[日本書紀]]同様辛巳年、[CITE[上宮聖徳法王帝説]]と[CITE[釈迦三尊造像記]]の壬午年と2説
-- [523] 
[CITE[上宮太子拾遺記]]第一「法隆寸安功徳講表白云小治田宮御宇推古天皇御位丗歳歳次壬午即唐高祖神堯皇帝武徳五年二月二十二日甲戌夜半」
-- [524] 壬午年二月二十二日説は法隆寺に伝えられた説とみて差し支えない
-- [525] [CITE[聖徳太子伝暦]]推古天皇二十九年「廿九年[LINES(smaller)[辛][巳]]春二月」
「来年二月五日[LINES(smaller)[或説曰二月][廿日必死]]必死」「明年二月廿二日」
--- [526] 本文は矛盾している
--- [527] 分注は矛盾に気づいて撰者か後人が施したのだろう
--- [528] このような矛盾が生じたのは5日説と22日説が並び行われたから
-- [529] [CITE[扶桑略記]]推古天皇「廿九年辛巳二月廿二日[SNIP[]]一云丗年壬午二月五日」
-- [530] [CITE[帝王編年記]], [CITE[一代要記]]など 29年辛巳2月22日
-- [531] [CITE[皇代記]], [CITE[皇年代略記]], [CITE[皇年代私記]]など 29年2月5日
-- [532] [[南岳大師]]
--- [533] [CITE[扶桑略記]]敏達天皇6年丁酉6月22日条 陳太建9年6月22日 (敏達天皇6年) 没
--- [534] [CITE[唐大和上東征伝]], 宝亀10年との比較より、[CITE[扶桑略記]]がこれを引用していること明らか
---- [535] 宝亀年間、聖徳太子を南岳大師の後身とする伝説が存在したことがわかる
--- [538] [CITE[仏祖統記]]巻第六 南岳大師 太建9年6月22日没
--- [541] [CITE[上宮太子拾遺伝]]第一
「又依弘賢法花伝第四云陳太建九年丁酉六月廿二日」
「南岳思禅師法門伝云至太建九年六月二十二日」
--- [536] 後身説の年代矛盾は平安時代から問題に
---- [537] [CITE[扶桑略記]]敏達天皇6年2月22日条 敏達天皇元年生まれの[[聖徳太子]]が6歳の時に南岳大師没
--- [539] [CITE[上宮太子拾遺伝]][CSECTION[入胎異説事]]「法隆寺旧記中云第三十一敏達天皇元年壬辰唐建徳元年壬辰南岳大師入滅癸巳并此年入胎聖徳太子誕生云々」
---- [540] 入滅を北周建徳元年 (西暦572年) [[聖徳太子]]誕生を翌年の敏達天皇2年癸巳とし、
矛盾を解決
--- [542] 諸書にある[[南岳大師]]入滅6月22日は間違いないだろう
--- [543] [[聖徳太子]]6月22日説は奇跡的色釈が濃厚
--- [544] 南岳大師入滅との関連で、歴史的事実の月日と解し難い
--- [545] 成立時点は釈迦三尊造像記・繍帳にあるから養老4年の[CITE[日本書紀]]以前であること間違いない
--- [546] [CITE[日本書紀]]の2月5日が歴史的事実だとすると、法隆寺の記録が伝説のみ記録することがあり得るか
--- [547] 造像記などの伝説が1年ずらすのはなぜか
--- [548] 2月5日説も事実か疑わしい、両説とも疑わしいが、成立根拠を明らかにできる2月22日説を有力と認めるべき
--- [549] 壬午年2月22日説は現存[CITE[日本書紀]]以前からの有力説と思われるが、
[CITE[日本書紀]]の辛巳年2月5日説は孤立的で一般的とは思われない, 特殊な年月日で[CITE[日本書紀]]独特の作為
--- [550] 
旧干支紀年法の辛巳年 (推古天皇30年) を現行紀年法に切り替えて推古天皇30年にかけるべきを、
切り替えずに推古天皇29年にかけたため、[[1年ずれ]]が生じた
--- [551] 
5日と22日の17日差は直接の換算関係ではない、
いかなる計算で求められたか具体的に明らかにすること困難、
しかし孤立的で特殊な性格ゆえ22日が原形で5日は換算であること間違いない
-- [552] 
[CITE[日本書紀]]寛文9年刊本:「三十一年」、「三十二年」、「三十三年」、「三十四年」
--- [553] 東洋文庫所蔵岩崎本:「三十年」傍書「一」、「三十一年」「二」、「三十二年」「三イ」、「三十三」「四イ」
--- [554] 中臣本所引異本:、「三十一年」、、
--- [555] 寛文9年刊本 4月丙午朔 9月甲戌朔 10月癸卯朔
--- [556] 現行長暦では32年甲申でなく31年癸未と合致
--- [557] かつて干支紀年法が1年引き下げられ31年壬午、32年癸未とされた名残
-- [558] [CITE[日本書紀]] 推古天皇36年「夏四月壬午朔」
--- [559] 現行長暦 36年4月1日丁丑
--- [560] 字形から誤写でない
--- [561] 現行長暦 35年丁亥4月1日癸未 壬午と1日ずれ
--- [562] 1日ずれなので称元法の違いではなく紀年法と暦法の違い
- [583] [CITE[日本書紀]]即位前紀
[SRC[>>264 pp.[V[三五四]]-[V[三六四]]]]
-- [563] 
[CITE[日本書紀]]
仁賢天皇即位前 「白髪天皇元年冬十一月」「二年夏四月」「五年」
--- [564] 
清寧天皇「二年冬十一月」「三年四月乙酉朔辛卯」
--- [565] 
顕宗天皇即位前「白髪天皇二年冬十一月」「白髪天皇三年春正月」「五年春正月」
--- [567] 
[CITE[日本紀略]]仁賢天皇即位前「白髪天皇元年十一月」
--- [566] 紀年が1年引き上げられている,
雄略天皇崩御年から称元法の違いでなく、1年引き下げられた干支紀年法
--- [568] 仁賢天皇即位前紀の原拠は現存[CITE[日本書紀]]でなく1年引き上げられた旧[CITE[日本紀]],
仁賢天皇即位前紀だけ換算漏れ
-- [569] 
[CITE[日本書紀]]
応神天皇元年即位前「歳次庚辰冬十二月」「皇太后摂政之三年[SNIP[]]時年三」
--- [570] 
神功皇后摂政前 (仲哀天皇9年庚辰) 「十二月戊戌朔辛亥」 
--- [571] 神功皇后摂政「三年(癸未)春正月丙戌朔戊子」
--- [572] 4歳のはず
--- [573] [CITE[旧事本紀]]同様1年引き下げられた干支紀年法
--- [574] 旧[CITE[日本紀]]の断片
-- [575] 
[CITE[日本書紀]]雄略天皇20年丙辰冬条、分注所引[CITE[百済記]]蓋鹵王乙卯年冬
--- [576] 
[CITE[三国史記]][CSECTION[百済本紀]]第四 文周王元年 「蓋鹵在位二十一年」 西暦475年乙卯
--- [577] 
[CITE[日本書紀]]原資料は内容から国内資料とは思われない、
原資料は[CITE[百済記]]同様乙卯年にかけていたに違いない
--- [578] 
[CITE[日本書紀]]編者が故意に1年引き下げて丙辰年にかけるはずない,
旧[CITE[日本紀]]編纂時には乙卯年にかけていたに違いない,
現存[CITE[日本書紀]]編纂時に年干支を1年引き上げたためずれた
--- [582] 
西暦475年の事件を西暦476年にかけたから、実年代は1年引き下げられている,
現存[CITE[日本書紀]]は年干支を1年引き上げ乙卯年は丙辰年とされたが、
記事は干支の乙卯に帯同されて1年引き上げられたので丙辰年にかけられることに
-- [579] 
例証は必ずしも多いとはいえないが、
養老[CITE[日本書紀]]再編纂で紀年法は完全に現行紀年法に切り替えられるべきで、
手落ちから取り残された旧[CITE[日本紀]]断片が僅少であることは当然
-- [580] 
即位前紀と編年紀の矛盾、紀年と宝算の矛盾、外国資料との齟齬など、
再編纂で注意が行き届かず換算から漏れる可能性が多い部分
-- [581] 
[CITE[続日本紀]]から検出され奈良時代に現実の生活に用いられた1年引き下げられた干支紀年法が、
[CITE[日本書紀]]以外の金石文等から検出され、
[CITE[日本書紀]]にも内在する、
[CITE[万葉集]]左注[CITE[日本紀]]とも一致する、
旧[CITE[日本紀]]の紀年法と断定して誤りないであろう
- [584] 
[CITE[続日本後紀]]承和6年「八月戊寅[SNIP[]]以庚午年[SNIP[]]以乙未年[SNIP[]]」
[SRC[>>264 p.[V[三六五]]]]
-- [585] [[平田耿二]] 持統天皇9年乙未 西暦695年
-- [586] 造籍は持統天皇10年
-- [587] 乙未年は持統天皇4年庚寅の造籍の5年後、六年一籍制に合致しない
-- [588] 1年引き下げられた干支紀年法
- [589] 
[CITE[続日本紀]]大宝元年「八月癸卯」
[SRC[>>264 p.[V[三六六]]]]
-- [590] 
[CITE[続日本紀]]天平宝字元年12月壬子「大宝二年」
-- [591] 
[CITE[延喜式]]巻第二十九「大宝二年」
-- [592] 1年引き下げられた干支紀年法
- [593] 正倉院御物[[最勝王経竹帙]]銘 「依天平十四年歳在壬午春二月十四日勅」
[SRC[>>264 pp.[V[三六七]]-[V[三六八]]]]
-- [594] 国分寺建立勅 天平13年3月24日説と天平13年2月14日説
-- [595] 天平14年壬午は現行紀年法
-- [596] 1年引き下げられた干支紀年法, 天平14年は辛巳年,
辛巳に着目して天平13年2月14日を1年引き下げられた干支紀年法で呼ぶと天平14年2月14日があり得る,
正確には「天平十四年歳在辛巳」とよぶべきだが、
1年引き下げられた干支紀年法による天平14年と呼び、現行干支紀年法により壬午とした,
1年引き下げられた干支紀年法の正しい呼び方ではなく後世の人が過去の年を呼ぶ場合に起こる現象

- [831] 天武天皇元年
[SRC[>>830]]
-- [832] 薬師寺東塔銘「天皇即位八年庚辰之歳」
--- [833] 現存[CITE[日本書紀]]は1年引き上げられている
-- [834] [CITE[万葉集]]左注[CITE[日本紀]]「天皇四年乙亥夏四月戊戌朔乙卯」 (18日)
--- [835] 現存[CITE[日本書紀]]天武天皇4年乙亥「夏四月甲戌朔辛卯」 (18日)
--- [836] 現行長暦天武天皇5年丙子4月1日戊戌
--- [837] 左注は乙亥年と称するが丙子年に位置する
--- [838] 左注は1年引き下げられている
--- [839] 左注は旧[CITE[日本紀]]によったものと解せざるを得ない、
現存[CITE[日本書紀]]は旧[CITE[日本紀]]の暦日を換算したもの
--- [840] 「四年乙亥」は原注で「三年」だったのが後人により現存[CITE[日本書紀]]化された
-- [841] 現存[CITE[日本書紀]]天智天皇在位は旧[CITE[日本紀]]より1年短縮
--- [842] [CITE[紀氏系図]] 「天智十一年辛未正月五日」
---- [844] [CITE[紀氏系図]]は年の干支が1年引き下げられている, 天智天皇治世1年延長
----- [845] 旧[CITE[日本紀]]のもの
---- [843] [CITE[日本書紀]]天智天皇「十年春正月己亥朔癸卯」(5日)
--- [846] [CITE[懐風藻]] 大友皇子「年廿三立為皇太子[SNIP[]]時年廿五」
---- [847] [CITE[扶桑略記]]天智天皇10年辛未10月立太子
---- [848] [CITE[日本書紀]]天智天皇10年10月17日[[大海人皇子]]出家
---- [849] 年齢が矛盾、[CITE[紀氏系図]]治世11年と照応
--- [850] [CITE[歴代皇紀]]天智天皇「治十年[LINES(smaller)[或十年或][四十一年]]」
---- [851] 41年は何らかの誤り
---- [852] 称制7年の即位から治世4年
---- [853] 10年或10年は意味をなさない
---- [854] 「或十一年或四年」の誤写であることほぼ間違いない
--- [855] [CITE[二中歷]][CSECTION[人代歴]]「天智十一載」
--- [856] [CITE[万葉集]]18左注「日本書紀曰六年丙寅」 21左注「紀曰天皇七年丁卯」
---- [857] 天智天皇元年辛酉
--- [858] [[三善清行]][CITE[革命勘文]] 斉明天皇7年庚申年、天智天皇即位辛酉の年
---- [859] 斉明天皇7年が庚申で天智天皇元年が辛酉であること明らか
--- [860] 左注は旧[CITE[日本紀]]の紀年法と思われるから、
旧[CITE[日本紀]]は天智天皇元年辛酉としたこと間違いないであろう
---- [861] 壬申大友天皇元年、癸酉天武天皇元年
-- [862] 現存[CITE[日本書紀]]天武天皇治世15年
--- [863] ほとんどの年代記15年
--- [864] [CITE[歴代皇紀]]「元年壬申治十五年(或十四年イ)」
--- [865] [CITE[二中歷]][CSECTION[人代歴]] 「天武十四世」
---- [866] [[天智天皇]]も現存[CITE[日本書紀]]等と異なる治世年数。
---- [867] 旧[CITE[日本紀]]の治世年数か。
--- [868] [CITE[万葉集]]195左注「日本紀曰朱鳥五年辛卯」50左注「日本紀曰朱鳥七年癸巳」
---- [869] 旧[CITE[日本紀]]持統天皇元年丁亥
---- [870] よって天武天皇14年丙戌
--- [871] [CITE[日本書紀]]天武天皇2年の太歳記事は旧[CITE[日本紀]]天武天皇元年

- [933] [[好太王碑]]
[SRC[>>932]]
-- [940] 永楽五年歳在乙未
-- [934] 6年以下「歳在」がないが、年の干支を書く場合には「歳在」を省略するのが一般である
-- [935] 6年以下「永楽」がないが、文脈から省略であること明らか
-- [936] [CITE[三国史記]]巻第三十の年表
--- [937] 東晋太元17(392)年壬辰即位、東晋義照9(413)年癸丑死去
--- [939] 好太王5年丙申
-- [938] [CITE[三国遺事]] [CSECTION[王暦]] 「壬辰立治二十一年」
-- [941] 碑文の即位、死去は1年早いが、在位年数は同じ
-- [942] [CITE[三正綜覧]], [CITE[二十史朔閏表]]
-- [943] 「甲寅年九月二十九日己酉」
--- [944] 9月29日己酉 9月1日辛巳
--- [945] 現行干支紀年法甲寅(414)年9月1日丁巳
--- [946] 乙卯(415)年9月1日辛巳
--- [947] 年の干支が1年引き下げられていること間違いないであろう
--- [948] 
ただし[CH[己]]は少数説、通説は[CH[乙]]
---- [949] [CITE[三正綜覧]]甲寅(414)年9月1日丁[ASIS[己]] 29日乙酉
---- [950] 現行長暦と称号して[CH[乙]]と読んだと思われる
--- [951] [CH[己]]であることほぼ明らか
-- [952] 
東アジアで1年引き下げられた干支紀年法は他にないから、
[[顓頊暦紀年法]]と断定して間違いないだろう
-- [953] 
[[日本]]で西暦8世紀に用いられているから、5世紀初頭の[[高句麗]]で用いられる可能性は十分
-- [954] 
[[東晋]]の[[泰始暦]]と[[顓頊暦]]では暦日がずれるはず
--- [955] [[奈良時代]]の[[四分暦]]は1ヶ月と2日か3日のずれ
--- [956] [[好太王碑]]は[[顓頊暦]]でないこと明らか
--- [957] [[暦日]]は[[泰始暦]]と同じ、[[紀年法]]は[[顓頊暦紀年法]]と思われる

*** 四分暦

[619] 
[[一年引き下げられた干支紀年法]]は[[四分暦]]の一種と併用されていたとも主張されています。

[1079] 
初期には[[顓頊暦]] (実際にはそのバリエーション) 説が主張されました。

[597] [CITE[日本書紀]]暦法
[SRC[>>264 pp.[V[三七二]]-[V[四三七]]]]

- [598] 
[CITE[日本書紀]]は[[小川清彦]]によると[[儀鳳暦]], [[元嘉暦]]
-- [599] ただし閏月3箇所, 持統天皇時代
- [600] [[小川清彦]]説で説明できない要素が残る
- [601] 既成の史書の暦日の残存と見るべきではないか, [[儀鳳暦]]でも[[元嘉暦]]でもない暦法の断片
- [602] 現存[CITE[日本書紀]]の原拠が[[儀鳳暦]]・[[元嘉暦]]以外で記述されていたことを示すと解して差し支えないであろう
- [603] 神武天皇在位76年
-- [604] 歴史的事実とは考えられないが、でたらめとも考え難い、思想的根拠があるのでは
-- [605] [[四分暦]]の1[[蔀]]
-- [606] 時間の完結を意味する、
世代の原理にふさわしい數
- [607] [CITE[日本書紀]]神武天皇「是年也太歳甲寅其年冬十月丁巳朔辛酉」
-- [608] 
[[顓頊暦]]は甲寅年を[[暦元]]とし、10月を[[歳首]]としている
-- [609] 東征出発を甲寅年10月として[CITE[日本紀]]編者の構想が[[顓頊暦]]の原理と照応すること、
ほぼ間違いないであろう
-- [610] 
[CITE[春秋]]の暦法は不詳。
[[古暦六種]]のうち[[暦法]]が明らかなのは[[顓頊暦]]と[[殷暦]]。
6暦のうち[[顓頊暦]]が最古で[CITE[史記]]や[CITE[漢書]]の最初は[[顓頊暦]]。
-- [611] 
[CITE[日本紀]]編者が古い時代からの歴史の叙述に中国最古の[[顓頊暦]]が最適と考えたのでは
-- [612] 
旧[CITE[日本紀]]では甲寅年が神武天皇元年
-- [613] 
現存[CITE[日本書紀]]神武天皇紀に、かつて[[顓頊暦]]を原理として構成された痕跡が残存していると解してほぼ誤りないだろう
- [614] 
[[始皇帝]]の後裔を称する[[秦氏]]、創祀した[[稲荷社]]の創祀暦日は[[顓頊暦]]と同種の[[四分暦]]
-- [615] 
[[秦氏]]は[[始皇帝]]の象徴として[[始皇帝]]がはじめて採用した[[顓頊暦紀年法]]
(1年引き下げられた干支紀年法)
を用いていたのでは
-- [616] 
旧[CITE[日本紀]]編纂に帰化系氏族が関係したことは推測されてよいだろう
- [617] 旧[CITE[日本紀]]は[[顓頊暦紀年法]]を採用していたと断定して誤りないであろう

[620] 奈良時代の暦法 [SRC[>>618]]

- [621] 
[CITE[続日本紀]]の暦日と現実の生活に用いられた暦日は同一の暦法か
-- [622] 
[[今井溱]]: 撰著年代に近い末期以外は疑わしい
-- [623] 
正倉院天平勝宝8歳具注暦 天平勝宝8歳 
大小大'''大小'''大小'''小'''小大小大 355日
-- [624] 
[CITE[三正綜覧]], [CITE[日本長暦]], [CITE[皇和通暦]]
大小大'''小大'''大小'''大'''小大小大
-- [625] 355日とされるが実際は354日
-- [626] [[益田勝美]], [[岡田清子]] 8月小は8月大の誤り [CITE[写書所食口帳]]による
-- [627] 連大の位置が違うということは異なる暦法
-- [628] [CITE[三正綜覧]], [CITE[唐代の暦]], [[平岡武夫]] : 唐至徳元年 
大小大大小大小大小大小大
[[大衍暦]]
- [632] 正倉院文書[CITE[優婆塞貢進解]] 「天平十四年十二月丗日」
-- [633] [CITE[日本長暦]], [CITE[皇和通暦]], [CITE[三正綜覧]] 12月小
-- [634] [CITE[三正綜覧]], [CITE[唐代の暦]] 唐天宝元年12月小
- [635] 正倉院文書[CITE[杖部造子虫写経手実]] 「天平十三年八月丗日」
-- [637] [CITE[日本長暦]], [CITE[皇和通暦]], [CITE[三正綜覧]] 8月小
-- [636] [CITE[三正綜覧]], [CITE[唐代の暦]] 唐天宝元年8月大
- [629] [[大衍暦]]は天平7年輸入
- [630] [CITE[続日本紀]] 天平宝字7年8月戊子 [[大衍暦]]への改暦
- [631] 天平13年は[[大衍暦]]とも考えられるが天平14年は[[大衍暦]]ではない
- [638] [CITE[続日本紀]]とは異なる暦日が行われたこと否定できない
-- [639] おそらく並行して行われた
- [640] [CITE[文忌寸祢麻呂墓誌]]「慶雲四年歳次丁未九月廿一日」
-- [641] 
[CITE[続日本紀]]慶雲4年丁未「冬十月戊子」(24日) 十月朔乙丑 
--- [642] [[狩谷棭斎]] [CITE[続日本紀]]の誤りか
-- [643] 
暦法違いと考え9月21日戊子なら9月1日戊辰
-- [644] 
[CITE[三正綜覧]], [CITE[日本長暦]], [CITE[皇和通暦]],
[CITE[奈良朝気朔表]], [[今井溱]]の[[平朔]], [[定朔]] : 丙申朔
-- [645] 現行長暦 9月1日丙申 9月戊子なし
-- [646] 丙申と戊辰で32日ずれ
- [647] 
[[望月信亨]]所蔵[CITE[大般若波羅蜜多経]]巻三百六十一跋語
「神亀二年歳在乙丑八月十三日景中」
-- [648] 景申 (丙申) の誤りと思われる
-- [649] 
[CITE[三正綜覧]], [CITE[日本長暦]], [CITE[皇和通暦]],
[CITE[奈良朝気朔表]], [[今井溱]]の[[定朔]] : 辛亥朔、8月丙申なし (46日)
-- [650] 
13日丙申なら1日甲申
-- [651] 朔33日ずれ
- [652] [CITE[延喜式神名帳]][[稲荷社]]頭注 「和銅四年辛亥二月十一日戊午」
-- [653] 文亀3年奥書
-- [654] 跋語によると注記は「先達之秘記」
--- [655] 卜部家の記録だろう
-- [656] 
[CITE[三正綜覧]], [CITE[日本長暦]], [CITE[皇和通暦]],
[CITE[奈良朝気朔表]], [[今井溱]]の[[定朔]] : 1日丙子、7日壬午、戊午なし (43日)
-- [657] 稲荷社の初午詣は古来2月初午日、誤写とは思われない
-- [658] 
[CITE[大和豊秋津島卜定記]]
「和銅四年辛亥二月十一日」
--- [659] 永正元年書写奥書
-- [660] 
[CITE[神祇拾遺]]
「和銅四年辛亥二月戊午日」
-- [661] 
[CITE[水台記]]
「和銅四年辛亥二月十一日戊午」
-- [662] 「2月11日戊午」が単なる誤りではない
-- [663] 
[CITE[神号伝并後附十五箇条口授伝之和解]] 「和銅四年二月七日壬午」
--- [666] 現行長暦と合致
-- [664] 
[CITE[稲荷谷響記]]「和銅四年二月壬午」
--- [665] 現行長暦によれば7日だから2月7日壬午説と見て誤りないだろう
-- [667] 
[CITE[雍州府志]] 「和銅四年二月九日」
-- [668] 
[[伴信友]] [CH[九]]は[CH[七]]の誤写、「十一」は[CH[七]]、
「戊午」は「壬午」の誤写
-- [669] [CITE[秦山集]], [[谷秦山]] : [[渋川春海]] : [CH[七]]は「十一」の誤り
-- [670] 7日壬午の記録は江戸時代以前に遡れない
-- [671] 32日ずれ
- [672] 
3例は翌月朔から3日、3日、2日ずれ
-- [673] 
墓誌9月21日、[CITE[続日本紀]]10月戊子、10月朔乙丑、よって墓誌10月24日戊子
-- [674] 
写経の1ヶ月と3日ずれと全く同一性質
-- [675] 
暦法の差異とみて誤りないだろう
-- [676] 
大小により1日左を生ずるのは曆の性質上当然, 3例は現行長暦に同一の差を持つ暦法
--- [677] 誤写や何らかの事情の誤りだとすると偶然一定の差を生じない
- [678] 3日のずれ、かなり性質の異なった暦法
- [679] 
3例は[[後漢四分暦]]から1ヶ月遅れ、1ヶ月遅れ、完全一致
-- [680] 
[[後漢四分暦]]と当時の[[四分暦]]の[[閏月]]の違い、曆の性質から当然起こる現象
- [681] 
[CITE[旧唐書]]巻十六「長慶元年十月丁亥」
-- [682] [CITE[旧唐書]] 十月朔甲子 24日丁亥
-- [683] [CITE[元氏長慶集]]巻五十三所収神道碑文銘
「長慶元年[SNIP[]]九月庚申」
-- [684] 33日差
-- [685] 唐観象暦10月24日 = 後漢四分暦9月24日
-- [686] [[閏月]]の差であり[[後漢四分暦]]より1ヶ月遅れている[[四分暦]]
-- [687] [[日本]]のみならず[[唐]]でも起こっていた現象
- [688] 
[[顓頊暦]]歳首10月
-- [689] 従来研究者は太初暦以後の10月と信じていた
-- [690] [[冬至]]が歳首として意義があり技術的にも測定しやすい、
冬至以前に歳首を置いたのか
-- [691] [[始皇帝]]は11月を歳首とする[[周正]]の月名だけを改め10月とし実質的に[[周正]]だったのではないか
-- [692] よって4例は[[顓頊暦]]の変形:
10月を歳首とし[[顓頊暦紀年法]]を使っていたと推測される
- [693] 4例、
知識階層、特に帰化人の子孫で行われたのではないか
-- [694] 写経では唐の[[避諱]][CH[景]]
- [695] 旧[CITE[日本紀]]で[[顓頊暦紀年法]]や神武天皇元年が制定されることも当然
- [696] たとえ[[顓頊暦]]変形でないにしても[[四分暦]]が[[奈良時代]]に用いられたことは間違いない事実,
最古[[四分暦]]の[[顓頊暦]]の原理が旧[CITE[日本紀]]に採用される可能性
- [697] [[四分暦]]を使った帰化人子孫と旧[CITE[日本紀]]に緊密な関係あるとみて差し支えないだろう

[1080] 晩年には[[黄帝暦]] (実際にはそのバリエーション) 説が主張されました。
[SRC[>>977]]

- [979] [[六暦]]のうち実態が明らかなのは[[黄帝暦]]と[[顓頊暦]]
- [980] [[後漢四分暦]]は[[暦元]]に605[[元]]を加えて[[近距暦元]]を得ている
- [981] [CITE[開元占経]] [[黄帝暦]] 西暦紀元前2760150年、[[顓頊暦]] 西暦紀元前2760306年
-- [983] 605 × 4560 年加えて、西暦紀元前1350年、西暦紀元前1506年
-- [982] 現行干支紀年法で辛卯年、乙卯年
-- [984] 1年引き下げられた紀年法で庚寅年、甲寅年
- [985] [[張寿王]]によると[[黄帝暦]]が漢高祖元年から元封6年まで施行されたこと明らか
-- [986] [CITE[淮南子]]淮南元年の用例、[[黄帝暦]]による紀年であること明らか、
年の干支が1年引き下げられていたこと明らか
- [987] [[暦元]]差156年
-- [988] 朔旦冬至を1日引き上げるために128年引き上げが必要、よって1.2日 = 約1日5時間引き上げていることになる
-- [989] [[黄帝暦]]から[[顓頊暦]]に改暦する際の観測である
-- [990] 従って[[顓頊暦]]より[[黄帝暦]]が古いこと間違いない
-- [991] [CITE[史記]]の秦の第2代、第6代の頃暦が行われたこと間違いない
-- [992] [[顓頊暦]]は西暦紀元前8世紀前半に施行されていた
-- [993] [CITE[史記]]によれば西暦紀元前1世紀に、[[黄帝暦]]を[[黄帝]]が制定した伝承があったこと、
[[顓頊暦]]は[[黄帝暦]]の[[暦元]]を改めたこと、間違いないだろう
-- [994] [CITE[史記]] 文王制曆,
[CITE[史記正義]]所引[CITE[帝王世記]]「文王即位四十二年歳在鶉火」
--- [995] 現行紀年法 文王42年戊午 西暦紀元前1143年
--- [996] 古い[[四分暦]] 干支1年引き下げ 西暦紀元前1142年
--- [997] 西暦紀元前12世紀半ばごろ干支が1年引き下げられた四分暦が施行されていた
--- [998] [CITE[史記]] [[周]]の始祖は[[黄帝]]
--- [999] [[顓頊]]を始祖とする[[秦]]の[[顓頊暦]]からの類推、[[文王]]の曆は[[黄帝暦]]
-- [1000] [[漢]]高祖は水徳でなく土徳, [[黄帝]]と同じ
-- [1002] 庚寅は万物の根源を意味する、10月は理想的な暦元
-- [1003] 高祖は即位4年前、黄帝暦第16蔀首の西暦紀元前210年を基準に[[黄帝暦]]を復活させたこと間違いない
--- [1001] 従来の[[顓頊暦]]説は[[黄帝暦]]だったことが判明したので改める,
名称だけで内容は同一
--- [1038] [DFN[黄帝暦紀年法]]
[SRC[>>976 p.[L[ii]]]]
- [1004] 
[[克殷]]
-- [1005] 
[CITE[漢書]] 西暦紀元前1122年戊寅[[克殷]]
--- [1008] [[黄帝暦]]第4蔀首
--- [1007] 1年引き下げられた干支紀年法
-- [1006] 
[CITE[欧亜紀元合表]] 西暦紀元前1122年 = 己卯
-- [1009] 
周文王制定[[黄帝暦]]暦元西暦紀元前1350年、
周武王制定[[黄帝暦]]暦元西暦紀元前1122年、
228年差、
11月朔旦冬至が128年で1日ずれるので、
周武王は冬至を1日引き上げたと推考される
-- [1010] 
[CITE[古本竹書紀年]], [CITE[今本竹書紀年]] 西暦紀元前1110年庚寅[[克殷]]
--- [1011] [CITE[竹書紀年]]は性格が明らかでない
--- [1012] 西暦紀元前1122年説の文献は信頼度が高い
- [1013] [[神武東征]] 甲寅年10月5日
-- [1014] 天皇としての活動の開始、
実質的な即位、
[[律令]]の[[践祚]]に相当
-- [1015] 
[[黄帝暦]]第10蔀首
--- [1016] 周武王の第4蔀首同様
--- [1017] [[黄帝暦]]によること間違いないであろう,
西暦紀元前7世紀前半日本で[[黄帝暦]]が実施された証拠
- [1018] [[出雲大社]]10月[[神有祭]]
-- [1019] 1年の予定表を決定 = 曆 
-- [1020] 10月歳首 = [[黄帝暦]]
-- [1021] [[大国主神]] 猪の化身
--- [1022] 猪 = 亥 = 10月
- [1023] [[亥の子]] = 亥の子節句 = 亥の子正月
-- [1024] 10月亥日
-- [1025] [[亥の子]]日に炬燵を出す風習
--- [1026] 炬燵を初めて出す = 冬の始め = 孟冬 = 冬季の最初の月 = 黄帝暦10月歳首
- [1027] [[一百七十九万二千四百七十余歳]]
-- [1028] [[天孫降臨]]は西暦紀元前1122年 
-- [1029] 福井県の[[縄文人]]は[[黄帝暦]]を行ったこと疑う余地のない事実
--- [1030] 
[[黄帝暦]]は1年を2季とする[[陰陽思想]]、
10月1日からの冬 (陽季)、
4月1日からの夏 (陰季)
--- [1031] 4月1日に[[王の舞]], [[トンボ]]の羽化と関係,
[[ニニギノ尊]]は[[トンボ]]の化身
- [1032] 
[[周]]初期、[[北京]]地方に[[燕]]国
--- [1034] 
[[周]]王朝の支族が建てた[[燕]]国は、
[[黄帝暦]]を施行していたはず
-- [1033] 
[[遼河]]下流地帯の[[日本民族]]の[[倭国]]は[[燕]]国に属していた
-- [1035] 
[[日本民族]]は[[燕]]国から[[黄帝暦]]を学び施行していたと思われる
-- [1036] 
[[日本民族]]はそこから現在の[[福井県]][[三方郡]][[三方町]]に渡来
--- [1037] 
[[日本神話]]は[[黄帝暦]]を重要な原理とする神話になった

;; [787] 
直接関係ありませんが、[[古代日本]]で[[四分暦]]が用いられたとする説は過去にもありました。
[[平田篤胤]]の[[太昊古暦]]を参照。

** 二年引き上げられた干支紀年法

[1039] [DFN[二年引き上げられた干支紀年法]]

- [139] 
[CITE[続日本紀]]の暦日は最近暦学者が疑問提起 ([CITE[科学史研究]]第四〇号所収[CITE[奈良朝前後の暦日]], [[今井溱]])、紀年法は疑いを挟んだ学者なし
[SRC[>>138 p.[V[二二一]]]]
- [140] 大宝元年[[遣唐使]]
[SRC[>>138 pp.[V[二二二]]-[V[二二九]]]]
-- [141] [CITE[続日本紀]]大宝元年任命、大宝2年 (西暦702年壬寅、唐長安2年) 出航
-- [142] [CITE[新唐書]]東夷伝 長安元年 [[文武天皇]]即位、[[大宝]]改元、[[遣唐使]]
--- [144] [[紀年法]]は[CITE[続日本紀]]と一致するが内容が不一致
-- [143] [CITE[旧唐書]]東夷伝 長安3年 [[遣唐使]]
-- [145] [CITE[帝王編年記]] 「慶雲四年」「元年甲辰当則天武后長安二年也」
--- [147] [CITE[新訂増補国史大系]] 「長安四年」の誤り、「今推改」
--- [146] 現行紀年法で慶雲元年甲辰 = 長安4年。長安2年壬辰 = 大宝2年。[[2年ずれ]]
-- [152] [CITE[宋史]]所引[CITE[王年代記]]
「次文武天皇大宝三年当長安元年」
--- [153] [[杉本直治郎]] [CH[元]]を[CH[三]]に、または[CH[三]]を[CH[元]]に誤った
--- [154] [[木宮之彦]] 「長安元年」を「三年」に訂正
-- [155] [CITE[文献通考]]巻三百二十四[CSECTION[四裔考]]所引[CITE[王年代記]]
「次文武天皇大宝三年当此長安元年」
--- [156] 2書ともの誤写でなく原本[CITE[王年代記]]に記されていたはず
-- [157] [CITE[帝王編年記]], [CITE[王年代記]]とも現行紀年法より二年引き上げで同一性質、
単純な誤りとして片付けるべきでない
-- [158] 
現行紀年法より二年引き上げられた紀年法が存在し行われていたと疑われる
- [159] [[持統上皇]][[崩御]]
[SRC[>>138 pp.[V[二二九]]-[V[二三四]]]]
-- [160] 
[CITE[続日本紀]] 大宝2年「十二月甲寅」
--- [161] 現行長暦 22日甲寅 12月1日癸巳 12月10日壬寅
-- [162] [CITE[皇年代私記]][CSECTION[持統天皇]] 「大宝二年十二月十日[SUP(smaller)[甲寅]]」
-- [163] [CITE[一代要記]][CSECTION[持統天皇]] 「大宝二年壬寅十二月十日甲寅」
-- [164] [CITE[扶桑略記]]大宝2年「十二月十日甲寅」
--- [165] 無窮会所蔵藤影尾張真福寺本、宮内庁書陵部所蔵新井白石旧蔵抄本「十二月十日甲寅」
--- [166] 新訂増補国史大系本の底本である文政3年刊本「十二月二十二日甲寅」
---- [167] [CITE[続日本紀]]で校訂だろう
-- [168] [CITE[帝王編年記]]大宝2年「十二月十日」
-- [169] [CITE[歴代皇紀]][CSECTION[文武天皇]] 「大宝二年十二月十日」
-- [170] [CITE[興福寺略年代記]]大宝2年「十二月十日」
-- [171] [CITE[紹運要略]] 「大宝二年壬寅十二月十日」
-- [172] 年代記類の撰者の作為でなく基づくところがあったと思われ、
単純に錯誤と片付けるべきでない
-- [173] 10日、22日のどちらも甲寅、日番号はどちらか断定できずとも干支は甲寅であることを意味する
-- [174] [CITE[三正綜覧]] 文武天皇4(700)年10月と12月 1日乙巳 10日甲寅
--- [175] 年代記類「大宝2年12月10日甲寅」は長暦上現行紀年法文武天皇4年10月または12月にあった
--- [176] 異種の暦法とすれば暦日の差は高々1日、文武天皇4年8月丙午朔か大宝元年2月甲辰朔か大宝元年4月甲辰朔
--- [177] 12月が8月や4月にあるとは考えられないから、文武天皇4年10月か12月としていい
-- [178] つまり[CITE[続日本紀]]と年代記類で紀年法が異なり、
年代記類は現行紀年法に対して2年引き上げられている
--- [179] 同じ「大宝2年」でも[CITE[続日本紀]]では西暦702年、年代記類では西暦700年
-- [216] 12日差
[SRC[>>138 p.[V[ニ五一]]]]
- [180] 
[CITE[帝王編年記]], [CITE[王年代記]], 年代記類で全く内容が異なるが同じ性質、
現行紀年法より二年引き上げられた紀年法
[SRC[>>138 pp.[V[二二三]]-[V[二三四]]]]
-- [181] 
現行紀年法より二年引き上げられた紀年法がかつて存在したことを確証している
-- [182] 
[CITE[旧唐書]], [CITE[新唐書]]の長安3年、長安元年も現行紀年法と2年引き上げられた紀年法の存在を反映
-- [183] 
いずれが大宝、慶雲の当時に現実に行われたかは要検討
- [184] 
[CITE[続日本紀]]宝亀6年冬10月壬戌条、[[吉備真備]]死去。霊亀2年22歳、
天平5年帰朝、
死去時83歳。
[SRC[>>138 pp.[V[二二五]]-[V[二三九]]]]
-- [185] 81歳のはず
-- [186] 天平5年に帰朝記事なし
-- [187] 天平7年4月辛亥に献上記事あり、3月丙寅の遣唐使帰朝に従ったに違いない
-- [188] 異種紀年法 (2年引き上げられた紀年法) 天平7年は現行紀年法天平5年
-- [189] 霊亀2年は現行紀年法による西暦716年でなく2年引き上げられた紀年法の西暦714年
-- [190] 
現存[CITE[続日本紀]]は、異種紀年法にくらべて2年引き下げられているが、
たまには「天平5年」のように異種紀年法による位置を現行紀年法で呼んでいるものもある
--- [191] 
[CITE[続日本紀]]の記事に齟齬が多い、年月日に撞着が多いのは、主としてこれによる
--- [192] 83歳が正しい
- [193] 
[CITE[続日本紀]]霊亀2年8月壬子(9日) 「和銅二年六月十七日符」
[SRC[>>138 pp.[V[二三九]]-[V[二四二]]]]
-- [194] 
[CITE[続日本紀]]和銅2年6月癸丑にほぼ同一内容の符
-- [195] 
[CITE[続日本紀]], [CITE[三正綜覧]] 和銅2年6月1日丙戌 28日癸丑 
-- [196] 
6月17日癸丑なら1日丁酉
-- [197] 
[CITE[三正綜覧]] 
--- [198] 和銅5年10月と大宝2年6月が1日丁酉 遠すぎる
--- [199] 1日差 慶雲4年7月丙申朔, 慶雲4年9月丙申朔, 和銅5年8月戊戌朔, 慶雲4年が近い
-- [200] 和銅2年が現行紀年法より2年引き上げられていることになる
-- [214] 11日差
[SRC[>>138 p.[V[ニ五一]]]]
- [201] [CITE[続日本紀]]天平13年3月乙巳(24日) 国分寺建立発願の詔
[SRC[>>138 pp.[V[二四二]]-[V[二五二]]]]
-- [202] 
[CITE[類聚三代格]] 勅 ほぼ同文 「天平十三年二月十四日」
-- [203] [CITE[政事要略]] 「天平十三年二月十四日」
-- [204] [CITE[日本高僧伝要文抄]] 「天平十三年歳次辛巳春二月十四日」
-- [205] [CITE[続日本紀]] 天平19年11月己卯 「天平十三年二月十四日」
-- [206] 現存[CITE[続日本紀]]編者が
異種紀年法「二月十四日乙巳」を現行紀年法「三月二十四日乙巳」に変換したと推測
-- [207] [CITE[三正綜覧]] 天平11年5月壬辰朔、
天平11年3月癸巳朔 (1日差)
--- [208] 現行紀年法天平13年が異種紀年法天平11年に位置していたこと明らか
-- [209] 
[CITE[興福寺略年代記]]天平11年 「始建毎州国分尼寺」
--- [213] [CITE[興福寺略年代記]]天平11年は[CITE[古記]]養老5年と同じ性質で誤りではない
-- [215] 39日か40日差になるが、
もし30日以上の差があるなら[CITE[続日本紀]]は2月を4月に換算したはず、
なので異種紀年法「二月」と現行紀年法「三月」は同一の月,
よって10日差
[SRC[>>138 p.[V[ニ五一]]]]
-- [217] 
和銅2年、天平13年とも年は2年引き上げられ、
月は1ヶ月か3ヶ月ずれている
- [210] 
[CITE[興福寺略年代記]]養老7年 「又冬建施薬悲田二院于興福寺。古記[SUP[ニ]]施薬院養老五年建在之。」
[SRC[>>138 pp.[V[二四七]]-[V[二五八]]]]
-- [211] [CITE[扶桑略記]] 養老7年 「建施薬院悲田院」
-- [212] 
養老5年説、養老7年説があり、
養老7年の位置が養老5年の位置に引き上げられていた紀年法の存在を意味する
- [218] 
現行紀年法と異種紀年法の暦日の10日から12日の差と暦年の2年の差
[SRC[>>138 pp.[V[ニ五三]]-[V[ニ五五]]]]
-- [219] 
[[平朔]]のとき、大小月交互、15ないし16ヶ月で連大なので連大がなければ354日、
あれば355日
-- [220] 干支は60日、よって平年1年は6周と6日または5日、2年で11日ずれる
--- [223] 
異種紀年法が現行紀年法より2年引き上げられたものであることはこの点でも立証される
-- [221] [CITE[続日本紀]]は[[定朔]]なので厳密には一致しないが、
年の長さが2日以上の差を生じないから差し支えない
-- [222] [[閏年]]は換算時に月を移動すればいいので暦日への影響は考慮不要
- [224] 
史料が少ないから的確に範囲を定めがたいが、
文武天皇4(700)年から天平11(739)年に異種紀年法が存在したことは確実
[SRC[>>138 pp.[V[ニ五四]]-[V[ニ五五]]]]
- [225] 
[CITE[続日本紀]]は数度の改修で成立したが現存[CITE[続日本紀]]にも年代的矛盾が多い
[SRC[>>138 pp.[V[ニ五五]]-[V[ニ六一]]]]
-- [226] 
主要因は原資料の切り張りの誤りだろう
-- [227] 
年代的矛盾の主因は当時の紀年法の複数性、暦法の複雑性ではないか,
紀年法と暦法が複数あって暦日の換算だけでも困難だった
- [228] 
異種紀年法の性格
[SRC[>>138 pp.[V[ニ六一]]-[V[ニ七五]]]]
-- [229] 
慶雲元年、大宝3年が2年引き上げられている vs 長安元年が2年引き下げられている
--- [230] 
干支紀年法は中国伝来、世界的・国際的。
即位紀年法・年号紀年法が民族的・国家的。
対比は干支紀年法を共通目盛りとしたはず。
--- [232] 干支紀年法を無視した対比とする仮定は否定される:
---- [231] 
[CITE[一代要記]]「大宝二年壬寅十二月十日甲寅」
の「大宝二年壬寅」は現行紀年法と同じ、
「十二月十日甲寅」は現行紀年法文武天皇4年。
つまり「大宝二年壬寅」は現行紀年法文武天皇4年庚子を指す。
---- [233] 
[CITE[帝王編年記]]「慶雲元年甲辰」が唐長安2年壬寅
---- [234] 
どちらも年干支を2年引き上げている
---- [235] 
異種紀年法の年代が2年引き上げられているということは、
単に「大宝二年」「慶雲元年」の位置が二年引き上げられているのではなく、
年の干支が2年引き上げられている。
-- [236] 
現存[CITE[続日本紀]]では、異種紀年法によるものを、
現行紀年法に換算されているもの、
換算を失念して異種紀年法によっているもの、
2年引き下げて暦日を現行の暦法に換算したもの、
2年引き下げないで異種紀年法の年の位置を現行紀年法で呼んでいるものもある。
-- [237] 
異種紀年法は現実の生活で用いられたか
--- [238] 格に記入されている日付はその当時の紀年法と暦法であること疑う余地ない
---- [239] 天平13年当時、異種紀年法が使われた
---- [240] しかも政府が使用された紀年法・暦法である
--- [241] 官符にある、霊亀2年8月条の「和銅二年六月十七日」も現実に使用された紀年法の可能性
--- [242] 年代記類の持統上皇崩御日、原資料をたどれば[CITE[続日本紀]]の草案ではないか、
草案は異種紀年法で記述されていたのでは
--- [243] いずれにしても[CITE[続日本紀]]編纂の原資料に異種紀年法の暦日が用いられたことは間違いないだろう
--- [244] 後人の作為なら[CITE[続日本紀]]の暦日に合わせるはず
-- [245] 
異種紀年法は唯一の紀年法か、特殊な場合に使用されたものか
--- [246] 
現存[CITE[続日本紀]]からはわからない、現存紀年法に換算して記述されているなら証拠にならない
--- [247] [[根津美術館]]所蔵[CITE[大般若波羅蜜多経]]巻二十三奥書「和銅五年歳次壬子十一月十五日庚辰竟」
---- [248] [CITE[三正綜覧]] 11月1日丙寅
---- [249] 干支年も干支日も一致し、現行紀年法同様西暦712年
---- [250] 写経奥書なので当時実際に行われた紀年法、暦法
--- [251] [[堀口蘇山]]所蔵[CITE[仏説弥勒成仏経]]奥書「維天平二年歳次庚午八月癸未朔辛卯」
---- [252] [CITE[三正綜覧]] 8月1日癸未
---- [253] 現行紀年法同様西暦730年
---- [254] 写経奥書なので当時実際に行われた紀年法
--- [255] [[高山寺]]所蔵[CITE[観弥勒菩薩上生兜率天経]]奥書「維天平十年歳次戊寅六月戊戌朔廿九日丙寅」
---- [256] 現行紀年法
--- [257] [[伊福吉部臣徳足比売墓誌]] 
「慶雲四年丁未春二月二十五日」
「和銅元年歳次戊申秋七月一日」
「三年庚戌冬十月」
「和銅三年十一月十三日己未」
---- [258] [CITE[三正綜覧]]と合致、現行紀年法、和銅3年 = 西暦710年
--- [259] 
8世紀に異種紀年法と現行紀年法が存在したのだから、
異種紀年法は特殊な在り方をしたのではないか
---- [260] 異種紀年法は現実の生活ではなく[CITE[続日本紀]]の「草案」に用いられた
---- [261] [CITE[続日本紀]]や[CITE[類聚三代格]]の格や官符の日付は、
一度「草案」の紀年法に換算されて掲載されたもの
--- [262] しかし格や官符に用いられているのは事実、
発布当時の日付そのままなら、現実の生活に用いられた紀年法になる
--- [263] ここまでの史料だけではどちらか決定できない

- [699] 
[CITE[日本書紀]]推古天皇「十年冬十月」
[SRC[>>698]]
-- [700] 
[CITE[濫觴抄]]「推古天皇十年[LINES(smaller)[壬][戌]]十月[SNIP[]]或曰庚申年[SNIP[]]上年記」
--- [701] 鎌倉時代末期ないし室町時代
--- [702] 前段ほぼ[CITE[日本書紀]]同文
--- [703] 後段は佚書[CITE[上年記]]から
-- [704] 現行長暦 推古天皇8年庚申 壬戌と2年差
-- [705] 異種紀年法が疑われる
-- [706] [CITE[政事要略]]巻二十五「儒伝云以小治田朝十二年歳次甲子正月戊申朔始用暦日」
--- [707] [CITE[日本書紀]]推古天皇12年1月1日戊戌
--- [708] [CITE[新訂増補国史大系]]頭注 戊申は戊戌の誤り
--- [709] [CITE[三正綜覧]] 推古天皇10年4月戊申朔 推古天皇10年2月己酉朔
--- [710] 誤記でなければ暦法か紀年法の違い
--- [711] 3ヶ月の差は考え難い、2月だろう
--- [712] 現行干支紀年法より2年引き上げられていること明らか
-- [713] [CITE[上年記]]は2年引き上げられた紀年法の壬戌年の位置を現行干支紀年法の呼び方に改め庚申年と称した
- [714] 
[CITE[日本書紀]]舒明天皇「十三年冬十月」
[SRC[>>698]]
-- [715] [CITE[扶桑略記]]欽明天皇「十三年壬申冬十月十三日辛酉」
-- [716] [CITE[一代要記]]欽明天皇「十三年壬申年冬十月十三日辛酉」
-- [717] [CITE[元亨釈書]]巻第二十資治表「十三年。十月十三。」
-- [718] [CITE[聖誉鈔]]「欽明天王十三年壬申十月十三日[LINES(smaller)[辛][酉]]」
-- [720] 13日辛酉 朔己酉
-- [719] [CITE[三正綜覧]] 欽明天皇13年10月朔乙未
-- [721] 欽明天皇11年7月己酉朔 欽明天皇11年9月戊申朔 欽明天皇11年11月丁未朔
--- [722] 3ヶ月のずれは考えられない、異質の曆の月名は1ヶ月遅れが多いから11月
-- [723] [CITE[続日本紀]]の年干支が2年引き上げられた干支紀年法と同一性質
-- [724] [CITE[政事要略]]巻第六十一「聖徳太子伝云[SNIP[]]敏達天皇元年甲午春正月一日」
--- [725] [CITE[聖徳太子伝暦]]敏達天皇「元年[LINES(smaller)[壬][辰]]正月一日」
---- [726] 内容が違い、[CITE[政事要略]]の出典ではない
--- [727] [CITE[上宮聖徳法王帝説]]「甲午歳産」
--- [728] [CITE[壒嚢鈔]]巻之一素門上五「癸巳年正月一日甲子日[SNIP[]]欽明天皇丗二年也」
---- [729] [[室町時代]]
---- [730] [CITE[政事要略]]所引[CITE[聖徳太子伝]]の紀年法と合致
--- [731] [CITE[扶桑略記]]欽明天皇13年と同一性質の2年引き上げた干支紀年法
-- [732] [[聖徳太子]]生年の2年の差異と没年の1年の差異
--- [733] 矛盾しているようにみえるかもしれない
--- [734] 壬午年死去説
---- [735] [CITE[上宮聖徳法王帝説]] 甲午年誕生、生年49歳。48年間で紀年と生年一致
--- [736] 辛巳年死去説
---- [737] [CITE[聖徳太子伝暦]], [CITE[扶桑略記]], [CITE[帝王編年記]] 壬辰年誕生、年48。
49年間、年齢50歳のはず
----- [738] [CITE[扶桑略記]]は辛巳年2月22日死去、一説壬午年2月5日、分注で49歳は
[CITE[聖徳太子伝]]の誤りかと疑う
----- [739] 紀年法混同と思われる
----- [740] [CITE[政事要略]]所引[CITE[聖徳太子伝]] 「廿九年春二月己丑朔癸巳」「年卌九」
------ [741] 48歳のはず、異種の紀年法を混合
--- [743] 誕生年は壬辰、癸巳、甲午の3説
---- [744] 癸巳説:
----- [745] [CITE[壒嚢鈔]]
----- [742] [CITE[元亨釈書]]資治表敏達皇帝2年(癸巳)「二年春正月」
---- [746] 3説は現行干支紀年法、1年ずれ紀年法、2年ずれ紀年法が存在したことを示す
- [747] 2年引き上げられた干支紀年法は[CITE[続日本紀]]の範囲の年代だけでなく更に遡った年代にも適用されている
[SRC[>>698]]
- [748] 
[CITE[菅家文草]]巻七[CITE[祭連聰霊文]]「維貞観七年歳次乙酉九月甲子朔二十五日戊子」
[SRC[>>698]]
-- [749] 現行長暦 9月1日己卯
--- [750] 15日ずれ
-- [751] 現行長暦 貞観5年10月朔庚申
--- [752] 4日ずれ
--- [753] [[四分暦]]のような異質の暦法と現行長暦のずれは時代が降るにつれ大きくなる
-- [754] 明らかに年干支2年引き上げられた干支紀年法, 暦法も異なること明らか
-- [755] 祭文なので現実の生活に用いられたことを示す
-- [756] 9世紀後半にも用いられたことがわかる
- [757] 
2年引き上げられた干支紀年法
[SRC[>>698]]
-- [758] 
現行長暦による暦日と、異なる暦法による暦日がある
-- [759] 異なるものの大部分は月名1ヶ月、朔1日または2日のずれで同一性質
-- [760] 
[[奈良時代]]に[CITE[続日本紀]]と異なる暦法が行われたこと疑う余地のない事実
-- [761] 
[CITE[出三蔵記集]]序巻第十一「秦建元十五年十一月五日歳在鶉尾」
「太歳己卯鶉尾之歳十一月十一日」
--- [762] 前秦建元15年 西暦379年 己卯
--- [763] 歳在鶉尾 = 巳
--- [765] 現行干支紀年法と2年引き上げられた干支紀年法の併記
--- [764] 前秦で2年引き上げられた干支紀年法が行われたことを示す明証
-- [766] [CITE[文選]]巻三魏馬賦の劉良注「其銘曰惟魏四年歳在丙申竜次大火五月丙寅」
--- [767] 後漢献帝建安21年 西暦216年 丙申
--- [768] 竜次大火 = 戌
--- [769] 2年引き上げられた干支紀年法
-- [770] [CITE[秦漢瓦磚集録]]所収瓦当「惟漢三年大并天下」
--- [771] [CITE[史記]], [CITE[漢書]] 漢5年 (西暦紀元前202) 天下統一
--- [772] 現行干支紀年法 漢高祖5年己亥 3年丁酉
--- [773] 2年引き上げられた干支紀年法 漢3年己亥
--- [774] 紀年法の違いで漢3年と漢5年の違い
-- [775] [CITE[帝王編年記]] 周昭王
「周紀曰二十六年甲寅四月八日」
「釈霊実云二十四年甲寅四月八日」
--- [776] 紀年法の違いによるとすれば年干支を2年引き上げられた干支紀年法
--- [777] [SEE[ [[古今帝王年代暦]] ]]
--- [781] 現行干支紀年法神武天皇元年 周恵王17年 西暦紀元前660年
--- [782] 周僖王3年 西暦紀元前679年 19年差
--- [783] [CITE[愚管抄]]第一皇帝年代記神武天皇
「元年辛酉歳如来の滅後二百九十年云々又相当周世第十六代の主僖王三年云々一説以周恵王十七年辛酉当之此説為吉至当時無相違之故歟」
---- [784] 「恵王17年説が正しい、現行紀年法に合致するから」
--- [814] [[奈良時代]]に数種の年代歴が船載、史籍編纂に影響
[SEE[ [[古今帝王年代暦]] ]]
--- [818] [CITE[続日本紀]]「草案」は年代歴ではないか
---- [819] だとすると年代歴は2年引き上げられた干支紀年法
-- [822] 中国で3,4世紀に2年引き上げられた干支紀年法が用いられたこと明らか、
[[奈良時代]]で行われること十分にあり得る
-- [823] 
釈霊実[CITE[帝王年代暦]]を除外しても、2年引き上げられた干支紀年法は中国から伝来と考えられ、
[[奈良時代]]に現行干支紀年法と並行して用いられた
-- [824] 2種暦法が並行することはあり得るが、異種の紀年法が並行して現実の生活に用いられるか
--- [825] 大宝元年の一部の人が大宝三年と称するのはあり得ない
--- [826] 大宝元年辛丑に癸卯年と称することはさほど不便ではない,
現実の生活に用いられたと思われる
-- [827] 天平19年条の格より、2月14日は現実の生活で用いられた暦日、
3月24日は現行紀年法の暦日に換算したもの
-- [828] 
[CITE[王年代記]]等の年代記類の異種の紀年の原拠となった史籍が存在したのではないか、
それは[CITE[続日本紀]]の「草案」ではないか
--- [829] [CITE[奈良時代の紀年法と唐代の年代歴]], [CITE[芸林]]第12巻第3号, 第4号,
では2年引き上げられた紀年法は現実の生活に用いられた紀年法ではなく、
過去の年代を編年する場合に使用された、としていたが、その後の研究により改めた

- [873] [CITE[扶桑略記]]「和銅五年上奏日本紀」
[SRC[>>872]]
-- [874] 現行干支紀年法に比べ二年引き上げられた干支紀年法
-- [875] [CITE[続日本紀]]「和銅七年(甲寅)二月己丑朔戊戌」
-- [881] [CITE[扶桑略記]]「和銅七年甲寅正月」
-- [879] [CITE[三正綜覧]]和銅5年2月朔庚子 2月戊戌は59日 正月朔庚午 1月戊戌は29日
-- [880] 2年引き上げられた干支紀年法では「和銅五年正月庚午朔戊戌」に位置する
-- [882] 現存[CITE[続日本紀]]の原拠の資料「甲寅年正月戊戌」 (現行長暦和銅5年1月)
→ 現存[CITE[続日本紀]] 現行干支紀年法に改め和銅7年1月に移動しようとしたが、
和銅7年1月庚申朔39日戊戌となるから、2月己丑朔10日戊戌とした
--- [883] もっとも現存[CITE[続日本紀]]編者は2年引き上げられた干支紀年法の1月が現行干支紀年法2月であることを知っていたはずで、
簡単に「正月戊戌」から「二月戊戌」に改めた
-- [884] 
和銅2年6月17日官符の例のように朔の干支が1日進んでいるとすると、
現行長暦和銅5年1がつ1日庚午 → 2年引き上げられた干支紀年法和銅5年1月1日辛未、
28日戊戌
--- [885] [CITE[古事記]]序文「和銅五年正月廿八日」
- [876] [CITE[王年代記]]「欽明天皇即位十一年壬申歳」
[SRC[>>872]]
-- [877] 現行干支紀年法欽明天皇13年壬申
-- [878] 壬申年を2年引き上げている

- [887] 2年引き下げられた干支紀年法 [SRC[>>886]]
-- [901] [[戦国期太歳紀年法]]
--- [902] 西暦紀元前4世紀
--- [903] 2年引き下げられた干支紀年法
-- [898] [[印度の木星紀年法]]
--- [899] [[現行干支紀年法]]の卯年が[[印度の木星紀年法]]の丑年
--- [900] 年の干支を2年引き下げている
-- [888] [CITE[高僧法顕伝]] ([CITE[法顕伝]], [CITE[仏国伝]]) 
巻末「是歳甲寅晋義煕十二年歳在寿星」
--- [889] [[法顕]]のインド旅行記
--- [890] 東晋義煕10年甲寅 (西暦414年)
--- [894] 寿星 = 辰
--- [891] [[足立喜六]] 「是歳甲寅」とそれ以下が別個の年次、紀行完了と後人の跋文
--- [892] 重要年なので干支のみの簡粗な形式でなく年号と干支の併記で整えたと思われる
--- [893] 現行干支紀年法に比べ年干支を2年引き下げている
--- [895] 義煕9年帰国、自著であり義煕20年の干支を誤らないだろう
--- [896] 干支を2つ表示する必要はない、何か意味があるに違いない
--- [897] 仏教と印度文化を学びに留学して帰国、末尾に印度の紀年法の年次を示すことあり得る
--- [904] 中国でも行われたが西暦紀元前4世紀、
中国の干支紀年法によったものでないこと明らか
--- [905] 
義煕12(416)年 = Mahâ Bhâdrapaḍâ = 娵訾 = 寅 (甲寅)
-- [906] 
[CITE[荊州刺史度尚碑]]
「永康元年歳在鶉尾竜集丁未」
--- [907] 西暦167年丁未
--- [908] 鶉尾 = 巳
--- [909] 2年引き下げ
--- [910] Mahâ Mârgaśîrsha = 実沈 = 巳
--- [911] 印度の木星紀年法であること明らか
- [912] >>761, >>766, >>770
-- [913] 
建元15(379)年を巳 = 木星の起点を娵訾としてこの年に実沈
--- [914] 
中国の[[太歳紀年法]]では木星の起点を星紀
--- [915] 木星の起点を2次進ませている
-- [916] 
西暦216年申 → 戌
--- [917] 2年引き上げられている
--- [918] [[太歳紀年法]]で申年には星紀から9番目に当たる鶉尾に
--- [919] 大火から遡って9番目は娵訾
--- [920] 竜次大火は娵訾を起点とした木星の位置を示す
-- [921] 中国で娵訾を起点とする紀年法は存在しない、あり得ないはず
-- [922] [[印度]]では[[超辰]]が行われたが
--- [923] 不便なので12次における木星の位置を1次移動させたと思われる
--- [924] 例えば起点において木星は星紀に位置するが、
85年目にその位置を星紀から玄枵に移動させる、
すると歳名は連続する
-- [925] 娵訾から数える2例は木星の起点を娵訾として数えると解して間違いないであろう

- [931] 2年差
[SRC[>>886]]
-- [926] 2年引き下げられた干支紀年法は連続的に数える[[印度の木星紀年法]]
-- [927] 2年引き上げられた干支紀年法は[[超辰]]する[[印度の木星紀年法]]
-- [928] ... であることほぼ明らか
-- [929] 中国用例も日本用例も仏教関係
-- [930] [[印度の木星紀年法]]に発し、仏教に伴われて中国、日本に伝えられたと断じて誤りないであろう

** 評価

[960] 
[[友田吉之助]]と同時代の研究者である[[伊野部重一郎]]は、
[[友田吉之助]]の論文に対する反対論文を書いています。
[SRC[>>958]]

[962] 
[[伊野部重一郎]]は、
異なる[[干支紀年法]]を考えずとも異なる歴史観による混乱や単なる誤りでずれが説明できることを説いています。
[SRC[>>958, >>974, >>975]]
[SEE[ 例えば[[日本古代の日時]] ]]

[972] 
[CITE[日本書紀]]の[[持統天皇]]の最終年8月1日と[CITE[続日本紀]]が一致しない問題は、
[CITE[日本書紀]]の誤りではないかとしています。
[SRC[>>958]]

;; [973] この時代は[[改暦]]とも絡むので諸説あります。
[SEE[ [[旧暦]] ]]
しかし何にせよ干支云々なしでより説得力がある説明ができる問題には違いありません。

[971] 
[[平成時代]]の日本古代史研究者で最も[[暦法]]に精通しているであろう[[細井浩志]]も[[伊野部重一郎]]の見解に賛成しています。
[SRC[>>959]]

[961] 
しかし[[友田吉之助]]の論文を元にした著書 [SRC[>>34]] では自説を改めてはいませんし、
少なくても明示的には[[伊野部重一郎]]の論文を引用して再反論をしていません。
(投稿した論文誌では再反論していますが、それそのものは著書に掲載されていません。)
しかし[[伊野部重一郎]]の批判に答える形で、
より複雑な説へと変化したようです [SRC[>>974]]。

[REFS[

- [958] [CITE[[[友田吉之助氏の所謂「舊日本紀」について⸺特に紀年論の立場から⸺]]]]
- [974] [CITE[[[再び「旧日本紀」について(一)⸺友田氏の御教示に答える⸺]]]]
- [975] [CITE[[[再び友田吉之助氏の「旧日本紀」について(二)―「日本書紀の年代学的研究」を読む―]]]]

[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[959] 
[[細井浩志]],
[TIME[2023-02-15T10:43:27.600Z]]
<https://kwassui.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=331&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1>
#page=4
]FIGCAPTION]

>友田氏は、これを「一年引き下げられた干支紀年法」が存在するという、特殊な見方をし
ている。しかし、伊野部重一郎氏(伊野部1963)が、友田氏の初出論文に対して批判してい
るように、続紀の編纂過程で、暦日の干支への換算を誤ったものとするのが妥当だろう。
]FIG]

]REFS]

[1150] 
[CITE@ja[report1_03_a_study_in_the_cmpilatory.pdf]], [TIME[2022-02-13T15:00:00.000Z]], [TIME[2025-01-30T05:48:55.358Z]] <https://www.manyo.jp/ancient/report/pdf/report1_03_a_study_in_the_cmpilatory.pdf>

[1151] >>1150 は[CITE[万葉集]]の紀年の問題を主題に、
[[友田吉之助]]の主張が成立しないことを論じています。

-*-*-

[1154] [CITE@ja-JP[日本歴史学界の回顧と展望 5 (日本古代 2 1971~85)]], [[史学会]], [TIME[1987.6][1987]], [TIME[2025-07-02T03:11:48.000Z]], [TIME[2025-07-22T08:02:11.923Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/12177526/1/35?keyword=%E7%B4%80%E5%B9%B4%E6%B3%95> (要登録)

[1155] >>1154 当時はまだ肯定的に評価されていた!

[1156] [CITE@ja-JP[日本書紀研究 第6冊]], [[横田健一]], [TIME[1972]], [TIME[2025-07-02T03:11:48.000Z]], [TIME[2025-07-22T08:04:51.819Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/12268550/1/52> (要登録)

[1157] 
>>1156 は肯定的に活用した学説

-*-*-

[778] 
肯定も否定もせずに参照しているだけの事例 [SRC[>>785, >>788]]

[REFS[

- [788] [CITE[Vol.21 , No.1(1972)059若林 隆光 「末法思想の性格の一面-末法入年仏教渡来説について-」.pdf]], [TIME[2012-03-25T08:28:57.000Z]], [TIME[2023-02-14T03:04:48.081Z]] <http://echo-lab.ddo.jp/Libraries/%E5%8D%B0%E5%BA%A6%E5%AD%A6%E4%BB%8F%E6%95%99%E5%AD%A6%E7%A0%94%E7%A9%B6/%E5%8D%B0%E5%BA%A6%E5%AD%B8%E4%BD%9B%E6%95%99%E5%AD%B8%E7%A0%94%E7%A9%B6%E7%AC%AC21%E5%B7%BB%E7%AC%AC1%E5%8F%B7/Vol.21%20,%20No.1(1972)059%E8%8B%A5%E6%9E%97%20%E9%9A%86%E5%85%89%20%E3%80%8C%E6%9C%AB%E6%B3%95%E6%80%9D%E6%83%B3%E3%81%AE%E6%80%A7%E6%A0%BC%E3%81%AE%E4%B8%80%E9%9D%A2-%E6%9C%AB%E6%B3%95%E5%85%A5%E5%B9%B4%E4%BB%8F%E6%95%99%E6%B8%A1%E6%9D%A5%E8%AA%AC%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6-%E3%80%8D.pdf>
#page=4
- [779] [CITE@ja[『[[聖徳太子 実像と伝説の間]]』: suchowan's blog]],
2016年03月01日
([TIME[2019-08-07 16:02:16 +09:00]])
<https://suchowan.at.webry.info/201603/article_1.html>
-- [780]  移転確認 [TIME[2024-12-30T02:45:21.100Z]]
-- [785] 
[CITE@ja[『聖徳太子 実像と伝説の間』: suchowan's blog]], [TIME[2024-12-30T02:45:24.000Z]], [TIME[2019-09-21T02:42:20.053Z]] <https://web.archive.org/web/20190921024033/https://suchowan.at.webry.info/201603/article_1.html>

]REFS]

-*-*-

[1052] 
[[友田吉之助]]の研究について、その問題提起は研究史上有意義な貢献だったと考えられます。
すなわち、

- [1053] [[干支紀年法]]が一致すれば同じ[[年]]であることは日常的にも学術的にも常識と理解されてきましたが、
その前提が常に成り立つことは明示的に確認されているわけではありません。
-- [1054] [[古代支那]]については[[太歳紀年法]]が時代によって変化していることが近代の研究者によって確認されています。
[SEE[ [[支那木星紀年法]] ]]
であるならば他の時代にも異なる[[干支紀年法]]が使われた可能性は
(結論が肯定的であれ否定的であれ) 想定しないわけにはいきません。
- [1055] 同じ時代の同じ地域で1つの[[暦法]]が使われていることは日常的にも学術的にも暗黙裡に仮定されていることが多いですが、
その前提が成り立つと確認されているわけではありません。
-- [1056] 
[[昭和時代]]までの研究はまず過去の[[暦日]]を復元しなければならないとの課題があり、
資料を集めてその大部分が適合する長暦を作り、例外的な不一致は何らかの誤りとみなして無視する方法が採られていました。
[[改暦]]などの例外的な併用を除けば唯一の[[暦日]]の系列が得られることを暗黙裡に前提とした作業でした。
複数の[[暦法]]の恒久的な共存の可能性を疑うことや、
例外事例にも体系的な規則の存在を疑うことは (結論が肯定的であれ否定的であれ) 必要なことです。
- [1057] 
[[中世]]の書物を中心に、
古代史上の日付や年次についての異説が存在する事項が多数存在します。
近代史学の研究者は古い時代に遡れない説をばっさり切り捨ててきましたが、
その結果異説の発生と発展の過程にはあまり目を向けられなくなってしまいました。
-- [1058] 
古くない時代に成立した資料でも、古く遡れる所説が記録されている場合はあります。
資料とそこに掲載された説の成立伝来の過程を解明することは
(結果古い説と判明するにせよ、そうでないにせよ) 必要なことです。
-- [1059] 
古く遡れない説にせよ、[[中世]]や[[近世]]に行われた以上、
思想史や研究史におけるその位置と意義を明らかにすることは、必要なことです。
-- [1060] 
なかでも各種の[[年代記類]]は、
そうした説を伝える重要な[[媒体]]であったこと疑いありませんが、
その発生と分化の系譜は未だ部分的にしか解明されていません。
- [1072] 
[CITE[日本書紀]]の本紀の日付はあまりに整いすぎています。
[[友田吉之助]]が必死で矛盾をかき集めてもわずかに数個しか見つけられませんでした。
果たしてこれは[CITE[日本書紀]]の原形なのでしょうか。
-- [1073] 
常識的に考えても、他の時代の歴史書などと比べても、
もっと誤りが含まれていてもいいはずです。
これほど整っているのは、
原本の計算が優れているのでしょうか。
それとも伝来の過程で誤りが正されてきたのでしょうか。
--- [1075] 
[[中国正史]]は各書ごとに誤りの含有率がばらばらのようで、
誤りがほとんどないよく編纂されているものもあれば、
誤りだらけの荒れたものもあるようです。
-- [1074] 
[CITE[日本書紀]]の暦日の研究は少なくありませんが、
この点はそれほど追求されてこなかったようです。
ただし年次や年数の矛盾は古くから指摘されています。

といった着目点は、歴史上の事実関係を画定させるための土台となる基礎的研究として重要といえます。

;; [786] 
それに限らず、こうした史料の矛盾や「常識」すぎるがゆえの基礎的研究の欠落箇所は、
[[陰謀論]]説やそうでなくても独創性に過ぎる特殊説の出発点になりがちです。
突飛な結論に導かれる説も、取っ掛かりは納得感の高いふとした疑問であることが多いのです。
本職の研究者が当然視して説明も検証もすっ飛ばすところが、
真実を隠しているという[[陰謀]]を導いてしまっています。
時に有害な社会運動にも結びつきがち ([SEE[ [[偽史]], [[陰謀論]] ]])
なその種の説に対抗する意味でも、
こうした問題点を地道に潰していく作業は歴史研究者に求められる社会貢献でしょう。
(もっとも[[友田吉之助]]がそのような問題意識を持っていたわけではないでしょうし、
[[友田吉之助]]説はそちらの方向の派生説に都合よく利用されてしまって逆効果になっているのですが...
というか[[友田吉之助]]説自体がその罠にはまってしまった結果とも...)

[1061] 
しかし、残念ながら[[友田吉之助]]の研究は十分な回答を与えられたとはいえません。

- [1062] 提示された論理構成は大変に複雑、一部は理解困難ですが、
成立し難い部分が多いように思われます。
-- [1063] 例えば2年遅れ、2年進みの正反対の用例を、
どちらも「二年引き上げた干支紀年法」に結びつけるような強引な議論が展開されています。
-- [1066] 
間違いない、あり得ないといった断定的な判断が多いですが、
納得感が少ない場合が多いです。
-- [1067] 
[[四分暦]]関連は特に事実誤認や牽強付会が多いです。
- [1064] 同じ時代の同じ社会で区別できない複数の異なる[[紀年法]]、異なる[[暦法]]が共存する状態が永続できるか、
現実性がないように思われます。
-- [1065] 長期間併存したのに区別の方法も作られず、換算の手引も残らないとは考えにくいでしょう。
- [1068] 
「現行長暦」
は未完であり史料によって改善されるべきものであるにも関わらず、
その認識が不十分なまま「現行長暦」
との相違をことごとく異なる[[紀年法]]や[[暦法]]の根拠に帰しているように見えます。
- [1069] 
対象範囲の時代と地域がどんどん拡大されていくことからわかるように、
日付や干支の矛盾は普遍的に見られるものです。
-- [1070] 
誤り、ずれのパターン化や発生原因の追求という方向性で進めた方が有意義な結論に至ったかもしれません。
-- [1071] 
おそらく[[友田吉之助]]は知らなかったのでしょうが、
[[中国正史]]には長暦と矛盾する日付が多数あります。
それだけをテーマにした鈍器のような書籍が現在までにいくつか出版されているほどです。
そのすべてが現実の生活で用いられた[[紀年法]]や[[暦法]]の違いだとすると、
[[友田吉之助]]の研究どころではない大きな秘密が正史に隠れていることになりますw
-- [1076] 
[[友田吉之助]]は[CITE[吾妻鏡]]も研究していたようですが、
なぜか[CITE[吾妻鏡]]の暦日はこちらの研究で使っていません。
[CITE[吾妻鏡]]の暦日には乱れが多く、
[[鎌倉時代]]にも異なる[[紀年法]]や[[暦法]]が使われていたと判明したに違いありませんが...
-- [1077] 
中世後期になると異なる暦日が日本列島内部で使われたことが確実です。
[SEE[ [[旧暦]] ]]
すると中世後期と[CITE[吾妻鏡]]など中世前期と[[平安時代]]以前の記録に見られる日付の矛盾のパターンを比較し、
傾向に違いがあれば、どの時代に異なる曆が用いられた可能性がある、
といった分析ができそうです。

[1078] 
してみると[[友田吉之助]]が開拓しようとした新領域は[[友田吉之助]]の説が明後日の方向に進んでしまったがために追随者がなく、
未開拓のまま残ってしまいました。別の問題意識からその領域に手を伸ばしてきた研究者によって取り組まれている部分もあるものの、
未だ取り組む価値がある課題は多く残されているように感じられます。

** 派生説

;; [812] 本項の内容に限定されないものは[[友田吉之助]]参照。

[1152] 
[CITE@ja-JP[日本王朝興亡史 : 明治第八王朝論]], [[鹿島曻]], [TIME[1989.2][1989]], [TIME[2025-07-02T03:11:48.000Z]], [TIME[2025-07-16T15:19:11.086Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/13217440/1/35> (要登録)

[1153] 
>>1152 2年引き上げ説 + [[九州年号]] + [[鹿島曻]]とどこから突っ込んだいいか...

[790] [CITE@ja[【偽書】“天皇”と“皇帝”の違い 幻の書物【日本書】〜古書から日本の歴史を学ぶ〜|古本屋えりえな|note]], [TIME[2023-02-14T03:02:22.000Z]] <https://note.com/ai_auwa/n/n14ff70f3742b>

[811] 
[CITE[NihonShoki_Sakujitsu_9.pdf]], [TIME[2014-03-04T12:20:00.000Z]], [TIME[2023-02-14T03:23:34.972Z]] <https://u4ren6.org/Moritsune/NihonShoki_Sakujitsu_9.pdf#page=4>

[810] [TIME[2021-01-21T10:47:30.000Z]], [TIME[2023-02-14T03:21:27.929Z]] <http://wwr2.ucom.ne.jp/hetoyc15/kodaisi/gennten/jikanreki1.htm>

[794] [CITE@ja[日本書紀はどのようにして成立したのか | 永井俊哉ドットコム]], [TIME[2023-02-14T13:34:28.000Z]], [TIME[2023-02-15T10:56:04.758Z]] <https://www.nagaitoshiya.com/ja/2010/nihon-shoki-philology/>

>[SNIP[]]友田吉之助によると、この時の日付、和銅七年二月戊戌は、異種の干支紀年法においては、和銅五年正月戊戌、つまり、『古事記』序文に記されている『古事記』選上の年月日、和銅五年正月二十八日と完全に合致する[SUP[__&&[&&__6__&&]&&__]]。したがって、この『国史』を『古事記』とみなすこともできる。

[792] [CITE@ja[日本の合戦一覧 - Wikipedia]], [TIME[2023-02-13T04:33:36.000Z]], [TIME[2023-02-15T11:02:09.876Z]] <https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%90%88%E6%88%A6%E4%B8%80%E8%A6%A7#cite_note-6>

>「好太王碑文と顓頊暦紀年法」(友田吉之助著『日本書紀成立の研究 増補版』風間書房、1983年)。好太王碑文の紀年法は通常の暦より干支が1年遅れの顓頊暦を使っているとみられる。このため倭に関する記事の年も全て通説より1年遅れになるとする。

[791] 
[CITE[ウィキペディア]]にはこのように独創的な研究者の説が紛れ込んでいることがたまにある。
[SEE[ [[ウィキペディアの日時関連記事]] ]]

*** 大和岩雄の説

[1120] 
[[昭和時代]]の[[大和岩雄]]は[CITE[古事記]]偽書説を主張しましたが、
[[友田吉之助]]説に基づいていました。

[798] 
[[大和岩雄]]は[[[CITE[古事記]]偽書説]]の中心人物の1人。
[[友田吉之助]]は[CITE[古事記]]序文の[[日付]]が本来の[CITE[和銅日本紀]]の成立日を転用したものだと主張している。
そして[CITE[和銅日本紀]]説は[[[CITE[古事記]]偽書説]]にとって有力な根拠として扱われているという関係。

[1119] 
[CITE[古事記と天武天皇の謎]],
[[大和岩雄]],
[TIME[1979]]
によると
[SRC[>>1118]]

>
だから友田氏の二年繰り上がる干支紀年法を論破しない限り、
偽書説の否定は成り立たない。しかし反論はまったくないのである。

;; [1121] 
[[伊野部重一郎]]の批判はなかったことに!? 
このように「反論がない」と主張するのは[[偽史]]や[[陰謀論]]説でよくみられますね。
[SEE[ [[偽史]] ]]

[802] [CITE@ja[神武天皇 - Uyopedia]], [TIME[2019-05-06T05:12:01.000Z]], [TIME[2023-02-14T14:56:33.473Z]] <http://uyopedia.a.freewiki.in/index.php/%E7%A5%9E%E6%AD%A6%E5%A4%A9%E7%9A%87>

>記は137歳とするが、これはもともと127歳だったのが平安時代に多人長(おほのひとなが)によって改竄されたものである(大和岩雄の説)。よって紀の127歳説が本来の伝承。記の序文の年月日は顓頊暦によって換算・同定されているので、そのことを暗示するとともに紀との矛盾を調整するため、10年の水増しがされた。『日本書紀』の儀鳳暦と顓頊暦とでは10年のずれが生じるからである。

[801] 
[[顓頊暦]]が云々とは[[友田吉之助]]の説。
[[大和岩雄]]がいつどのようにこれを主張したのか知らないが、
[[大和岩雄]]の会社[[大和書房]]の雑誌に[[友田吉之助]]は何本か寄稿していて、
同じ号に[[大和岩雄]]自身と[[友田吉之助]]の記事が並んでいることも。

;;
[800] 
なお同社の別雑誌 [SRC[>>799]] では[[友田吉之助]]と共に[[九州王朝説]]の[[古田武彦]]の記事も掲載されていたりします。
(その同じ号に[[安本美典]]の記事もあるので、別にそういう系の人達ばかり集めているというわけでもなくその時代の目立っていた人大集合みたいな感じかと。)

[793] 
ただし[[友田吉之助]]の説では[[暦法]]違いで10年ずれは起きていない。

[REFS[

- [799] [CITE@ja[東アジアの古代文化020号 特集 古代の暦と太安萬侶の墓誌 - 株式会社 [[大和書房]] 生活実用書を中心に発行。]], [TIME[2023-02-15T10:31:03.000Z]] <https://www.daiwashobo.co.jp/book/b315764.html>

]REFS]

*** 牧尾一彦の説

[815] 
[[牧尾一彦]]は[[友田吉之助]]説を活用しつつ独自説を展開しています。

[978] 
[TIME[令和4(2022)年][2022]]の著書 [SRC[>>813]] で説かれています。
それによると[[旧干支紀年法]]説は既に同年の前著[CITE[邪馬臺国と神武天皇]]でも指摘されていました。
更には[TIME[平成23(2011)年][2011]]の[CITE[日本書紀編年批判試論]]でも既に論じられていたそうですが、
誤謬や不十分性があって新著で修正再論したのだそうです。
[SRC[>>813 p.[L[6]]]]

[806] >>805 ほかは >>813 の一部を編集して掲載とのこと。 
同じ出版社のグループ企業運営サイト。

[804] 
令和4年にもなってまだ新しい本出す人いるのすごいな。。

[816] 
次のような主張です。 [SRC[>>813]]

- [817] 初期天皇王権は[[顓頊暦]]直系の暦術を用いた [SRC[p.[L[8]]]]
-- [1089] [[暦元]]の修正を繰り返しながら用いられ続けた可能性
[SRC[p.[L[45]]]]
- [820] [[大和朝廷]]は >>817 に随伴した[DFN[旧干支紀年法]] = [DFN[一年下った干支紀年法]]
(= [DFN[一年引き下げられた干支紀年法]]) を[CITE[日本書紀]]持統天皇4年 ([TIME[西暦690年][690]])
まで用いた [SRC[p.[L[8]]]]
-- [821] [[旧干支紀年法]]の存在を[[友田吉之助]]が初めて示した [SRC[p.[L[8]]]]
-- [963] [[友田吉之助]]説は不十分、失考、錯乱が少なくなく甚だ読みにくいが、
基本的に正鵠を射ていると思われる [SRC[p.[L[9]]]]
-- [964] [[二年引き上げられた干支紀年法]]は誤年表による誤編年に過ぎない [SRC[p.[L[9]]]]
-- [965] [CITE[古事記]]の崩年干支は[[旧干支紀年法]] [SRC[p.[L[9]]]]
-- [966] [CITE[和銅日本紀]]は[[旧干支紀年法]] [SRC[p.[L[10]]]]
-- [967] [CITE[養老日本書紀]]は[DFN[新干支紀年法]] = [[現行干支紀年法]] [SRC[p.[L[10]]]]
- [968] [CITE[古事記]], [CITE[和銅日本紀]]は反[[藤原不比等]]派、
[CITE[養老日本書紀]]は[[藤原不比等]]派による編纂で派閥対立 [SRC[p.[L[10]]]]
- [969] [CITE[和銅日本紀]]は[[崩年称元法]]、[CITE[養老日本書紀]]は[[踰年称元法]]
[SRC[p.[L[10]]]]
- [970] [CITE[養老日本書紀]]は[CITE[和銅日本紀]]をそのままだったり、
1年繰り上げたり、年を削減したり、ダミー年次を挿入して記事を捏造したり 
[SRC[p.[L[11]]]]
- [1081] [[顓頊暦]]
-- [1082] [CITE[唐書]][CSECTION[暦志]]によると西暦紀元前366年[[旧干支紀年法]]甲寅年正月甲寅晨初が朔で立春
[SRC[p.[L[22]]]]
-- [1083] [[暦元]]を[[干支指数]] (0起算) 50 から 50.5 に修正すると、
山東省臨沂漢墓出土漢武帝元光元(西暦紀元前134)年竹簡暦書とすべて一致する
[SRC[p.[L[24]]]]
-- [1084] [CITE[史記]]漢初58例も誤記等5例を除き一致する
[SRC[p.[L[25]]]]
- [1085] 修正[[後漢四分暦]]
-- [1086] [[後漢四分暦]]の[[二十四節気]]を5.5日繰り上げ、月朔を2日繰り上げる
[SRC[pp.[L[44]]-[L[45]]]]
-- [1087] [[石神遺跡]]出土具注暦木簡と一致する
[SRC[pp.[L[44]]-[L[45]], pp.[L[58]]-[L[61]]]]
-- [1088] [[旧干支紀年法]]は[[顓頊暦]]直系の暦法に伴った紀年法だった
[SRC[p.[L[45]]]]
-- [1090] [[友田吉之助]]が[[奈良時代]]の[[後漢四分暦]]実用を3例指摘している
[SRC[p.[L[45]]]]
-- [1091] [[太安万侶墓誌]]暦日は[[後漢四分暦]]の修正版 (朔干支指数から2.5を引く) と一致する,
[[太朝臣家]]が自家用に計算したもの
[SRC[p.[L[45]], pp.[L[53]]-[L[57]]]]

[1092] 
[[友田吉之助]]説と比較すると、旧[CITE[日本紀]]の存在や[[一年引き下げられた干支紀年法]]、
[[四分暦]]は基本的に同じです。[[友田吉之助]]が参照していない[[1年ずれ]]史料も追加しています。

[1093] 
しかし[[友田吉之助]]説と違って旧[CITE[日本紀]]と[CITE[日本書紀]]とで[[称元法]]が異なっていたとしています。
[[友田吉之助]]説は[[称元法]]の違いではないとして[[一年引き下げられた干支紀年法]]の論拠にしていたのですが、
本書にはその点への言及がなく、[[友田吉之助]]説との整合性をどう考えているのか謎です。
[[二年引き上げられた干支紀年法]]を認めないのも大きな違いです。

[1094] 
旧[CITE[日本紀]]から[CITE[日本書紀]]への変更を「捏造」と呼び、
朝廷の派閥対立にその動機を求めている点も大きな違いであり、
本書が[[陰謀論]]側へ一線を越えている部分でもあります。

[REFS[

- [813] 
[CITE[[L[6〜7世紀の日本書紀編年の修正⸺大化元年は646年、壬申乱は673年である⸺]]]],
[[[L[牧尾一彦]]]],
[L[2022年12月19日    第1刷発行]]
-- [803] [CITE@en-us[Amazon.co.jp: 6~7世紀の日本書紀編年の修正 ―大化元年は646年、壬申乱は673年である― : 牧尾 一彦: Japanese Books]], [TIME[2023-02-14T03:19:51.000Z]] <https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344942884/wakaba1-22/>
- [805] [CITE[史実に忠実な6~7世紀だが…修正すべき日本書紀の編年のズレとは | 幻冬舎ゴールドライフオンライン]], [TIME[2023-05-22T09:03:45.000Z]] <https://life.gentosha-go.com/articles/-/12653>
- [809] [CITE[教科書にも載る「壬申乱」672年の事件という通説は誤りかもしれない!? | 幻冬舎ゴールドライフオンライン]], [TIME[2023-05-22T09:04:02.000Z]] <https://life.gentosha-go.com/articles/-/12789>
- [808] [CITE[日本書紀成立の研究書に欠点が!? より正確な暦計算を試みる! | 幻冬舎ゴールドライフオンライン]], [TIME[2023-05-22T09:03:27.000Z]] <https://life.gentosha-go.com/articles/-/12965>
- [807] [CITE[日本書紀に記された暦のズレを特定!問題解明の7つのステップ | 幻冬舎ゴールドライフオンライン]], [TIME[2023-05-22T09:04:15.000Z]] <https://life.gentosha-go.com/articles/-/13066>
- [1131]  
[CITE@ja[歳星=木星による紀年法の不具合。古代中国ではどのように対応したのか?|ゴールドライフオンライン]], [TIME[2024-12-19T11:35:24.000Z]] <https://renaissance-media.jp/articles/-/14088>

]REFS]

* 九州王朝説

[1136] 
[[九州王朝説]]では[[現行干支紀年法]]と[[1年ずれ]]の[[干支紀年法]]が使われたと考えられているようです。

-*-*-

[1137] 
[[九州王朝説]]の信奉者の説で、
[[九州王朝]]で[[四分暦]]が使われたとするものがあります。
[CITE[令集解]]所引[CITE[古記]]に[[四分暦]]系文献の引用があるので[[九州王朝]]の[[曆]]だという謎理論ですが、
[CITE[古記]]
を知らない[[友田吉之助]]が同じ結論に達していた!と喜んでいるようです。

;; [1138] しかしなぜか[[九州王朝説]]の標準的な説には採用されていないようです。

[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[797] [CITE[倭国の暦法と時刻制度 増田修]], [TIME[2021-01-04T12:18:09.000Z]], [TIME[2023-02-15T10:53:31.333Z]] <https://www.furutasigaku.jp/jfuruta/simin16/rekihouz.html>
]FIGCAPTION]

>[SNIP[]]友田は、「古記」の暦数についての注釈を知らずに、このような結論に到達しているのである。友田の十支紀年法についての研究は、学会では無視あるいは一蹴されているが、真剣に再検討・再評価する必要があろう。『市民の古代研究』誌上で展開された、石川信吉・平野雅曠による倭国干支紀年論も同様である。
]FIG]

;; [796] ここの人達は「学会では無視あるいは一蹴」されていると被害妄想しがち。

;; [795] 真剣に検討した結果一蹴されてるんだがなあw

[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[1130] 
[CITE[古代日本 日本の古代 諸説 '''['''2''']''' 日本の歴史 雑学の世界 娘への遺言]], [TIME[2020-06-05T06:36:00.000Z]], [TIME[2024-12-30T14:18:27.248Z]] <https://widetown.cocotte.jp/japan_den/japan_den093b.htm>
]FIGCAPTION]

>金石文を問う / 日本古代碑の再検討・宇治橋断碑について

>
友田氏の論理によって、宇治橋断碑の大化二年丙午を疑ったのが、重松明久氏である。「大化二年丙午」の年号と干支は、新『日本紀』系年号建てに依拠しているのは、宇治橋断碑が孝徳朝に建立されたものでなく、新『日本紀』の成立以後、養老年間(七一七~七二四年)以後の奈良時代であるとされた。(9)つまり、六四六年建立であれば、干支は「乙巳」でなければならないからであろう。この論点は、至極、明解である。ただ、重松氏は金石文それ自身の分析、研究からでなく、年号論からのみ立論しているという弱点が存していよう。

>
(7)『日本書紀』中の乙巳大化の存在への疑義を明確にした研究論文は、年号論を研究してこられた丸山晋司氏によれば、次の通り。佐藤宗諄「年号制成立に関する覚書」『日本史研究』第百号。原秀三郎『日本古代国家史研究』東京大学出版会。岡田芳郎「年号の始元」『日本の暦』木耳社。田中卓「年号の成立」『神道史研究』二五ノ五・六号。藪田嘉一郎『日本上代金石叢考』河原書店。重松明久「白鳳時代の年号の復元的研究」『日本歴史』第三一九号。

>
(9)重松明久氏前掲論文参照。

>よみがえる壹與 / 佐賀県「與止姫伝説」の分析

>
5九州年号の干支のずれについては丸山晋司氏と平野雅曠氏、石川信吉氏との間で論争が展開されている。興味深い問題であるが、本稿の論旨には直接関わらないので、ここでは言及しない。

>倭国の暦法と時刻制度

>>797 と同文

]FIG]

-*-*-

[1134] >>10 は[[九州王朝説]]の信奉者の説で、
[CITE[宋書]] ([CITE[王年代記]]) の[[神武天皇]]甲寅年即位説について、
甲寅と辛酉の7年の差は[[超辰]]のためではないかとしています。
簡単過ぎる記述でどういう計算でそのような推測になったのか謎です。

[REFS[

- [124] [CITE[t201.pdf]], [TIME[2018-12-05T15:35:11.000Z]], [TIME[2023-04-19T15:45:37.103Z]] <http://furutashigakutokai.g2.xrea.com/kaihou/t201.pdf#page=4>
-- [94] 消滅確認 [TIME[2024-12-21T14:30:57.000Z]]
-- [10] [CITE[Wayback Machine]], [TIME[2024-12-21T14:29:23.000Z]] <https://web.archive.org/web/20230618175329/http://furutashigakutokai.g2.xrea.com/kaihou/t201.pdf#page=4>

]REFS]

-*-*-

[1139] 
[[九州王朝説]]の創始者の[[古田武彦]]は[[百済]]で[[1年ずれ]]の[[干支紀年法]]が用いられたとしています。
[SRC[>>1135]]

[1140] 
また[[九州王朝説]]幹部の[[古賀達也]]は[[九州年号]]とその用例 (とされているもの)
のずれを、当時[[1年ずれ]]の[[干支紀年法]]が用いられていたことで解決しようとしています。
[SRC[>>1133, >>1135, >>1132]]

[1141] 
ただしなぜか慎重論を取っています。[[1年ずれ]]の存在を前提にしていない他の議論との矛盾が生じるからかもしれません。

;; [1143] 
でも[[九州王朝説]]では[CITE[日本書紀]]は[[九州王朝]]の歴史書の盗用ということになってて、
好きな記事を好きな年数だけ移動して真の歴史を復元しているんですよね...
今更[[1年ずれ]]くらいどうにでもなりそうなものですが...

;; [1142] 
[[九州王朝説]]で史実の[[九州年号]]と認定している[[古代年号]]の系列とは[[干支]]が異なる[[古代年号]]の用例はいくらでもあるのに
(それこそ[[九州王朝説]]支持者が一覧表を作ったりしています)、
そのうちの一部だけ取り上げる基準が謎で、都合の良いずれ方をしたものだけ拾っているようにも見えてしまいます。

[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[1133] 
[CITE[二つの試金石 九州年号金石文の再検討]], [TIME[2024-04-12T07:22:29.000Z]], [TIME[2024-12-30T14:37:45.060Z]] <https://www.furutasigaku.jp/jfuruta/sinjitu2/koga02ko.html>
]FIGCAPTION]

>三、大化五子年土器と干支のずれ

> こうした大化五子年土器の史料批判を踏まえて、安田氏は九州年号復原にあたっては同時代金石文が優先するという視点から、共に五年が「子」の年とならない丸山モデルと『二中歴』を九州年号原型案としては不適当とされた。
> これに対して、わたしは大化五子年土器と『二中歴』の大化とでは干支に一年のずれがあり、これは干支がずれた暦法が同地域で使用された場合にも起こりうる現象である。[SNIP[]]

>
[PRE[
 太政官符
  応以辛未年籍爲甲午年籍事
 右得常陸國解稱。依令。近江大津宮庚午年籍不除。而今無有其籍。仍去弘仁二年具状言上。即依太政官同年七月四日符。就民部省令寫之。而依無庚午籍。僅寫辛未籍。午未両 年。歳次相比。定知庚午始作。辛未終成。名実之違。識此之由也。望請。依件爲定者。大納言正三位兼行左近衛大将陸奥出羽按察使藤原朝臣冬嗣宣。依請。
   弘仁十一年五月四日
         (『類聚三代格』国史大系本。異体字・旧字体は古賀が適宜改めた)
]PRE]
>[SNIP[]]一応次の二つの理解が可能だ。
>
(A)文字通り「辛未年(六七一)」に造籍されたものが「辛未年籍」として常陸国には存在していた。
>
(B)常陸国(あるいはその一部)では、干支が一年繰り上がった暦法が使用されており、六七〇年の干支は「辛未」であった。従って、庚午年籍と同年に造籍されたものである。
>[SNIP[]]ただ、ここで注目すべきは、この一年繰り上がった年干支の使用が事実であれば、大化五子年土器と『二中歴』の干支のずれと、同方向・同年数となっていることである。

> たとえば、大宝二年は寅年で、その年に生まれた一歳の者の名前が干支にちなんだ場合、「刀良」「刀良売」という名前になるのだが、実際は大宝一年生まれの人名に「刀良」「刀良売」が集中しており、大宝二年生まれの人名には翌年の干支「卯」にちなんだ「宇提」「宇提売」「宇麻呂」となっている。こうした一年ずれの人名が持統十年(六九六)生まれの者まで遡って存在しているのである。それ以前は生年干支に一致した名前が多く、持統四年(庚寅、六九〇)生まれまでそうした現象が続く。そして、持統四年以前になると干支に一致する人名が急に少なくなり、その関係が乱れている。
> 岸氏はこうした現象を造籍時の混乱による錯誤ではないかとされているが、その場合、持統十年の「丙申年籍」造籍時には正しく記録しえた役人が大宝二年籍作成時にはそうした人名と生年干支のずれに気づかず、「一年」間違ったまま六年分の新規戸籍登録を行ったことになる。(注11)
> しかし、この場合も干支が一年繰り上がった暦法が持統十年を境に使用されたと考えれば、こうした史料状況をうまく説明できる。しかも、持統十年(六九六)から大宝二年(七〇二)の一年繰り上がった期間内に、大化五子年も入っていることから、やはりそうした一年のずれが無関係に発生し、発生時期も偶然一致したとは考えにくいのではあるまいか。更に推論が許されるなら、持統末年から文武にかけての、こうした「混乱」は、古田武彦氏が提唱されたONライン、すなわち九州王朝から大和朝廷への中心権力の移動が七世紀末(七〇〇)に発生した、という仮説と密接に関わっていることも充分考えられるのである。

>(10)岸俊男「十二支と古代人名--籍帳記載年齢考--」『西田先生頌寿記念日本古代史論叢』所収。
>   同「造籍と大化改新詔」『日本書紀研究』所収。

]FIG]

[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[1135] 
[CITE[一年のずれ問題の史料批判 百済武寧王陵碑「改刻説」補論 古代貨幣異聞 古賀達也]], [TIME[2024-10-20T06:25:56.000Z]], [TIME[2024-12-30T14:48:32.088Z]] <https://www.furutasigaku.jp/jfuruta/kaihou31/koga31.html>
]FIGCAPTION]

>昨年九月、古田武彦氏らは韓国の武寧王陵碑を見学され、その碑面の字の改刻された痕跡を調査された。そして、武寧王没年干支「癸卯」の部分が改刻されており、原刻は「甲辰」であったことを確認された(注1. )。
>[SNIP[]]こで古田氏は、干支が一年引き上がった暦が百済では採用されており、後に現行暦の干支に改刻された痕跡であるとされた。そして、その改刻時期は同陵に合葬されていた王妃の埋葬時(五二九年己酉。王妃没年は五二六年丙午)に改刻された可能性が高いと指摘された。すなわち武寧王没後数年の間に、百済では暦が現行暦に変更されたと考えられるのである。[SNIP[]]

> 私も「二つの試金石」(『古代に真実を求めて』2集)において、「大化五子年土器」の干支が、『二中歴』などに見える九州年号「大化」に比べ干支が一年引き上がっていることを指摘し、干支が一年ずれた暦の存在を示唆したのだが、この武寧王陵碑も同様の痕跡を示していたのである。しかも、百済国王の墓碑という史料性格、学術発掘による発見という理想的な史料価値を有する金石文であることから、干支のずれた暦の存在を証明する動かぬ証拠とも言いうるのであった(注2. )。

> 以上、内外史料より四点の異暦混在の痕跡を検証してきたのであるが、この異暦混在の事実を受け入れることにより、『日本書紀』や中国史書における百済関連記事年次の全面的な再検討が必要になるばかりか、国内記事においても同様の史料批判が要請されること、自明であろう。と同時に、なぜこの時期、百済は暦の変更を行ったのかという問題が提起されよう。それらの問題は稿を改めて論じたいが、中国における南北朝対立の狭間でゆれる百済のおかれた国情を深く反映しているのではあるまいか。同様に倭国、九州王朝における異暦混在も今後の課題としなければならないと思われるのである(注6.)。

>1. 『多元』二八号掲載、古田武彦「虹の光輪」にいきさつが紹介されている(一九九八年十月)。「多元的古代」研究会関東発行。なお本稿の帰結に従うならば、この碑に記された埋葬年干支の乙巳(改刻されていない)も一年引き上がった表記と見なし、従って同乙巳年の実年代は前年の五二四年となるところであるが、その日付干支から判断すると、この碑文の乙巳年は現行暦の五二五年乙巳の日付干支に一致している。従って、同碑文本来の原刻没年干支は一年引き上がった異暦で、埋葬年干支は現行暦で記されているという、一見奇妙な史料状況を示していることになる。このことから判断すると、百済が暦を変更したのは、武寧王没直後、埋葬以前となるのではあるまいか。
>
2. 干支の異なった異暦については、友田吉之助氏による精力的な研究『日本書紀成立の研究』(風間書房、昭和四四年刊)がある。同書に紹介された数種の暦に、本稿で取り上げた一年干支が引き上がった暦は見えないが、一年下がった暦は見える。もっとも、干支のずれの方向は史料理解の方法により逆転する可能性もあり、本稿の問題も含めてこの点留意が必要であろう。

>6. 法隆寺釈迦三尊像光背銘に記された年日付干支より、同文は現行暦によることがわかるが、同光背銘に見える上宮法皇が九州王朝の天子多利思北孤のこととすれば、この時期、九州王朝では現行暦を使用していたこととなる。一方、後代文献に干支が一年引き上がってた九州年号を持つ記事が見える(『肥前舊事』引用「遊方名所略」他)。
> また、『寧楽遺文』収録「金銅阿弥陀仏像記(西琳寺縁起所載)」に見える「寶元五年己未」という年号は(通説では斉明五年己未、六五九年とされる)、私見では九州年号「告貴元五年(五九八年、現行暦では戊午)」の誤記であり、この場合も干支が一年引き上がって翌年の己未とされているのではあるまいか。

]FIG]

[1132] [CITE@ja[第2865話 2022/10/28]], [TIME[2024-12-30T14:23:42.000Z]] <https://koganikki.furutasigaku.jp/koganikki/the-name-of-an-era-for-kyushu-dynasty/post-10740/>

> 『肥前舊事 巻之一』に引用された「遊方名所略」「日本略記」の記事に見える九州年号「勝照二年(586年)丁未」と「鏡帝(當)二年(582年)癸卯」の干支が『二中歴』などの九州年号の干支と一年ずれています。両記事とも翌年干支が付記されており、先に紹介した武寧王墓誌や『万葉集』左注の「朱鳥」と同じ方向の一年のずれです。この後代史料中の異干支九州年号記事を、古代の異干支暦存在の痕跡とすることには慎重にならざるを得ませんが、皆さんに紹介しておきたいと思います。

-*-*-

[1144] 
[[九州王朝説]]愛好家らの説で、
[[則天武后]]に追随して[[改正月]]したためにずれが生じたと主張するものがあります。
[SRC[>>1149, >>1147, >>1146]]
[[岸俊男]]の研究にある[[戸籍]]の[[人名]]の[[干支]]とのずれを引いて根拠としています。
[SRC[>>1147, >>1146]]

;; [1145] 
[[改正月]]によって[[干支年]]にずれが生じるかは疑わしいですが、
[[唐]]の[[改正月]]が[[日本]]でも日付記録に混乱をもたらした可能性についてはこれまで十分に議論されていないと思われ、
良い着眼点ではないでしょうか。
この説は[[永昌]]をその傍証としていますが、
確かに何らかの理由で[[唐の元号]]が[[関東平野]]で用いられたことを実証するものであり、
[[元号]]に限らず[[唐]]の[[曆]]が使われていた可能性は検討されるべきでしょう。
(この時代の[[日本]]で国家の曆以外の曆が混在して利用されていた可能性を検討するべきことは近年暦学史的な方面で指摘されています。)

[REFS[

- [1149] 
[CITE[持統・文武の大嘗を疑う--「持統周正仮説」による検証 洞田一典]], [TIME[2024-04-18T07:26:30.000Z]], [TIME[2025-01-21T13:43:22.950Z]] <https://www.furutasigaku.jp/jfuruta/sinkodai5/horadata.html>
- [1147] 
[CITE@ja[「那須直韋提の碑文」について(五) - 古田史学とMe]], [TIME[2025-01-21T13:26:50.000Z]] <https://blog.goo.ne.jp/james_mac/e/06ea6abc7adfc62aeaf5a73abe515302>
-- [1148] 
[CITE@ja[「那須直韋提の碑文」について(六) - 古田史学とMe]], [TIME[2025-01-21T13:27:04.000Z]] <https://blog.goo.ne.jp/james_mac/e/2ade47096695a6ce218dd4d177c9863b>
- [1146] 
[CITE@ja[「干支」と命名法 - 古田史学とMe]], [TIME[2025-01-21T13:41:13.000Z]] <https://blog.goo.ne.jp/james_mac/e/0d47b191e047d131ae0d58eb0e5d8124/?st=1>

]REFS]

* 歳次異読3種類説

[1097] 
[[砂川恵伸]]は[[九州王朝説]]の亜種のようなものを発表しています。
[[九州王朝説]]に強い影響を受けつつも、
そのすべてには納得がいかなかったようで [SRC[>>1107 p.[L[5]]]]、
例えば[[二倍年暦]]説を完全否定する [SRC[>>1096 pp.[L[87]]-]]
などは正反対の主張です。

;; [1126] 
[CITE[日本書紀]]は真っ赤な嘘で塗り固められたもの [SRC[>>1107 p.[L[6]]]],
[[朱鳥]]は[[九州王朝]]が制定したが[CITE[日本書紀]]はあたかも[[天武天皇]]が制定したかのように記述した [SRC[>>1128 p.[L[79]]]],
など本家[[九州王朝説]]より弱まってはいるものの、[[陰謀論]]説的傾向もいくらか継承しています。

[1098] 
[[砂川恵伸]]は[CITE[日本書紀]]の「歳次」用例をもとに、
[[歳次]]には3種類の意味があると考えました。
[SRC[>>1099, >>1103]]

- [1100] 「歳は・・・に[RUBY[次][やど]]る」、「・・・の歳」 ([[現行干支紀年法]])
- [1101] 「歳は・・・を[RUBY[次][つ]]ぐ」、「・・・の前年」
- [1102] 「歳は・・・に[RUBY[次][つ]]ぐ」、「・・・の翌年」

[1104] 
[[α群]]は >>1100、[[β群]]は >>1101 か >>1102 で、
[[中国人]]だけが[[現行干支紀年法]]を使っていたのだといいます。
[SRC[>>1103 pp.[L[49]]-[L[50]]]]

;; [1105] といっても実は[CITE[日本書紀]]中の用例は5個しかなくて、
引用文と即位前紀と紀年に問題がある紀という特殊事例ばかりなのですがね...
編纂過程と紀年乱れの関係の追求のヒントにはなるかもしれませんが...

;; [1106] 
>>1096 p.[L[56]]-
は[CITE[古事記]]の在位年から[CITE[日本書紀]]との[[称元法]]の違いを語っています。
[CITE[古事記]]の[[元年]]が云々と述べられていますが、
アマチュア古代史研究者にありがちな在位年数と[[即位紀年]]の混同ですね。
[SEE[ [[[CITE[古事記]]称元法]] ]]

[1114] 
「・・・の前年」は、[CITE[日本書紀]]の編纂から完成までのある時期の校訂作業中の使用法とされます。
[SRC[>>1113]]

[1115] 
「・・・の翌年」は、西暦699年まで近畿大和文化圏で使われていて、
西暦700年以後は中国と同じ「・・・の歳」で使われるようになったとされます。
[SRC[>>1113]]

[1116] 
また、[[九州王朝]]の勢力圏ではそれ以前でも「・・・の歳」で使われていたとされます。
[SRC[>>1113]]

[1123] 
[[友田吉之助]]説の[[一年引き下げられた干支紀年法]]は「歳次」の誤解による[[1年ずれ]]であり、
[[二年引き上げられた干支紀年法]]は「・・・の前年」と「・・・の翌年」の誤解による[[2年ずれ]]なのだとして、
各事例の解釈が述べられています。
事例によっては[CITE[古事記]]の曆であるとか、
[[即位紀年]]の取り違いであるとかの解釈にもなっています。
[SRC[>>1118]]

;; [1124] 
[[友田吉之助]]説のように[[干支紀年法]]が共存しているとすると、
意思疎通に問題があり常識的に考えてもあり得ない、
とばっさり切り捨てられています。
[SRC[>>1198 pp.[L[330]]-[L[331]]]]
至極もっともな指摘ではあるのですが、それは「歳次」
の読み方が3種類ある世界にも当てはまるのではないでしょうか...
こちらの説は時代と地域がわかれているからセーフという論理なのかもしれませんが.........
1つ1つ個別の用例を検討しないとどの[[紀年法]]か判定できないほど混合された状態で伝わっているということは、
やっぱりセーフではないと考えるのが自然だと思いますが........

;; [1129] 
[CH[次]]を「やどる」と訓ませて「歳次」でその[[年]]の[[干支]]を表す用法は、
[[前近代]]の[[東アジア]]では常識でしたが、[[現代日本人]]にとっては常識ではなく、
不思議に感じられるのは確かです。ここでの[CH[次]]は元を辿れば[[十二次]]の意味なのでしょうが、
[CH[次]]といえば「つぎ」、「next」が連想されるのは当然です。
そんなふとした違和感から通説を疑ってみる姿勢は素晴らしいものですし、
常識や古くからの通説は意外と未検証の穴が残っているものですから、
学術的にも有意義な行為といえます。
しかしその結果通説や常識から大きく外れた回答に導かれたとしたら、
やはりそこで一歩立ち止まって考え直してみるべきなのでしょうね。

[1111] 
[[曆]]については、
[CITE[古事記]]に[[日干支]]用例があるため当時[[中国暦]]が使われたと考えられるものの、
[[元嘉暦]]等に一致するものがないことから、古いものが使われたとしています。
[CITE[論衡]]
に[[周]]の時代に[[倭人]]の来訪の旨があることから、
[[春秋戦国時代]]に[[九州王朝]]が[[中国暦]]を導入し、
それが[[近畿天皇家]]に伝わり[[推古天皇]]時代まで使われたのであって、
[[春秋戦国時代]]ないし[[周]]初の[[中国暦]]の可能性があるとしています。
[SRC[>>1110]]

[1117] 
[[元嘉暦]]が使用されている場合、
[[九州王朝]]の勢力圏で作成されたものか、
西暦629年以降の近畿大和勢力圏で作成されたものであることを意味しているそうです。
[SRC[>>1113]]

[1125] 
「古事記の使用した曆」は、[[月朔干支]]が[[元嘉暦]]から8干支遅れ (時代差あり) となるものだったとされます。
それは[CITE[古事記]]に出現するだけでなく、[[平安時代]]にも使われていたのだというのです。
[[舒明天皇]]元年以後は公式には使用されなかったものの、
歴史と伝統のある由緒深い「古暦」で、
[[天智天皇]]系王朝が復活した[[平安時代]]初期には尊重され私的にあるいは宗教的・因習的なものに使用されていたと思われるそうです。
[SRC[>>1118]]

[HISTORY[

[1122] 
本書は[[一年引き下げられた干支紀年法]]の提唱者は[[友田吉之助]]によると[[木村正辞]]だとしています。
[SRC[>>1118]]
しかし[[友田吉之助]]がそのように述べた箇所は見つけられませんし、
[[木村正辞]]はそのように主張していませんし、
本書における[[木村正辞]]の論文の引用にもそのような主張はありません。

]HISTORY]

[REFS[

- [1096] 
[CITE[[L[古代天皇実年の解明[WEAK(smaller)[⸺三倍在位年数を証明する]]]]]],
[[[L[砂川恵伸]]]],
[L[2005年3月31日  第1版第1刷発行]]
-- [1095] 
[CITE@ja-jp[古代天皇実年の解明: 平成衝口発 三倍在位年数を証明する | 砂川 恵伸 |本 | 通販 | [[Amazon]]]], [TIME[2024-12-30T11:11:45.000Z]] <https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4787705091/wakaba1-22/>
-- [1099] 
[CSECTION[[V[はじめに]]]],
pp.[L[3]-[L[5]]
-- [1103] 
[CSECTION[[V[第一章  日本書紀における「歳次」の意味]]]],
pp.[L[17]]-[L[53]]
- [1107] 
[CITE[[L[天武天皇と九州王朝[WEAK(smaller)[⸺古事記・日本書紀に使用された暦]]]]]],
[[[L[砂川恵伸]]]],
[L[2006年12月25日  第1版第1刷発行]]
--[789] [CITE@en-us[Amazon.co.jp: 天武天皇と九州王朝―古事記・日本書紀に使用された暦 : 砂川 恵伸: Japanese Books]], [TIME[2023-02-14T02:59:42.000Z]] <https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4787706160/wakaba1-22/>
-- [1127] 
[CSECTION[[V[第一章  大海人皇子は九州王朝の皇子である]]]],
pp.[L[15]]-[L[79]]
--- [1128] 
[CSECTION[[V[[YOKO[12]] 「儲君」と「朱鳥」年号]]]],
pp.[L[74]]-[L[79]]
-- [1108] 
[CSECTION[[V[第二章  天皇ではなかった持統と抹殺された高市天皇]]]],
pp.[L[81]]-
--- [1109] 
[CSECTION[[V[[YOKO[1]] 「歳次」再び、そして持統天皇の第一の秘密]]]],
pp.[L[81]]-[L[87]]
-- [1110] 
[CSECTION[[V[第五章  古事記の使用した曆]]]],
pp.[L[183]]-[L[207]]
-- [1112] 
[CSECTION[[V[第六章  元嘉暦と歳次干支―法隆寺釈迦三尊像[BR[]][WEAK(smaller)[⸺上宮法皇は聖徳太子ではない]]]]]],
pp.[L[209]]-[L[276]]
-- [1113] 
[CSECTION[[V[第七章  続・元嘉暦と歳次干支―天寿国繍帳銘[BR[]][WEAK(smaller)[⸺再建法隆寺の謎]]]]]],
pp.[L[277]]-[L[326]]
-- [1118] 
[CSECTION[[V[第八章  友田吉之助説「異種干支紀年法」を駁す]]]],
pp.[L[327]]-[L[377]]

]REFS]

* 道安木星紀年法説

- [83] [CITE@ja[Sangyop Lee • 李尚曄さんはTwitterを使っています: 「明日の印仏研発表では、四世紀末釈道安の長安翻訳チームによる木星紀年法の使用を天文シミュレーションソフトを使って分析し、道安が長安に定着した年次が379年だったという従来の通説を批判、道安の長安移住の「378年説」を新しく提案します。 https://t.co/itFCgcgZJb」 / Twitter]], [TIME[午後11:36 · 2022年9月2日][2022-09-02T14:36:19.000Z]], [TIME[2023-02-16T13:33:01.000Z]] <https://twitter.com/SangyopLee/status/1565710213441032194>
-- [84] [CITE@ja[Sangyop Lee • 李尚曄さんはTwitterを使っています: 「表の「黄緯」は誤謬だったんですね。「黄経」が正しいです。(発表の前に見つけてよかった😂) https://t.co/ft10ZUQAVx」 / Twitter]], [TIME[午前1:20 · 2022年9月3日][2022-09-02T16:20:43.000Z]], [TIME[2023-02-16T13:33:01.000Z]] <https://twitter.com/SangyopLee/status/1565736487966031872>
-- [85] [CITE@ja[Sangyop Lee • 李尚曄さんはTwitterを使っています: 「今年の『印仏研』論文の初校ゲラが届いた。Ho Foundationの助成を受けたポスドクプロジェクトの成果の一部。道安の翻訳チームが実測による歳星紀年法を使用していたことを明らかにして通常379年だったと知られている道安の長安への移住が実は378年だった可能性を提案する。 https://t.co/aguBFFxdXO」 / Twitter]], [TIME[午後5:57 · 2023年2月1日][2023-02-01T08:57:40.000Z]], [TIME[2023-02-10T06:45:19.000Z]] <https://mobile.twitter.com/SangyopLee/status/1620707947344199685>
-- [13] 
[CITE@ja[XユーザーのSangyop Lee • 李尚曄さん: 「My 印仏研 paper on my new hypothesis about the year of Dao'an's relocation to Chang'an based on an analysis of the Jovian year system used in the Dao'an team's documents is out https://t.co/1yIbmVYJVs This was a fun side-project that involved learning @StellariumDev and LaTeX. https://t.co/OgWd1AyaYw」 / X]], [TIME[午後6:54 · 2023年10月18日][2023-10-18T09:54:57.000Z]], [TIME[2024-10-27T08:18:24.000Z]] <https://x.com/SangyopLee/status/1714580819371831567>
-- [86] [CITE[(DOC) '''['''Proposal''']''' 釈道安の長安移住年次の再考 | Sangyop Lee - Academia.edu]], [TIME[2023-02-16T13:38:38.000Z]] <https://www.academia.edu/81280501/_Proposal_%E9%87%88%E9%81%93%E5%AE%89%E3%81%AE%E9%95%B7%E5%AE%89%E7%A7%BB%E4%BD%8F%E5%B9%B4%E6%AC%A1%E3%81%AE%E5%86%8D%E8%80%83>
-- [148] 
[CITE@ja[J. Indian and Buddhist Studies 71(2): 193-197 (2023) - 71_750.pdf]], [TIME[2024-07-02T14:27:39.000Z]] <https://www.jstage.jst.go.jp/article/ibk/71/2/71_750/_pdf/-char/ja>

[149] 
これは[[友田吉之助]]が指摘した[[紀年法]]の問題のうちの1つでもある ([[引用]]していないのは、さすがに分野と時代が違いすぎるから気づいていないのだろうけど)。

- [150] 
[TIME[2024-07-02T14:40:23.100Z]]
<https://doho.repo.nii.ac.jp/record/1301/files/%E5%90%8C%E6%9C%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E8%AB%96%E5%8F%A224%E3%83%BB25.226-300.pdf>
#page=10
- [151] 
[TIME[2024-07-02T14:42:58.200Z]]
<https://chikushi-u.repo.nii.ac.jp/record/1081/files/nenpou_P125-140_manako.pdf>
#page=16

* 用例

[SEE[ [[木星紀年法用例等年表]] ]]

* メモ

Historical Legal Sensitive Parent: [Help / License]

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