[2] 
[DFN[改元デマ]]は、偽の[[改元]]情報です。
定期的に発生してきたようです。

[5] [[架空の元号]]の一種ですが、騙されて実用して[[私年号]]化した例もあります。

* 定義と分類

[37] 
[[改元デマ]]は[[改元]]に関する[[デマ]]です。

[56] 
しかし、

- [80] [[改元]]に便乗した[[詐欺]]のような事例 [SEE[ [[改元かるた]] ]]
- [81] [[日付]]の虚偽 [SEE[ [[遡及年号偽造文書事件]] ]]
- [82] [[改元]]と同時期の[[即位]]等の出来事の関係

といったものまで含めるとあまりに範囲が広がるので、
[[元号]]や[[改元]]のそれ自体に関係する[[誤情報]]が流布されたものに限定して
「改元デマ」
と呼ぶべきです。

[83] 
[[改元]]に関係していても、
[[改元手続き]]に関係するもの
([VAR[誰]]が[[元号]]を決めた、など)
や[[元号]]の解釈に関係するもの
([[元号]]の[[典拠]]は[VAR[これこれ]]で[VAR[どう]]いう意味である、など)
は除外するべきです。

[58] 
また、
「かつてこれこれの元号が使われていた」という過去の[[改元]]の情報や、
「遠くのあの国ではこれこれの元号が使われている(た)らしい」
という遠隔地の[[改元]]の情報は、
どうしても誤情報が多く含まれる性質があります。
こうしたものまで含めてしまうと対象の性格がまちまちになりすぎてしまうので、
あくまで[[同時代]] (近過去から[[近未来]]の[[改元]]についての)、
同地域で流布した[[誤情報]] (とそれに由来して広まった情報)
に限定して
「改元デマ」
と呼ぶべきです。

;; [76] 同地域とは必ずしも想定される[[施行]]地域でなく、
直接的に影響を受ける可能性が想定される地域くらいがいいと思われます。
例えば近くの山で蜂起して[[改元]]したらしい、という事実でない噂は[[改元デマ]]と呼んで差し支えなさそうです。

[77] 
[[改元デマ]]は、

- [78] [[改元]]の時期が[VAR[いつ]]と決まった
- [79] 新しい[[元号名]]が[VAR[これ]]に決まった

の1つまたは両方で構成されます。

[FIG[

[84] 
定義:
[DFN[改元デマ]]は、
[[改元]]が行われるまたは行われたとする情報か、
[[改元]]後の新しい[[元号名]]の情報か、
それらの組み合わせであって、
[[改元]]の時期が情報の流布の時期と十分近く、
[[改元]]の実施主体と情報が流布された[[コミュニティー]]とが地理的その他の密接な関わりを有しながらも、
[[改元]]の実施主体の発した情報に由来しないか整合しないかその両方であるものをいう。

]FIG]


[3] 
[[改元]]が決まっていないのに[[改元]]が起こると勝手に決めつけた[[デマ]]と、
[[改元]]がありそうな状況で未発表の[[元号]]を勝手に決めつけた[[デマ]]に分けられるようです。



-*-*-

[128] 
[[昭和時代]]の[[新聞]]業界の雑誌では[DFN[改元誤報]], [DFN[元号誤報]]と紹介されたことがあります
[SRC[>>103]]。

[129] 
[[昭和時代]]当時はどうだったかわかりませんが、「誤報」という言葉は
「何らかの誤解によって誤った情報が報じられる」
といった意味合いに感じられます。意図的な偽情報の流布や、
一般的情報流通の上流から下流への流れと違った[[草の根]]的な
「噂」のような流れ方は含まれないニュアンスがあります。

[130] 
そのような限定的なイメージを持つ[[改元誤報]]という語より、
幅広い情報流通形態を包含した[[改元デマ]]という語がこの現象全体を表現するには適していると考えられます。

* 改元デマの発生と伝播

[137] 
[[改元デマ]]の発生と伝播の実態の詳細は、資料が少なすぎてほとんどわかっていません。
今後も新資料の発掘が進み、
個別事例の検証や全体的傾向の分析に取り組む研究者が増えることが期待されます。

[138] 
[[改元デマ]]を悪意ある者が意識的に発した可能性も、
[[新元号予想]]のような悪意なき情報が偶発的にデマ化した可能性も、
誤読、聞き間違いなどまったく意図せず発生した可能性もあります。
個々のケースで発生事情は異なるとも予想されます。

[139] 
[[中世東国私年号]]は当時の[[改元伝達ルート]]に何らかの事情で虚偽の[[改元]]情報が乗って伝わったと推測され研究が進んでいます。
しかし権力構造が不安定な時代の[[改元伝達]]は[[公年号]]についても未解明なことが多く、
[[公年号]]、[[私年号]]の垣根を超えて研究が進むことが期待されます。

[140] 
逆に[[近世]]、[[近現代]]は統治体制が確立され[[公年号]]の[[改元伝達]]システムが安定運用されているだけに、
非正規の[[改元デマ]]がいかに波及し得たのかという大変興味深い問題があります。
[[都市伝説]]等の広がり方との比較も必要でしょう。

[141] 
[[改元デマ]]を広める人達、信じる人達の意識の解明も待たれます。
[[中世東国私年号]]の[[改元デマ]]説が提唱されるまでは、
[[私年号]]の提唱者と利用者が明確に区別されずに[[元号名]]に利用者の思想信条、
願望が反映されると理解されていました。
[[改元デマ]]だったと判明してからは、
[[私年号]]の作者と伝達・利用者を分けて考えるべきで、
伝達・利用者の思想は必ずしも[[元号名]]のごとくではないと認識されるようになりました。
しかし[[弥勒]]を典型例に、
[[元号名]]が伝達・利用者に一定の思想的影響や一体感を与えた事例はあるでしょう。
[[改元待望]]説がいう[[改元伝達ルート]]が無機質で機械的な媒体ではないとの理解は、
[[近世]]や[[近現代]]の[[改元デマ]]現象の解明にもつながるはずです。



* 日本の改元デマ事例

[28] 
[[改元デマ]]や、それに準じる誤情報等 ([[改元手続き]]関係の同時代的な虚偽情報など)
で知られているものは多数あります。


[34] 
★は、近い時代の[[公年号]]の不採用案を誤認して発生した可能性のある[[改元デマ]]です。

[85] 
◆は、「本来[[公年号]]の[[改元]]予定だったものが漏洩を理由に差し替えられた」
とする誤情報が二次的に付加された[[改元デマ]]です。

[9] 
▼は、誤情報を信じて実用されたと考えられ[[私年号]]にも該当する事案です。


** 中世日本

[35] 
[[平安時代]]後期の[TIME[承安2(1172)年][year:1172]]、
'''[[泰平]]'''や'''[[万平]]'''に[[改元]]されるとの噂が[[京都]]にありました。
[SEE[ [[泰平]] ]]

[67] 
この時代に既に正規の[[改元伝達]]ルートとは別に風説としての新元号情報が流通したことがわかります。
噂された新元号を実用したとする記録は未発見ですが、
実用した者まではいなかったのか、記録が現存しないだけなのかは不明です。

[57] 
[[平安時代]]末期の[[源平の戦い]]の最中、
[[関東]]の[[源頼朝]]は、
[[平家政権]]による[[寿永]]への[[改元]]を当初無視していた、
と言われていました。
同様に[[中世]]にはしばしば中央の[[改元]]に従わない勢力が出現します。
近年の研究では、
[[朝敵]]であるためや社会の混乱が理由で[[改元]]が[[伝達][改元伝達]]されなかったケースもあったと考えられています。
誤った新情報を流す[[改元デマ]]とは異なりますが、
偽の新元号を「正」の誤情報とするなら、
[[改元]]情報の欠落は「負」の誤情報とでもいうべきものでしょうか。
正規の改元伝達経路の機能不全は、
[[改元デマ]]を生む土壌となりました。
[SEE[ [[延長年号]], [[中世私年号]] ]]

[224] 
[[鎌倉時代]]初期の[[私年号]]である'''[[和勝]]'''▼は、
[[改元デマ]]説があります (が確証はありません).

;;
[33] [[元号]]ではありませんが、[[南北朝時代]]には配月の変更綸旨のデマもありました。
[SEE[ [[正中の改暦デマ]] ]]


[227] 
[[南北朝時代]]の[[私年号]]とされる'''[[弘德]]'''▼は、
[[改元デマ]]説があります (が確証はありません)。


[32] 
[[室町時代]]、
[[関東地方]]で'''[[延徳]]'''▼の[[私年号]]
[WEAK[([[公年号]]の[[延徳]]とは別)]]
が広まりましたが、
[[改元デマ]]でした。
[SEE[ [[延徳]] ]]

[23] 
[[戦国時代]]、
[[関東地方]]で'''[[福徳]]'''▼の[[私年号]]が広まりましたが、
[[改元デマ]]でした。
[SEE[ [[福徳]] ]]

[36] 
[[戦国時代]]の[[関東地方]]で、
[[京]]で'''[[正京]]'''、'''[[正享]]'''と[[改元]]されたとの情報が記録されています。
そのような事実はなく[[改元デマ]]に当たります。
[SEE[ [[正京]] ]]

[71] 
[[応仁の乱]]の頃の[[紀伊半島]]近辺では[[西軍]]や[[後南朝]]が[[改元]]したと噂されました。
[[改元デマ]]が疑われます。
[SEE[ [[明応]] ]]

[40] 
その他[[日本の中世私年号]]は多いですが、広まった多くが[[改元デマ]]ではないかと疑われています。
[SEE[ [[弥鹿]] ]]

** 江戸時代

[24] 
[[江戸時代]]には[[日本]]各地で[[改元デマ]]が恒例化していました。

[59] 
[TIME[寛永21(1644)年][1644]]、
[[日本]]各地で'''[[慶喜]]'''▼2年の[[私年号]]が使われました。
実在しない[[代始改元]]
[WEAK[(実際には約1年後)]]
の[[改元デマ]]と考えられています。

[131] 
[TIME[元禄14(1701)年][1701]]10月、
[[尾張藩]]で'''[[正禄]]'''の[[改元デマ]]がありました。

[132] 
[TIME[元禄17(1704)年][1704]]3月、
[[尾張藩]]で'''[[宝永]]'''が[[藩]]からの発表前に流布されました。
情報源は不明ですが、
[[朝廷]]での[[改元日]]より後、[[江戸幕府]]の施行前というタイミングであり、
[[尾張藩]]の正式発表前で一般庶民には情報の正誤を検証不能でしたから、
[[改元デマ]]と同種の事案といえます。

[74] 
[TIME[天明3(1783)年][1783]]末頃、
[[陸奥]]で'''[[宝久]]'''▼の[[改元デマ]]があり、
一部で用いられました。

[22] 
[TIME[享和4(1804)年][year:1804]]2月、
[[文化]]への[[改元]]
[WEAK[([[朝廷]]では[TIME[2月11日][kyuureki:1804-02-11]])]]
直前の[[江戸]]では、
'''[[元明]]'''と[[改元]]されたと紙に書き付けて売り歩いた者があり、
処罰されました。

[25] 
[TIME[文化14(1817)年][year:1817]]
[WEAK[([[朝廷]]では[TIME[翌年4月22日][kyuureki:1818-04-22]][[文政]]に[[改元]])]]、
[[江戸]]では、
'''[[永長]]'''と[[改元]]されたと紙に書き付けて売り歩いた者があり、
処罰されました。

[65] 
[TIME[文政13(1830)年12月10日][kyuureki1830-12-10]]に[[天保]]と[[改元]]された頃、
'''[[永長]]'''と[[改元]]されたと紙に書き付けて売り歩いた者があったといわれます。

[221] 
[TIME[天保5(1834)年][1834]]、
[[陸奥]] ([[福島県]]域),
[[下野]]で'''[[寶力]]'''▼の[[改元デマ]]があり、
一部で用いられました。
[[江戸]]発とされています。

[27] 
[TIME[天保8(1837)年][year:1837]]、
[[加賀]],
[[美濃]],
[[陸奥]] ([[福島県]]域)
で'''[[永長]]'''▼の[[私年号]]が用いられました。
[[改元デマ]]と考えられます。

[29] 
[TIME[天保14(1843)年][1844]]、
[[加賀]]の一部で'''[[元暦]]'''▼2年の[[私年号]]が用いられました。
[[改元デマ]]が疑われます。

[26] 
[TIME[天保15(1844)年][year:1844]]12月、
[[弘化]]への[[改元]]
[WEAK[([[朝廷]]では[TIME[12月2日][kyuureki:1845-12-02]])]]
直前の[[江戸]]では、
'''[[嘉政]]'''★◆と[[改元]]されたと紙に書き付けて売り歩いた者がありました。





** 幕末

[55] 
[[幕末]]にはいくつか[[私年号]]が出現しました。
[SEE[ [[幕末維新期の私年号]] ]]
その多くは[[改元デマ]]の可能性が指摘されています。

[75] 
'''[[天晴]]'''▼,
'''[[天政]]'''★▼,
'''[[天星]]'''▼,
'''[[天成]]''',
'''[[神徳]]'''▼,
'''[[延寿]]'''▼,
'''[[大化][大政]]'''は[[改元デマ]]と考えられます。

[73] 
'''[[神治]]'''▼, '''[[亀光]]'''▼も[[改元デマ]]が疑われます。


@@
[BOX[

[222] [CITE@ja-JP[小泉蒼軒日録 下巻]], [[石川新一郎]], [TIME[1994.2][1994]], [TIME[2025-09-30T02:09:54.000Z]], [TIME[2025-10-09T10:28:21.073Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/13205456/1/135?keyword=%E6%94%B9%E5%85%83> (要登録)

慶応元年閏5月13日

]BOX]


** 大正改元

[42] 
[[大正改元]]のとき、
[CITE[東京日日新聞]]
と
[CITE[大阪毎日新聞]]
[WEAK[(合併して現[CITE[毎日新聞]])]]
は政府発表と異なる新[[元号の読み方]]
「'''たいせい'''」
を[[報道][フェイクニュース]]しました。
[SEE[ [[大正改元]] ]]

** 昭和改元


[41] 
[[昭和改元]]のとき、
[CITE[東京日日新聞]]
[WEAK[(現[CITE[毎日新聞]])]]
は新元号が'''[[光文]]'''★◆▼だとする[[フェイクニュース]]を報道しました。
一部で実用されました。
社長は引責辞任を表明しましたが、実行しませんでした。
後に自称関係者が実は[[光文]]に内定していたと主張したため、
[[令和時代]]に至っても一部[[マスコミ]]関係者が[[陰謀説]]を唱えています。
影響の大きさではかるなら史上最悪の[[改元デマ]]事件といえます。
[SEE[ [[光文事件]] ]]

[51] 
[[改元詔書]]を偽造した新聞社もありました。
[SEE[ [[京城日報改元詔書偽造事件]] ]]

** 第二次世界大戦

[38] 
[[第二次世界大戦の終戦]]後[[アジア大陸]]に取り残された[[日本人]]の間で、
'''[[大新]]'''▼と[[改元]]されたとの噂が広まり、
一部で[[私年号]]として使われました。
[SEE[ [[大新]] ]]

;; [50] この時代にはデマ以外にもいろいろな[[私年号]]が生まれました。
[SEE[ [[昭和時代の日時]] ]]

** 平成改元

[12] 
[[平成改元]]に先立つ[[昭和50年代]]頃から、
いろいろな「新元号」
の噂がありました。
次のものが知られています。
[SRC[>>15]]

[FIG(short list)[ [46] [[昭和時代]]後期の[[改元デマ]]
- 光元
- 知光
- 光和
- 承天
- 文建
- 大元
- 和晃
- 光業
- 光輝
- 光紀
- 光華
- 高輝
- 弘文
- 明徳
- 弥生
- 桜花
- 平和
- 和光
- 光章
- [[昭武]]
- [RUBY[旭日][あさひ]]
- [RUBY[旭陽][あさひ]]
- [RUBY[光][ひかり]]
]FIG]

[70] 
[[浅羽通明]]が自分の周囲や雑誌記事から収集したとされます。
[SRC[>>431]]

[47] 「ひかり」が目立ちますね。
[[浅羽通明]]は、
表面的な平穏さへの苛立ち、
平穏さを打ち破る時代の夜明けへの期待が表現され、
[WEAK[([[一世一元]]下で稀にしかない)]]
事件としての[[改元]]のイメージと結びついていると考えました
[SRC[>>431]]。

[69] 
[[昭和天皇]]がご高齢になったとはいえ、死を願うように取られかねず公に語りにくいタブー感が、
逆に密かな話題の楽しみを増したものだと指摘されています。
[SRC[>>431]]

[142] 
'''[[平和]]'''になるという噂があったといいます。
[SEE[ [[平和][平和元年]] ]]

[REFS[

[FIG(quote)[
[FIGCAPTION[
[10] [CITE@ja[光文事件 - Wikipedia]]
([TIME[2015-12-23 20:11:48 +09:00]] 版)
<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E6%96%87%E4%BA%8B%E4%BB%B6>
]FIGCAPTION]

> 昭和の次の元号は「旭日(あさひ)」「和光」であるという流言蜚語も登場した'''['''5''']'''。

]FIG]

- [13] [CITE[[[近代諸元号現象]]]]
-- [431] 
[CITE[修訂 [[絹と立方体]]]],
pp.[L[684]]-[L[685]]
-- [14] [CITE@ja[昭和の次の元号 - 木村 守一 | [[パブー]]]] ([TIME[2019-07-16 12:19:18 +09:00]]) <http://p.booklog.jp/book/126808/page/3626875>
--- [15] 出典:
[CITE[うわさが宿した千年王国―平成改元とハルマゲドン幻想]], [[浅羽通明]]
---- [54] ちなみにこの本は[[私年号]]にも言及していたらしい [SEE[ [[自由自治]] ]]
--- [16] 
[CITE@ja-jp[天使の王国―平成の精神史的起源 ([[幻冬舎文庫]]) | 浅羽 通明 |本 | 通販 | Amazon]] ([TIME[2019-07-16 12:24:26 +09:00]]) <https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4877284869/wakaba1-22/>
に収録されているらしい。

]REFS]


[52] [CITE@ja[浅羽通明 memoさんはTwitterを使っています 「たとえば(一九八八年)一月二十四日付読売新聞の連載コラム、「平成―新元号を追跡」の十五回は、兜町、印刷、広告、事務用品の各業界、政界に流れたうわさとして、→」 / Twitter]]
(午後8:50 · 2016年7月13日 [TZ[+09:00]], [TIME[2020-08-23T02:04:18.000Z]])
<https://twitter.com/asaba_memo/status/753194895137910785>

[53] [CITE@ja[浅羽通明 memoさんはTwitterを使っています 「→光元 知光 承天 文建 大元 和晃 光業 光輝 光紀 光華 高輝 弘文 明徳 弥生 桜花 平和 和光 という「昭和の次の元号」が報告されている。」 / Twitter]]
(午後8:50 · 2016年7月13日 [TZ[+09:00]], [TIME[2020-08-23T02:05:02.000Z]])
<https://twitter.com/asaba_memo/status/753194932500766720>


[217] [CITE@ja-JP[天使の王国 : 「おたく」の倫理のために]], [[浅羽通明]], [TIME[1991.11][1991]], [TIME[2025-07-02T03:11:48.000Z]], [TIME[2025-07-23T07:11:49.404Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/13179250/1/82> (要登録)

[218] 
>>217 これは鋭い考察ですね。ベースになっている[[私年号研究]]については[[平成時代]]30年の研究成果を踏まえて書き直されるべきですが、
それと[[令和改元]]の経験が加わることによってかえって説得力が増しそうです。
[[私年号研究]]や[[改元デマ]]の考察がまだ不十分な[[平成改元]]直後の時点でここまで見通せていたことには驚かされます。

;;
[219] 
[[平成]]と[[平成おじさん]]が不人気扱いなのは時代を感じさせますが、
一方で人々の[[平成改元]]の過ごし方は、崩御と自粛で暗い時代だったという現在回想で語られるものとは違って、
意外と[[令和改元]]とも似ているように思いました。
大晦日と新年がまたやってきたようだという感触も、[[令和改元]]のときの人々の感想とまったく同じです。


-*-*-

[95] 
[[平成改元]]時には、広義の[[改元デマ]]の類ともいえる[[平成改元毎日新聞社情報漏洩疑惑]]が生じました。

** 令和改元

[1] [[令和改元]]の頃新元号が'''[[安久]]'''だとするデマ騒ぎがありました。
他にも「安」が入るというデマが数種ありました。
[SEE[ [[安久]] ]]

[60] 
[[平成改元]]前の「ひかり」といい、時代の空気のようなものが現れているのかもしれません。

[143] 
[[新元号予想]]の上位に入った'''[[平和]]'''を決定ないし有力案のように誤解する人も出現しました。
[SEE[ [[平和]] ]]


[10] [CITE@ja[「新元号『悠久』って本当ですか?」国民民主の議員「令和」公表前にツイート→削除]]
([TIME[2019-04-12 15:20:10 +09:00]])
<https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/yukyu>

[6] [CITE@ja[ネットに現れた未来人たちの予言した年号はことごとく外れた事象に対して「平行世界の住人」「禁則事項」「政府が予言を知って変更」などの説が乱立 - Togetter]]
([TIME[2019-04-03 10:59:18 +09:00]])
<https://togetter.com/li/1334279>


[155] 
[CITE@ja[Xユーザーの伊藤 祐策(パソコンの大先生)さん: 「これは秘密のリーク情報なんですが、新元号は「皇暦」だそうですよ。」 / X]], [TIME[午後6:08 · 2019年3月28日][2019-03-28T09:08:04.000Z]], [TIME[2024-08-21T06:39:48.000Z]] <https://x.com/ito_yusaku/status/1111193224306016257>

[156] >>155 雰囲気的にジョークなんだろうけどおもしろくないしこういうのでも実際デマの元になるからな

-*-*-

[68] 
[TIME[2019-04-01]]の新元号発表直後から、
当時の[[内閣総理大臣]]の[[安倍晋三]]を嫌ういわゆる[[反アベ]]の人々を中心に、
[[令和]]の意味や出典を曲解して貶める動きが見られました。
[SEE[ [[令和改元]] ]]

[61] 
[[デマ]]という程ではありませんが、
[[令和]]の発表直後に一部海外メディアが偏った意味で解説した記事を海外に配信したため、
[[日本政府]][[外務省]]が公式の英語説明を発表する事態となりました。
[SEE[ [[令和改元]] ]]

;; [86] 英語説明は今後慣例となりそうです。 [SEE[ [[改元手続き]] ]]


[8] 
時を経るに従ってエスカレートし、
新元号の偽の由来を考案して披露するデマがしばしば流されるようになりました。

[63] 
[[栄和]],
[[令和改元統一教会陰謀論]]も参照。


- [30] [CITE@ja[Xユーザーのはちみつレモンさん: 「ねーねー、皆さん、知ってます―? 「令和」って「日本人をゼロにする」っていう意味なんだそうですよ🤮 実際そうですよね、出生率の低下、ワクチンによる副反応、コロナで結婚率低下、改憲して戦争ができる国へ… FF外の方へのツイートっ」 / X]], [TIME[午後0:13 · 2024年4月14日][2024-04-14T03:13:40.000Z]], [TIME[2024-04-18T09:31:53.000Z]] <https://twitter.com/7SrakQHGQf4zgGY/status/1779347263124652439>
-- [45] [CITE@ja[Xユーザーのはちみつレモンさん: 「@high_non_sense そういうツイートがまわってきました」 / X]], [TIME[午後4:19 · 2024年4月14日][2024-04-14T07:19:29.000Z]], [TIME[2024-04-18T09:31:53.000Z]] <https://twitter.com/7SrakQHGQf4zgGY/status/1779409122737463296>
-- [64] [CITE@ja[Xユーザーのはちみつレモンさん: 「@so_wzf ふーん。6Gでイチョウ切り倒したり、ソーラーパネル設置するためにはげ山にしたり、汚染水垂れ流したり、同調圧力でワクチン打たせたりしてるのに、Beautiful Harmonyだなんて笑えてきます。」 / X]], [TIME[午後9:23 · 2024年4月14日][2024-04-14T12:23:52.000Z]], [TIME[2024-04-18T09:31:53.000Z]] <https://twitter.com/7SrakQHGQf4zgGY/status/1779485722782879779>

[66] >>64 [[陰謀論]]、[[放射脳デマ]]、[[反ワクチン]]のいつもの組み合わせ!

;; [216] 
[[銀杏]]が云々は、
おそらく[TIME[2024-04-10]]に[[神田警察通り]]の[[銀杏]]が伐採された件。
[[陰謀論]]界隈では並木が [[5G]] 電波を妨害しているので並木の伐採が進められていることになっている。
また、[[新型コロナウイルスワクチン]]を接種すると [[5G]] 
で操作されるなどといった[[陰謀論]]が広範に流布されている。





[87] 
[[安久]]のような広範囲に広まった[[改元デマ]]には一般の人々も関わっているので事情が複雑なのですが、

= [88] [[安久]]をはじめとする虚偽の[[改元]]情報に基づいた政権批判
= [89] 未知の新元号に関する根拠のない予想に基づいた政権批判
= [91] [[令和改元]]の一連の手続きに関する虚偽の情報に基づいた政権批判
= [92] [[令和]]という[[元号名]]に関する虚偽の解釈に基づいた政権批判

... と時期によってデマの内容は変化しつつも、
特定の思想や[[陰謀論]]を信じる同じような人達が同じような主張を展開しているようにみえます。

[90] 
従来型の[[改元デマ]]とは少し性質が違って、近年増加しているといわれる
「自分達の主張の正当化のためならデマでもなんでもいい」
タイプの過激な人々の素材にたまたま時勢柄[[改元]]が選ばれたということでしょうか。

[144] 
[[陰謀論]]や[[反アベ]]の類は除外するとしても、
[[令和改元]]前後の [[SNS]] 投稿等は[[改元デマ]]の考察に有用な情報を提供してくれています。
[SEE[ [[平和]], [[安久]], [[令和改元]]など ]]

- [149] 
[[改元]]の実施が確定していなくても、
[[改元]]しそうというだけで[[新元号予想]]は始まります。
- [150] 
[[改元]]しそうな情勢がなくても、
特に理由もなく[[新元号予想]]をしてる人は稀にいます。
- [154] 
誰かが予想をはじめると、つられて他の人も別案を出し始めます。
- [145] [[マスコミ]]がどれだけ特集したとしても、[[元号の選定]]の仕組みを理解していない人はたくさんいます。
- [146] [[新元号予想]],
新元号の願望・提案,
公式な新元号案の区別がつかない人もたまにいます。
-- [147] 
民間の勝手な[[新元号予想]]ランキングの記事を出典に、
[[日本政府]]がこんな[[元号]]を選ぼうとしていてけしからん、
と憤っている人がいます。
- [151] 
[[新元号予想]]は[[大喜利]]大会です。
-- [152] 
多くの人は、選定の仕組みは理解しなくても、[[改元]]の予定はなくても、
娯楽として[[新元号]](っぽいもの)の候補を出して遊ぶのが結構好きです。
-- [153] 
逆に少数ながら、選定の仕組みもしらないのに大真面目に予想したり、
他人の予想に怒ったり、
なぜか[[日本政府]]や[[自民党]]を叩いたりしている人がいて、
[[大喜利]]だと気づいていません。
- [148] 
誰かの与太話の予想を有力候補案のように伝言していると思われる例がままあります。


-*-*-

[93] [[改元]]そのものについての[[デマ]]ではありませんが、
[[日本共産党]]や[[キリスト教]]系[[極左]]団体に関係する[[「市民」][プロ市民]]グループなどが
「政府に[[元号]]を強制されている」
などとする[[デマ]]を流しています。
[[裁判]]で主張が却下されても活動を続けているようです。
こうした主張は以前から[[日本共産党]]が行っていましたが、
[[令和改元]]を機にまた出現するようになりました。
[SEE[ [[元号廃止論]] ]]

[94] 
こちらの主張の人々は[[元号]] (と[[天皇]]) 全体を嫌っているので、
(最終的に反政府活動に行き着くところは同じでも)
[[改元デマ]]や[[改元]]経緯デマの人々とは重なっていないようです。

** 令和時代

[48] 
令和元年になってからの天災や凶悪事件、
令和2年の[[コロナウイルス]]騒ぎ、
令和2年の天災と事ある毎に、
もう一度[[改元]]しろと言って騒ぐ人が [[SNS]]
に現れますね。
どこまで本気か知らんけど。
これは[[改元デマ]]が生まれる素地ができつつあるのかも。
[TIME[2020-07-14T12:09:43.00Z]]

[49] [CITE[【超速報】改元決定]], 
2020/07/18(土) 16:16:59.39,
[TIME[2019-11-05 01:40:24 +09:00]],
[TIME[2020-07-19T04:24:32.900Z]] <http://tomcat.2ch.sc/test/read.cgi/livejupiter/1595056619/>

* 日本以外の改元デマ

[186] 
[[日本]]以外の[[改元デマ]]は知られていません。

;; [187] 
空間や時間を経て誤って伝わった例はあります。

[188] 
[[日本]]に[[改元デマ]]を生む何らかの特殊な事情があるのか、
他国の研究が進んでいないのかは不明です。

[189] 
関連: [[私年号]]

* 研究史

[96] 
[[日本]]では、
[[改元デマ]]の出現が[[平安時代]]後期の[[泰平]]・[[万平]]以来しばしば[[同時代的]]な記録に残されてきました。

[97] 
複数の[[改元デマ]]に言及した事例としては、
[TIME[天保15(1844)年][1844]]の[[改元デマ]] ([[嘉政]])
の際に[[天保]]改元の際の[[改元デマ]] ([[永長]])
に言及したのが知られている最も古い記録です。

[226] 
[CITE[異年号考]]
は、
[WEAK[([TIME[文化元(1804)年][1804]])]]
は、
[[泰平]]の事例を紹介しました。

[225] 
[CITE[[[紀伊国名所図会]]三編]]
[WEAK[([TIME[天保9(1838)年][1838]])]]
は、
[[泰平]]の事例を参照しつつ、
[[和勝]]が[[改元デマ]]由来とする説を提唱しました。
[SEE[ [[和勝]] ]]

[99] 
[[江戸時代]]末期までに、
[[薩摩藩]]の歴史研究で[[慶喜]]が[[改元デマ]]であることが確認されました。
[SEE[ [[慶喜]] ]]
過去の[[改元デマ]]の存在を認知した研究として古い事例ですが、正確な時期は不明です。

[184] 
こうした記録や歴史研究はその後も続きますが、
いずれも単発のもので、
研究分野として発展したり、[[元号研究]]に合流したりはしませんでした。

-*-*-

[100] 
[[昭和時代]]中頃、
[[久保常晴]]は
[CITE[日本私年号の研究]]
で、
それまで[[私年号]]・[[異年号]]の扱いをされることがあった[[泰平]]・[[万平]]を、
[[改元デマ]]であって[[私年号]]ではないと整理しました。


[185] 
[[久保常晴]]は状況からみて[[江戸時代]]の[[改元デマ]]の記事にも目を通していた可能性がありますが、
[CITE[日本私年号の研究]]には ([[私年号]]ではない類例としてすら) 掲載されていません。
[[私年号]]と[[改元デマ]]を結びつけて考えていなかったからなのでしょう。
[SEE[ [[嘉政]] ]]


[102] 
[TIME[昭和56(1981)年][1981]]、
[[千々和到]]が主要な[[中世東国私年号]]が[[改元デマ]]由来だったことを解明し、
[[私年号研究]]は新たな段階へと進みました。

[101] 
とはいえこの段階では既知の[[私年号]]の一部が[[改元デマ]]で生じたものだったと説明しただけで、
従来[[私年号]]と認識されてこなかった[[改元デマ]]との関係は想像もされていませんでした。

-*-*-


[98] 
[TIME[昭和51(1976)年][1976]]、
[[国立公文書館]]の[[石渡隆之]]は[[昭和改元]]の記録を調査し、
50年前の[[光文事件]]の[[元号]]差し替え説が成り立たないことを示しました。
[SEE[ [[光文事件]] ]]
[[改元デマ]]に関する二次的な俗説を扱った研究として最古のものです。


[105] 
[TIME[昭和53(1978)年][1978]]、
[[瓦版]]研究者の[RUBYB[[[平井隆太郎]]][[TIME[1921]]-[TIME[2015]]]]
[WEAK[(当時[[立教大学]]教授、[[江戸川乱歩]]の[[子]])]]
は[[新聞]]業界の機関誌にコラム記事を寄稿し、
[[近世]]の[[改元デマ]]についてまとめて紹介しました。
[SRC[>>103]]
[[改元デマ]]というテーマで多数の事例を集めた現在知られる最古のものです。

[106] 
次のような内容でした。 [SRC[>>103]]

- [107] [[光文事件]]は有名
-- [108] [[江戸時代]]の事件は余り知られていない
- [109] [[文化]]改元のとき
-- [111] [[元明]] [SEE[ [[元明]] ]]
-- [110] 元号誤報第一号の事件だろう
- [112] [[文政]]改元のとき 
-- [113] [[永長]] [SEE[ [[永長]] ]]
- [114] [[明治改元]]のとき
-- [115] [[延寿]] [SEE[ [[延寿]] ]]
- [116] [[宝永]]改元のとき [SEE[ [[宝永]] ]]
-- [117] 誤報でなく確報
- [118] 誤報でも確報でも捕まる
-- [119] 瓦版屋たるもの遣り切れないだろう
-- [120] 幕閣当局者は庶民の弄びものとなるような軽い出版物が元号のようなハイレベルの事柄を取り扱うことを嫌う独得の発想を備えていた
-- [121] [[永長]]の悲喜劇は誤報の早とちりからだが、
逆に旧元号の[[文化]]のままならやはり関所で咎められたに違いない
-- [122] 危険を冒してでも瓦版屋が活躍する理由は十分にあった

[NOTE[

[123] 
最後の部分は特に出典も論拠もなく筆者の感想で文をまとめています。
[[新聞]]業界へのリップサービスなのか、
それとも新聞研究者というより新聞屋として本心で書いているのでしょうか。

[124] 
[[宝永]]改元時に処分されたのは改元施行日 ([SEE[ [[改元手続き]] ]])
より前の非正規情報の流布だったからと考えるのが自然です ([SEE[ [[宝永]] ]])。
ハイレベルが云々は何らかの根拠があってのことか、
[[瓦版]]研究者としての筆者の感触によるものか明らかではありませんが、
斯様な「独得の発想」が無根拠で断言できるものとは思えません。

[125] 
考えてみれば近現代の[[マスコミ]]が未発表[[改元]]情報を流布しようとするのと構図は同じです。
それがきっかけで処罰される可能性を筆者は思い至らなかったのか、
書かなかったのか、どちらでしょうね。

[126] 
またこの時代[[改元伝達]]には何十日もかかるのが普通で、
[[関所]]の役人が旧元号だからと通行を認めないとは思えません。
よほど不審な場合くらいでしょう。
少なくても公式の改元発表が到達しないほどの短期間で旧元号を認めなくなる状況は想像し難いように思われます。
即座に[[改元]]が伝わる現在ですら、
旧元号の文書が無効になることはありません。
[[瓦版屋]]が先走ろうがなかろうが、一般庶民には関係のないことです。

[127] 
この記事が掲載されたのは昭和54年。筆者は[TIME[大正10(1921)年][1921]]生まれで、
[[昭和改元]]は5歳のときのことでした。
筆者やこの時代の多くの人にとって[[改元]]はほとんど未経験に等しい出来事で、
しかも社会情勢が異なる遥か過去の[[改元]]のことともなれば、
想像が及びにくいのは致し方ないことなのかもしれません。
[[一世一元]]で[[元号]]継続期間が長大化することの弊害です。


]NOTE]


[191] 
[TIME[昭和54(1979)年][1979]]、
研究者の[[山田忠雄]]は、
[[江戸時代の元号]]の話題の中で[[改元デマ]]を取り上げました。
[SRC[>>190]]

- [192] 
前近代の[[改元]]には人心一新があった
-- [193] 支配者の意識的な政治操作だけでなく、
-- [194] 被支配者の改元によるそこはかとない期待感、
改元による社会的変化を待望する人心も
--- [195] それ故に頻繁に改元され、受け入れられたのだろう
--- [196] c.f. 落首 [SEE[ [[江戸時代の元号]] ]]
- [197] [CITE[藤岡屋日記]]
-- [199] 天保改元の際の[[永長]]
-- [198] [[嘉政]]
- [200] [CITE[我衣]]
-- [201] 文化14年の[[永長]]
--- [202] 箱根関所の一件
- [203] [[永長]]は過去の元号だが、そんな史実よりも、
民衆の密やかな願望が込められ繰り返し出てきたのだろう
- [204] [[嘉政]]は元号案で繰り返し提出されており、
[[難陳]]で有力案だったのだろうか
- [205] 幕府にとっては看過できない由々しい事件
-- [206] 時間は王者の支配するところだが、実質的には将軍が支配していた
-- [207] 非公認の年号の流布は単なる浮説以上に許すべからざる異説として禁圧したのだろう
-- [208] どの事件も他の出版取締事件ほどの筆禍に発展しなかったと思われるが、
改元に対する幕府の態度の一端を示す
-- [209] c.f. 箱根の件
--- [210] たとえ無知な誤解でも、幕府の支配する年号の民間による勝手な改変は許されない

[211] 
いくつかの話題のうちの1つで個別に詳細な検討がなされているわけではないとはいえ、
現代歴史学的に[[江戸時代]]の[[改元デマ]]を取り扱った最古の業績です。

[212] 
ただその考察には無理も見られ結論ありきのようにも思われます。

[213] 
[[言論の自由]]がなく厳しい弾圧までなされたこの時代にありながら、
他の事件ほどの「筆禍に発展しなかった」と認めながらも
「単なる浮説以上に許すべからざる異説」
として禁止したというのは理由がありません。
せめて当時どのような言論がどのように処罰された事例があるのか検討しないことには、
このように結論づけるのは危険です。


[214] 
また、箱根の一件も、
役人が少々の書き誤りならともかく公布もされていない元号など不届き千万と拒んだ旨を引きながら、
「たとえ無知な誤解にせよ」
元号の改変を許さないと結論付けているのは強引です。
うっかりの誤り程度なら融通をきかせると当の役人が表明しているのですから。
また、
不正な[[元号]]の使用者は関所の通行許可が与えられていないだけで、
何の処罰も受けていないことにも注意が必要です。

;; [215] 
聞いたこともない[[暦法]]、[[紀年法]]の[[日付]]が入った証明書を拒絶するのは、
行政手続きの運用として別におかしなことではないでしょう。



[157] 
[TIME[平成2(1990)年][1990]]、
歴史研究者の[[河野昭昌]]は[[永長]]と[[長徳]]を[[江戸時代]]の[[私年号]]として報告しました。
[SRC[>>158]]





[REFS[

-
[104] 
[CITE@ja-JP[[[新聞研究]] [L[1978年8月号]]]] (337), 
[[日本新聞協会]], 
[V[[TIME[昭和五十四年八月一日][1979-08-01]]発行]],
[TIME[2024-02-01T05:12:54.000Z]], [TIME[2024-02-21T10:14:03.374Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/3360896/1/6> (要登録)
-- 
[103] 
[CSECTION[[V[[DFN[江戸時代の改元誤報]]]]]],
[[[V[平井隆太郎]]]]
-
[190] 
[CITE[[[近世の元号雑感⸺改元をめぐる民衆の反応あれこれ⸺]]]], 
[[山田忠雄]]
-
[158] 
[CITE[[[江戸時代私年号に関する覚書]]]]



]REFS]

-*-*-

[133] 
[[平成時代]]になると[[中世東国私年号]] (のいくつか)
は[[改元デマ]]から生じたものとする説は学界で通説化していきました。

[134] 
また、[[元号]]関係の出版物等で[[江戸時代]]の[[改元デマ]]がしばしば紹介されました。

[220] 
この段階では、
[[古文書]]等に出現する[[元号]]の実利用例は利用形態から[[私年号]]として報告され考察される一方で、
[[日記]]等に出現する記録は発生形態から[[改元デマ]]とみなされ一覧に加えられるもそれだけで、
両者は区別されて交わらないという状況でした。


[135] 
[[改元デマ]]と[[私年号]]の関係を総合的に分析した研究はなく、
中世、近世、近現代の[[改元デマ]]事案を通時代的な視点で検証することも望まれます。
[[公年号]]の[[改元伝達ルート]]との関係も考察を深める余地が残されています。

[136] 
大陸での状況は未だほとんど不明なままです。


[183] 
[TIME[平成20(2008)年][2008]]に[[永長]]を素材に[[光文事件]]と関連付けた陰謀論が発表されています。
[SEE[ [[永長]] ]]

[162] 
[TIME[平成26(2014)年][2014]]発行、[TIME[平成29(2017)年][2017]]普及版発行の
[CITE[日本年号史大事典]]
は、
コラムで[[私年号]]や[[改元デマ]]を取り上げていますが、
[[江戸時代]]の[[改元デマ]]については2つのコラムで[[元明]], 
[[永長]], 
[[嘉政]]を紹介しています。
[SRC[>>160, >>161]]
原資料の記述を掻い摘んで紹介しており、独自の知見は特にありません。

[169] 
[[令和改元]]直前の[TIME[平成31(2019)年2月][2019-02]]発行の一般向け雑誌の記事
(連載コラム) で、歴史研究者の[[竹内誠]]は、次のように紹介しています。
[SRC[>>164]]

- [170] [[改元]]への関心が高いが、[[江戸時代]]も同じ、一刻も早く知りたいのが人情
- [171] それに漬け込む偽情報屋、今でいうフェイクニュース屋が横行
- [172] [CITE[我衣]]より[[永長]]の件、文化改元時の件
-- [173] 朝幕が改元作業に入ると世間に何となく改元近しと噂が流れる
-- [174] 朝廷が決定してから幕府が公達するまで秘されている段階で、
瓦版号外のように断定的な紙を売り歩く者が江戸に多くいた
-- [175] 庶民は何よりも知りたい、競って買っただろう
-- [176] [[永長]]は既存[[公年号]]、かなり悪質な偽情報
- [177] [CITE[藤岡屋日記]]より[[嘉政]]の件
-- [178] 7日販売、8日逮捕、幕府の改元情報統制の厳しさを伺える
- [179] [[改元定]]の決定は公にできない形式的、
幕府公達日が実質的改元日、このずれの期間に、
ひょっとしたら朝廷側から漏れる可能性は十分あった

[180] 
[[竹内誠]]は[[江戸時代]]を専門とする研究者ですが、[[元号]]に関する業績は見当たらず、
独自の知見ではなく定説的事項を一般向けに解説したものと思われます。
記事の大部分は原資料の翻案や一般的事項で、
それ以外 (>>173 >>174 >>175 >>179)
は時代の専門家としての肌感覚からの補足なのでしょうが、
特に根拠のない推測となっています。

[181] 
特に >>179、正式に決定した[[元号]]が漏れた可能性は、「可能性」
レベルでは確かにあるといえばあるのですが、
現在までに具体的な「可能性」が確認されている事例は1件だけ (>>132) 
で、それも漏れたと断定できる証拠はなく、しかも本記事ではそれを取り上げていません。
その他はすべて偽の改元情報だったので、正規情報が漏れた「可能性」
をわざわざ文末の締めに使ったのは[[蛇足]]だったと言わざるを得ません。


[182] 
[[改元]]作業があったこと自体が「何となく世間に漏れ出ていた」か、
というのはまさしくこれらの[[改元デマ]]の記録を基に検証されるべきでしょう。
また、[[改元]]情報を秘密にしていたかどうかも、当時の距離と情報伝達速度を前提に検討する必要がありながら、
これまで十分に考察されていません。
[SEE[ [[宝永]], [[永長]] ]]


[REFS[

- [159] [CITE[[[日本年号史大事典]]]]
普及版 
--
[160] 
[CSECTION[[V[[WEAK(smaller)[コラム[YOKO[37]]]]  [DFN[ニセの改元を売り歩いて入牢]]]]]],
[V[[YOKO[Y]]]],
p.[L[599]]
-- [161] 
[CSECTION[[V[[WEAK(smaller)[コラム[YOKO[40]]]]  [DFN[早とちりの改元証文で失敗]]]]]],
[V[[YOKO[Y]]]],
p.[L[611]]
- [163]  
[CITE[[L[江戸楽[BR[]]2019年  3月号  No.119]]]],
[L[[TIME[2019年2月20日][2019-02-20]]発行]],
[L[月刊『江戸楽』編集部[BR[]][[エー・アール・ティ株式会社]]]]
-- [164] 
[CSECTION[[V[粋に楽しく  江戸ケーション[BR[]][ASIS[〜][S]]第一一九回  [DFN[江戸の改元とフェイクニュース屋]][ASIS[〜][S]]]]]],
[[[V[竹内誠]]]],
pp.[L[28]]-[L[29]]
---[165]  
カラーページながらも、色付きは筆者写真、一部の見出し、
本文と無関係のポスター[CITE[[L[武蔵野の歴史と民俗―『武蔵野郷土館』がのこしたモノたち]]]]のみ、
本文は白黒
-- [166]  
[CITE@ja[[[月刊江戸楽 3月号]] (発売日2019年02月20日) | 雑誌/電子書籍/定期購読の予約はFujisan]], [TIME[2024-07-29T11:22:49.000Z]] <https://www.fujisan.co.jp/product/1281683484/b/1782363/>
-- [167] [CITE@ja[「公達」のまるごと中身 検索結果一覧 12件表示 | 雑誌/定期購読の予約はFujisan]], [TIME[2024-07-29T11:23:29.000Z]] <https://www.fujisan.co.jp/zasshi_search/?t=s&qk=%E5%85%AC%E9%81%94&tb=d>

[FIG(quote)[ [168] >>167

> 数?第一一九回江戸の改元とフェイクニュース屋?ポスト平成の改元は五月一日に実施されます。混乱のないように、その一月前の四月一日には、新元号... 

>されているが、幕府が公達するまでは秘されている段階で、瓦版の号外のように「永長と改元也」と断定的に書いた小さな紙を売り歩く者が江戸に多く... 

]FIG]

]REFS]


@@
[223] 
[CITE@ja-JP[かわら版・新聞江戸・明治三百事件 2 (黒船来航から鳥羽伏見の戦い)]], [[平凡社]], [TIME[1978.5][1978]], [TIME[2026-03-18T03:11:57.000Z]], [TIME[2026-04-06T09:33:54.491Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/12282447/1/27?keyword=%E6%94%B9%E5%85%83> (要登録)

* 関連

[SEE[ 元号以外の日時関係デマ騒ぎについては[[架空の日時]]、[[標準時改正デマ]]、[[夏時刻ジョーク]] ]]

[72] [[取越正月]] 

[4] [[新元号予想]]と[[改元デマ]]は紙一重なので注意しましょう。

[7] 
[[改元]]にまつわる[[詐欺]]もあります。
[SEE[ [[改元かるた]] ]]


[31] 他国の記録に残された実在しない[[元号]]
[SEE[ [[古代年号]]、[[白亀]]、[[周啓]]、[[得徳]] ]]

* メモ

[43] 
中世、近世の未発掘の改元デマ事例はまだまだありそう。

[11] 
「改元デマ」で[[ぐぐる]]と1位が[[安久]]、
2位が[[光文]]で草www
[TIME[2019-05-28T11:19:17.200Z]]

[17] 
[[平成改元]]でも[[令和改元]]でも、
陛下がご高齢になった頃に新元号のデマが生じるのは興味深い。

[18] 
別に陛下の死を願ってデマを流しているのではないだろうけど、
[[一世一元]]の負の側面のようにも思える。



[19] 
たぶん[[延長年号]]、
[[中世私年号]]、
[[改元デマ]]、
新元号予想あたりは地続きの現象として総合的に考察する必要があるのでしょうね。


[44] 
最初の[[私年号]]が出現する[[平安時代]]終わり頃に[[改元デマ]]も出現しているのに注目したい。



[20] 
平成末期、おそらく[[東日本大震災]]の頃から、
改元と大仏建立が必要だ、みたいなネタが
[[Twitter]]
とか、
[[Web]] 系の会社の社員とかの間で何度か盛り上がりましたよね。
だから[[改元デマ]]の発生とか、
[[中世私年号]]が世直し[[改元]]願望から発生した説とか、
なるほどありそうな話だという実感があります。

[21] 
実のところ [[Twitter]]
の表示とか、
[[IT]] 系でも特に
[[Web]]
系の会社とかは[[元号]]じゃなくて[[西暦]]を扱うのがほとんどじゃないですか。
だから[[元号]]なんて関係ないはずなのに、
[[改元]]を切望する。
もちろんただのネタなので、ほとんどの人は面白がってるだけで真面目に[[改元]]努力をしている人などいないでしょうけど、
日本の歴史の積み重ねが時代の最先端の分野までつながってるのが興味深いし、
[[中世私年号]]も元号自体より[[改元]]という事実が重要だったという指摘が現代に重なっておもしろい。


[39] 
中世はどうだかわかりませんけど、江戸時代に江戸で流行ったような改元デマは、
きっと平成や令和の人々と同じで、
天災などの社会不安、
政治への不満とか風刺で改元があるのではないか、
新元号が何だろうとネタで話していたのがエスカレートしたものだったのでしょうね。


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現代の[[中華人民共和国]]や[[ベトナム]]でも風刺の[[私年号]]が発生しているのも興味深いです。
[[中華人民共和国]]や[[ベトナム]]は[[元号]]を使っていないので[[改元デマ]]にはなり得ないのですけど。
[SEE[ [[中華人民共和国の私年号]], [[ベトナムの私年号]] ]]
それらは風刺性が強く、
[[日本]]の[[改元デマ]]は自然災害との結びつきが強そう、という違いはありますけど。
