[5] 
[DFN[ボヘミアンと貴族の階級闘争]]は、
[[XML]] 
[[エコシステム]]の開発方針を巡る[[宗教戦争]]です。

[6] 
この言葉は[TIME[平成15(2003)年][2003]]に使われました。
その論争はその前後、[[平成時代中期]]頃に
[[XML]]
関連技術の開発者・利用者らの一部でなされていました。


[9] 
[[XML Schema]] を支持する勢力が[[貴族]]と呼ばれ批判され、
[[RELAX NG]] を支持する勢力が[[ボヘミアン]]を自称しました。
両技術は共に [[XML]] 用の[[スキーマ言語]]ですが、
設計思想に大きな隔たりがありました。


[4] 
[CITE[[[XML class warfare]] - ADTmag.com]], 
[[Uche Ogbuji]],
Saturday, January 4, 2003,
[TIME[2022-07-30T04:02:53.000Z]], [TIME[2003-01-04T13:48:27.086Z]] <https://web.archive.org/web/20030104134010/http://www.adtmag.com/article.asp?id=6965>

[7] >>4 がこの概念の初出とされます [SRC[>>1]]。
gentry (貴族) と
bohemian (ボヘミアン)
の
class warfare (階級闘争)
の様相を呈していると説明し、
自身は
bohemian 
だと[[著者]]は表明しました。


[2] 
[CITE@ja[[[@IT]]:XML1.1を巡る「ボヘミアン」と「貴族」の階級闘争]], 
2003/2/22,
[TIME[2022-07-30T03:52:24.000Z]] <https://atmarkit.itmedia.co.jp/news/200302/22/xml.html>

[8] 
[[日本]]では [[RELAX]] と [[RELAX NG]] の開発者である[[村田真]]が紹介したのが端緒とされます。
[SRC[>>2, >>1]]


[3] [CITE@ja[Opinion -- 吉松 史彰:XMLがもたらす夢と現実 - [[@IT]]]], 
[[吉松史彰]],
2003/03/20,
[TIME[2022-07-30T03:53:21.000Z]] <https://atmarkit.itmedia.co.jp/fdotnet/opinion/yoshimatsu/onepoint07.html>


[1] 
[CITE@ja[@IT:[[XML]]における「ボヘミアンと貴族の階級闘争」を読み解く]], 
[[川俣晶]],
2003/4/16,
[TIME[2022-07-30T03:51:13.000Z]] <https://atmarkit.itmedia.co.jp/fxml/tanpatsu/24bohem/01.html>

[11] 
[[XML Schema]] は [[W3C]] で[[標準化]]されました。
[[W3C]] で開発された
[[XDM]],
[[XSLT]],
[[XQuery]],
[[XForms]],
[[WS-*]]
などが 
[[XML Schema]] を基礎技術としていました。
その他
[[W3C]] の [[XHTML]],
[[IETF]] の各種 [[XML]] 系技術,
[[OASIS]]
の各種 [[XML]] 系技術などが[[スキーマ言語]]として
[[XML Schema]]
を採用していました。
[SEE[ [[XML Schema]] ]]

[12] 
[[RELAX NG]]
は
[[OASIS]], [[ISO]] ([[SC34]])
で[[標準化]]されました。
[[W3C]] の
[[XHTML]],
[[SVG]],
[[IETF]]
の
[[Atom]]
などが[[スキーマ言語]]として
[[RELAX NG]] を採用していました。
[SEE[ [[RELAX NG]], [[DSDL]] ]]

[19] 
どこで[[標準化]]されたかだけを見ると[[標準化団体]]間の競争に思えますが、
採用者を見るとそうでもないことがわかります。
両陣営が自分達が動かしやすい[[標準化団体]]で作業した結果こうなったということです。
[[仕様書]]に最後に判子を押す大きな[[標準化団体]]よりも、
個別具体の作業に関わる人々の人的つながりの方が多く作用しています。


[13] 
なお、ややこしいですが、
[[RELAX NG]] 
は
[[XML Schemaデータ型]] (の仕組みの一部) を組み込んで利用していました。


[10] 
[[RELAX NG]] 陣営は[TIME[西暦2006年][2006]]頃に勝利宣言したようです。
[SEE[ [[RELAX NG]] ]]

[14] 
一般的には[[スキーマ言語]]戦争は勝者不在のまま共倒れになったと理解されています。
[[XML Schema]] を土台にした技術スタックもいつの間にか霧散してしまいました。

[15] 
しかも [[XML]] そのものが衰退してしまいました。


[16] 
今ではかつて [[XML]] が採用された仕様やその関連技術などで稀に
[[XML Schema]] を見かけるくらいになってしまいました。
[[RELAX NG]] はもう何年も見ていない気がします。

[17] 
誰がこの言葉を使っていたのかを見ればわかるように、
「階級闘争」史観そのものが 
[[RELAX NG]]
陣営の[[プロパガンダ]]でしかありませんでした。
(あれれ、どっかで聞いたような話ですねw)

[18] 
はじめは純粋な技術論争だったのでしょうけれども、
いつしか[[標準化]]屋グループの抗争になってしまったのですね。
そして気づいた頃には本当の[[平民]]はみんな [[JSON]] 
に移ってしまっていたという。


[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[20] [CITE[EXIを見ての感想 — KaoriYa]], 
Author: MURAOKA Taro,
Date: 2011/03/15,
[TIME[2023-11-30T00:29:46.000Z]], [TIME[2024-07-03T08:37:28.453Z]] <https://www.kaoriya.net/blog/2011/03/20110315_2/>
]FIGCAPTION]

>[B[結局どう思うのか?]]
>
EXIはXMLのバイナリ表現としては良くできている。未来の繁栄も予感させる。 しかしモバイルデバイスにとっては彼らが標榜したような幸福な結果はもたらさない。
>[B[雑感]]
>仕様を眺めていると、これを考えた人たちはなかなかの学者肌なんではないかと感じる。 そしてXML 1.1を巡る「ボヘミアン」と「貴族」の階級闘争の貴族さまを連想する。 彼らが本当にモバイルや組み込みでXMLを扱ったことがあるならば こんな仕様にはならなかった、そう思えて仕方ないのは私だけだろうか?
]FIG]


[21] 
>>20 [[EXI]] に (リップサービスかもしれないけど) 「未来の繁栄も予感」
した人の感想である点には注意。あんなのに期待してたのは当事者だけなんじゃないかな...


;; [22] 
なお、この人がどういうつもりで書いていたのかは知らないけど、この時代のこの界隈の
「モバイル」というのは[[欧米市場向けフィーチャーフォン]]のことで、
この後程なくして[[スマートフォン]]に市場を爆破されることに。

[23] ところで日本では >>2 で「XML 1.1」の論争として紹介されていて、
その後も >>20 のようにそういうものとして引かれている。
>>2には

>Developers Summit2003(翔泳社主催)の2日目にXMLセッションで登壇した日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所の村田真氏は「XML 1.0の将来とスキーマ言語」と題する講演を行った。「XMLの基礎的な事柄に関する問題だが」と前置きを行って展開したのは、XML1.1で追加される機能の変更点について。村田氏は「スキーマ言語」と「サブセット」の2点に絞って問題点を指摘した。

> 1つ目の議論の焦点は、XMLからDTD(Document Type Definition)を撤廃し、現在のXML仕様のサブセットを作る動きだ。[SNIP[]]
> もう1つの議論は、XML文書をテキストではなく、バイナリ形式で表現することについての議論だ。[SNIP[]]

とあって、記者が要約時に誤認または捏造したのでなければ、
[[村田真]]がこれらが [[XML 1.1]] だと主張したことになる。
この記事は業界でよく参照されていて、当然[[村田真]]本人も読んでいるだろうが、
今に至るまで修正されずにそのまま公開され続けているのだから、
[[村田真]]の主張の通りと考えるのが自然である。

[24] 
ところが、それは少なくても [[W3C]] で検討されていた「[[XML 1.1]]」ではない。
[[XML 1.1]] の最初の [[WD]] が公表された[TIME[西暦2001年 (平成13年) 12月][2001-12]]から最終的な
[[W3C勧告]]に至るまで、細部はともかく変更の要旨には変化がない。
この発表は平成15年だから、いくらでも時間があったはずで、
[[村田真]]や記者が当時の [[XML 1.1]] 仕様案を読んでいればこのような記事にはならないはずで、
不可思議としか言いようがない。

[25] 
[[XML DTD]] にかわる[[スキーマ言語]]の議論 (つまり[[スキーマ戦争]]そのもの)
や[[バイナリー]]化の議論があったことそれ自体は事実だし、
中には[[村田真]]以外にもそれを [[XML 1.1]] にしたいと主張した人がいたのかもしれないが、
[[W3C]] はそのような主張を採らなかったし、 [[W3C]] 
以外でも多数派にはなっていなかったのであり、
そのような主張と違う [[XML 1.1]] が [[W3C]] で[[標準化手続き]]を進めている段階で、
なぜ [[XML 1.1]] と呼ばれていないものを [[XML 1.1]] と紹介しているのかまったく理解できない。


[26] なお >>2 を読むと >>20 の人の勘所は良かったというのはわかるね。

[27] 
[[XML Schema]] も [[RELAX NG]] も [[EXI]] も (あと真の [[XML 1.1]] も) 現場で求められていないものを机上の空論で大激論と政治的標準化合戦を繰り広げてた似たもの同志ね。

[28] 
関連: [[型論争]]