[34] いくつかの[[暦法]]や[[紀年法]]は、採用している各国の[[法令]]で定義されています。

[35] 多くの[[暦法]]や[[紀年法]]は、[[法令]]で用いられているものであっても、
明確な定義なしで使われています。

[48] いくつかの[[国]]は、採用する[[暦法]]や[[紀年法]]を[[法令]]で明確に定義しています。
(が、そうでない[[国]]の方が多いです。)


;; [36] 個別の事例は、各[[暦法]]、[[紀年法]]の項を参照。


[1] 
歴史的にはそもそも[[暦法]]や[[紀年法]]の決定と[[選択][元号の選択]]は[[主権国家]]の権限で、
統治行為の中核でしたから、
統治制度に[[暦法]]や[[紀年法]]は組み込まれていたはずです。
しかし古くから続くあまりにも根本的で基本的な制度ゆえ、
恒久的明文制度として制定されたことがなく、
[[近代法]]体系で明確な定義を欠くというケースがよくあるようです。


* 各国の正式な紀年法と暦法

[47] 次の各国は、[[西暦]]以外の[[紀年法]]と[[暦法]]を現在でも公式に用いています。

[FIG(table)[
:c: [[国]]
:p: 主要[[紀年法]]
:s: 補助的[[紀年法]]
:note: 参考

:c: [[日本]]
:p: [[日本の元号]]◆
:s: [[西暦]]、[[皇紀]]
:note:
[SEE[ [[現代日本の紀年法]] ]]

:c: [[中華民国]]
:p: [[民国紀元]]
:s: [[西暦]]
:note:
[SEE[ [[民国紀元]] ]]

:c: [[タイ王国]]
:p: [[仏暦]]α型
:s: [[タイ国王即位紀年]]◆
:note:
[SEE[ [[タイ暦]] ]]

:c: [[朝鮮民主主義人民共和国]]
:p: [[主体暦]]、[[西暦]]

:c: [[英国]]
:p: [[西暦]]
:s: [[英国王在位紀年]]◆

:c: [[カナダ]]
:p: [[西暦]]
:s: [[英国王在位紀年]]◆

:c: [[アメリカ合衆国]]
:p: [[西暦]]
:s: [[アメリカ建国紀元]]、州の[[建国紀元]]

:c: [[ブラジル]]
:p: [[西暦]]
:s: [[ブラジル共和国紀元]],
[[ブラジル独立紀元]]

:c: [[サウジアラビア][サウジアラビアの日時]]
:p: [[イスラム暦]]☆
:s: [[西暦]]

:c: [[インド]]
:p: [[西暦]]、[[インド国定暦]]☆
:s: [[インド共和国紀元]]、
[[Fasli calendar]]☆

:c:[[ネパール]]

:c: [[スリランカ]]
:p: [[西暦]]
:s: [[仏暦]]

:c: [[バングラデシュ]]
:p: [[西暦]]
:s: [[ベンガル暦]]☆

:c: [[マレーシア]]
:p: [[西暦]]
:s: [[イスラム暦]]☆
:note: [SEE[ [[マレーシア暦]] ]]

:c: [[イラン]]

:c: [[イスラエル]]

:c: [[エチオピア]]
:p: [[エチオピア暦]]☆、[[西暦]]
:s: [[エチオピア建国紀元]]◆
:note: [[日の出]][[日界]] (法定かどうか不明)

:c: [[ギリシャ]]保護領[[アトス自治修道士共和国]]
:note: [[ユリウス暦]]☆, [[日没]][[日界]]

:c: [[バチカン]]
:p: [[西暦]]
:s: [[ローマ教皇即位紀年]]◆

]FIG]

;; [11] ☆は、現代において[[月日]]が[[グレゴリオ暦]]と異なるもの。
◆は、[[改元]]のあるもの。

[24] [[祝日]]の決定に使われ[[日付]]表記には (公的には) 使わないものまで含めると、
更に多くなります。[[祝日]]参照。

* 日本政府調査

[40] >>39 
[TIME[昭和50(1975)年10月][1975-10]]日本国外務省調査、各国の[[外交官]]信任状等における[[紀年法]]一覧


[57] 99ヶ国中、

- [58] [[西暦]]のみ: 74ヶ国
- [59] [[西暦]]と[[回教暦]]: 8ヶ国:
[[アラブ首長国連邦]]、[[エジプト]]、[[アルジェリア]]、[[イラク]]、
[[クウェイト]]、[[カタル]]、[[リビア]]、[[サウディ◦アラビア]]
- [60] [[西暦]]と[[仏暦]]: [[スリ◦ランカ]]、[[ラオス]]
- [61] [[西暦]]と[[ユダヤ暦]]: [[イスラエル]]
- [62] [[西暦]]と[[共和国創立年][建国紀元]]: [[ガーナ]]、[[アフガニスタン]]、
[[バングラデシュ]]
- [63] [[西暦]]と[[統治年][在位紀年]]: [[ジョルダン]]
- [64] [[西暦]]と[[在位年][在位紀年]]: [[ヴァチカン市国]]、[[モナコ公国]]
- [65] [[西暦]]と[[独立年][建国紀元]]: [[ハイティ]]、[[サイプラス]]
- [66] [[西暦]]、[[回教暦]]、[[統治年][在位紀年]]: [[マレイシア]]
- [67] [[西暦]]、[[仏暦]]、[[統治年][在位紀年]]: [[タイ]]
- [68] [[西暦]]、[[共和国創立年][建国紀元]]、[[インド暦]]: [[インド]]
- [69] [[西暦]]、[[統治年][在位紀年]]、[[イラン暦]]
→ [[西暦]]、[[統治年][在位紀年]]: [[イラン]]
- [70] [[西暦]]、または[[西暦]]と[[統治年][在位紀年]]: [[英国]]、[[豪州]]


[56] 
外交官信任状とは外務省にとって調べやすい資料だったのだろう。
しかし[[法令]]で(のみ?)[[ブラジル建国紀元]]を現在に至るまで利用中の[[ブラジル]]はリストになし。
一部法的文書などで[[アメリカ建国紀元]]を現在に至るまで利用中の[[米国]]もリストになし。
外交文書では専ら[[西暦]]という国もこんにちでは多いのではないか。
(外務省が信任状を使ったということは、(当時は?) [[日本]]は[[元号][日本の元号]]を採用、
または併記していた?)

[REFS[
- [39] [DFN[[CITE[外国からの公文書における年の表示方法]]]], 
外務省調査,
[TIME[50年10月][1975-10]]
-- [CITE@ja[法律案審議録(元号法案 その1) 昭和54年第87回[[国会]] 総理本府関係 1]] ([[独立行政法人国立公文書館 | NATIONAL ARCHIVES OF JAPAN]]著, [TIME[2018-06-12 23:56:17 +09:00]]) <https://www.digital.archives.go.jp/das/image/M2011021814402318057>
102ページ
--- <https://www.digital.archives.go.jp/das/contents/pdf/lossy/H2130a00350000/0016.pdf#page=102>
]REFS]

[6] 当時の日本政府担当者が把握していた法制化事例 [SRC[>>5]]

>大韓民国におきましては西暦を使っておるわけでございますが、このことを一九六一年十二月二日、法律第七百五十五号、年表示に関する法律ということで、そういうふうに規定をしておるわけでございます。
> それから、たとえばイスラムの例で申しますと、トルコにおきましては西暦とイスラム暦を使っておるわけでございますが、一九二六年法律第六百九十八号、西暦の採用に関する法律、それから同時に、この法律によりましても、西暦と同時にイスラム暦の使用が認められている、こういう状態になっております。
> それから、たとえばクウェートにおきましては、憲法第二条、国家の宗教は回教であり、回教法が立法の根源であるという規定がありまして、ただし、一九七六年三月七日の閣議決定により、公文書にはイスラム暦、西暦を併記するという取り扱いが定められている。

;; [8] 
これらは例示であり、他にもあることを匂わせていました。
またこれ以後に生じた事例として、例えば[[朝鮮民主主義人民共和国]]があります。
[SEE[ [[主体暦]] ]]

[REFS[
- [5] [CITE@ja[第87回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 昭和54年4月11日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム]], [TIME[2020-01-30 18:02:28 +09:00]] <https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=108704889X00519790411&current=-1>
]REFS]

[15] [CITE@ja[英米社会実務事典 - 国立国会図書館デジタルコレクション]], [[芝染太郎]], [TIME[昭和15][year:1940]], [TIME[2021-11-11T11:07:30.000Z]] <http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1111686/289>


昭和15年と書かれた、日本政府の外交官親任状の雛形。和文、英文とも、
[[元号年]]と[[皇紀]]の併記。
([[西暦]]なし。)

西暦1933年の英国政府の日本人外交官の認証状 (英文) は、
[[西暦年]]と[[英国王即位紀年]]。

;; 雛形形式になっていますが、特定の外交官の書類一式 (の複製?) を入手したのでしょう。

[19] 
昭和27年の米国駐日領事の委任状は[[西暦]]と[[アメリカ合衆国独立紀元]]の併記。
[SEE[ [[アメリカ合衆国独立紀元]] ]]

[22] 
昭和28年の駐日[[ビルマ連邦]]領事は[[ビルマ暦]]と[[西暦]]の併記。
[SEE[ [[ビルマ暦]] ]]

[23] 
昭和28年の駐日[[ブラジル合衆共和国]]領事はブラジル共和国年、独立年、[[西暦]]の併記。
[SEE[ [[ブラジル建国紀元]] ]]

[17] 
[CITE[改元をめぐる制度と歴史(短報) - digidepo_11126513_po_081105.pdf]], [TIME[2022-07-15T03:41:42.000Z]] <https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11126513_po_081105.pdf?contentNo=1#page=11>

[18] [CITE@ja-JP[祖国と青年 (2)(27)]], [[日本協議会]], [TIME[1977-02]], [TIME[2022-12-28T09:26:51.000Z]], [TIME[2022-12-30T14:40:52.456Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/2842107/1/21> (要登録)

* 年号銭の紀年法

[13] [CITE[紀元・暦法を集めるスレ]], [TIME[2020-08-24T13:38:07.000Z]] <https://academy4.5ch.net/test/read.cgi/whis/1044889496/122>

[12] [CITE@en-US[How do you guys feel about coin maps? I was bored this morning, so I created this after being unable to find a pre-existing one. Calendar date system used on state circulation coinage. : coins]]
([TIME[2020-07-25 20:47:57 +09:00]])
<https://www.reddit.com/r/coins/comments/gz5evw/how_do_you_guys_feel_about_coin_maps_i_was_bored/>

[14] [CITE[コインの発行年]], [TIME[2021-03-31T01:58:00.000Z]], [TIME[2021-08-02T03:46:35.838Z]] <https://coin-walk.site/Z067.htm>

* 外国政府への改暦通知

[2] 
[DFN[外国政府への改暦通知]]は、
近代国家の外交儀礼上の慣例になっていると思われます。
(慣例といってももはや[[日本]]だけかもしれませんが。)

-*-*-

[3] 
[[日本]]の[[明治改元]]では、[[改元]]と[[一世一元]]の制定が[[日本]]
([[明治政府]])
外交担当から各国駐日本公使に通知されました。
[SEE[ [[明治改元]] ]]

[9] 
[[日本]]の[[明治改暦]]でも各国公使に通知されました。

[4] [[日本]]の[[平成改元]]時には各国政府に通知されました。
[SEE[ [[平成改元]] ]]

[20] [[日本]]の[[令和改元]]時は、
発表直後に[[日本]]外務省から各国政府に通知されました。
[SEE[ [[令和改元]] ]]

[16] 
[[清]]の[[光緒改元]]は、
[[清]]国の[[上海道台]]から[[日本]]の在[[清]]国[[上海]]領事館
([[品川忠道]]領事)
へ[[公文]]が送付されて通知されました。
[SEE[ [[光緒改元]] ]]


[21] 
[[大韓帝国]]の[[光武]]改元・[[太陽暦]]への[[改暦]]は、
同国駐[[日本]]公使から[[日本]]外務省に通知されました。
[SEE[ [[大韓帝国の日時]] ]]
(他国にも同様に通知されたものと思われます。)

@@
[BOX[



[31] 
[CITE@ja-JP[新聞集録大正史 第14巻]], [[大正出版]], [TIME[1978.6][1978]], [TIME[2026-01-20T01:30:11.000Z]], [TIME[2026-02-13T08:40:05.392Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/12229230/1/241?keyword=%E6%94%B9%E5%85%83%E3%81%AE%E9%80%9A%E7%9F%A5> (要登録)

[32] >>31 見出しは改元の通知ながら本文は崩御践祚の通知の旨。

[33] 
[CITE@ja-JP[昭和天皇大喪儀記録]], [[宮内庁]], [TIME[1993.3][1993]], [TIME[2026-01-20T01:30:11.000Z]], [TIME[2026-02-13T09:09:28.979Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/13098958/1/168?keyword=%E6%94%B9%E5%85%83> (要登録)


]BOX]

-*-*-

[7] 
元来は彼我の日時の[[変換][日時の換算]]に必須の情報で、
外国駐在の外交官の生活上も必要なので、
実用的な目的で通知するようになったとみられます。
情報が民間経由で即座に伝わる上に外交では[[西暦]]を使うことがほとんどの現在では、
形骸化しています。

[SEE[ 標準時や夏時刻の改正通知については[[法定時]] ]]

[SEE[ 改元の他の伝達経路については[[改元手続き]] ]]

* 非妥当日付の法的効力

[SEE[ [[遡及年号]], [[延長年号]] ]]

[SEE[ [[非妥当日付]], [[延長日]] ]]

-*-*-

[27] [CITE@ja-JP[手形・小切手がわかる本]], [[大矢息生]], [TIME[1994.8][1994]], [TIME[2025-09-30T02:09:54.000Z]], [TIME[2025-10-16T07:10:33.415Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/12735088/1/87?keyword=%E5%B9%B3%E4%B8%96> (要登録)

[28] >>27 は対話形式の解説書であり、「平世七年」を支払期日とする[[手形]]を[[裁判所]]の[[判決]]で無効と判断された旨が語られています。しかしその具体的な[[事件番号]]や[[判決]]の期日や[[裁判所]]は何の言及もありません。

[29] [[Web検索]], [[国立国会図書館デジタルコレクション]]の全文検索, [[裁判所]]の判例検索でもそれらしき[[判例]]を見つけることができません。

[25] 
現在検索で見つからないからといって直ちに[[判例]]がないとも言い切れません。

[30] 
>>27 の出版は平成6年ですから、「平世七年」は執筆時点で構成した架空の年号例かもしれません。
すると実際には違う年数の[[判決]]があったとも考えられます。





* 関連

[SEE[ 時刻は[[法定時刻]] ]]

[SEE[ 過去の東アジアの事例は[[元号の選択]] ]]

[SEE[ 外交文書は[[外交文書の紀年法]] ]]

[SEE[ [[日時制度改正]] ]]

[SEE[ [[日時の政治性]] ]]



* メモ

[10] [CITE[紀元・暦法を集めるスレ]]
([TIME[2020-03-22 21:39:49 +09:00]])
<https://academy4.5ch.net/test/read.cgi/whis/1044889496/903-915>

[26] 
[CITE@ja-JP[現行日本法令大全 増訂13版(第1-17類)]], [[博文館編輯局]], [TIME[明30-37][1904]], [TIME[2024-10-01T09:05:02.000Z]], [TIME[2024-11-01T06:31:26.277Z]] <https://dl.ndl.go.jp/pid/2127075/1/248?keyword=%E6%9A%A6>


