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[9] 
[[京都]]の商人で[[国学者]]の[RUBYB[[[村井古巌]]][[TIME[1741]]-[TIME[1786]]]]は、
[DFN[[CITE[古図纂]]]]などの名前で知られる図集を編纂したとされます。 
本書は日本各地の遺跡や出土遺物を図して説明を加えたものでした。
書名と内容が少しずつ異なる複数の写本が残されており、
収録される遺物と順序に違いがありました。
[SRC[>>497 PDF 60ページ, 104ページ]]

[284] 各本の目次や奥付に[[村井古巌]]の名があってその編と知られていますが、
[[東京国立博物館]]本[CITE[古図纂]]収録遺物の発掘年間の下限は下巻所収
[CSECTION[摂州川辺郡清水村松山塚]]
の[TIME[寛政10(1798)年][1798]]であり、
[[村井古巌]]の死後追加されたものもあることがわかります。
各図の場所、年代、最初に書き留めた人物はまちまちでした。
[SRC[>>497 PDF 60ページ]]

[283] 
[CITE[古図類纂]]のように[[鬼室集斯墓碑]]を掲載しない [SRC[>>497 PDF 104ページ]]
ものを除くと、
次の写本の現存が知られています。

- [285] [[国立国会図書館]]本 [CITE[古廟陵并埴物図]] 写本
- [286] [[宮内庁書陵部]]本[CITE[古廟陵并埴物之図]]
-- [480] [CITE[池底叢書]] [V[七十二]]所収[CITE[古廟陵并埴物之図]]写本 [SRC[>>477]]
- [299] [[東京国立博物館]]本[CITE[古図纂]]写本

[490] 
[[国立国会図書館]]に、
[[外題]][CITE[[V[古廟陵并埴物図]]]] [SRC[>>224, >>497 PDF 60ページ]]、
[[内題]][CITE[[V[古廟陵考]]]]の写本がありました。
目次には[[村井古巌]]の編纂とあり、
末尾に「[V[天明六年二月廿八日多賀常政誌之]]」とありました。
[SRC[>>497 PDF 60ページ]]
[CITE[国立国会図書館オンライン]]によれば、
[[国立国会図書館]]に
[CITE[古廟陵并植物之図]]
写本が所蔵されています。
[SRC[>>489]]
他に該当するものなく、
同じものを指すと思われます。

[471] 
[[宮内庁書陵部]]所蔵
[CITE[池底叢書]]
[WEAK[([RUBYB[[[屋代弘賢]]][[TIME[1758]]-[TIME[1841]]]])]]
[V[七十二]]
に、本書が収録されていました。

- [482] 表紙には、
「古図纂」「雑図」「古墳記」
などと収録内容が書かれていました [SRC[>>474]]。
- [483] 本文中のそれに対応する部分に、
「古図纂」「雑図」
と書かれた丁が挟み込まれていました [SRC[>>475, >>476]]
(ただし「古墳記」にはそれがなく、本文の最初の丁に[[見出し]]として書かれていました
[SRC[>>479]])。
- [7] 
「雑図」においてはその次の丁が題名[CITE[古廟陵並植物之図]]、
編集[[村井古巌]]と書かれた内表紙に相当する内容でした
[SRC[>>477]]。
- [484] 
本書の書誌情報には、
「古廟陵並埴物等之図」
「古廟陵並植物等之図」
と「等」が入り、「植」とも書かれていました。
[SRC[>>6]]
-- [298] 
[CITE[補訂版国書総目録]] 第三巻五三九ページに
[CITE[古廟陵并植物之図]]
とあり、誤植とされます
[SRC[>>224]]。
[[宮内庁書陵部]]の [[Webサイト]]と共通の誤字ですから、
共に同じ[[書誌情報]]データベースからの派生と思われます。

[488] 
[[宮内庁書陵部]]本[CITE[古廟陵並植物之図]]部分の[[奥書]]に、次のようにありました。
[SRC[>>478]]

>
[VRL[
天明乙巳年󠄂十一月十四󠄂日  [ASIS[冩][<https://glyphwiki.org/wiki/u2ff1-u5196-u2ffa-u2ff9-cdp-88cd-u706c-u76ee>]]之
浪[ASIS[蕐][人人]][ASIS[邨󠄅][レ→ノ]]井古巖ト云者東都[SUP[ニ]][ASIS[來][亅]]ル只古[ASIS[跡][心-ノ]]ヲ好ミ
廵覽スル処ノ奇噐ヲ圖󠄂ス

[BOX(right)[
春[CURSIVE[波]][CURSIVE[楼]][CURSIVE[藏]][CURSIVE[物]]
]BOX]
]VRL]

[HISTORY[
[472] 
[[胡口靖夫]]は、
著書で[[宮内庁書陵部]]本[CITE[古廟陵并埴物之図]]写本があるとしか書いていませんでした。 
[SRC[>>224]]
他に該当するものなく、
本書を指すと思われます。

[296] [[胡口靖夫]]の著書によると、[[宮内庁書陵部]]本に次のようにあったといいます。
[SRC[>>224 (注釈は >>224 のまま)]]
微妙に違うのは誤植でしょうか。

>
[VRL[
天明[RUBY[乙巳][(五)]]年十一月十四日写之、浪華邨󠄂井古厳
ト云者東都ニ来ル只古跡ヲ好ミ巡覧スル処ノ
奇器ヲ図ス  春波楼蔵物
]VRL]
]HISTORY]

[491] 
[[東京国立博物館]]所蔵[CITE[[V[古[ASIS[圖󠄂][面<口]]纂]]]] [WEAK[([[邨井古厳]]ら)]] [SRC[>>301]]
は、
写本2冊で構成されますが、
[V[一]]が [CITE[古廟陵并埴物図]] とほぼ同内容の写本とされます [SRC[>>224]]。

[300] 東京国立博物館本巻一奥付 [SRC[>>304, >>497 PDF 79ページ]]

>
[VRL[
[BOX(right)[
浪[ASIS[華][[V[艹一[LINES[人][人]]一十]]]]  [ASIS[邨󠄅][卯偏(下ナ)]]古巖  [ASIS[集][ホ亅]]

[ASIS[東][亅]][ASIS[奥][<https://glyphwiki.org/wiki/u2ff3-u2ff5-cdp-8bd6-u7c73-u4e00-u516b>]]  玄澤散人  [ASIS[藏][䒑𮍌]]

[ASIS[東][亅]]都  高[ASIS[梨][ホ亅]]昌本  [ASIS[摸][䒑]]

伊豫  三[ASIS[和][亅]]惟仲  書
]BOX]

異󠄃本天明乙巳年十一月十四󠄂日  写之
浪[ASIS[華][[V[艹一[LINES[人][人]]一十]]]][ASIS[邨󠄅][卬偏]]井古巖ト云者[ASIS[東][亅]]都[SUP[ニ]][ASIS[來][亅]]ル只古跡ヲ好ミ廵[ASIS[覧][<https://glyphwiki.org/wiki/u89a7-itaiji-005>]]スルノ竒
噐ヲ圖󠄂[SUP[ス]]

[BOX(right)[
春波楼[ASIS[藏][䒑冫𮍌]]持
]BOX]

]VRL]

[492] 続き [SRC[>>305, >>497 PDF 60ページ]]

>
[VRL[
右古廟[ASIS[陵][土ハ夊]]並[ASIS[埴][𥄂]][ASIS[物][ノノは朱書]]之記乞需之以[ASIS[植][直󠄉]]田維󠄂章所󠄃[ASIS[藏][䒑ノ𮍌]]本
[ASIS[摸][䒑]][ASIS[冩][𦥑]][ASIS[尤][<https://glyphwiki.org/wiki/u2ff7-u5c22-u4e36-var-001>]]古代之[ASIS[遺][⻎]]風嚴然也可[ASIS[感][<https://glyphwiki.org/wiki/gt-66932>]][ASIS[稱][亅<https://glyphwiki.org/wiki/sdjt-10123>]]者[ASIS[歟][左||]]嗚呼

[BOX(indent)[
維󠄂時天明五[ASIS[稔][亅⿰禾𫝹]][ASIS[乙][<https://glyphwiki.org/wiki/u4e59-15-var-001>]]巳初[ASIS[秋][亅]]下幹
]BOX]

[BOX(right)[
多賀常政誌之

[BOX(right)[
行年七十九[ASIS[歳][<https://glyphwiki.org/wiki/u6b72-itaiji-004>]]
]BOX]
]BOX]

]VRL]

[498] 
宮内庁書陵部本奥書 [SRC[>>492]] によると、
[[植田維章]]が[CITE[古廟陵並埴物之記]]を所蔵しており、
[TIME[天明5(1785)年][1785]]7月下旬に[[故実家]]の[RUBYB[[[多賀常政]]][[TIME[1707]]-?]]
[WEAK[([[御三卿]][[清水]]家の家臣)]]
がそれを借りて書写しました。
[SRC[>>497 PDF 60ページ]]

[499] 
国立国会図書館本奥書 [SRC[>>490]] によると、
[TIME[天明6(1786)年2月28日][kyuureki:1786-02-28]]に[[多賀常政]]がそれを書きました。
つまり宮内庁書陵部本と国立国会図書館本は、
[[多賀常政]]が2箇年にわたって本書をまとめた体裁を伝えています。
[SRC[>>497 PDF 60ページ]]

[306] 
宮内庁書陵部本 [SRC[>>488, >>298]] および東京国立博物館本 [SRC[>>300]]
奥書によると、
[TIME[天明5(1785)年[LINES[乙][巳]]11月14日][1785-11-14]]、
書写されました。
当時[[村井古巌]]は[[江戸]]に滞在していました
[SRC[>>497 PDF 79ページ]]。
その写本は[[司馬江漢]] ([[春波楼]]) の所蔵するところとなりました
[SRC[>>224, >>497 PDF 79ページ]]。

[500] 
東京国立博物館本 [SRC[>>300]]
奥書によると、
[[蘭学者]]の[RUBYB[[[大槻玄沢]]][[TIME[1757]]-[TIME[1827]]]]が写本を模写したか貰い受けました。
更に[[高梨昌本]]が臨写しました。
そして[[三和惟仲]]が書を付しました。
[SRC[>>497 PDF 79ページ]]

[2] 
本書成立過程には若干の議論がありました。 [SEE[ [[鬼室神社]] ]]

[REFS[

- [489] [CITE@ja[[[古廟陵并植物之図]]|書誌詳細|国立国会図書館オンライン]], [TIME[2021-03-23T10:20:58.000Z]], [TIME[2021-04-01T10:06:07.206Z]] <https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000007293395-00>
- [301] [CITE[東京国立博物館デジタルライブラリー / 《[[古図纂]]》 : 一]], [TIME[2021-03-29T08:02:33.000Z]] <https://webarchives.tnm.jp/dlib/detail/3901>
-- [302] 画像番号 : DIGITAL - L0358498
-- [303] 画像番号 : DIGITAL - L0358499
-- [304] 画像番号 : DIGITAL - L0358538
-- [305] 画像番号 : DIGITAL - L0358539
- [473] [CITE[池底叢書]] 第72冊
-- [474] 
表紙:
[CITE[新日本古典籍総合データベース]], [[国文学研究資料館 | National Institute of Japanese Literature]], [TIME[2020-10-20T04:54:00.000Z]], [TIME[2021-04-01T08:26:28.319Z]] <http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100020573/viewer/3804>
「[V[古[ASIS[圖][口一八囬]]纂]]
[V[[ASIS[雑][亠ソ木(亅)]][ASIS[圖][口一八囬]]]]
[V[古墳[ASIS[記][亠(丶)巳]]]]
[V[勾玉舘玉石[ASIS[圖][口一八囬]]考]]」
-- [475] [CITE[[V[古圖纂]]]] 内題:
<http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100020573/viewer/3805>
-- [476] [CITE[[V[雜圖]]]] 内題:
<http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100020573/viewer/3840>
-- [477] 
[CITE[古廟陵並植物等之図]] 題字:
<http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100020573/viewer/3841>
「[V[古廟陵[SUP[并]][ASIS[埴][𥄂]]物之圖󠄂]]」
「[V[浪[ASIS[蕐][人人]]村井[ASIS[古][亠口]]巖[ASIS[編][戸丶]][ASIS[集][ホ亅]]]]」
-- [5] [CITE[新日本古典籍総合データベース]], [[国文学研究資料館 | National Institute of Japanese Literature]], [TIME[2020-04-03 14:26:18 +09:00]] <http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100020573/viewer/3842>
-- [478] 奥付:
<http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100020573/viewer/3855>
-- [479] 
[CITE[古墳記]]
<http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100020573/viewer/3856>
-- [6] [CITE@ja[[[池底叢書]] (第72冊) - 書陵部所蔵資料目録・画像公開システム]], [TIME[2020-06-16 19:32:11 +09:00]] <https://shoryobu.kunaicho.go.jp/Toshoryo/Detail/1000040660072?searchIndex=175>
「註記等 	内容:古図纂、古廟陵並埴物等之図、古墳記、勾玉館玉石図考
編著者 	(古廟陵並植物等之図)村井古巌」
- [60] [CITE[[[近江朝と渡来人⸺百済鬼室氏を中心として⸺]]]]
-- [224] 
[CSECTION[[V[鬼室集斯墓碑再考[YOKO[I]]⸺近世文人の見た墓碑⸺]]]],
pp.73-90
- [497] [CITE[[V[江戸時代における古美術コレクションの一様相―古鏡の収集と出土情報の伝達―]], 
[[[V[杉本欣久]]]],
[TIME[2019-04-28T01:25:55.000Z]], [TIME[2021-04-02T09:40:13.087Z]] <http://www.kurokawa-institute.or.jp/files/libs/652/201904281025549782.pdf>

]REFS]

[1] 
関連記事:
[[鬼室集斯墓碑]]

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