[43] 
[DFN[徳応]]は、
[[日本の異年号]]の1つです。

* 元号名

[41] 
[[読み][元号名の読み方]]は、
「とくおう」
([[歴史的仮名遣い]]: 「とくをう」 [SRC[>>40]])
です。

* 用例

[ITEMS[ [[日時事例]]

- [3] 
[DATA(.label)[[CITE[嘉吉物語]] 第一類本]]
-- [4] 
「[DATA(.text)[[V[文和三年]]]]」
[SRC[>>1 #page=49]]
- [5] 
[DATA(.label)[[CITE[嘉吉物語]] 第二類本]]
-- [6]  
「[DATA(.text)[[V[文和二年六月]]]]」
[SRC[>>1 #page=49]]
- [7] 
[DATA(.label)[[CITE[嘉吉物語]] 第三類本]]
-- [9] 
[DATA(.label)[(甲) [CITE[赤松物語]]系諸本]]
「[DATA(.text)[[V[観応三年]]]]」
[SRC[>>1 #page=30, >>1 #page=49]]
--- [14] 
[DATA(.label)[島原松平文庫本]]
「[DATA(.text)[[V[徳応元年]]]]」、
[CH[徳]]に[[ミセケチ]]、右横に[CH[勧]], 左横に[CH[暦]]
[SRC[>>1 #page=30]]
--- [10] 
[DATA(.label)[[[国会図書館]]本]]
「[DATA(.text)[[V[徳応元年]]]]」
[SRC[>>1 #page=30]]
-- [15] 
[DATA(.label)[(乙) [CITE[嘉吉物語]]系諸本]]
--- [11] [DATA(.label)[静嘉堂本]]
「[DATA(.text)[[V[[RUBY[徳応][応安]]三年]]]]」
[SRC[>>1 #page=49]]
---- [12] 「応安」は[[色川三中]]書き入れか
[SRC[>>1 #page=49]]
--- [18] 
[DATA(.label)[[CITE[続群書類従]]本[CITE[嘉吉物語]]]]
「[DATA(.text)[[V[德應三年]]]]」 ([[明朝体]])
[SRC[>>17]]
---- [27] 
[DATA(.label)[[CITE[赤松氏・三木氏の文献と研究]]本[CITE[嘉吉物語]]]]
「[DATA(.text)[[V[徳応三年]]]]」
[SRC[>>26 ([CITE[続群書類従]])]]
--- [25] 
[DATA(.label)[[CITE[史籍集覧]]本[CITE[嘉吉物語]]]]
「[DATA(.text)[[V[德應三年]]]]」 ([[明朝体]])
[SRC[>>37, >>24]]
---- [39] 
[DATA(.label)[[CITE[Wikisource]]本[CITE[嘉吉物語]]]]
「[DATA(.text)[[V[徳応三年]]]]」
[SRC[>>38]]
--- [29] 
[DATA(.label)[[CITE[鷺洲町史]]所引[CITE[嘉吉物語]]]]
「[DATA(.text)[[V[德應三年]]]]」 ([[明朝体]])
[SRC[>>28]]
--- [23] 
[DATA(.label)[[CITE[北河内郡史蹟史話]]所引[CITE[嘉吉物語]]]]
「[DATA(.text)[[V[德應三年]]]]」 ([[明朝体]])
[SRC[>>22]]
--- [31] 
[DATA(.label)[[CITE[守口市史]]所引[CITE[嘉吉物語]]]]
「[DATA(.text)[[V[徳応三年]]]]」
[SRC[>>30]]
---- [32] >>30 : [V[十三]]
-- [34] 
[DATA(.label)[(乙) [CITE[嘉吉軍記]]系諸本]]
--- [35] 
[DATA(.label)[寛文9年己酉版本]]
「[DATA(.text)[[V[[RUBY[德][トク]][RUBY[應][ヲウ]]三年]]]]」 ([[楷書]])
[SRC[>>40, >>42]]
---- [36]
[DATA(.label)[[CITE[播陽万宝智恵袋]]本[CITE[嘉吉軍記]]]]
「[DATA(.text)[[V[徳応三年]]]]」 ([[明朝体]])
[SRC[>>33]]
-- [8] 
[DATA(.label)[(戊) [CITE[赤松略記]]系諸本]]
「[DATA(.text)[[V[観応三年]]]]」
[SRC[>>1 #page=30]]


]ITEMS]

[13] 
第一類や第二類には[[ミセケチ]]などがないのに対し、
第三類は[[ミセケチ]]や書き入れで様々に改変されており、
第一類・第二類では[[年号]]に疑問が挟まれなかったのに対し、
第三類の書写者や校訂者が疑問を抱いていたことが知られます。 [SRC[>>1 #page=49]]

[16] 
内容は、[[文和]]年間の[[史実]]を記述したものです。
書写時期より、文和2年が原型で文和3年は誤写と考えられます。
何度か繰り返された争乱であり、史実としては3年が誤りとも言い切れません。
[SRC[>>1 #page=50]]

[44] 
第三類本の成立は遅くても[[天正]]年間とされます。
[SRC[>>1 #page=6]]
第一類、第二類の成立はそれよりも前ですが、現存本は[[近世]]のものです。

[REFS[

- [40] 
[CITE@ja[ビューア | 嘉吉軍記]], [TIME[2026-08-10T15:30:32.000Z]] <https://www.digital.archives.go.jp/img/1227176#10>
- [42] 
[CITE@ja[国書データベース]], [TIME[2026-08-10T15:33:09.000Z]] <https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100422553/13?ln=ja>
- [37] 
[CITE@ja-JP[史籍集覧 第13冊]], [[近藤瓶城]], [TIME[明治39][1906]], [TIME[2026-07-28T01:09:38.000Z]], [TIME[2026-08-10T15:13:33.878Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/1920348/1/8?keyword=%E5%BE%B3%E5%BF%9C>
-- [24] 
[CITE@ja-JP[史籍集覧 第16冊]], [[近藤瓶城 '''['''原編''']''']], [TIME[昭和42][1967]], [TIME[2026-07-28T01:09:38.000Z]], [TIME[2026-08-10T15:01:54.222Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/3450057/1/27?keyword=%E5%BE%B3%E5%BF%9C%E4%B8%89%E5%B9%B4> (要登録)
- [17] 
[CITE@ja-JP[続群書類従 第20輯ノ上 合戦部]], [[塙保己一]], [TIME[大正12][1923]], [TIME[2026-07-28T01:09:38.000Z]], [TIME[2026-08-10T14:56:09.933Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/936477/1/116?keyword=%E5%BE%B3%E5%BF%9C%E4%B8%89%E5%B9%B4>
- [28] 
[CITE@ja-JP[鷺洲町史]], [[鷺洲町史編纂委員会]], [TIME[大正14][1925]], [TIME[2026-07-28T01:09:38.000Z]], [TIME[2026-08-10T15:04:49.331Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/1019724/1/86?keyword=%E5%BE%B3%E5%BF%9C>
- [22] 
[CITE@ja-JP[北河内郡史蹟史話]], [[平尾兵吾]], [TIME[昭和6][1931]], [TIME[2026-07-28T01:09:38.000Z]], [TIME[2026-08-10T14:59:56.401Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/1187533/1/78?keyword=%E5%BE%B3%E5%BF%9C%E4%B8%89%E5%B9%B4>
- [30] 
[CITE@ja-JP[[[守口市史]] 史料編]], [[守口市史編纂委員会]], [TIME[1962]], [TIME[2026-07-28T01:09:38.000Z]], [TIME[2026-08-10T15:06:44.620Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/3008223/1/24?keyword=%E5%BE%B3%E5%BF%9C%E4%B8%89%E5%B9%B4> (要登録)
- [26] 
[CITE@ja-JP[赤松氏・三木氏の文献と研究]], [[神栄宣郷, 神栄赳郷]], [TIME[1985.11][1985]], [TIME[2026-07-28T01:09:38.000Z]], [TIME[2026-08-10T15:02:41.355Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/9576008/1/242?keyword=%E5%BE%B3%E5%BF%9C> (要登録)
- [33] 
[CITE@ja-JP[播陽万宝智恵袋 下巻]], [[天川友親, 八木哲浩 校訂]], [TIME[1988.2.][1988-02]], [TIME[2026-07-28T01:09:38.000Z]], [TIME[2026-08-10T15:08:20.386Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/13130726/1/177?keyword=%E5%BE%B3%E5%BF%9C> (要登録)
- [38] 
[CITE@ja[嘉吉物語 - [[Wikisource]]]], [TIME[2026-07-27T12:00:06.000Z]], [TIME[2026-08-10T15:14:13.761Z]] <https://ja.wikisource.org/wiki/%E5%98%89%E5%90%89%E7%89%A9%E8%AA%9E>

]REFS]

[ITEMS[ [[日時事例]]

- [21] [CITE(.label)[作用郡誌]]
-- [20] 
「[DATA(.text)[[V[德應三年]]]]」 ([[明朝体]])  [SRC[>>19 ([CITE[赤松氏族譜]] [[田佳本]])]]

]ITEMS]

[REFS[

- [19] 
[CITE@ja-JP[佐用郡誌]], [[兵庫県佐用郡]], [TIME[大正15][1926]], [TIME[2026-07-28T01:09:38.000Z]], [TIME[2026-08-10T14:58:18.220Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/980728/1/79?keyword=%E5%BE%B3%E5%BF%9C%E4%B8%89%E5%B9%B4>

]REFS]

* 諸説

[48] 
該当の[[年号]]を諸本は

- [49] 文和2年6月
- [50] 文和3年
- [51] 徳応3年
- [52] 観応3年
- [53] 歓応3年
- [54] 暦応3年
- [55] 応安3年

... と様々に表記しています。

[56] 
史実としては[[文和]]年間の出来事と考えられており、
これを正しく叙述したのだとすれば、文和2年ないし文和3年が祖本の原記述だったと考えられます。

[57] 
しかし[[文和]]とそれ以外とは、[[字形]]も[[発音]]も違いがありすぎて、
単純な誤写・誤伝で説明するのは難しいです。

[58] 
かといって改竄するような動機も思い当たりません。

[59] 
[[昭和時代]]の[[和田英道]]は諸本を調査し状況を整理しましたが、
なぜこのようなバリエーションが発生したのかの根本的原因までは特定できていません。
その後もこれを説明した文献は見当たりません。

[60] 
第三類の祖形が[[徳応]]だとすると、これは[[日本の公年号]]ではないので、
他の記録等からの混同や誤校訂とも考えられません。

[61] 
[[私年号]]の[[徳応]]は、奇遇にも嘉吉元年ではないかと考えられていますが、
[CITE[嘉吉物語]]の徳応3年は[[嘉吉]]年間とは遠く離れた時期で、
直接関係しているようには思えません。
[CITE[嘉吉物語]]諸本の成立地はともかく作中の舞台地は[[畿内]]であり、
[[私年号]]の[[徳応]]のみられる[[東国]]と離れています。

* 研究史

[47] 
[[近世]]の研究者らは
[CITE[嘉吉物語]]
諸本の書写・校訂に当たって[[徳応]]を不審に思い、
他の[[元号]]の誤りと考えてそれぞれに訂正したようで、
それらが現存諸本の差異として残されています。

-*-*-

[45] 
[TIME[昭和50(1975)年][1975]]の論文は、
[CITE[嘉吉物語]]
の諸本の系統を分析するものですが、
諸本の相違点の1つとして[[徳応]]の日付を検討しています。
[SRC[>>1]]

[REFS[

- [1] 
[CITE[[V[『嘉吉物語』の形成]]]],
[[[V[和田英道]]]],
[V[一九七五年三月]],
[TIME[2026-08-10T14:31:37.000Z]]
<https://kokubunken.repo.nii.ac.jp/record/327/files/KB0003.pdf>

]REFS]

-*-*-

[46] 
[[私年号研究]]の文脈で言及した事例は知られていません。


* 関連

[2] 
[[中世東国私年号]]の[[徳応]]との関係は現在のところ知られていません。

* メモ